| kanamoriさんの登録情報 | |
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| 平均点:5.88点 | 書評数:2515件 |
| No.1875 | 6点 | ゴルゴタの七 アントニー・バウチャー |
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(2013/01/27 11:45登録) ミステリの評論部門で名高いアントニー・バウチャーの1937年のデビュー長編。 現在の創元推理文庫発刊の母体となった世界推理小説全集(全80巻)のなかでも文庫化されていない絶版作品の一つです。 カリフォルニア大学バークリー校の留学生が集まる国際寮が舞台の連続殺人を扱ったカレッジ・ミステリで、最終章前に手掛かり索引付きの”読者への挑戦”を置き、関係者を一堂に集めた謎解きなど、本格派マニアへのサービス精神が横溢しています。 ただ、第1の殺人のネタを早々に割っているのはもったいない気がしますし、フェア・プレイ重視のあまり真相がやや分かりやすい側面もあるかもしれません。また、探偵役アシュウィン教授の決着の付け方はどうなんだろうか?という感もあります。 文学論や異端派宗教などの言及部分が難解ですが、古い翻訳の割には学生たちの造形も端役までそれなりに書き分けられており、読みずらい感じはありませんでした。 |
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| No.1874 | 5点 | 大富豪同心 幡大介 |
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(2013/01/25 18:53登録) 江戸一番の豪商の末孫で放蕩三昧で遊び暮らす若旦那・卯之吉が町方同心となって難事件を次々と解決していく、「富豪刑事」の捕物帖版”大富豪同心”シリーズの第1作。 卯之吉の祖父が金に物言わせて裏側で全て都合よくコントロールするといった、シチュエーション・コメディの面白さはあります。裏工作で千両箱が乱れ飛ぶさまが可笑しい。 ただ、昨年の怪作「猫間地獄のわらべ歌」のようなトリッキィな本格ミステリの要素はなく、後半は意外と普通の捕物帖になっているのは物足りない。 |
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| No.1873 | 6点 | 刈りたての干草の香り ジョン・ブラックバーン |
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(2013/01/24 14:47登録) 英国情報局長のカーク将軍らが、地球滅亡の危機から人類を救うため活躍するという、文芸的なタイトルからは想像もつかないB級感あふれる怒涛のホラー&冒険スリラー・シリーズ第1作。 ソ連の片田舎での奇妙な出来事を発端に、突然変異体という”怪異の正体”をぼかしながらも徐々に明らかにしていく手際が巧く、深夜テレビの再放送ホラー映画をみるようなゾクゾク感を味わえるw 東西冷戦時代ならではのスパイ小説的な展開や、旧ナチスドイツの天才女性科学者の陰謀など、300頁にも満たない分量で、よくこれだけネタを詰め込んだものだと感心します。 人類の危機に対処するのが将軍らと若い生物学者夫婦のわずか4人(後の主役の1人、レヴィン卿は本書にはまだ登場しない)だったり、地球規模の陰謀のわりに謎の首謀者がすぐ身近にいたりで、突っ込みどころも多いですが、これが予想以上に面白かった。 |
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| No.1872 | 8点 | 64(ロクヨン) 横山秀夫 |
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(2013/01/22 23:07登録) わずか1週間で終った昭和64年に発生し、今も未解決のD県の少女誘拐殺害事件。時効を1年後に控え現在でも”ロクヨン”の符丁で呼ばれるこの過去の事件を巡って、D県警の広報官・三上は警察内部の未曾有の暗闘劇に巻き込まれることになる-------。 この圧倒的な筆力はすごい! わが娘の失踪という家庭問題を抱えながら、広報室vs記者クラブ、警務部vs刑事部という二つの対立軸から派生する諸問題で三上が窮地に追い込まれる様は、一種の企業小説さながらで読み応え十分です。また、そういった人間ドラマだけで終らず、そのなかに敷かれた伏線から急転する終盤のスリリングな展開、全ての疑問点がつながり明らかになる構図の意外性も鮮やかです。 今回脇役で再登場の、警務調査官・二渡や捜査一課長・松岡もいい味を出しており、本書の読了後は、多くの読者が「陰の季節」を再読したくなるに違いない。 |
