home

ミステリの祭典

login
まさむねさんの登録情報
平均点:5.89点 書評数:1283件

プロフィール| 書評

No.1103 5点 化石少女と七つの冒険
麻耶雄嵩
(2023/08/24 19:15登録)
 化石少女の続編。順番どおりに読んだ方がいいですね。
 前作同様、舞台は京都北部の名門私立高校・ペルム学園。学園内でこれだけ殺人事件が頻発すれば、マスコミとしては化石少女どころの話じゃないだろう、などと考えちゃいけないことが気になって仕方がなかったワタクシ。ダメな読者でしょうか。
 で、内容としては、麻耶雄嵩らしいとも言えるし、らしくないとも言えそう。最終的には作者の初期長編「あいにくの雨で」を思い起こしました。当該作品を読んだ時にも、同様の感想をもったものですから。パターンは両作品で異なるのですがね。


No.1102 5点 空想の海
深緑野分
(2023/08/19 23:37登録)
 デビュー10周年記念作品集ということで、児童文学や幻想ホラーも含め、バラエティ豊かな短編が収録されています。
 前半は非ミステリが続くこともあって、「ちょっと求めていたのと違う…」といった感想。きっと良作なのだろうと認識しつつも、私の感性が追いついていけなかった感じ。
 とは言え、最も印象に残った短編も非ミステリである最終話「緑の子どもたち」。児童文学という位置づけなのだろうと思いますが、結構沁みたなぁ。「本泥棒を呪う者は」も良かったのだけれど、これは多分、別長編「この本を盗む者は」を読んでいれば、もっと楽しめたのかな。「御倉館に収蔵された12のマイクロノベル」も同様(なのだと思う)。


No.1101 6点 濱地健三郎の幽たる事件簿
有栖川有栖
(2023/08/15 20:29登録)
 シリーズ2作目。純然たるホラーあり、ホラーだけどコミカル・タッチもありの短編集です。個人的ベストは、弟の依頼で姉の失踪の謎を解く「姉は何処に」でしょうか。ミステリの味付けが最も濃く、ホラーとしても成り立たせています。
 江神二郎も火村英生も好きですが、濱地健三郎もイケています。助手の志摩ユリエの効果も大きいかもですが。


No.1100 6点 寝台特急(ブルートレイン)殺人事件
西村京太郎
(2023/08/12 20:56登録)
 所謂トラベルミステリーの第一作と言われる作品。それまで多彩な作品を発表しつつもベストセラーには恵まれなかった作者の名を、全国に広く浸透させた作品と言えましょう。その後の作者のトラベル偏重路線に関しては、様々なご意見はありましょうが、本作が作者にとって大きな意味を持つ作品であることは間違いないと思います。
 あらためて読んでみたのですが、出だしからの興味深い謎の提示、そこから引っ張っていく力は流石だなと思います。後半のサスペンス要素も作者らしい。勿論、突っ込みたくなる点も種々あるのだけれど、それもまたお楽しみポイント、ということで。


No.1099 6点 君のクイズ
小川哲
(2023/08/08 21:03登録)
 生放送の対戦型早押しクイズ番組。その決勝戦で、一文字も問題文が読まれていないのに正答し、優勝を果たすという事象が起きた。何故そのようなことが可能だったのか?
 シンプルかつ魅力的な謎で、一気に読まされました。真相自体は、想定の範囲を超えてこないというか、やっぱりそういったことだよねぇ、という感じ。でも、何やら深いトコロを突いているような気もします。どうでもいいことだけれど、個人的には恋人の桐島さんとの件をもう少し深掘りしてほしかったかな、という願望も。


No.1098 5点 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか
詠坂雄二
(2023/08/06 13:14登録)
 孤島で撮影された映像を基に事件を再構成した部分(奇数章)については、敢えて淡々と書かれているのだろうと思いながら、個人的にはそう退屈することもなくある種の期待感をもって読み進めることができました。しかし読後感としてはう、うーむ…。
 真相らしきものは、まぁ置いておくとして、相変わらず捻くれているんだよなぁ。作者らしいと言えばそうかもしれないけれど、その捻りは真に読者の満足感につながっているのだろうか。少なくとも私は消化不良だったかな。狙いは分かるのですが…。関連作を読んだのが随分前で月島凪探偵の記憶がない私が悪いだけ、もしくは私の読み方が浅すぎるだけかもしれませんが。


No.1097 5点 九度目の十八歳を迎えた君と
浅倉秋成
(2023/08/03 21:07登録)
 私が年をとって、頭も固くなったからなのだと思うのですが、同年齢を繰り返すことは「あり得ること」と周りが違和感を持たないという設定に最後まで馴染めず、ちょっと入り込めなかったですね。それと、青臭さが何とも…。「だから?」みたないな感じも…。色々とストンと胸に落ちてこない部分があるのです。
 すみません、私が年をとってしまったのです。頭の柔軟性もなくなってしまったのです。そのせいです。ちなみに、教頭先生は素敵でした。ロックスター真鍋もいい。


No.1096 6点 the TEAM
井上夢人
(2023/07/30 23:48登録)
 連作短編。各短編自体、興味深く読ませていただきました。ゴシップ週刊誌記者との駆け引きなど、なかなかに痛快。四人のチームプレーにも好感。連作全体としては、「人を救うとは何ぞや」みたいなことを考えちゃったりして。
 楽しく読んだのだけれど、ミステリとしては…という点を勘案してこの採点。


