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ミステリの祭典

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禁断の魔術
探偵ガリレオシリーズ

作家 東野圭吾
出版日2012年10月
平均点5.73点
書評数11人

No.11 3点 ボナンザ
(2023/01/22 17:51登録)
大体先が読める。

No.10 5点 斎藤警部
(2022/09/30 06:24登録)
【長篇の方です】 オープニングから多方面へ散らばるカットバックで興味津々。ところが呆気なくストーリーは収束し、犯人捜しミステリとチラリズム犯罪小説?の併走めいた体で結末まで真っしぐら。このさり気ない構造の持つ読者牽引力はなかなかだが、うむ、全体的に、謎も人間ドラマもプチ社会派要素も浅く見えて、ズブとはハマれなかったな。それでも最後の見せ場、湯川の取った大胆な行動は爪痕残した。最高に泣かせる野球ジョークも光った。エピローグ、その大胆な行動について意見が分かれるくだり、ここの内容がいちばん分厚いかな。或る人物のとあるホワイダニット(犯罪にあらず)、最高に熱いタイミングで明かされた。

No.9 6点 ボンボン
(2019/01/27 12:46登録)
短編「猛射つ」を長編化したものを文庫本で読んだ。(短編「猛射つ」はまだ読めていない。どんなふうに違うのだろう。)
数々の理不尽に耐えて、道を外さずに生きていかなければならない苦悩の物語。大人のグレー対応や薄汚い本音が建前に勝つ現実を次から次と並べられて、フラストレーションが溜った。気晴らしの楽しい読書とはいかない重さがある。ただ、その割に意外と一つ一つのエピソードはありきたりで、読み心地として浅く感じられてしまうのが残念。
それでも、湯川准教授が自分自身をかけて若者を救おうとした覚悟、責任の取り方にはグッときた。

※「虚像の道化師」と「禁断の魔術」、単行本と文庫本でここまで内容が異なると、評価が入り混じって混乱しますね。まあ、他の作家でも時々あることだし、仕方ないですかね。

No.8 7点 Tetchy
(2016/10/12 23:58登録)
文庫化に際して「猛射つ」を長編化したものを読了。
長編での探偵ガリレオ作品は湯川の葛藤を中心に描かれた物語となっているが、本書もまたその例にもれず、母校の後輩が事件に絡んでいる。

一人の真面目な青年が身寄りの死によってこれから開けるであろう明るい未来への扉を閉ざされてしまう。本書は初めから人生の皮肉さによって読者の心を鷲掴みにする。
しかしそれが表向きの理由だったことが次第に解ってくる。
東野氏は『手紙』、『さまよう刃』、『容疑者xの献身』など一貫してこの法律では割り切れない部分を描き、犯罪に走らざるを得ない社会の犠牲者の辛い立場を描いてきた。古芝伸吾もまたその系譜に連なる犠牲者の1人と云えるだろう。

300ページ足らずの長編で、元は短編に加筆した作品だったがそこに内包されたメッセージ、とりわけ科学者とはどう生きるべきかという根源的な命題を刻み込んだ作品で中身は濃かった。そして今までは科学を悪用した相手に博識でトリックを看破してきた湯川だったが、今回初めて自身で授けた技術の悪用と愛すべき後輩に対峙した湯川の心境はいかばかりだったのか。この事件を経て湯川はさらに人間的な魅力を備えて我々の許に還ってくるに違いない。

No.7 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/07/05 19:24登録)
「禁断の魔術」とは、正しく使えば人類に豊かさと便利さをもたらすが、間違った使い方をすると人類を滅ぼしかねない両刃の剣である「科学技術」のこと。
殺人事件に関連して、不思議な現象が見つかり、その解明のために警察が湯川に協力依頼するというパターンどおりの話だが、依頼される前から湯川は事件に密接に関わっている。
現象を説明する科学知識自体はそれほど面白いものではないし、事件を取り巻く背景もどちらかと言えばありきたりなもの。
この物語の良さは最後の光原町での襲撃場面に集約されている。そこで湯川が取った行為に驚かされたし、湯川が伸吾に語った内容はガリレオ先生らしい含蓄のあるもの(しかし、あの場面で伸吾がイエスと言ったならば、湯川はどうしていたのだろうか)。
最終的に襲撃の対象とされた人物に対して、何のお咎めもないのはやりきれない。それを証明する証拠が出てきたのだから。
(備考)
私が読んだのは、短編4つを収めた短編集ではなく、「猛射つ(うつ)」を長編化したものです。

