まさむねさんの登録情報 | |
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平均点:5.87点 | 書評数:1196件 |
No.116 | 7点 | 暗いところで待ち合わせ 乙一 |
(2010/12/23 11:56登録) ミステリとして見れば、ちょっと弱いですね。 「事件の顛末」は序盤で容易に想像できましたし。 しかし、だからと言って途中で読み止めようとは思いませんでした。その点は素晴らしい。 決して仰々しくない、静かな感動を与えてくれますね。 二人を(多分敢えて)淡々と描いたあたりにセンスを感じます。 まぁ、ミステリ性は置いておこうか・・・と単純に納得させられました。 個人的に乙一作品は肌に合わないモノも多いですが、この作品はかなり好印象。 |
No.115 | 5点 | 温かな手 石持浅海 |
(2010/12/21 22:53登録) 「人間の生命エネルギーを吸収して生きている生命体」のギンちゃんとムーちゃんとそれぞれの同居人が主役の短編ミステリ集。 って紹介されても、なんじゃそりゃって感じですよね。 私も、当初はなんだかな~と眉唾だったんですが、まあ読み始めれば、妙な設定についてそんなには気にならなかったですね。その辺りは作者の力量なのでしょうか。非常に読みやすいですしね。 でも、謎解き自体はイマイチというか、無理くり感が強い。 総合的にこの点数かな。 |
No.114 | 6点 | 地下鉄に乗って 浅田次郎 |
(2010/12/19 18:27登録) ミステリかと問われると,弱いんですが… まぁ,その要素が皆無とも言いがたいので,お許しください。 この作品,「息子」って立場を経験したことがある方にとっては,多少なりともグッとくるのではないかなぁ。 で,「娘」や「妻」って立場を経験したことがある方にとっても,結構グッとくるのではないかなぁ。(共感するか否かは別として。) そして何より,銀座線に無性に乗りたくなるんじゃないかなぁ。 純粋なミステリではないので,この点数くらいになっちゃいますけど,小説としてはすこぶる良質と思いますね。 |
No.113 | 3点 | まほろ市の殺人 冬 有栖川有栖 |
(2010/12/18 09:06登録) 皆さんの評価が低いことはこのサイトで知っていたのですが,順に読み進めてきた「まほろ市シリーズ」で「冬」のみを未読とする訳にもいかず,思い切って読んでみました。 確かに,オチは如何なものでしょうかね。ちょっと痛い。「痛快」って意味じゃないですよ。 でも,このサイトの評価の低さと題名から,個人的には,さらなる「グズオチ」を想像していたので,思ったよりダメージは少なかった(笑)。 評価の低さは,臣さんのおっしゃるとおり,有栖川氏への期待の大きさの裏返しのような気もします。 で,この「まほろ市シリーズ」の全体評価。 読む価値アリなのは「夏」。 時間に余裕があれば読んでみてもよいのが「秋」。 その他の季節は…うーん…(以下略) |
No.112 | 5点 | まほろ市の殺人 秋 麻耶雄嵩 |
(2010/12/17 22:25登録) 短い中で,うまいこと詰め込みましたよねぇ。 怪盗まで引っ張り出してますしね。 不満もない代わりに,特筆すべき「コレ」って印象もなかったですね。個人的には,こういう“平均感”って嫌いではないですが。 |
No.111 | 8点 | まほろ市の殺人 夏 我孫子武丸 |
(2010/12/14 22:50登録) これは相当に良質の中編。素晴らしい。 もっと長くても…という希望も正直ありますが,これくらいの長さだからこそサクッと騙されたような気がします。(まあ,騙されやすい…というか騙されたい読者ではありますが。) この長さでの,後半のタタミ掛け具合や切なさの醸し出し具合は,ホントに賞賛に値します。やっぱり,この作者は「この種」の作品で輝くなぁ。 コストパフォーマンスも高いし,どんどん人に薦めたくなる作品ですね。 |
No.110 | 4点 | まほろ市の殺人 春 倉知淳 |
