home

ミステリの祭典

login
文生さんの登録情報
平均点:5.86点 書評数:500件

プロフィール| 書評

No.140 6点 覆面作家は二人いる
北村薫
(2017/11/04 13:18登録)
ミステリーとしては小品で可もなく不可もないという感じですが、編集者の主人公とぶっとんだ設定のヒロインの掛け合いが楽しい作品です。円紫さんシリーズの生真面目コンビのふたりが苦手だったのでそのギャップもあり、こちらのシリーズは思いのほか楽しく読むことができました。


No.139 4点 点と線
松本清張
(2017/11/04 13:10登録)
国内ミステリーのメインストリームが戦後の探偵小説から高度成長期の社会派推理小説へと舵を切るきっかけとなった記念碑的作品。
ただし、本作の軸となっているのは鮎川哲也ばりのアリバイ崩しであり、本格ミステリの骨格を色濃く残している。そして、本格ミステリとしては残念ながら高い評価は与えられない。
有名な4分間の空白はプロットに大きな歪みを残す結果となっているし、肝心のアリバイ崩しも1957年の作品とはいえ、アリバイ捜査をしているのにあれの存在になかなか気づかないとはいかがなものか。初期作品だけあって社会派ドラマにも見るべき点は少なく、歴史的価値を除けば凡作域を出ていないと言えるだろう。


No.138 6点 成吉思汗の秘密
高木彬光
(2017/11/03 17:20登録)
中学生の時に読んだ際は、「すごい!完璧な推理じゃないか」と感銘を受けたものだが、歴史の知識を蓄積した後で読むとかなりこじつけが目立つ作品だった。しかし、義経もジンギスカンも有名であるので両者を巡る推理はフィクションとしてはそれなりに楽しく読めることも確かである。


No.137 4点 時の娘
ジョセフィン・テイ
(2017/11/03 16:32登録)
緻密な論証に基づく歴史ミステリーの名作ということなのですが、世界史が苦手なもので内容が全然ピンとこなかったのは残念。話についていくのが精一杯で楽しむ域に達することはできませんでした。


No.136 5点 邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎
(2017/11/03 16:16登録)
軽いタッチで気軽に読めるのはいいのですが、やはり推理に説得力がないのが難点。ユニークな仮説だとは思うものの、あくまでも仮説にすぎず、悪く言えばこじつけでしかない。しかも、歴史を研究しているはずのヒロインがそんなこじつけにあっさりと言い負かされてしまうのもどうかと。


No.135 9点 世界は密室でできている。
舞城王太郎
(2017/11/01 17:38登録)
2002年に講談社ノベルス20周年を記念して刊行された密室本シリーズの1冊。だが、その実態はまともな密室トリックを期待して読むと激怒必至のキング・オブ・バカミス。次々と起こる不可能犯罪に対して矢継ぎ早に提示される脱力系のトリックの数々。しかし、その独特の疾走感が心地よい。しかも、それが切ない青春ストリートとコントラストを成し、忘れがたい味わいを形成している。舞城王太郎ならではの青春ミステリーの傑作です。


No.134 5点 パノラマ島奇談
江戸川乱歩
(2017/11/01 17:01登録)
明智小五郎がお約束的に登場するもののミステリー要素はほとんどなく、幻想小説風味に仕上げられた作品。みどころはパノラマ島の異様な光景なのだが、今となってはそれほどのインパクトない。逆に、世界観を全面に押し出した分、ストーリーに起伏が乏しく、やや退屈に感じられるのが残念なところである。


No.133 5点 囁く影
ジョン・ディクスン・カー
(2017/11/01 15:51登録)
カー中期の佳作という位置付けの作品で確かに全体のプロットはよくできている。しかし、個人的には最初の不可能犯罪のトリックと犯人が瞬時に分かってしまったのでその時点で興が削がれてしまった。というか、あそこで用いられた手法は不可能犯罪における基本トリックのひとつなのでカーを読み慣れた人であれば誰でもすぐにピンとくるのではないだろうか。それを前提に読むと第2の殺人における展開もさほどサプライズではなくなり、高い評価は与えられなくなってしまう。


No.132 6点 悪の教典
貴志祐介
(2017/10/31 09:59登録)
生徒たちから慕われ、理想的な教師だと思われたハスミンが実は冷酷なサイコパスだと判明する前半部はスリリングで読みごたえ十分。しかし、多くの指摘がある通り、後半に入ると天才犯罪者であるはずの彼の行動が一気に雑になり、十把一絡げの殺人鬼に堕していくのが残念。もっと彼の悪のカリスマぶりを堪能したかった。