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| No.1871 | 7点 | 占領都市 TOKYO YEAR ZERO 2 デイヴィッド・ピース |
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(2013/01/20 12:39登録) 日本在住の英国人作家デイヴィッド・ピースが、終戦直後の日本の暗黒事件を題材に描く”TOKYO三部作”の第2弾。 昭和23年1月、帝国銀行椎名町支店で発生した大量毒殺事件、いわゆる「帝銀事件」が本書の主題です。芥川龍之介の「藪の中」からヒントを得たという、独白、手紙、手記、捜査メモなどで語られる12人の関係者による12のエピソードのなかに、”死者の叫び”のようなフレーズが繰り返し挿入されるなど一種異様な構成で、「ドグラ・マグラ」を連想させる幻想風の序盤の数章などはかなり読者を選びそう。途中で投げ出す人もいるでしょうね。 日本の能「隅田川」に見立てて犠牲者の母親の心情を表わす最終章など、多くの日本文化の趣向を取り入れているのには、”あんた本当に外国人か?”と言いたくなるほどで、非常に刺激的な読書でした。ただし、帝銀事件と石井731部隊との関連など、事件の「真相」は参考文献に挙げられている松本清張「小説帝銀事件」や森村誠一「悪魔の飽食」などに依存するもので、あまり新味はなく、本書は謎解きを主眼とするものではないです。 |
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| No.1870 | 5点 | 女名刺殺人事件 梶龍雄 |
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(2013/01/19 11:46登録) 優雅で推理力に秀でた長女、スポーツ万能で行動力がある次女、お色気と観察力がウリの三女の、狭山家三姉妹が4つの事件に挑む「三姉妹探偵団」シリーズ-------じゃなくて、「探偵姉妹トリオ」シリーズの第1弾。 軽快なユーモアとサスペンスの取り合わせで抜群のリーダビリティだった赤川次郎のあのシリーズより、数年後に出た当シリーズの方がなぜか古臭く感じるのはご愛嬌。 たしかに、本書はB級感のある本格ミステリではあるものの、第3話の「母なる殺人」など、伏線や意外な構図の使い方にカジタツらしい技巧が見れました。 |
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| No.1869 | 5点 | サイモン・アークの事件簿〈Ⅳ〉 エドワード・D・ホック |
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(2013/01/18 13:04登録) オカルト探偵サイモン・アークの第4短編集。作者ホックが自ら選んだこれまでの3巻分の26作品とは違って、本書は訳者・木村仁良氏がセレクトした作品集です。 率直に言うと出来がいいと思った作品はあまりなかったですね。 悪魔との対決を求めるオカルト研究家というシリーズの基本設定が足かせになってマンネリを感じます。また、怪奇現象などの発端の謎に引き付けるものがない、普通の作品が多いように思います。 印象に残った作品を強いていうと、語り手「わたし」の故郷と家族に関わる事件「黄泉の国の判事たち」と、修道院に棲む悪魔の正体が印象的な「悪魔がやって来る時間」ぐらいかな。 |
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| No.1868 | 5点 | 皇帝の新しい服 石崎幸二 |
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(2013/01/17 12:58登録) ”婿選び”の伝統儀式が執り行われる瀬戸内海の島で、みたび過去の惨劇が繰り返される?----といっても、石崎ミステリですから、横溝正史ワールドのおどろおどろしい雰囲気などあるはずもなく、会社員・石崎とミステリ研女子高生3人組によるボケとツッコミが連発されるお笑い本格ミステリです。 伏線があからさまなので、恒例の〇〇ネタであることはすぐに解ったのですが、ミリアの推理と同じ結論どまりで真相には至りませんでした。しかし、タイトルがアンデルセン童話のアレの直訳というのは一般常識なんだろうか? 知っていれば事件の構図もピンとくるんじゃないかな。 |
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| No.1867 | 6点 | ゴースト・タウンの謎 フランク・グルーバー |