(2010/12/13 22:46登録) いや,サラサラ読めたし,決して楽しめなかった訳ではないのです。最低限のポイントは押さえてますしね。 でもなぁ…相当に微妙なトリックですよねぇ。ちょっと力が抜ける感じですよねぇ…ということで,この点数。 |
No.109 | 6点 | 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 島田荘司 |
(2010/12/11 15:05登録) 終盤の捻り具合など,島荘らしさを感じる点もありますが, 「良質ではあるが典型的なトラベル・ミステリー」あたりが率直な印象。 グイグイ引き込まれる面白さの一方で「やっぱり実際に刑事が列車に乗っちゃうんだ…」みたいな突っ込みどころも…。 総合的にこの点数かな。 |
No.108 | 4点 | ミステリアス学園 鯨統一郎 |
(2010/12/06 21:45登録) 皆様の書評のとおり,これはミステリ入門書として読むべきですね。 そう割り切れば,確かにためになったし,楽しめました。本格ミステリ度MAPなどは,なかなかの興味深さです。 しかし…最終章は如何なものでしょうか。苦痛に感じてしまったのは,私だけではないはず…。 この分,マイナスさせていただきます。 |
No.107 | 7点 | ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ! 深水黎一郎 |
(2010/12/05 11:21登録) なるほど。確かに「読者が犯人」を成立させましたね。 フェア・アンフェアを含め,結構な荒業を駆使していると思いますが,端麗な文章の影響もあるのか,不思議と不快感はなかったです。むしろ,叙述のうまさ,そして確かに「成立させた」ことに感動した次第。 好き・嫌いは別として一読の価値はあるかも。 しかし,このタイトルは酷い。センスの欠片も感じられない。もっと売れててもいいのになぁ。 |
No.106 | 5点 | 六枚のとんかつ 蘇部健一 |
(2010/12/01 22:40登録) 怖いもの見たさで読んでみた。 評判どおり,「凄み(?)」を痛感せざるを得ない短編が多かったが(「しおかぜ⑰号~」などは凄すぎてとてもコメントできない…),個人的には許容範囲内の短編もあった(表題作など)。 それだけに,どこまでがギャグなのか掴みきれず,何と捉えればよいやら…。 まぁ,記憶に残る短編集であることは間違いない。人に薦めるかは別として。 |
No.105 | 6点 | 館島 東川篤哉 |
(2010/11/29 21:27登録) まあ,ある意味で「館モノ」の王道かもしれませんが,何ともスケールのでかいトリックでしたね。 場合によっては,相当の批判も想定されるところですが,島に突きつけられた事情や時代背景を織り込むことによって,上手く批判をかわしてるなぁと(少なくとも私は)納得しました。 題名も良いですね。氏の作品にしては珍しい題名では?と思いつつ読み始めましたが,読み終えた後には「なるほど…」と。 でもなぁ。最初の殺人の「動機」はちょっと…。 本格をコミカルに描こうとする試みは否定しないけれども,仮に動機を「ギャグ」で逃げ切ろうとしたのであれば反則っぽい。 それ以外は,個人的には本格ミステリとして「アリ」な作品だと思います。(表現手法の好き嫌いはあるでしょうが…) |
No.104 | 8点 | ハサミ男 殊能将之 |
(2010/11/23 12:35登録) 何の前知識もなく読みました。 いきなり序盤から叙述系の臭いがプンプン。極めて典型的な叙述トリック二重奏でしたね。 …とか書きながら,実は,騙されてました。典型的なヤツなのに…悔しい。でも楽しかった。 作品のクオリティは,相当に高いと思いますね。 伏線も練られているし,表現も巧い。(ミートパイ食いたくなったし) すごく好きな作品ですが,以下が気になったので気持ち減点。 目黒西署が最後の最後に見落とすのかなぁ…。最後の現場の状況からすれば,かなり不自然な「思い込み」と思うが。 それと,医者との会話(言い換えればサイコ的要素)ってそんなに大切な要素だったのかな?ミスリードにそんなには資していないような気も…。 |
