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ミステリの祭典

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落日の門

作家 連城三紀彦
出版日1993年04月
平均点7.00点
書評数4人

No.4 5点 みりん
(2023/06/06 00:35登録)
ニ・ニ六事件のifが土台になった連作短編集
それぞれのお話に登場する主人公達が揃いも揃って複雑な環境・複雑な人間関係を持っていてお腹いっぱいになった。「夕かげろう」がこの中だと1番お気に入り。

No.3 9点 じきる
(2022/03/02 11:34登録)
これは素晴らしい。
個々の短編で見ても連城らしい技巧を楽しめる佳作揃いですが、それらを重ねた連作短編集の中にも構図の反転が織り込まれており、唸らされるばかり。
当時のミステリ界では評価されず、文庫化すらされなかったというのが信じられません。隠れた傑作でしょう。

No.2 7点 ALFA
(2017/03/13 18:11登録)
未遂に終わった架空の2・26事件を背景に、将校たちやその関係者を主人公にした五編の物語。
話はそれぞれ完結しているので短編集ではあるが、人物は相関があり因果もつながっているのでむしろ長編として読むべきか。
ただ五編すべて、そのオチが人間関係の反転なので、少々飽きる。
中では、「家路」がやや異質。時間軸のひずみもあるので、ミステリというよりは中井英夫風の幻想小説として読んだほうが無理がない。
短編としてのフェイバリットは「落日の門」。

No.1 7点 kanamori
(2013/02/21 11:28登録)
二・二六事件を背景に、首謀者の青年将校とその妻、同志、暗殺対象の大臣の娘などが織り成す騙し絵風の5つの物語。

”前夜”を描いた第1話「落日の門」は、この連作反転ミステリにおける登場人物関係図のような感じですが、2話目以降の後日譚で怒涛の連城マジックが連発されます。
なかでも、一夜限りの娼婦と無名の客との逢瀬に隠された真相を、小説家が作中作で推理する「残菊」、処刑直前に首謀者の妻が夫の愛人に対して採った行為の真意「夕かげろう」の2作の騙りが秀逸です。
二人の人物の立ち位置が大逆転する「家路」は、作品世界が非現実的すぎて無理があると思うのですが、連城ファンなら十分納得できるかも。

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