(ネタバレ)
始球式の結果は、センター前ヒットではなく、ピッチャー強襲ヒットで、ピッチャーの顔面直撃にしてほしかった。

No.6 4点 蟷螂の斧
(2015/10/28 00:03登録)
裏表紙より~『高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作!』~

『禁断の魔術』(2012)所収の「猛射つ」を大幅に加筆・改稿したもの~2015版~で拝読。残念ながら人間ドラマを感じることはできなかったし、内容もありきたりのものでした。

No.5 5点 haruka
(2015/06/27 11:00登録)
文庫で読んだので「猛射つ」のみの採点です。ミステリというより人間ドラマですね。

No.4 7点 HORNET
(2013/08/30 19:47登録)
 単なる謎解き・トリックだけではなく、そこに人間の悲哀や感動を絡める点で、非常に秀逸な存在だと感じる作品集だった。一章「透視す」は、義母に育てられたホステスの、二章「曲球る」は戦力外になったプロ野球選手の、家族との絆が感じられる感動的な話で、すごくよかった。ラストの「猛射つ」は中編と言っていい長さ。湯川の母校の後輩の、これまた悲哀の感じられる秀作だった。

No.3 7点 白い風
(2013/02/23 20:31登録)
湯川准教授のガリレオシリーズの短編集。
確かに4編とも物理的要素はあるけど、人間関係の方が話のウエートが置かれてきたね。
まっ、最近のガリレオシリーズ全体に云えることだけどね。
それに「曲球る」は事件と全く関係なかったね(笑)
事件後に被害者の気持ちを知るパターンはドラマ「臨場」「遺留捜査」を思い出しちゃったよ。

No.2 6点 kanamori
(2013/02/01 13:30登録)
探偵ガリレオ・シリーズの第5中短編集。
いずれも殺人事件を扱っていますが、「犯人は誰か?」という本来中心となるべきフーダニット部分よりも、被害者やその関係者に纏わる秘密・謎などをメインに据えているのが本書の特徴です。また、たんにトリック解明小説にとどまらず、湯川の人間性が前面にでて以前と比べ物語に深みが増しているように思います。

「透視す」では、殺される要因となったホステスの透視術のカラクリよりも、ラストの義母の心情が胸を打ちますし、「曲球る」の、戦力外通告を受けたプロ選手選手の妻の行動の真相も同様です。
最終話の中篇「猛射つ」では、タイムリミット・サスペンスの様相ですが、湯川が最後に取った行動もこれまでのキャラクターを思えばかなり意外性があります。
これにてシリーズ完結という風にもとれるラスト・シーンですけども、続編はあるのかな?

No.1 7点 mozart
(2012/10/15 14:31登録)
ガリレオシリーズ8作目。前作「7」に比べ、それぞれの話がドラマとしても中身があって、断然こちらの方が面白かった。以下、個別の感想;
『透視す』:アイちゃんが可哀想過ぎる。それにしても、「モモンガ」からこのトリックに気づくガリレオは流石です。
『曲球る』:柳沢投手夫人が(殺害理由も含めて)気の毒過ぎる。湯川の助けで妻の本心を知り、トライアウトもうまく行く模様、というのはちょっとベタだったけど。
『念波る』:最後の2行がウケました。
『猛射つ』:中編。内容も一番充実している。湯川と後輩のやりとりとか、東野圭吾節を満喫できる、といった感じ。しかし、湯川「准教授」もそろそろ「教授」の適齢期なんじゃないだろうか。

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