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(2013/01/16 13:01登録) 怪しげなボディビル本のセールスで全米各地を旅しながら、遭遇した殺人事件の謎を解く、フレッチャー&クラッグの凸凹コンビによるドタバタ・ミステリ。 いちおう軽ハードボイルド風の語り口なので「ハードボイルド」に分類しましたが、いろいろな要素がごった煮のように入っていてジャンル分けが難しいシリーズです。 本書でいえば、金欠病解消のため信用詐欺を重ねる二人の珍道中はユーモア・コンゲーム&ロード・ノヴェルといえるし、アリゾナ州トゥームストン(=ワイアット・アープの「OK牧場の決闘」で有名)での銃撃戦はウェスタン小説の雰囲気があるし、暗闇の地下坑道をさまようさまは冒険小説そのものです。 いずれもテンポのいい場面転換で面白く飽きさせませんが、そもそもの発端である銀鉱山の採掘権利を巡る殺人事件の解決部分が唐突で、謎解きミステリとしては弱いのが残念です。 |
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| No.1866 | 6点 | 六花の勇者 2 山形石雄 |
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(2013/01/15 18:22登録) ”剣と魔法”の異世界を舞台に、選ばれし6人の戦士が悪の魔神と配下の凶魔たちに挑む冒険ファンタジーの第2弾。 前作のような密室状況の不可能犯罪というガチ本格の趣向こそないものの、7人目の偽の勇者探しというフーダニット興味を引き継ぎつつ、凶魔の統率者テグネウとの闘いが本書のメインです。 ”地上最強の男”を自称する主人公アドレットは今回脇役で、ある秘密を抱える勇者のリーダー格モーラを物語の核としていて、彼女とテグネウとの策略合戦のコンゲーム的な仕掛けが面白いです。このトリックを見ると、やはり作者は本格ミステリも意識しているなと思います。 魔神側の陣容も明らかになり、次作以降のストーリー進展が楽しみではあります。 |
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| No.1865 | 7点 | 明日に賭ける ウィリアム・P・マッギヴァーン |
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(2013/01/13 18:52登録) 初期の悪徳警官ものや社会派ハードボイルドで知られるマッギヴァーンの’50年代後期の傑作です。 4人組が田舎町の銀行を襲うという筋立てですが、物語半ばで計画の実行がなされ、後半は、一味にひきずりこまれた2人の実行犯の逃避行と、心の動きを中心に描いた異色のクライム・ノベルでした。 第二次大戦の英雄ながら平和社会に適応できない白人男アールと、人種の偏見と感情的確執にけなげに耐える黒人男イングラムとの人間関係が、憎悪から友情へと揺れ動く様が克明に描かれていて、このあたりは”社会派”のレッテルに偽りなしです。また、それらがラストの感動的なシーンにつながる構成も素晴らしいです。 当時のミステリ・マガジン編集長・都筑道夫の「これ以上のものを書くとなると、探偵小説にならなくなる・・・」という初版の解説の言葉も肯けます。 |
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| No.1864 | 6点 | 読まずにはいられない 評論・エッセイ |
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(2013/01/12 12:52登録) ミステリ作家・北村薫の書評・エッセイ集。文庫解説や各種雑誌などに書いてきたものを取りまとめたものです。 覆面作家時代の暴露話や、創元社の戸川さんとの数々の因縁めいたやり取りをはじめとして、著者のフアンであれば非常に楽しく読めるエピソードが満載です。 東西ミステリー・ベスト100(もちろん旧版)で、内容紹介とうんちく欄を担当した全ての作品の再録をみると、クイーンと鮎川哲也に対するリスペクト度合いがよくわかります。また、一概にミステリマニアは、有名作を読んでないことを何故か自慢げに披露したくなる習性があると思うんですが、超名作「そして誰もいなくなった」の未読をサラリとカミングアウトするところがいかにも作者らしいです。 いちばん面白かったのは「慟哭」の解説です。ラストの一行、「作者に生きていられると、論評は難しい」には爆笑です。 |
