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ミステリの祭典

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まさむねさんの登録情報
平均点:5.88点 書評数:1269件

プロフィール| 書評

No.149 5点 愚者のエンドロール
米澤穂信
(2011/03/03 22:15登録)
 古典部シリーズ第2弾。 前作「氷菓」よりもミステリ度がアップ。個人的な「食いつき具合」は確実に前作以上。
 奉太郎クンの「最終回答」までの展開も悪くはないですが,個人的には何よりも最終章が良かった。そうか…って感じで。
 いかにも米澤氏らしい作品ですね。


No.148 6点 午前零時のサンドリヨン
相沢沙呼
(2011/02/28 19:34登録)
 緩さが気になりつつも,高校男子一人称の軽快な語り口とヒロイン酉乃初のキャラクターに引っ張られ,たまには青春恋愛モノも悪くないか…などと読み進めていった訳ですが…。
 最終話でなるほどと思わされましたね。最終話に至る話はすべて伏線といっても差し支えない。伏線の張りっぷり,そして回収具合はなかなかです。私は完全にトラップにはまってましたし…。
 ラストでまたまた「青春恋愛モノ」に戻してくるところも,オジサンは嫌いでないです。
 ちなみに一人称の君!気持ちは凄くよく分かるが,太腿に対して弱すぎ。この弱点って一生克服できないから気をつけないと…って書評と関係ないか。
 最後に,「トリノ ハツ」って焼き鳥由来じゃなかったんだぁ。江守森江さん,重要情報(?)ありがとうございました。


No.147 5点 フリークス
綾辻行人
(2011/02/27 14:08登録)
三編で構成される中編集。
うち,「四〇九号室の患者」は,単行本で既読。
残り2編の基本構造は,まぁ一緒ですね。舞台が精神病棟であるだけに,分からないでもないですが,やっぱりそうなっちゃいますよねぇ。不思議な読後感ではありましたが。


No.146 5点 蒼林堂古書店へようこそ
乾くるみ
(2011/02/24 20:14登録)
ミステリ専門の古本屋店主とその常連客らが織り成す、日常の謎&ほのぼの系短編集。
一編が20数ページと短いので、スキマ読書に丁度いい感じ。
個人的にはもう少しキリッとしたミステリ性も欲しかったけど… 短編と同じ数だけ掲載されているコラム(?)「林雅賀のミステリ案内」が楽しかったから、まぁいいか。


No.145 6点 グラスホッパー
伊坂幸太郎
(2011/02/23 21:07登録)
ヒトコトで表現するとすれば「殺し屋小説」。
前半は,伊坂風セリフ回しにイラッとしたこともあり(すみません。全く肌に合わないもので),かなり冗長に感じたのですが,中盤以降の加速感は良いですね。
色んな殺し屋が登場し,人もたくさん死にますが,読後は不思議な爽快感。
内容はいいんだけど,鼻につくセリフも多いんだよなぁ…って私だけでしょうか?


No.144 5点 四〇九号室の患者
綾辻行人
(2011/02/20 19:58登録)
南雲堂版(単行本)を読んでみました。(この作品が収録された中短編集“フリークス”は未読)
元原稿は作者が大学四回生の秋(21歳)に執筆したものだそうで。中編でサクサク読み進められますし,十角館ファンなら一読してみる価値はあると思います。
でも…ポイントが3点あるとすれば,中盤までに3つとも気付く方も少なくないと思いますね。2つ目までのポイントは多くの方が気付くでしょうし…。


No.143 6点 我らが隣人の犯罪
宮部みゆき
(2011/02/20 15:24登録)
完成度が高く,読後感もよい作品揃いの短編集。
老若男女、誰にとっても楽しい読書時間が確保されそう。
表題作がベストですけど,他の短編も佳作揃い。巧いなぁ。


No.142 4点 月と蟹
道尾秀介
(2011/02/20 15:22登録)
まずは,直木賞受賞おめでとうございます。
で,率直な感想ですが,「表現したいことはよく分かったけれども,その良さはよく分からなかった」ですねぇ。
いや、少年少女の心の葛藤やその推移の表現は巧いと思います。それは認めつつ,「だから、それで?」って首を傾げている自分がいました。
単に私の読解力又は感受性が不足しているのか、それとも直木賞とはそういうものなのか。
採点としては,ミステリでない上に,特に心動かされることもなかったので…直木賞ご祝儀を含めてもこの点数。

