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ミステリの祭典

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kanamoriさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:2432件

プロフィール| 書評

No.112 2点 美食倶楽部殺人事件
嵯峨島昭
(2010/04/06 18:25登録)
「白い華燭」などの恋愛ミステリに登場した酒島警視と人妻・鮎子のコンビが主人公役の連作ミステリ。
美食倶楽部会長の死の手掛かりを追って京都、伊勢志摩、北海道さらにはアフリカまで旅行を繰り広げます。ところが、作者の興味はミステリではなく美食のウンチクにあり、物語の9割はその感想に費やされています。事件の真相も拍子抜けです。
姉妹編の「グルメ殺人事件」(旧題「デリシャス殺人事件」)ではバカミス系の殺人トリック連発で、それなりに楽しめましたが、こちらは全くダメでした。


No.111 5点 ミステリー作家の休日
小泉喜美子
(2010/04/05 23:39登録)
エッセイ集のようなタイトルですが、れっきとした短編集。
なかでは、女流ミステリ作家にかかってきた間違い電話の内容から意外な事実を推理する表題作「ミステリー作家の休日」がケメルマンの短編を彷彿させ、編中のベストかな。
あと「本格的にミステリー」「パリの扇」が印象に残りましたが、拾遺集の感は否めません。


No.110 6点 黒潮の偽証
高橋泰邦
(2010/04/05 23:16登録)
海難審判の弁護士・大滝海事補佐人シリーズ第2作。
今回は小笠原諸島近くでの難破貨物船からの一等航海士の密室消失事件を手がけています。
海洋冒険小説の味わいのある前半から、密航女性の登場、乗組員からの事情聴取とスピーディな展開で、前作と違って読みやすくなっており、より本格ものを意識したものとなっています。初版の単行本では犯人の名前を伏字にして読者懸賞にしたというエピソードもわかる出来です。
ただ解決編が駆け足のきらいがあり、犯人特定のロジックは少々甘いんじゃないかと思いました。


No.109 5点 十二夜殺人事件
マイケル・ギルバート
(2010/04/05 18:12登録)
猟奇的な連続殺人犯を追う捜査陣の行動描写で幕を開けた物語が、序盤すぐに寄宿制の学校を舞台とした学園ミステリに変わり、これはどういった物語なんだと戸惑いながら読み進めました。
「捕虜収容所の死」同様ジャンルミックスというかジャンルにこだわらないプロットが著者の持ち味のようです。中盤に新任教師の正体が割れて、なるほどそうつながるのかと納得しましたが、通常の捜査小説を読みなれている身には、少々肩透かしの印象はぬぐえません。
シェイクスピアの演劇は出てきますが、このタイトルは内容にそぐわない感じを受けました。


No.108 6点 Another
綾辻行人
(2010/04/03 00:05登録)
(以下ネタバレ)
「十角館の殺人」のネタバレもしています。

離島を学校に変えただけで、基本的に「十角館の殺人」で使ったミステリの趣向と同じですよね、これは。
ある人物を表記するのに、姓、名、ニックネーム、職制などを使い、その表記の使い分けを章毎に行って叙述トリックに利用する。
しかし、その人物を読者の容疑者候補から外す手段としては、個人的には姑息に思えてしまいます。
ホラーの部分については楽しめましたが。


No.107 4点 蜃気楼の帯
戸川昌子
(2010/04/02 23:30登録)
日本人作家がアフリカを舞台に国際謀略ものを書くのは珍しいと思いますが、しかも著者が戸川昌子となると内容の予測は困難。
クーデターで追われたアフリカ某国の大統領の復権に絡む謀略に、日本人動物学者と女性ジャーナリストが巻き込まれるというお話なんですが、期待はずれの出来でした。
冒頭のゴリラの手首のやり取りでツカミはOKでしたが、以後男女の交情を中心に焦点が当てられ、サスペンスを持続できず、結末も中途半端です。
この時期、中薗英助、三好徹などのスパイ謀略ものが出てきた影響で作者も取り組んだのかもしれませんが、異色作という名の駄作に終わっています。


