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ミステリの祭典

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往復書簡

作家 湊かなえ
出版日2010年09月
平均点6.25点
書評数12人

No.12 6点 斎藤警部
(2021/11/03 03:40登録)
手紙の交換が進むにつれ、過去が深堀りされ、謎解きや葛藤を経、何某かの結論に至る三つの連作短篇(文庫版は+α)。 手紙のきっかけは学生時分の影深いインシデント。 『第一話』の真相は予想外だけど、驚くわけじゃない。これはこれで「どダークな真相」という捉え方もありそうだが、個人的にはかなりのギャフン作ですね。ここで長篇の第一部終わり、ってんなら期待するけど。(実際そう勘違いして、続きにすっげ期待しちゃったんスけどねww)仕切り直して『第二話』は、随分深くまで掘った暗黒真相の果てに。。なんじゃこのさわやかエンディングはw こんなんじゃもっと人間ドラマに寄せた普通文学+ミステリ風味チョイの方がいいんじゃないか、と思ったが。。『第三話』にはミステリ魂埋まってました!三作中もっともさり気ない導入から犯罪領域に急カーヴするタイミングのスリルは強力。「時●」ってやつの使い方も絶妙。「●る」という言葉のダブルミーニング的なとこ、ヤられた。奥の深い真相暴露は横溝の某短篇を彷彿とさせたかも(?)。 文庫で追加になったという『エピローグ』、色々●●って(?)愉しいですが、考えオチ過ぎて(?)もやもやエンドだった『第三話』に泣ける落とし前を付けた、って解釈でいいのかな?

No.11 5点 バード
(2021/10/16 23:48登録)
嫌いでないが好きでもない。
語り手が一方的にまくしたてるスタイルは『告白』に似ているが、あちらの方が人の悪意という点で振り切れており、それに比べると本作は日和り気味。『告白』の肝だった長所が薄まっている。
また、一応各話で仕掛けはあるものの、驚かすにはもっとパンチ力が必要かと思う。手紙という色々と仕掛けを盛りやすい形式を使っている以上、読者も身構えるわけでね。

といった諸々の感想から総合点はまずまず~やや物足りないという感じ。

No.10 6点 パメル
(2020/07/14 09:54登録)
本書は雑誌に連載した2編と、書き下ろし1編を収録。過去の事故や事件の真相を、本のタイトル通り、当時を知る人物たちがつづった書簡の往復によって炙り出していく連作ミステリ。
「十年後の卒業文集」は、部活仲間の結婚式を機に再会したかつての同級生同士が、行方が分からなくなっている千秋という女の子の話題を巡り文通を始める。千秋はある事故で顔に大怪我を負ったのだが、その原因などについて手紙を交わすうちに、当時、そして今、お互いにどんな気持ちを抱いているのかが浮かび上がる。そこには単純に青春時代の友情物語と美しく括れない、妬みや羨望が渦巻いていて恐ろしい。終盤、作者らしいからくりがあるのも読みどころ。近しい人とのコミュニケーションは、携帯電話やパソコンのメールが主流となり、手紙を書く機会は減ってきている。だが、本書では手紙という通信手段を使うことで、人物同士の微妙な距離感や、普段あまり顔を合わせないからこそ書ける赤裸々な感情を、生々しく描き出すことに成功している。
一度ポストに入れたらもう後戻りできない。受け取った後、メールのように消去できない。本書の主人公は人の心を映し出す手紙そのものといえるかもしれない。

No.9 9点 ミステリーオタク
(2019/09/18 06:39登録)

湊作品マイベスト3
①十五年後の補習(本短編集に収録)
①ムーンストーン(短編集「サファイア」に収録)
        以上順不同
③少女

しかし湊さんは娘さんが高校生になった今でも、都心の高級住宅街に出てくることもなく兵庫県の都会とは言えない地に在住しているのが凄いと思う。

No.8 5点 メルカトル
(2019/06/13 22:24登録)
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。
『BOOK』データベースより。

ここ最近色々ありまして、イマイチ集中できないまま読了してしまいました。その為、そこまで面白いとは思えませんでした。もう一度読み直せば、ひょっとするともっと高評価になる可能性もあり得ますね。
どの作品も手紙のやり取りを通して、少しずつある事件の真相に迫っていくというパターンで、プチサプライズが味わえます。しかし驚愕というほどではありません。第一話は最終的にそれはないだろうって言うのが正直なところ。第二話はあまりにも偶然が過ぎる気がします。第三話が最もミステリらしい作品だと思いますが、まあありきたりな感じで、感心する程のことでもない気がします。
『往復書簡』確かにそうなんですが、あまりそそられるタイトルではありませんね。作者の実力は見て取れますが、なんだか色々惜しい短編集ではないかとの印象で、個人的には多分すぐに忘れると思います。

