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ミステリの祭典

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疑惑の霧
コックリル警部&チャールズワース警部

作家 クリスチアナ・ブランド
出版日1958年08月
平均点6.40点
書評数10人

No.10 3点 愚か者
(2024/09/19 14:01登録)
霧深いロンドンのとある屋敷の中で起こる撲殺事件。
冗談のような唖然とするトリックに、早い段階で犯人に気づいてしまうのは推理小説として駄目でしょう。

10点満点で採点し直しました。2点→3点

No.9 7点 ことは
(2021/08/09 12:54登録)
本作も、後半に仮説の構築を何度か繰り返す。そのなかのひとつのあるものを落とす説は、ゾクリとした。これはいい。
前半は、動機があることを示すために、いつにも増して愛憎劇に割かれているが、やはりキャラクターの立て方がいまひとつに見える。翻訳の問題なのかもしれないが、そうならば新訳してほしいなぁ。
フィニッシング・ストロークをよく言われるが、これは、最後に気の利いたオチをつけたといったもので、ここの期待値を高くしてもがっかりするだけだろう。
ブランドの最高傑作に推す気にはならないが、他ブランド作品を楽しめたなら、本作も十分楽しめるはず。

No.8 8点 青い車
(2016/10/21 21:53登録)
 これまたクライマックスにかけての密度が凄まじく、容疑者が二転三転する様はブランドの独壇場といった感じです。アリバイ工作が大して重要でなく、誰もが犯人であっておかしくないという状況がよくできています。
 本作の最大の見どころはいわゆる「最後の一撃」で、ラスト二行を読んだら数秒後にじわじわと効いてきます。直接犯人を名指しするのではなく、あえて婉曲に表現しているという洒落た趣向でした。相変わらず文章が重たいパートも多いですが、未読の方はどうか投げ出さず我慢して読んでほしいとおすすめします。
 あと、タイトルの霧(原題にもロンドンの霧という意味があるそうです)のイメージが作中に色濃く出ているのも非常に好みです。

No.7 7点 あびびび
(2016/10/19 23:21登録)
容疑者が一転、二転…。その中でコックリル警部はほとんど役に立っていないような気がするが、その真相は題名通り、まさに「疑惑の霧」の中にあった。

序章と最終章の繋がり。これが見事で、容疑者たちが虚々実々の駆け引きをするあたりが読みどころだが、ちょっと中だるみの感もある。

No.6 5点 nukkam
(2016/07/29 09:41登録)
(ネタバレなしです) 傑作との誉れ高い1953年発表のコックリル警部シリーズ第4作ですが残念ながら私にはあまり相性がよくなかったです。何とも歯がゆい本格派推理小説で、曖昧なアリバイで誰が犯人でもおかしくないような状況を築きあげ、しかし明確な決め手がなかなか見つからないまま終盤にもつれこむのですが(それが作者のねらいにしろ)あまりにももやもや感の強いプロットは読みにくかったです。しかし法廷シーンはさすがに盛り上がり、ブランドらしい大胆などんでん返しにいい意味で翻弄されました。色々な書評で賛否両論の「最後の数行の衝撃」については、個人的には「あまり期待しないで」臨んだ方がいいと思います(私は期待し過ぎてました)。

No.5 8点 斎藤警部
(2015/06/01 13:55登録)
確かに最後のX行ですね。。 こりゃびっくり。
そこに至るまでの本文(?)も素敵で、読み飽きません。 絶妙に込み入ったストーリーが気持ちよく翻弄。 フェミニンな叙述トリックが決まりました。

No.4 5点 ボナンザ
(2014/04/08 21:40登録)
確かに驚かされたが、物々しさではジェゼベルに劣るだろう。

No.3 7点 kanamori
(2012/11/30 12:07登録)
最初に読んだときには、容疑者たちのアリバイがあやふやなまま、思わせぶりな内面描写が頻繁に挿入される中盤までの展開に冗長さを感じたのですが、今回、ロウジーが周囲の人々に相談する”全て異なる”妊娠の説明を頭に入れて読むと、登場人物の意味深な言動が意味を持ってきて面白かったです。
犯人候補が次々と自白したり五転六転するブランドお得意のプロットも健在です。

謎の核心が、ラストの数行によって霧が晴れたように明らかになる構成の妙についてはよく取り上げられますが、終盤の裁判シーンでの老ミセス・エヴァンスの行為も印象的です。「命中しました!」は忘れられないw
探偵役は「ジョゼベルの死」につづいて、”ケントの鬼”コックリル警部とロンドン警視庁・チャールズワース警部の競演ですが、共に推理に冴えがなくあまり目立たないです。エヴァンス一家が主役といえますね。

No.2 7点 mini
(2012/07/27 09:47登録)
本日いや日本時間で言うと明日早朝にロンドン五輪が開幕する
ロンドンが舞台のミステリー小説なんて、キリが無くて列挙する気さえ起きないが、実は案外と邦訳題名にロンドンが付く作品は少ない
ジョセフィン・ベル「ロンドン港の殺人」は本持ってねえし、ウォーレスのは書評済で今更感有るしなぁ
おっと日本語題名じゃなくてもいいのなら1冊忘れてた、クリスチアナ・ブランドの「疑惑の霧」だ
原題は「London Particular」、直訳すれば”ロンドン名物”
ロンドン名物って?、そうまさに”霧”に他ならない
キリが無いどころか霧が有ったのだ(苦しい)

森事典でもブランド4大名作の1つに挙げられている「疑惑の霧」だが、これは惹句が誤解を招く
ラスト1ページで明かされるサプライズ、みたいに書かれているが、こんな宣伝文句じゃ何か強烈などんでん返しでも仕掛けられているみたいに聞こえるじゃないか
最後にひっくり返るとかそういう意味じゃないんだよね
ブランドらしく散々ディスカッションが行なわれ、幾つかの疑惑が提示される、でもどれも決め手に欠ける
その疑惑の霧がラスト数行で晴れる、という趣向なだけなのだ
これを肩透かしと思うか、作者の凄腕テクニックと思うかは評価が分かれるだろうが、私は後者
おそらくはミステリー作品に対して、演出効果とかに関わらず何事も100%余すところなく説明を求めるような、あるいは様式に則った様な本格派ばかりを嗜好する保守的な読者には合わないんじゃないだろうかね

No.1 7点
(2008/12/24 20:50登録)
最後数行で明かされる点については、かなり早い段階で見当がついてしまいました。ブランドの作品では初めてのことで、しかもこの点に気がつけば、真相全体がある程度見通せるというものです。気がついた理由を書くと、たぶんそれだけでネタバレになってしまいますが。
とは言っても、やはりブランドらしく、登場人物たちをじっくり描きこんだ上で、最後近くなって事件を紛糾させまくる構成は楽しめました。それだけでなく、この作品では最後数行の点がかなり皮肉な扱いをされている点も指摘しておくべきでしょう。

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