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ミステリの祭典

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黒潮の偽証
大滝辰二郎シリーズ

作家 高橋泰邦
出版日1963年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 nukkam
(2016/01/01 08:04登録)
(ネタバレなしです) 高橋泰邦(1925-2015)は翻訳家の活動の方に力を入れていたようですが、海洋小説の書き手としても評価は高いです。作品数が少ないにも関わらず冒険小説、サスペンス小説、果てはSFからノンフィクション・ノヴェルと作風が幅広いのも特徴です。本書は長編第4作で海事補佐人(海難審判の弁護人のようです)の大滝辰二郎シリーズ第3作です。過去のシリーズ2作(私は未読です)がサスペンス小説系だったのに対して本書は本格派推理小説です。それもそのはず、1963年に東都ミステリー版で発表された際には犯人名と重要な手掛かりを読者に当てさせる懸賞小説だったのです。当然ながらこれから読む人には解決まで整理されている光文社文庫版を勧めます。懸賞小説だっただけに読者に対するフェアプレーを意識しており、物的手掛かりが少ないながらも細部まで丁寧に謎解きしています。海図や船の見取図まで添付されていて上質な海洋ミステリーを読んだ手応えがありました。

No.1 6点 kanamori
(2010/04/05 23:16登録)
海難審判の弁護士・大滝海事補佐人シリーズ第2作。
今回は小笠原諸島近くでの難破貨物船からの一等航海士の密室消失事件を手がけています。
海洋冒険小説の味わいのある前半から、密航女性の登場、乗組員からの事情聴取とスピーディな展開で、前作と違って読みやすくなっており、より本格ものを意識したものとなっています。初版の単行本では犯人の名前を伏字にして読者懸賞にしたというエピソードもわかる出来です。
ただ解決編が駆け足のきらいがあり、犯人特定のロジックは少々甘いんじゃないかと思いました。

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