No.7 6点 VOLKS
(2018/09/25 22:08登録)
こういったやり方(書き方)で謎を解いていく、という設定はとても面白い。
読み手の方も、はじめはよくわからない登場人物像が次第に解るようになり、尻上がりに面白くなっていける。
序盤の食い付きは大切だけれど、失速して残念な印象を受ける作品よりは、徐々に加速してゆく作品の方がやはり楽しい。
3作目も良かったけれど、吉永小百合によって映画化された2作目の方が良かったかな。
……映画化にあたり、全く違う話にすり変わりつつありましたが(汗)
いや、意外に私は1作目も好きだったけど。

No.6 7点 kowai
(2014/05/05 18:37登録)
作者らしいまとまり方でした。すばらしい。

No.5 6点 E-BANKER
(2012/11/09 22:57登録)
手紙でのやり取りをもとに、ミステリー風味のスパイスを利かせた連作短編集。
「二十年後の宿題」は最近、吉永小百合主演映画の原案になるという快挙!

①「十年後の卒業文集」=高校時代、同じ部活動(放送部)に所属していた男女6名。その中の2人の結婚式で集まったことをきっかけに過去の事件の真相が徐々に明らかになる。結局、誰も悪くないということなのかな?
②「二十年後の宿題」=定年前に入院したある女性教師は、過去の悲しい「事故」に関わった教え子6名のその後の人生を心配していた。そして、女性教師の代わりに別の教え子がこの6名に会い、その内容について手紙でやり取りを行う、というのが粗筋。「事故」は決して一面的なものではなく、6名それぞれが違う角度から見て感じていたのだ。ラストに判明する女性教師の「配慮」と「救い」が読み手の心を温かくさせる。(さすが、映画の原案になるだけある内容)
③「十五年後の補修」=これがある意味最も作者らしいのではないか。もったいぶってなかなか明かさなかった過去の「事件」。その内容と真相が明らかになったと思いきや、毒のある真相が徐々に炙り出されていく・・・。人間の「記憶」ってやつはこういうふうに都合よくできているものなのだろう。
④「一年後の連絡網」=これは文庫化に当たって新たに収録されたボーナストラック的作品、というか③の後日談的位置付け。まぁ、何につけ良かった良かった!

以上4編。
さすがにウマイね。売れるわけだよ。
スマホやタブレット端末全盛のこのご時世に、敢えて「手書きの手紙」に拘ったのが本作。
③の登場人物が手紙の中で「手紙のよさ」について書いているが、確かにそのとおりなんだよな。
同じ言葉を書いても「字」は全員が違うわけだし、手紙でしか書かない言い回しってやつも確かにある。
「手紙」をミステリーの小道具に使うという発想は別に目新しくはないが、読み進めるほどに徐々に書き手の本音や心理が明らかになるという趣向には唸らされた。

まぁ、ミステリー的な観点からはそれほど推すところはないが、読んで損のない作品なのは間違いない。
(③がベストだが、②も良い。①はやや落ちるかな)

No.4 6点 シーマスター
(2012/09/02 18:02登録)
タイトルどおり、全て手紙のやりとりで進む100ページ位の中編3作と10ページの短編1作からなっている。

・「十年後の卒業文集」・・・今更ながらのトリック・・・それにこれは無理でしょう。
・「二十年後の宿題」・・・作者らしい凝ったお話。これは無理ではないかもしれない。しかしこの終わらせ方は好きではない・・と思っていたら・・
・「十五年後の補習」・・・これもかなり凝った話だが、う~ん・・・・・・・・・・・・・・・負けました。第2話が映画化されるそうだが自分としてはこちらの方が・・・しかし忠実に映像化されたものを見たら一溜まりもないだろう。
・「一年後の連絡網」・・・イマイチ意図不明だが、まぁ第2,3話の・・ということで。

正直感動もしましたよ。だけど湊さんにはやはり人の悪意や敵意のドロドロ感や生臭さを期待しているので、そういう意味では今回はやや中途半端の印象は拭えなかった。

No.3 6点 測量ボ-イ
(2011/08/20 21:34登録)
氏の作品を読むのは3作めですが、その中では一番出来が
良かったでしょうか?
手紙のやり取りで話しが進む形式のユニ-クです。

No.2 6点 まさむね
(2011/02/13 15:36登録)
タイトルどおり,すべて書簡の文章のみで構成される中編集。
書簡のやり取りを読んでいくにつれて,謎が深まり・そして解明されて…って感じ。
3中編とも,この作者の「2文字漢字熟語3部作」の中で触れたようなシチュエーションだったりしますが,読後感はかなり異なります。
途中でラストが見えてしまう中編もありましたが,これまでの湊さんの作品とはまた違った観点で楽しめましたよ。

No.1 7点 白い風
(2011/01/28 17:46登録)
前作がちょっとオイラに合わなかったけど、今回は面白かった。
特に「二十年後の宿題」が好きかな。
当然3編とも事故・事件が付きまとうけど、湊さんには珍しく(笑)人物に共感できたのも好印象の一因かな。
全編、封書でのやりとりも気にならなかったよ。

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