何はともあれ,直木賞受賞おめでとうございました。満を持しての受賞なのでしょうが、今後どちらに向われるおつもりなのでしょう。注目しております。


No.141 7点 ななつのこ
加納朋子
(2011/02/20 15:15登録)
中盤まで,よくある「日常の謎」系かと思い込んでました。(いや,最後まで読んでも「日常の謎」系であることに違いはないのですけどね。)読み進めるうちに,不純物のない世界観に自然と惹かれていきましたね。
第5話の「一万二千年後のヴェガ」の星座薀蓄と第6話の「白いタンポポ」の文学薀蓄にそれぞれ感心し,最終話「ななつのこ」で完全にやられましたね。
(肝については途中で察しはつくのですが,既にそういう観点で読ませてないっていうか…)
ひとつ間違うと単に甘ったるい物語で終わっちゃうところですが,決してそんな単純な読後感ではない。
文章を含めて表現手法が秀逸だと思います。


No.140 6点 どんどん橋、落ちた
綾辻行人
(2011/02/15 20:28登録)
いやいや,面白かった。
特に「どんどん橋~」&「ぼうぼう森」のセットには,してやられたというか,ニヤリとさせられました。
「伊薗家の~」も,ありがちなパロディとはいえ,好きですね。
フーダニットとしても,まぁ変則技もあるけど,むしろ増幅して楽しめましたね。
作者の遊び心というか,こだわりというか,苦悩というか…色々伝わってきます。


No.139 6点 往復書簡
湊かなえ
(2011/02/13 15:36登録)
タイトルどおり,すべて書簡の文章のみで構成される中編集。
書簡のやり取りを読んでいくにつれて,謎が深まり・そして解明されて…って感じ。
3中編とも,この作者の「2文字漢字熟語3部作」の中で触れたようなシチュエーションだったりしますが,読後感はかなり異なります。
途中でラストが見えてしまう中編もありましたが,これまでの湊さんの作品とはまた違った観点で楽しめましたよ。


No.138 8点 殺しの双曲線
西村京太郎
(2011/02/10 23:25登録)
 このサイトにおける隠れた高評価に刺激されて読んでみました。
 いやはや,作者に対するワタクシのこれまでの印象が,良い意味で崩れちゃいました。
 本格ミステリとして秀逸だと思いますね。ラストの数行も印象に残ります。1977年の作品であることを考慮すればさらにプラス評価。国内双生児モノの傑作と評価いたします。

 東京の連続強盗事件と宮城の雪の山荘(ホテル)における連続殺人事件が交互に語られていきます。
 それぞれの事件自体が興味深いですし,その2つが結びついたときに一体何が…という期待で,序盤から一気に読ませてくれました。
(以下ややネタバレ的な要素を含みます。)
 結果的には,前者の事件は後者の事件の「引立て役」なのであって,前者の犯人が想定どおりに犯行を行った必然性が感じられません。正直,相当な違和感を覚えました。
 しかし,前者の事件がないと,読書の楽しみが激減してしまうのもまた事実。
 読者としては何とも悩ましいところですが,作者の仕掛け具合はその違和感を補って余りあるものと判断して8点!


No.137 6点 アリアドネの弾丸
海堂尊
(2011/02/06 22:11登録)
 ほほう。本格ミステリしてますね。氏は「医療エンタメ作家」と思っていたのですが…何とも嬉しい誤算(?)です。
 いやはや,これまでのシリーズとは一線を画していて,良かった。しかも登場人物のキャラ立ちはいつものとおり。楽しかったですね。

 難を言えば,前半が結構冗長だったことでしょうか。前半のみだと,また海堂節炸裂かぁ…と何度か投げ出しそうになりましたから… 中盤以降はミステリ度が増してきて一気読みでしたけどね。前半部で投げ出さなくて良かったなぁ…と。
 ちなみに,次回作の前宣伝も,まぁアリとは思いますけど,何とも長すぎるし,中途半端なんですよねぇ。ソコを削ってもっとコンパクトに…というか,すぐにミステリ部分に突入した方が良かったと思いますね。


