| kanamoriさんの登録情報 | |
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| 平均点:5.88点 | 書評数:2515件 |
| No.1835 | 6点 | 静おばあちゃんにおまかせ 中山七里 |
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(2012/11/26 21:00登録) 若手刑事が女子大生に事件を相談し、その女子大生は元裁判官の祖母に謎解きを相談するという、カバーイラストやこの構成だけを見ればライト感覚の連作短編集ですが、各編とも不可能トリックを中心によく考えられた本格ミステリです。 個人的ベストは第2話の「静おばあちゃんの童心」で、現場に残された雑誌に関するミスディレクションと消去法推理が巧妙です。「~の不信」以降の後半3編は、いずれも密室殺人もので、トリックの独創性には欠けるものの、現場の設定を活かした小道具の使い方に工夫があります。 最終話「静おばあちゃんの秘密」の連作を通した”秘密”には唖然。なるほど、ブラウン神父シリーズとタイトルの並びを違えて、「~の秘密」を最終話にもってきた理由はこれですか。 |
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| No.1834 | 5点 | 法螺吹き友の会 G・K・チェスタトン |
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(2012/11/25 21:42登録) 本書には表題作の連作長編と3つの短編が収録されています。 出て来る人物が次々と奇矯な行動と言動をくり返す表題作「法螺吹き友の会」はミステリとはいえないだろう(強いて言うなら社会風刺小説?)。帽子の代わりにキャベツを頭にかぶる大佐の話については説明が付くのですが、空を飛ぶブタのエピソードになると意味不明。作者自身が再三”耐えがたい読書”とか”読者に苦痛を味わっていただこう”と書いているので、これは確信犯です。 一方、短編はいずれもミステリで、なかでは「白柱荘の殺人」が面白かった。意外な犯人像は、逆説と警句にあふれた名探偵もののパロディと読める。 死の床で書いたとされる”ブラウン神父最後の事件”「ミダスの仮面」は、出来はいまいちですが、これは読めただけで満足です。 |
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| No.1833 | 6点 | 六花の勇者 山形石雄 |
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(2012/11/22 12:04登録) ”剣と魔法”の異世界を舞台にした冒険ファンタジー。 悪の魔神の復活を封じるため集結した”六花の紋章”をもつ選ばれし戦士たち、という王道の冒険ファンタジーものですが、結界によるクローズド・サークルという設定の中で、7人のなかに紛れ込んだ偽の勇者を探すというフーダニット・ミステリ的な趣向が面白いです。 また、ハウダニットについても、密室状況の神殿での不可能トリックが見所で、オーソドックスな解法が否定された後に明らかになる大胆なアイデアによる仕掛けがユニークです。 個人的にはラノベ特有の濃すぎるキャラクターが馴染めないのですが、それが許容できる方なら楽しめる作品だと思います。 |
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| No.1832 | 6点 | 修道院の第二の殺人 アランナ・ナイト |
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(2012/11/21 12:26登録) ヴィクトリア朝時代のエジンバラを舞台にした歴史ミステリ、ジェレミー・ファロ警部補シリーズの第1作です。 文章が軽快で、歴史ミステリといっても堅苦しい感じがないのでスイスイと読めました。 冤罪と思われる殺人事件の非公式の再捜査というメインプロットの合間にはさまれるエピソード、シェイクスピア観劇やファロ警部補のラブ・ロマンスが巧い伏線になっています。ただ、犯人の動機は情報不足ではと思いましたが。 本書の魅力は、やもめのファロ警部補と義理の息子で若手医師のヴィンスを取り巻く個性豊かな登場人物たちでしょう(真犯人まで魅力的なのです)。第1作のため誰がレギュラーなのか分からないという利点があって、それが結末の意外性に寄与しているように思います。 |
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| No.1831 | 5点 | 虚像の道化師 東野圭吾 |
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(2012/11/19 12:02登録) 探偵ガリレオ・シリーズの第4短編集。 前半の2編「幻惑す」「心聴る」は、念力や幻聴という超常現象的な謎を物理・科学ネタで解き明かす、当短編シリーズではお馴染みのパターンなためプロット面では新味に欠ける。 後半の2編「偽装う」「演技る」が、ともに事件の構図をミスリードするミステリ趣向を効果的に使った作品で面白かった。とくに「演技る」は、”なんとか山荘”などを書いていた頃の技巧を思い起こさせる。 |
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| No.1830 | 7点 | バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディーヴァー |
