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ミステリの祭典

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ハニーよ銃をとれ
ハニー・ウェスト

作家 G・G・フィックリング
出版日1966年01月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2021/05/20 06:26登録)
(ネタバレなし)
「わたし」こと28歳の女私立探偵ハニー・ウェストは、引退した映画監督で50代初めのロート・コリヤーの依頼を受けて、彼の屋敷があるカリフォルニアの沿岸シャーク・ビーチに来た。ロートの依頼の内容は、接吻で女性を窒息死させる殺人者が同地で凶行を重ねており、ロートの若い後妻ヘレナと娘のフォーンが狙われている予兆があるので護衛して欲しいというものだった。ハニーは、知人や友人を集めてパーティを開催しているコリヤー家に赴くが、彼女が着いて間もなく、意外な場所から死体が発見された。

 1958年のアメリカ作品。ハニー・ウェストシリーズ第二弾で、邦訳では一冊目。
 評者はこれでシリーズ3冊目(『貸します』『連続殺人』を以前に読了)だが、残念ながらコレは、その3作のなかで一番オチる。

 簡単に言えば、意外性のために作者が用意した大技が
・丁寧な伏線の張りすぎで、見え見え
・この時代のミステリとしては確かに読者を驚かせるような
 ネタを仕込んであるのだが、悲しいかな、もうそれで
 驚愕させるには、現代ではすでに賞味期限切れ
・似たような後続の諸作もかなり多そうで、
 その意味でも新鮮味が薄い
……などなどで、ほとんど、サプライズとして機能しなくなってるからだ。
 正直、本作の半分も行かないうちに、読者の大半が大ネタと犯人に気づくだろ、と観測する。

 さらに本作については、もしかしたら、あの<本書と同時代の、欧米の某・有名作品>のアイデアのパクリか? とも疑った(だって……)。
 が、再確認してみると実は意外にも、本作『ハニーよ銃をとれ』の方が、くだんの「該当作」よりも原書の刊行が早かった。
 いや、となるとコレは、のちのちに、あまた出てくる<その手の作品>の先駆といえる作品? かもしれない。そうなると、ちょっと評価は上がるかな。前述のとおり、伏線の類は豊富で丁寧ではあるし。リアルタイムでは、けっこう読者を驚かせたりした一冊だったかもしれない。

 ただまあ、そういう歴史的価値の意義がある可能性は認めるにしろ、今となっては「とにかくわかっちゃう」のが、惜しいかな悔しいかな、本作の弱点。
 一方で見え見えなのを承知で読んでいる間は、それなりに見せ場も起伏も多いサービスぶりで、そこそこは楽しめたりもする。

 メンタル的にハニーが、自分から何かの事情でこの事件に深入りしている訳でもなく、その意味ではあんまり「ハードボイルド」らしからぬハニーの事件簿、そのひとつという感じの内容。
 ただしハニーは、探偵として自分の力が及ばなかったとある状況について、ちゃんと依頼人のロートに謝罪している。その辺はプライベート・アイのプロの矜持として評価できるし、好感を抱くけどね。
 とにかくハニーシリーズはこれまで読んだ3冊とも、21世紀にそのまま楽しめるかどうかは一律には言えないにせよ、ミステリ的なサプライズと伏線などには相応の重きを置いているので、中にはこういう結果的に古くなってしまったものもある、まあそれは仕方ないよね、という感じ。
 シリーズの残りも、おいおい、このまま読んでいきましょう。

【投稿日同日14時・追記】
 上でこのミステリのネタの先駆? と書いているが、すでに1950年代前半に、本作と同じアイデアを用いたアメリカの長編があるのを思い出した。そちらとは演出も見せ方も違うので、本作そのものがパクリというわけでは決してないが、少なくとも斬新な発想のネタではない。
 そしてさらに視野を広げるなら、この2冊のさらに先駆で、先に登場していたバリエーションともいえる長編も「ホームズのライバル」時代のイギリス作品にあった。
 そういう意味では本作品は、騒ぐほどのことでもなかった。
 まあ本書は他の作品との比較などせず、これ一冊の評価で、あれこれものを言った方がいいかも?

No.1 5点 kanamori
(2013/02/24 12:06登録)
長時間のキスで女性を窒息死させるwという”接吻窒息魔”による殺人が連続する中、引退した映画監督から妻と娘の護衛を依頼されたハニーは、映画監督宅の年越しパーティに赴くが・・・といった、美貌の私立探偵ハニー・ウェスト・シリーズ第2弾。

前作と多少の舞台設定の違いがあっても、お色気シーンとハニー危機一髪の場面を繰り返す、お決まりの軽ハードボイルドです。二作目にして早くも飽きてきました(笑)。
最後に関係者を一堂に集めての謎解きがあり、”意外すぎる犯人”が指摘されますが、たしかに伏線がいくつか張られていたとはいえ、かなり無茶な設定です。

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