No.136 5点 緋い記憶
高橋克彦
(2011/02/05 22:10登録)
 第106回直木賞受賞作。
 受賞直後に読んだ記憶があるのですが,あれからほぼ20年経つのですねぇ。図書館で見かけて,懐かしいなぁ…と感じ入り,この度再読したものです。
 人間にとって時とともに曖昧になってくる「記憶」をキーワードにした短編集。
 一応の理論的な説明が可能な短編もありましたが,多くは完全にホラーとして分類すべき短編。
 巧いんだけども,2回目の読書での再発見みたいなものはなかったなぁ。


No.135 5点 浪花少年探偵団
東野圭吾
(2011/02/02 22:23登録)
 小学校教諭(しのぶセンセ)が活躍する大阪人情満点の連作短編ミステリ。
 登場人物のキャラがそれぞれ魅力的だし,恋のさや当てなんかもあって,気軽に楽しめましたね。
 トリックの印象はほとんど残らなかったですけど…きっとキャラの印象が強かったせいなのでしょう。きっとそうだ。そう信じよう。


No.134 5点 氷菓
米澤穂信
(2011/01/31 21:03登録)
 私にとって,古典部シリーズ初参戦。
 読み始めてしばらくは“緩さ”が気になったのですが,“古典部の謎”が提示された以降は悪くないですね。部員のキャラ設定も面白い。(でも採点すればこの点数くらいかなぁ。)
 氏のデビュー作であるこの作品のテイストは,「小市民シリーズ」は勿論のこと,「追想五断章」にも確実に引き継がれている印象を受けましたね。 視点は違うけれども,「儚い羊たちの祝宴」にも多少同じ香りが。
 ちなみに,年代によってはほぼ100%の方が,読み終えるまでの間に郁恵ちゃんの歌を口ずさむことになるんだろうなぁ。


No.133 5点 出雲伝説7/8の殺人
島田荘司
(2011/01/29 11:54登録)
島田氏らしい派手で猟奇的な事件と,いわゆる時刻表アリバイトリックとが,うまく融合してますね。
古事記とかの勉強にもなったし(笑),まぁ楽しめました。

(以下,未読の方は注意)
でも,精密なトリックを計画した犯人が,結構単純な2つのミス(胴体を置いた位置の件&ラストの騙されっぷり)で捕まっちゃってるところに違和感が。
特に1個目のミスは,警察なり国鉄なり,もっと早く気付こうよ…読者にも早く開示してよって思いましたね。


No.132 6点 墓標なき墓場
高城高
(2011/01/24 18:58登録)
 日本ハードボイルド小説の黎明期を支えた作者であり,近年,再評価の声も多く耳にします。
 ならば何か読んでみよう!ってことでチョイスしたのが,作者唯一の長編であるこの作品。
 簡潔な文章と,舞台となる道東地方との風情がマッチして,非常に雰囲気があります。
 解明っぷりまでも簡潔だったなぁ…という気がしないでもなかったですが,それでも十分に楽しませてもらいました。
 個人的には,再評価の動きも素直に頷けますね。
※実は短編にこそ良作ぞろいという噂も。文庫本で全集が出てることだし,機会があれば短編集も読んでみようかなぁ…という気にはさせられました。


No.131 7点 ここに死体を捨てないでください!
東川篤哉
(2011/01/22 12:08登録)
氏の作風とはかなり波長があうことを、再確認させていただきました。
ギャクと本格の融合、いいですねぇ。楽しかったですよ。
(注)ギャクの好き嫌いで評価は分かれると思いますが…

死体遺棄者(?)の鉄男と香織がかなりいい味出してます。
今後の作品での再登場を望みます…ってダメかなぁ?


No.130 6点 殺意は必ず三度ある
東川篤哉
(2011/01/18 22:56登録)
基本構成としては,完全に「本格モノ」に該当するでしょう。
トリックもなかなか面白かったですね。
で,その表現手法(ギャク満載。シリアス感ゼロ。)については,人それぞれ好き嫌いがあるでしょうが,私は大いに支持します!

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