No.106 6点 ゼロのある死角
笠原卓
(2010/04/02 23:02登録)
衣料会社間の信用調査が絡む本格ミステリで著者のデビュー作。
前半の産業ミステリのような展開が興味がない業界だけにかったるいが、容疑者が固まってからの怒涛のアリバイ崩しが読ませます。犯人のアリバイ工作が、写真、郵便の消印、電話、時刻表など重層的に設定されており、ラッキョウの皮むきの様相で、なかなか真相に到達しない。
ダミーの容疑者のアリバイ調べにページを割き過ぎるなど、無駄な描写を削れば、端正なアリバイ崩しものの秀作になったと思いました。


No.105 6点 村でいちばんの首吊りの木
辻真先
(2010/04/02 22:38登録)
中編3作収録で表題作がベスト。
長男の殺人容疑をめぐる母親と次男の手紙のやり取りから意外な事実が浮かび上がる。伏線がていねいに敷かれ、ちょっとした叙述の省略が効いている。「街でいちばんの幸福な家族」は、父親の愛人を始末し家族の平和を守ろうとする娘の意外なトリックがしゃれている。娘の独白は読んでいて楽しい。「島でいちばんの鳴き砂の浜」は、リゾート開発に揺れる島での変死事件を無生物の視点で描く異色作ですが、ミステリの趣向自体は平凡でした。


No.104 7点 灰色の季節 ギョライ先生探偵ノート
梶龍雄
(2010/03/28 15:09登録)
太平洋戦争前の旧制中学を舞台背景にした連作短編集。
ギョライ先生探偵ノートという副題がありますが、正彦少年などを中心にした青春ミステリの要素が強い第1短編集です。
「おふくろは霊媒」などの本格ミステリよりも、戦争の影がさしてくる後半の作品のほうが強く印象に残りました。正に灰色の季節です。
マイナーな出版社のためか文庫化もされず、手軽に読めないのはもったいない秀作短編集だと思います。


No.103 6点 人間の証明
森村誠一
(2010/03/28 14:31登録)
「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」
西條八十の詩をモチーフにして、一世風靡した著者の一般向け代表作と言われる作品。
当時、森村誠一のコアな本格を追いかけていて、この作品で戸惑った人も多かったのではないでしょうか。
本格ミステリとしては不満ですが、まあ楽しめたことは事実です。
(以下ネタバレ)
松本清張「砂の器」のネタバレもしています。


この人間ドラマが清張の「砂の器」とプロットが酷似していることは有名です。
1.栄光を掴みかけた主人公が、過去を知る人物の突然の登場により、身の破滅を恐れ殺害してしまう。
2.被害者は死の直前、主人公との思い出の地名をつぶやくが、標準語に不慣れなため意味が不明となる。
「人間の証明」では被害者が外国人のため霧積がキスミーに、「砂の器」ではズーズー弁のため亀嵩がカメダに・・というふうに。


No.102 4点 蝦蟇倉市事件2 
アンソロジー(出版社編)
(2010/03/28 13:55登録)
競作アンソロジー第2弾。6名中4名が今まで読んだことがない作家でしたが、変化球ばかりで出来はいずれも微妙。
米澤穂信の作品は一種の暗号ミステリとも言えますが、あとがきを読むと<法と正義>がテーマらしい。一人だけ浮いてました。
なにもそのためにモンテネグロから蝦蟇倉市にその人物を持ってくる必要がないし、「さよなら妖精」の後日譚で連作ミステリを企画しているなら、このアンソロジーを利用するのはどうなんだろうと思いました。