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(2012/11/17 10:33登録) リンカーン・ライム・シリーズの最新作。 今回の相手は”電気を操る男”。インフラとしての電力を標的としつつ、見えない凶器として捜査陣を翻弄するという趣向です。 シリーズも9作目となると、現場で収集した微細証拠を分析し犯人を絞り込む過程にマンネリ感もありますが、オールスターキャストを揃えた脇役陣がそれぞれ活躍しており、今作は読みどころが多いです。 アメリア・サックスをはじめとするライム・ファミリーのほか、もはや準レギュラー化した殺し屋”ウォッチメイカー”と、彼をメキシコで追うキャサリン・ダンス。さらには、「悪魔の涙」の文書検査士パーカー・キンケイドの”友情出演”もあります。(いまどき脅迫状が手書きなのはこのため?)。 そのなかで今回の最優秀助演男優賞は、旧タイプのFBI捜査官デルレイで、終盤の展開は胸のすく思いがした。 お家芸のどんでん返しに加えて、「最後の事件」のオチまで楽しめるシリーズ久々の快作でしょう。 |
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| No.1829 | 5点 | 戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 似鳥鶏 |
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(2012/11/14 11:30登録) プロローグだけ読むと、いままでの日常の謎系のコミカルなミステリから作風を変えたシリアスな警察小説の趣ですが、主人公の萌え系娘っ子警部登場で「あぁ、やっぱり」のライトノベルです。 連続放火事件に毒ガス兵器パニックと続く展開は、多少「踊る大捜査線」風ではあるものの、しっかりした警察小説です。ただ、その部分と捜査本部から戦力外通告を受けるドジな娘っ子・海月警部のドタバタ・キャラとのギャップがかなり違和感ありますね。 海月警部のボケに対する部下の設楽刑事の適切なツッコミが面白く、このあたりの漫才風やり取りは葉山君シリーズと同じテイストです。 |
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| No.1828 | 7点 | 紳士の黙約 ドン・ウィンズロウ |
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(2012/11/12 12:18登録) ”生涯サーファー、ときどき探偵”の、サーファー探偵ブーン・ダニエルズと、早朝サーフィン仲間”ドーン・パトロール”によるシリーズの2作目。 前作と違って、今回は私立探偵小説のフォーマットに近いプロットになっていて、ブーンが2つの依頼案件を並行して調査するうちに殺人事件に遭遇、事件が意外な展開をみせるという、まあストーリー自体は定番といえば定番です。 ウィンズロウの小説の魅力は、主人公たちの造形と語り口の巧さに尽きます。軽妙なユーモアやブーンのひとり突っ込みを交えたポップな語り口から、一転クライマックスでの短い章割りによる緊迫感あふれる文章への変転。また、ハードボイルドでありながら、ナイーブで好きな女性には奥手な主人公(作者が描く若者の主人公はみんなニール・ケアリー風なんですが)などなど。 今回、ブーンの元恋人サニーは電話とメールだけの登場ですが、そのシーンがまたいいです。 |
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| No.1827 | 5点 | 妄想女刑事 鳥飼否宇 |
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(2012/11/09 13:39登録) いったんスイッチが入ると推理が妄想に変わり、それをヒントに事件を解決するという、警視庁捜査一課の女性刑事を探偵役にした連作ミステリ。 作者の「~的」シリーズのようなぶっ飛んだ内容のものを期待していましたが、バカミス度でいうと中途半端という印象。 ミステリ的には、大江戸線を使ったこじんまりした時刻表ミステリ「通勤電車バラバラ殺人事件」が面白かったが、東京の地下鉄になじみがないと取っ付きにくいかもしれません。 全編を貫く謎のバーの店主の正体は、4編目ぐらいでなんとなく判ってしまいました。 |
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| No.1826 | 7点 | 深い疵 ネレ・ノイハウス |
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(2012/11/07 20:31登録) 北欧ミステリに続いて、昨年ぐらいからやたらと翻訳が増えてきたドイツ・ミステリの今年の注目作。 ”ドイツミステリ界の女王”とも称されるネレ・ノイハウスの本邦初訳、オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部シリーズの3作目です。 ドイツミステリというと、英米ものとは一味違った型破りのミステリというイメージがありましたが、本書は意外とオーソドックスな警察小説でした。(ただし、ネタはドイツならではですが)。 序盤は視点人物と場面をころころ変えるカットバックの多用と、慣れないドイツ人名や人物関係が把握できないこともあって読むのが少々もたつきましたが、名門カルテンゼー家を中心とした構図が明瞭になってからはなかなかの面白さ。オリヴァーの部下の女性警部ピアをはじめとする警察内部の恋愛関係を絡めた展開は、同じ女性作家エリザベス・ジョージのリンリー警部シリーズを連想させるところがあります。 |