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| No.1863 | 6点 | 核パニックの五日間 ジョゼフ・ディモーナ |
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(2013/01/10 13:33登録) アメリカ空軍のミサイル基地から盗まれた核爆弾3個によって、ニューヨークがパニックに陥るという、まぁタイトル通りのデッドラインもの冒険スリラーです。 米ソ冷戦時代の70年代の話なので、戦略核兵器削減交渉(SALTⅡ)とか多国籍企業の暗躍・陰謀からみという古臭いやや定番の背景設定ではありますが、”犯人”である科学者レナード・チュウの行動原理・人物造形が丁寧に描かれているところはなかなか良ですし、デッドライン・サスペンスのパターンを外す中盤の展開も「おおっ」と思わせます。 ただ、主人公の司法省次官補にくっついて行動する大富豪の娘ペギイの言動がかなりチープ感があり、傑作級のサスペンスをB級に貶めてしまったように思います。 |
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| No.1862 | 4点 | 新本格ミステリの話をしよう 事典・ガイド |
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(2013/01/10 12:54登録) 「十角館の殺人」から始まった新本格ミステリの25周年に合せて昨年出た評論集。綾辻行人から新鋭の円居挽までの新本格作家20人と、鮎川哲也、島田荘司ら先駆者5名についての作家論、作品論が中心となっています。 著者には申し訳ないですが、途中からは流し読みのようになってしまいました。 本書は、文庫の解説などで過去に著者が書いてきたものを切り貼りしたような編集で、系統立てて”新本格”を解析したものとは言えません。どこかで読んだような話が多く、作家によって内容の濃度にバラツキ(単にその文庫作品の解説だったり)がありました。読む者に「へえ~っ」と思わせるような新鮮な切り口の評論は見当たらなかった。 |
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| No.1861 | 5点 | 信州・小諸殺人行 中町信 |
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(2013/01/08 22:15登録) 女性画家と幼児が神社の石段から転落死するという事件をきっかけに、小諸に住む老画家や周辺の人物がバッタバッタと殺されていくというB級本格ミステリ。 夫婦探偵ものですが、氏家周一郎&早苗夫婦は登場しないノンシリーズ長編です。 ミスリードのための意味深のプロローグや、過去の事件の真相に気付いた人物が次々と殺されていく展開など、お馴染みのプロットですが、旅館の離れの密室殺人と、室内の三毛猫からのロジック展開はまあ面白かった。しかし普通に考えて、あれだけの理由で何人も殺す必要性はないでしょう。 |
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| No.1860 | 6点 | メイン・ディッシュはミステリー 事典・ガイド |
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(2013/01/07 14:02登録) ミステリ作家で翻訳家の小泉喜美子によるエッセイ風の海外ミステリ読書ガイド。 ”殺人をテーマに好んで扱うジャンルだけに、ミステリーは美しく洗練されていなければならない”---という作者のこだわり・嗜好が作品紹介に一貫して出ています。そのため、泥臭い社会派やトリック中心の国内本格などは斬って捨てているわけですが、「”本格”という名称はミステリの王道かと誤解を与えかねないので、”謎解き中心もの”と呼ぶことにする」など、この点はカチンとくる人もいたでしょうねえ(笑)。 謎解き中心もの、ハードボイルド、サスペンス、クライム・ストーリー、警察小説、ユーモア・ミステリなど、一応入門篇らしくジャンルごとに名作群の紹介がありますが、やはりレイモンド・チャンドラーとクレイグ・ライスの項目は気合の入り具合が違います(笑)。 30年位前のミステリ・ガイドですが、今回再読してもあまり古びた感じは受けなかったですね。海外ミステリをもっと読んでほしいという作者の熱意がよく伝わってきます。 |
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| No.1859 | 7点 | 喪失 モー・ヘイダー |