No.131 3点 黄金仮面
江戸川乱歩
(2017/10/31 08:39登録)
言わずと知れたルパンVS明智小五郎を描いた問題作。なぜ不殺をポリシーとしているはずのルパンが人を殺したのかという点がこの作品の肝であるのだが、この真相はあまりにもひどい。それに当のルパンが全くルパンっぽく見えないので「お前はルパンを騙る偽物だろう」という感想しかでてこない。それにしても奇岩城を書いたルブランといい、なぜ昔の作家は他人のキャラクターを勝手に出した上に平気で貶めるようなことをするのだろうか。


No.130 6点 星降り山荘の殺人
倉知淳
(2017/10/31 08:17登録)
いかにも読者をだましにきているという風な語り口のせいで逆に犯人が完璧に予想できてしまったのが残念。特に、作者による忠告はミスディレクションであることがみえみえで、あれで犯人を確信してしまいました。どちらかといえば、初心者の内に読んでおくべき作品だといえるのではないでしようか。

また、Zの悲劇風な消去法ロジックによる犯人特定はどうもこじつけめいたところが出てくるのであまり好きではありません。とはいえ、古典的なクローズド・サークルと犯人探しの雰囲気は存外楽しめたのでこの点数で。


No.129 6点 すべてがFになる
森博嗣
(2017/10/30 18:10登録)
物語としてはそこそこ楽しめたのですが、本格ミステリとして読んだ場合、犯人の超人設定に依存しすぎているのがイマイチでした。まあ、本格ミステリとは思わずに、アルセーヌ・ルパンのような超人クライムストーリーと思えば十分面白い作品ではありますが。


No.128 9点 第三の時効
横山秀夫
(2017/10/30 16:36登録)
警察小説としての重厚な人間ドラマに本格ミステリのようなトリッキーな仕掛けが絶妙なバランスで配合された連作ミステリー。完成度の点でいえば数ある横山作品の傑作群の中でもこれが最高峰でしょう。


No.127 7点 ケンネル殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2017/10/30 16:24登録)
ヴァン・ダインの他の作品と同様にトリックは既存のものを組み合わせただけだが、謎の設定とその解法に工夫が見られ、本格ミステリとしての充実度はシリーズ随一。しかも、物語の進行を阻害するぺダンチックな談義が控え目なので読みやすい。今となってはグリーン家や僧正よりも評価しやすい佳作だと言えるだろう。


No.126 3点 半落ち
横山秀夫
(2017/10/29 15:05登録)
妻殺しを自首した元警察官。しかし、彼は犯行から出頭に至るまでの2日間の行動については頑として口を割ろうとはしなかった。
魅力的な謎と多視点で語られる凝った構成に対して真相がひどく凡庸に感じられました。秘密が明らかになると同時に犯罪の構図が反転するような意外性に満ちた真相を期待していただけにがっかり感も半端なく、よってこの点数です。横山氏の作品は警察小説でも本格マインドにあふれててかなり好きなのですが、これは肌に合いませんでした。


No.125 8点 九尾の猫
エラリイ・クイーン
(2017/10/29 13:42登録)
ミッシングリンクの謎に対して新たなバリエーションを創出し、サイコミステリーの先駆者的作品でもあるという後期クイーンの代表作。また、十日間の不思議で取り返しのつかない失敗を犯してしまった名探偵クイーンの復活の物語としても見逃せません。


No.124 8点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2017/10/29 13:25登録)
クイーンらしいロジカルな推理と衝撃的な展開が楽しめる本格古典ミステリの名作。しかし、物語の構成上途中で犯人がバレバレになっており、世間で言うほど意外な犯人ではなくなってしまっている点が残念である。


No.123 4点 猫は知っていた
仁木悦子
(2017/10/29 13:12登録)
トリックは発表年度を差し引いてもすでに使い古されたものであるし、日本のクリスティと言われるほどにプロットにひねりがあるわけでもない。当時としては目新しかったユーモアミステリーとしての味わいが評価されたのだろうけど、今となっては特に見るべき点はないのでこのくらいの点数。


No.122 7点 掟上今日子の備忘録
西尾維新
(2015/10/26 16:10登録)
本格ミステリとしては若干甘いところもあるがまずは無難な出来。
小説としてはテンポがよく、キャラも立っているので楽しく読める。
ラストシーンがきれいに決まったのが好印象。


No.121 6点 影の告発
土屋隆夫
(2015/10/20 10:12登録)
初読の時は「トリックよし、プロットよし」で危険な童話に並ぶ傑作と思っていましたが、その後、海外の過去作でトリックのまったく同じ作品を見つけたために印象が薄くなってしまいました。

500中の書評を表示しています 361 - 380