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| No.1825 | 6点 | デッドマン 河合莞爾 |
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(2012/11/05 13:53登録) 今年の横溝正史ミステリ大賞作品(ダブル受賞のうちの1冊)。 まず、軽快なテンポでリーダビリティが高いのがいいです。 連続殺人の6人の遺体のパーツをつなぎ合わせる”アゾート殺人”の動機の部分は、必然性という点でいまいちなんですが、「占星術~」というよりも、歌野晶午の某作を連想させるミステリ趣向が面白いと思いました。刑事の符牒とか伏線もうまく張られています。 警察小説として見た場合はリアルさには欠けるが、特別捜査班4人の面々のそれぞれ個性が魅力的であり、続編が書かれてもおかしくない。 |
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| No.1824 | 6点 | 北村薫のミステリー館 アンソロジー(国内編集者) |
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(2012/11/02 20:50登録) 「ミステリー」の範囲をかなり広義に捉えていて、読書の達人・北村薫氏らしい”よくこんなもの見つけてきたな”というような作品が含まれていますが、ここではミステリーのプロパー作家の作品を中心に寸評します。 ベイジル・トムスン「フレイザー夫人の消失」は、有名な都市伝説”パリ万博綺譚”をほぼ忠実に小説にしたもの。大昔に学習雑誌の付録かなにかで読んで、魅力的な謎と意外な真相で忘れられない物語です。ただ、本書では母娘の旅程がナポリ経由となっているが、記憶ではインドだったような気がする。 ヒュー・ペンティコーストのデビュー作「二十三号室の謎」もホテルの部屋からの人間消失という点で同じだが、こちらはガチガチの不可能トリックものの本格パズラー。錯覚の使い方がディクソン・カーの某作に通じるものがある。 あと、ともに再読ですが、ヘンリ・セシルのメルトン先生ものの落語の様なオチや、パトリシア・ハイスミスの最後の一行の衝撃度も印象に残ります。巻末対談で、宮部みゆき氏のこのハイスミス作品に対する感想「どっちかにしてあげてくださいー」には笑った。 |
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| No.1823 | 5点 | 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか? 東川篤哉 |
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(2012/10/31 19:56登録) 魔法使いの少女と被虐趣味?の若手刑事による連作ミステリ。 全4編とも倒叙形式のため、アリバイなどの犯人による偽装工作が如何にして暴かれるかという発覚の契機の面白さで読ませるものが多かった。そのなかで、”チャイナ橙”風の1話目「魔法使いとさかさまの部屋」だけは、ハウダニットのキモの部分を読者に明らかにしておらず、そのトリックがなかなかユニークです。ただ、本格ミステリと魔法という組み合わせのなかで、少女の役割がいまいち中途半端だったかなという印象。 ところで、巻末の定番の断り書き、「この物語はフィクションです」というのは本書に必要か?それともギャグなのか? |
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| No.1822 | 6点 | 償いの報酬 ローレンス・ブロック |
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(2012/10/29 21:20登録) 断酒を始めた頃の30年前の事件について、老境に入ったマット・スカダーが友人ミック・バルーに夜通し語り明かすという回想譚のシリーズ最新作。 禁酒集会仲間で幼なじみの元犯罪常習者ジャック・エラリーの殺害事件に関わったスカダーが、残されたリストをもとに5人の”関係者”を訪ね歩くプロットは、懐かしの私立探偵小説の様相です。ただ、同様の回想譚だった「聖なる酒場の挽歌」の謎解きミステリ+ハードボイルドといった趣向と違って、本書の結末のつけ方は消化不良でやや疑問が残ります。 リアルタイムのシリーズ愛読者には、女性彫刻家ジャン・キーンやジョー・ダーキン刑事などの懐かしい人物が登場するのがうれしいし、いつもながらの淡々とした語り口は読み心地がいいのですが。 |
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| No.1821 | 6点 | 体育館の殺人 青崎有吾 |
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(2012/10/26 18:40登録) 今年の鮎川哲也賞作品。出版前からベタなタイトルで綾辻”館ミステリ”のパロディかと、あちこちでネタにされていましたが、ライトな学園ミステリに緻密なロジックを持ち込んだ意外とオーソドックスな本格パズラーでした。 ロジックは確かに強引で粗もありますが、現場に残された黒い傘という一つのアイテムから、密室状況下の殺人の”ハウ”だけでなく、真犯人を絞り込んでゆくロジック展開はクイーンの国名シリーズを髣髴とさせます。かなり漫画チックな探偵役の設定や意味のないアニメネタの連発には苦笑を禁じ得ないものの、現役大学生だという作者の将来性に期待して採点はやや甘めに。 なお、重大なネタバレがあるので選評を先に読んではいけません。 |