No.103 | 6点 | 密室に向かって撃て! 東川篤哉 |
(2010/11/20 22:11登録) 氏の作品を読むのは,「交換殺人には~」・「もう誘拐なんて~」に次いで3作品目。 まずは,烏賊川市シリーズは順に読むべきだったなぁと反省した次第。(一般的にそりゃあそうか。) で,思ったよりも本格の状況を作ってましたね。根幹はしっかりとしていて,安心感はあります。 犯人の意外性が少ない等,細かい点は色々(血は気付くんじゃないかなぁ…とか)ありましたが,まあ,ストレスなく読み進められたし,作者の「狙い」は成功してるような気がします。 ちなみに,既読2作品と比べて,ギャグが薄かったような気が…。個人的にはもっとガンガン攻めて欲しかったなぁ。 |
No.102 | 6点 | もう誘拐なんてしない 東川篤哉 |
(2010/11/19 21:30登録) 中盤までは,ドタバタコメディ舞台を見ているようで,それはそれで楽しめた。氏のギャグセンスは決して嫌いではない。むしろ「癖になる」予感すら。 で,終盤は一転して犯人探しがメイン。トリックは,まぁ作品全体からすると,隠し味くらいの位置づけか。 トリックというよりも,ユーモアミステリとして全編から醸し出される雰囲気を楽しむべき作品かもしれませんね。 |
No.101 | 5点 | クール・キャンデー 若竹七海 |
(2010/11/14 20:28登録) ページ数も限定されている(のであろう)中,綺麗に織り込みましたねぇ…という印象。 個人的には,最後の1行に衝撃を感じませんでした。 途中,何故「そっち」の方はノー追求なのだろう…って考えてしまったので,何となく察しが…。「そっち」についてあそこまで完全に放りっぱなしにするんですから,匂いがプンプンと…。(主人公の件は気付かなかったケド…) 感情移入できる登場人物がいなかったことも,ちょっと残念。 |
No.100 | 9点 | すべてがFになる 森博嗣 |
(2010/11/13 16:19登録) 今まで「理系ミステリ」ってイメージだけで氏の作品を避けていたのですが,ひどく損をしていたことを思い知らされました。 緻密なパズルを見せ付けられた感じ。 登場人物のキャラにも魅かれる。 登場人物に「語らせてる」内容も(共感できるかはともかくとして)好印象。 高評価になっちゃいますね。 |
No.99 | 8点 | 少女 湊かなえ |
(2010/11/13 10:57登録) あまり評価は高くないようですが…私は好きですね。 何を基準に選ぶかによるけど,「告白」よりもこちらを人に勧めるかも。 終盤の因果の連鎖はなかなかだし,友情とか親子の愛情を噛ましているところも悪くない。 で,「因果応報、地獄に堕ちろ!」って台詞が効いてるなぁ。 軽快に読み終えた後に気付く猛毒。何気ないブラック度の高さ。 やっぱり悪くはないですね。(小説として) なお,机の上にこの本を置いていたら,家族が物凄く怪訝そうな顔をして表紙&題名を眺めていました。 「いや,これは「告白」を書いた作者の小説であって,決して…」 うーん。やっぱりブラック度は高かった。 この個人的な印象の強さを含め,批判覚悟で8点献上。 |
No.98 | 6点 | 贖罪 湊かなえ |
(2010/10/31 21:03登録) 本当は出版順に読みたかったのだが,図書館予約の関係で,「少女」よりも先読せざるを得なかった。(「告白」は読了) で,この作品。各章ごとに違う視点での独白というスタイルは「告白」と同じ。グイグイ読まされた感も同じ。 特に第1章(紗英パート)と第2章(真紀パート)は良い。その後はちょっとだれ気味な面もあったが,全体的に湊ブラックを感じることはできた。どうせならば,ラストまで完全ブラックでも良かったような気もするが…。 |
No.97 | 6点 | 廃墟に乞う 佐々木譲 |
(2010/10/30 21:52登録) 過去の事件で精神的に傷を負い,休職している刑事が主人公の連作短編集。直木賞受賞作。 ミステリ性は極めて薄いが,まぁ良い読書時間ではあったのかなぁ…そんな印象。 氏の連作短編であれば,「制服捜査」の方が良作かも。 |