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ミステリの祭典

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堕天使拷問刑

作家 飛鳥部勝則
出版日2008年01月
平均点6.50点
書評数10人

No.10 6点 メルカトル
(2023/11/15 22:13登録)
両親を事故で亡くした中学1年生の如月タクマは、母方の実家に引き取られるが、そこでは魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死していた。さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。そんな呪われた町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず…。
『BOOK』データベースより。

期待度が高かった分やや厳しい採点となりました。ボーイミーツガール?そんな生易しいものではありません。兎に角色々起こり過ぎて、様々な要素を詰め込み過ぎて。その中に埋もれた伏線を見破る事は至難の業と言えるでしょう。勿論犯人の見当も付きません。しかし、猥雑とも取れるパーツの数々を取り除いてみれば、意外にも単純な事件の様相が見えてきます。

だから、1000枚を超える大作の割に謎解きのページ数はあまりに短く、呆気なく感じられました。諸々の出来事に隠れた殺人事件の真相は貧弱で、動機も突飛なものではありません。ただ偶然性の強いアリバイの中には目を瞠るものも含まれており、油断なりません。
ラストは作者らしく一捻りしてあり、個人的には成程と思わざるを得ませんでした。
何故飛鳥部勝則の作品の中で他に比べて本作が突出して人気があるのか、それはタイトルと表紙画によるところが大きいのだと思います。でも一つ言わせてもらえれば、表紙の少女は長身に見受けられますが、実際は小柄なはずです。お間違えの無いように。

No.9 7点 虫暮部
(2022/08/02 11:53登録)
 ちりばめられた衒学にストーリー展開にキャラクター、皆かなりの濃度で満足。真相には若干心許無い部分もあるが、どうにか物語を支えられたかとは思う。特に玲殺害事件についてはたまげた。
 それだけに、メタ構造は本当に邪魔。ただでさえヘヴィなのだから、まとめは少しでも切れ味を良くしないと。

 ところで主人公の経済状況って? 曲がりなりにも相続人で(未来の?)お金持ちじゃないの? どこの家が引き取るかで揉めてたのはどういうことか。

No.8 7点 ぷちレコード
(2022/04/08 22:30登録)
牧歌的な田舎町を舞台に典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」風の人物配置をしておきながら、この作者ならではのグロテスクな異形の物語が展開する。
一見、平和な田舎道に隠されていたおぞましい秘密もさることながら、最後に明かされる真犯人の造形はまさに衝撃の一言。

No.7 8点 じきる
(2021/01/10 06:42登録)
飛鳥部ワールド全開でぶっちぎる怪奇ミステリの傑作。
狂気溢れる独特の空気感とトリックがクセになります。

No.6 5点 YMY
(2019/03/29 19:24登録)
本格ミステリー小説、ホラー小説、冒険小説さらには恋愛小説が混然一体となっている作品で、詰め込みすぎの感はあるが、途中のとんでもない謎解き、そしてラストの謎解きと共にいい感じ。
ただ全編に渡り、ラノベ調なので好き嫌いは大きく分かれると思う。

No.5 6点 レッドキング
(2018/08/07 14:30登録)
閉ざされた山村なのにデパートも喫茶店もある町。血塗られた蛮習とネット、悪魔と和風憑物、携帯と怪物蛇・カニ女が同居する世界。ホラーと学園ラノベとミステリの混在。その内、ミステリとしての評価・・二つの不可能犯罪と三つのアリバイトリック・・としては5点だが、胸キュンの終章に1点のおまけ。 

No.4 5点 HORNET
(2013/11/11 19:39登録)
 衝撃的・劇場的な冒頭で惹きつけられ、矢継ぎ早に繰り出される謎でずっと引っ張られる。そんな感じだった。オカルトな要素が、「まさか『Another』みたいな感じ?」と疑わせたが、そうではなかったのでまぁよかった。現実と虚構が入り混じったような不思議な雰囲気だったが、たまにはこういうのも悪くはないかな。ただ、トリックはちょっと無理がありすぎという感想。

No.3 5点 touko
(2010/01/06 22:35登録)
評判だけで現物はどれも見たことないのですが、ゲームからはじまってアニメや映画にもなっているホラー学園土着ミステリのヒット作「ひぐらしのなく頃に」みたいなのを狙ったんでしょうか。
苦手なラノベ調なので、読み進めるのが苦痛な部分もあったのですが(個人的にはもうちょっとリアルタッチで書いて欲しかったなあ)、ラストは思いがけず感動してしまいました。

とはいえ、中学1年生の美少年主人公たちの言動や自意識が早熟すぎるのは、妙にリアルなオカルトマニアの背伸びした高校生か痛くて青臭くて頭の悪い大学生みたいなので、ラノベ的なディフォルメによるキャラ立ちの成果というのではなく、ご都合主義や薄気味悪さを感じさせたり、エヴァンゲリオンの綾波を思わせる美少女はじめ、どのキャラもユニークさ(萌えも?)を狙ったはずなんだろうけど、むしろ類型的すぎるあまり没個性になっていたり、特定の老人だけは「ワシは○○じゃ」などとお約束の記号的老人喋りをしたりしているような世界なのに、方言がないのが特徴の地域であるなんて設定にしているので伏線とまぎらわしかったりと、なんだか中途半端で雑な印象。
一生懸命今風のダークアニメタッチにしているのは窺えても、肝心のキャラのインパクトは薄くて各キャラのかきわけもイマイチな上に、全体的に地味で理屈っぽく、ホラーやオカルト系知識の活用も自己満足的で下手なので、メインターゲット層にも爆発的にウケるということはなさそうだし、そっち狙いで成功しているのは表紙のイラストだけかも!?

本筋やトリックはそれなりに面白かったので、ちょっともったない気が。

No.2 8点 テレキャス
(2009/07/15 22:32登録)
ミステリ、ホラー、青春、ラブストーリーなど色んな要素がぎっしり詰まった意欲作。
やや長いんですがそれを感じさせない疾走感があります。
舞台となる排他的な村の「憑き物剥ぎ」と言う風習は強烈そのものでした。
そして驚愕のアリバイトリック!(トリックではないのかもしれないけど…)
一部ありえないと思うところもありますが満足出来る内容でした。
表紙のイラストも好みなので1点おまけです。

No.1 8点 いけお
(2009/05/09 09:37登録)
いろいろな要素が詰まっていてジャンル分けが難しい作品だと思うが夢中になって読めた。

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