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ミステリの祭典

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祟り火の一族
海老原浩一シリーズ

作家 小島正樹
出版日2012年10月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 6点 E-BANKER
(2016/02/14 11:44登録)
2012年発表の<私立探偵・海老原>シリーズ五作目。
師匠・島田荘司をも超える(かもしれない)不可能趣味と大掛かり(すぎる)トリックの数々。
ついでにシリーズ探偵までも自ら「名探偵」と称するクドさ・・・
本作もこの手のミステリーファンにとっては堪らない(!)作品になっているのか?

~殺したはずの女が蘇り、のっぺらぼうが林に立つ。包帯男に語り聞かせる怪談に興味を持った劇団員の明爽子は、刑事の浜中と探偵の海老原を巻き込んで捜査に乗り出した。舞台となった廃炭鉱では、連続殺人が起きていたと判明。解き明かされる真実から火に祟られた一族の宿命が浮かび上がる・・・。精緻に組み立てられた謎と驚愕の結末に感嘆必至の長編ミステリー~

今回もかなりスゴイ・・・。
紹介文のほかにも『三本腕の男。足を動かさずに下がっていく女の幽霊。○○さんの死後目撃された池で水垢離する女性。水をかぶったかのように濡れていた遺体。』etc etc・・・
とにかく不可思議&不可能状況のオンパレード。
ここまで提示され続けると読者としても正直ついていけない状況だ。

そして海老原が示す解決編がまたスゴイ。
“島荘ばり”というより、もはや師匠を凌駕するほどの偶然とたまたまのオンパレード!!
「確かにこうなる可能性はある・・・」ということが積み重ねられていくと、もはや何がなんだか分からない・・・ような気にもなってくる。
更にどうしても気になるのがWHYの部分。
バラバラ死体についてはよくあるポ○○ビリ○○ということで理由付けがされていたが、「見立て」については結局恨みでしかないところがイタイところだ。(ネタバレっぽいけど・・・)

とまぁ苦言を呈してきたのだけど、そんなことは読む前から分かってること。
もともと作者にそんな精緻なミステリーは期待していない。
大風呂敷を広げ、奇想天外と批判されてもいい、とにかくスケールの大きなミステリーを書いて欲しい・・・のだ。(多分)
伏線が明らかすぎて分かってしまう部分はあるけど、そんなことはいいじゃないか!
最後に明らかにされる真実を知ることで得られるカタルシス! これこそ本格ミステリーの醍醐味なのだから。

などと擁護してますが、でももう少しプロットは練って欲しいというのが正直なところ。
このままでは「イロモノ」で終わってしまう危険性大だし、何事も押すだけではなく、そろそろ引くことも覚えた方がよいと思う。
(何書いてるのか自分でもよく分かりませんけど・・・)

No.3 5点 nukkam
(2015/12/22 08:51登録)
(ネタバレなしです) 2012年発表の海老原浩一シリーズ第5作です(島田荘司との共著「天に還る舟」(2005年)はカウントしていません)。半端ない謎が詰め込まれていて「やり過ぎの小島」らしさが十分に発揮されています。雰囲気づくりには手が回りきっていないし、感心できない謎解きもあってそういうところを批判することもありだとは思いますが、双葉文庫版で400ページ少々のボリュームにこれだけ謎がてんこ盛りサービスされた作品を読めた喜びの方が勝りました。

No.2 5点 kanamori
(2012/12/04 20:08登録)
横溝正史の作品世界で島荘的奇想を連発させる”自称名探偵”海老原シリーズ。

これでもか!というぐらい多くの怪異現象を提示し、終盤に次々とその謎解きをしていく「やりすぎ本格」は今回も健在ですが、”理屈上は可能でも現実的にはありえない”感も同様で、さすがにちょっと飽きてきました。
メインの仕掛けは違和感があり、多分そうだろうと途中でなんとなく分かってしまいましたが、これはアンフェアと言われても仕方ないのでは?読者にはどこまで信じていいのか分からないのだから。

No.1 6点 黒い夢
(2012/10/23 08:09登録)
奇妙な謎がこれでもかと提示され解き明かされていくという形は良かったです。ただし謎をより不可解にするために多少無理が生じているかとは思います。
また作品の雰囲気も悪くはなかったのですが、もう少しストーリーに深みがあってほしかったと思います。

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