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| No.1820 | 7点 | 無罪 INNOCENT スコット・トゥロー |
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(2012/10/24 18:03登録) リーガルサスペンスの名作「推定無罪」のまさかの続編。前作の真相には触れずに物語が展開されていますが、ラスティ・サビッチ再登場ということ自体がある意味ネタバレかも。 被告人サビッチ、弁護人サンディ・スターン、検察側トミー・モルトという配役や、事件の背景にサビッチの愛人関係がある点など、前作の相似形のようなプロットながら、前回の悲劇から20年以上経っているので、各人環境の変化があり単純なリターン・マッチになっていません。また、サビッチの視点だけでなく関係者の多視点で語られることもあって、前作の様な鬱々とした重苦しい雰囲気が軽減されているように感じました。 本書も、屈折した人間ドラマと、予測不可能などんでん返しというミステリ趣向とが巧く融合した読み応え十分な作品だと思います。 |
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| No.1819 | 4点 | 社内殺人 中町信 |
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(2012/10/22 18:20登録) 酔いどれ課長代理・深水文明が周辺で起った殺人事件の謎解きに乗り出すシリーズの第1作。 会社内での大金盗難事件と並行して発生した女子社員の墜落事故の謎がメインかと思いきや、後半は作並温泉行き社内親睦ツアー連続殺人という展開で、重要証人の記憶喪失にダイイングメッセージも出てきて、シリーズが変わっても結局いつもながらの中町ミステリでした(笑)。そんなこんなで、ミスリードの手法が基本的に過去作と同じパターンなので真相は分かりやすかった。 (しかし、この工夫のないタイトル、なんとかならなかったのか・・・) |
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| No.1818 | 6点 | 追われる男 ジェフリー・ハウスホールド |
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(2012/10/20 14:18登録) ジュリアン・シモンズ選定の”サンデータイムズ・ミステリーベスト99”(1959年)にも選ばれた英国冒険小説の古典。 独特の雰囲気をもった小説です。普通の冒険小説であれば某国の要人暗殺計画・実行をメインに構成するところを、本書は”その後”から始まります。しかも主人公「わたし」の行動原理は、祖国のためでも金銭のためでもなく、スポーツ感覚で要人狙撃を計画したというもの。 時代や状況設定を理解するための情報が小出しなため読むのにストレスを感じますが、出版が1939年ということを考えるとナチスドイツやヒトラーの名前を明示することが憚れたのでしょう。 逃亡サスペンスからサバイバル小説と展開するなかで主人公の造形が明らかになるところがいいです。のちのディック・フランシスなどに連なる英国冒険スリラー伝統の主人公の造形です。 |
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| No.1817 | 6点 | アルカトラズ幻想 島田荘司 |
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(2012/10/18 22:34登録) 奇想の騙り部・島田荘司の本領が発揮された傑作だと思いますが、御手洗シリーズ路線を期待する人には好みに合わないかもしれません。 米国を舞台にした猟奇殺人を追う捜査小説から、恐竜絶滅に関する新説論文、地球空洞説、監獄島アルカトラズからの脱獄計画、異世界を舞台にした幻想風の物語と、各章で小説のテイストが変転しネタが次々と繰り出され、作者のストーリーテリングの上手さに翻弄されます。全体の構成から前段の部分が書き込み過多でバランスが悪いのですが、その無駄と思えるパートも面白いです。 ミステリ的な仕掛けは「眩暈」のソレを思わせますが、読後感は「追憶のカシュガル」収録のある短編に通じるものがありました。 |
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| No.1816 | 5点 | ジャックは絞首台に! レオ・ブルース |
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(2012/10/16 18:33登録) 病後の静養のため温泉町を訪れていた教師ディーンは、老婦人の連続絞殺事件に巻き込まれ、またまた探偵活動に乗り出す、という歴史教師キャロラス・ディーン・シリーズの7作目です。 現代教養文庫の”ミステリ・ボックス”は、修道士カドフェル・シリーズは別格としても、ディヴァインの本邦初紹介をはじめ、イネス「ある詩人への挽歌」、ステーマン「ウェンズ氏の切り札」など、マニアックな作品選定が好ましかったレーベルです。レオ・ブルースも例に洩れませんが、ただ訳出されたのが本書というのはどうだったかなと思います。 メイン・トリックに有名な先例がある点はあまり気にならなかったのですが、ディーンが目立たず解決の手法もいまいちぱっとしません。他のレギュラー陣のゴリンジャー校長や生徒のルパート、温泉客の面々は個性的でやり取りは面白いのですが。 |
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