No.101 6点 スパイク
松尾由美
(2010/03/27 11:55登録)
街角で出会った男性がつれていたビーグル犬は、主人公の飼い犬と同じ名前「スパイク」だった・・・いわゆるパラレル・ワールドもののSF恋愛ミステリ。
なぜ男性は翌週の約束の日に現れなかったのか、なぜ犬の名前が同じだったのか、余韻が残る切ない真相でした。


No.100 6点 香港迷宮行
山崎洋子
(2010/03/27 11:35登録)
それぞれが目的を内に秘めた香港ツアー・グループが、観光地の行く先々で殺人ゲームを繰り広げる・・・コミカルなタッチのサスペンス・ミステリ。
著者はシリアスなものより、こういった作風があっている気がします。


No.99 5点 怪奇探偵小説傑作選〈4〉城昌幸集-みすてりぃ
城昌幸
(2010/03/27 11:22登録)
ミステリ掌編小説集。
各作品が5~20ページの幻想・怪奇譚が50作以上収録されています。アンソロジーなどで読むのはいいのですが、まとめて読むとちょっとキツイ感じがします。


No.98 8点 方壺園
陳舜臣
(2010/03/26 23:40登録)
本格ミステリ短編集。
第1短編集のためか、非常にパズラー志向が高く、歴史ミステリと本格ミステリとの融合という点でも成功していると思います。
ほとんどの作品で不可能犯罪を扱っていて逸品ぞろいですが、なかでも、表題作と「九雷渓」が傑作だと思いました。
この当時に発表された短編集ではピカイチではないでしょうか。


No.97 6点 黒水仙
藤桂子
(2010/03/26 23:18登録)
「獅子座」に続く菊地警部シリーズ第2弾。鮎川哲也「ペトロフ事件」と賞を争った藤雪夫の「渦潮」を娘・桂子が改稿したもの。
前作同様、本格ミステリの展開から、後半に犯人像が浮き彫りになってから俄然面白くなりました。
密室殺人のトリックは中盤早々明らかになり、あとはアリバイ崩しになりますが、「心理的既成事実」を使ったアリバイトリックというのが目新しく、捜査陣が少しづつ暴いていく様は緊迫感がありました。
しかし、なんといっても一番の読み所は、異常な犯人像の設定です。幼少の頃からの体験を丁寧に描写し非常に存在感を持たせています。タイトルの二重の意味を浮き上がらせたエンディングも見事です。


No.96 7点 狼は瞑らない
樋口明雄
(2010/03/26 22:46登録)
元警視庁警備課SPの山岳警備隊員を主人公にした山岳冒険小説の傑作。
政治の闇の部分を知る主人公抹殺を狙う組織というベタな要素はかえって余分ですが、冬山での猛吹雪や滑落の恐怖などの大自然との戦いが圧倒的な迫力で描写されていてグイグイ読める。
やはり直球勝負の冒険小説はいいなと思いました。


No.95 6点 雨中の客
浅黄斑
(2010/03/25 18:56登録)
ミステリ短編集。
突然の訪問者が思いもかけない過去を燻りだす、後期の作品群からはちょっと想像つかない良質の初期連作短編集でした。
どんでん返しが冴えた表題作「雨中の客」がベスト。


No.94 7点 星の牢獄
谺健二
(2010/03/25 18:39登録)
大震災と機械トリックというこれまでの社会派と本格派の混合作が、どうもアンマッチな印象でしたが、この作品は奇想を前面に出していて、このレーベルらしい作風になってます。
「宇宙人」を探偵役にし、クローズドサークルもので不可能トリックを見せ、叙述で驚かす・・小さな瑕疵はありますが、作風の転換は評価したいです。


No.93 5点 顔の中の落日
飛鳥高
(2010/03/25 18:13登録)
発表された年代から古臭いのは止むを得ませんが、主人公格のホステス町子と謎の青年を中心にストーリーを組み立てていれば、教会でのラストシーンが生きたかと思います。
XXを利用したアリバイトリックは物語から浮いていました。

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