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(2013/01/06 18:22登録) 昨年度のアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作品。 英国西部ブリストルの重大犯罪捜査隊に転属したジャック・キャフェリー警部シリーズの5作目です。 連続少女連れ去り事件を発端に、中盤から終盤にかけて事件の様相が劇的に変転する読み応えのある警察小説風のサスペンス大作で、以前読んだ初期作のようなエグい描写は抑えめで、あるミステリ趣向を施すなど単純なシリアル・キラーものでない点は評価できると思います。ただ、シリーズを通した過去のエピソードに説明不足なところがあり、個人的には、ミステリの完成度では同じエドガー賞候補の「容疑者X」に分があるように思いました。 登場人物では、個性的な潜水捜索隊の女性隊長・フリー・マーリーが主役を食う活躍で、キャフェリーとの過去の因縁含みで今後の展開が楽しみではあります。 |
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| No.1858 | 7点 | 快楽としてのミステリー 評論・エッセイ |
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(2013/01/05 11:45登録) 昨年亡くなった丸谷才一氏の書評・エッセイ・評論集。「快楽としての読書」日本篇・海外篇につづく第三弾で、本書はミステリー小説に特化した内容になっています。 取り上げる作品が古典から007、松本清張、大沢在昌「絆回廊・新宿鮫Ⅹ」まで、年代もジャンルも幅広いのがまず驚きです。 「ハヤカワ・ポケット・ミステリは遊びの文化」と題した瀬戸川猛資・向井敏両氏との鼎談を収めた第1部が、ポケミス愛にあふれた内容で、同じポケミス・ファンとして楽しめた。今年はポケミス発刊60周年なので、絶版本の復刊フェアが期待できるかも。 「深夜の散歩」(マイ・スィン)からの再録は懐かしい。フリードリヒ・デュレンマット「嫌疑」「約束」や、ポール・ソマーズ(アンドリュウ・ガーヴ)の「震える山」などの忘れられた作品が個人的に気になる。 そういった中で、やはりレイモンド・チャンドラーを取り上げる回数が多いのですが、最近の書評で、清水俊二の「長いお別れ」と村上春樹の「ロング・グッドバイ」を比較したものが秀逸です。そういえば、和田誠氏による本書のカバー・イラスト=黒猫を抱いてパイプをくゆらす紳士、これってチャンドラーですね。 |
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| No.1857 | 4点 | 殺人者にダイアルを 梶龍雄 |
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(2013/01/03 15:34登録) 「天才は善人を殺す」の芝端敬一ら大学生探偵団の4人が活躍するシリーズの第2弾。 メンバーの紅一点”お京”の知人らの連続自殺事件を調べていくうちに、思いがけない大きなスケールの構図が浮かび上がってきて・・・といった話ですが、残念ながら前作より青春ミステリの味わいが希薄になっていて、伏線の張り具合もイマイチな気がします。時代設定が戦前や終戦直後のものより、本書のような”現代ミステリ”のほうが題材が古びてしまうのは皮肉な感覚ですが、ダイヤル式電話はやはり時代を感じますねえ。 ただ、アリバイ崩しのヒントが”フィボナッチ数列”(=「ダ・ヴィンチ・コード」でもお馴染み)というのは面白かった。 |
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| No.1856 | 6点 | 悪の断面 ニコラス・ブレイク |
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(2013/01/03 14:56登録) 雪深い片田舎の村を舞台に、共産主義者グループが、正月休暇のためホテルに滞在していた著名な物理学者の娘を拉致誘拐するといったスパイ・スリラーです。 私立探偵ナイジェル・ストレンジウェイズが登場するシリーズの一冊ですが、一家の護衛を任されていたナイジェルは殴り倒されたり、ホテル内のミエミエの内通者の特定に手間取ったりで、あまり名探偵らしくないですね。 それでも、犯人グループの動きと捜査側の追及を並行して交互に描く救出劇は緊迫感があり、監禁された自分をモデルにして小説を書く8歳の娘ルーシーの造形も魅力的です。 ただ、ある男の子の扱いや、結末の処理にはどうしても後味の悪さを感じてしまいます。 |
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