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ミステリの祭典

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ゼロのある死角
旧題『蒼白の盛装』

作家 笠原卓
出版日1979年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2023/08/05 21:16登録)
(ネタバレなしです) サラリーマンとの兼業作家のためか作品数は非常に少ない笠原卓(かさはらたく)(1933年生まれ)の1973年発表の長編デビュー作で、ミステリー賞に応募して最終選考まで残った「蒼白の盛装」を改題出版したものです。作者はSANPO NOVELS版のあとがきで「本格ミステリにふさわしいトリックをふんだんに書き込み、全力投球で読者に挑戦したいという気持ちで取り組んだ」と本格派推理小説ファンの心をくすぐるようなコメントをしていますが、衣料量販店の突然の倒産とそれを以前から予期していたらしい取引先の営業マン、後には外資による業界支配の懸念まで生まれてくるというプロットは本格派というより社会派推理小説と認識する読者も少なくないでしょう。あの手この手のアリバイトリックを考えてはいますが、あまりにも時代に寄り添ったトリックがあるのは現代の読者の評価は分かれそうですね。そしてアリバイ崩しミステリによくあるジレンマですが、犯人当てを読者に挑戦している作品ではありません。

No.1 6点 kanamori
(2010/04/02 23:02登録)
衣料会社間の信用調査が絡む本格ミステリで著者のデビュー作。
前半の産業ミステリのような展開が興味がない業界だけにかったるいが、容疑者が固まってからの怒涛のアリバイ崩しが読ませます。犯人のアリバイ工作が、写真、郵便の消印、電話、時刻表など重層的に設定されており、ラッキョウの皮むきの様相で、なかなか真相に到達しない。
ダミーの容疑者のアリバイ調べにページを割き過ぎるなど、無駄な描写を削れば、端正なアリバイ崩しものの秀作になったと思いました。

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