星の牢獄 |
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作家 | 谺健二 |
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出版日 | 2004年01月 |
平均点 | 7.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 8点 | ROM大臣 | |
(2023/11/30 13:38登録) 流星の鑑賞のために天文台に集まった人々が、次々に殺されていく謎を追う特殊設定ミステリ。 この小説の特殊設定は、状況ではなく探偵にある。というのも、この小説の探偵役は地球を調査しにやってきた宇宙人なのだ。宇宙人なのでサイコメトリーで過去のことがわかるし、瞬間移動で密室を破れるという、探偵としてかなり理想的な能力を持っている。 だが所々で宇宙人であるが故の感性の違いや、アクシデントによってその能力は生かされない。探偵に超常的な能力を持たせた上で、ミステリを成立させる理想的な塩梅がこの小説にはある。この物語特有の大胆なトリックも魅力的で忘れられない。 |
No.2 | 7点 | メルカトル | |
(2023/08/19 22:58登録) 海上に建てられた私設天文台“星林館”。流星群の観賞会がひらかれた夜、死が相次いで降り注いできた。隕石に撃たれて焼死した男、顔を赤く染め上げて墜死する老人、大時計の針に貫かれて磔にされた男…。この異様な死は何を意味するのか。そして誰の意志によるものなのか。あらゆる謎が解き明かされたとき、すべての事実が反転する奇想と衝撃の本格ミステリー大作。 『BOOK』データベースより。 遠い惑星から来た蟹に似た雌雄同体の宇宙人イレムが、人間の男に変身し探偵役と主人公を一手に引き受ける異色のミステリ。所謂孤島物で、外部から断絶されたクローズドサークルで不可解な連続殺人が起こり・・・。 やや文章が硬い感じがするとか、登場人物の半数位が無個性でややこしいとか、トリックが使い古されたものであったり、外連味が無さ過ぎて盛り上がりに欠けると云った瑕疵は見られますが、それらを差し引いても良作であることは間違いないと思います。 特に第一の事件はこのストーリーの特異性をはっきり表しており、仕掛けが明かされた後では成程と感じ入らずにはいられません。やや長すぎる気もしますが、読んで損はないですね。世間に知られていない、隠れた珍品ってところですか。 |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2010/03/25 18:39登録) 大震災と機械トリックというこれまでの社会派と本格派の混合作が、どうもアンマッチな印象でしたが、この作品は奇想を前面に出していて、このレーベルらしい作風になってます。 「宇宙人」を探偵役にし、クローズドサークルもので不可能トリックを見せ、叙述で驚かす・・小さな瑕疵はありますが、作風の転換は評価したいです。 |