No.1095 7点 しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人
早坂吝
(2023/07/30 23:05登録)
 やられたなぁ、と思い読み返してみて、なるほどなぁ、と感じた作品。違和感の一部が想像通りだったとしても、ごくごく一部であるし、芯からほど遠い部分でありました。
 なお、作品に登場する某作家の某作品については、「こんなこともあるのだなぁ」と妙に記憶に残っていたのですが、巧く活用したものですねぇ。なるほどねぇ。


No.1094 6点 天久鷹央の推理カルテ
知念実希人
(2023/07/22 18:57登録)
 人気シリーズの第一弾。シリーズ全体で売れているのは分かりつつも、何となく手を出しづらかったワタクシでしたが、やっぱり読んでみないことにはね…と一念発起(そんな大げさなものでもないか)。
 河童出現の謎を解く1話目の時点では、正直「むむぅ…」といった評価だったのですが、次第に盛り返してくれました。最終話では、病気の謎に病院内の権力闘争も絡むという医療ミステリ定番の流れから、痛快に締めてくれました。確かに、シリーズ化されて売れそうな要素があります。


No.1093 7点 政治的に正しい警察小説
葉真中顕
(2023/07/17 19:41登録)
 ノンシリーズの短編集。質は高いと思います。
①秘密の海:児童虐待を扱った作品は多いが、こういった角度で見せられたのは初めてかも。巧い。
②神を殺した男:非現実的に見えて、何気に現実的な気もするホワイ。
③推定冤罪:このページ数で考えさせられ、してやられた。
④リビング・ウィル:ふふふ。なるほど、そんなものかもしれない。
⑤カレーの女神様:あれ?以前何かの掌編で見たのと同じネタじゃないよね、と思ったら案の定。
⑥政治的に正しい警察小説:深水黎一郎さんが書きそう…とか思っちゃった。


No.1092 6点 殺人ダイヤルを捜せ
島田荘司
(2023/07/13 22:41登録)
 サスペンスとしてなかなかに良質。でも、今の中高生にしてみると、メイントリックも含めてピンとこないだろうなぁ。よくよく考えると「ダイヤル」っていう単語自体が懐かしい。


No.1091 6点 恋する殺人者
倉知淳
(2023/07/10 20:38登録)
 「基本に忠実な作品だなぁ」というのが、読後の第一印象。
 作者としては珍しいラブコメタッチ。中編と言ってもいいくらいの文量で、複雑な展開でもないので、登場人物たちの軽快な会話もあいまって、スラスラと読み進められます。気軽な気持ちでガンガン読み進めていくのが「正しい」読み方だと思います。評価は分かれそうな気がしますし、突っ込みどころ(mozartさんに同意)もあるのだけれど、私としては、時に欲するタイプの作品ではあります。


No.1090 5点 札幌着23時25分
西村京太郎
(2023/07/08 16:30登録)
 昭和時代以来の再読。航空ストで飛行機が飛ばない状況の中、重要な証人を当日中に札幌まで運ぶミッションを遂行する十津川・亀井コンビ。それを阻止しようとする暴力団顧問弁護士との知恵比べ。
 当時の東北新幹線は、大宮・盛岡間だったのですねぇ。青森までは「はつかり」、そしてまだトンネルが使えないから、青函連絡船ですか。時代の流れを感じるなぁ…。こういった懐かしさも悪くないし、サスペンスとしても悪くないです。
 一方で、大人になって読み返してみると、突っ込みどころも満載。まずは、札幌地裁の判断があり得ない。仮に陸路で運ぶとしても、もっと安全な策が容易に考えつきます。そもそも、事件に無関係の乗客を危険に巻き込まないことを第一とすべきで、「そんなことに気を遣うのなら、コレコレをしなよ…」とややイライラ。でも、それでは物語にならないし、大人気ないかぁ。うーん、もしかして、時代の流れの中で面倒なオトナになっちゃったのかな…。


No.1089 7点 仮面病棟
知念実希人
(2023/07/06 20:47登録)
 正直、病院の秘密や黒幕を含めた物語の大枠は、早い段階で予測がつきました。あまりにもアレすぎますしねぇ。
 しかしながら、決して「つまらなかった」とはならなかったことがポイント。むしろ次々にページをめくらされ、展開に身を委ねる心地よさを感じました。終盤の急展開も好印象。リーダビリティは高いです。
 本作は2014年の発表。この時点で作者の技量は十分に確認できますねぇ。切り上げたうえでの、この採点。


No.1088 6点 火のないところに煙は
芦沢央
(2023/07/02 21:19登録)
 ドキュメンタリーの体裁を使ったホラー連作短編。各短編が衝撃的に怖いわけではなく、じわじわ来るあたりで短編の収束を迎える感じで、個人的には丁度いい塩梅。ホラーはあまり得意ではないので…。最終話のまとめっぷりは、なかなか上手いと思いましたし、タイトルが浮き出てくる感じもイイですね。


No.1087 7点 寝ぼけ署長
山本周五郎
(2023/06/29 20:52登録)
 勉強不足の私にとって、山本周五郎といえば「樅ノ木は残った」一択なのですが、こういった探偵小説も書いていたのですねぇ。このサイトで知りました。ありがとうございます。
 10短編の中に決して大技があるわけではありません。しかしながら、寝ぼけ署長・五道三省の王道たる「正義の味方」譚は非常に清々しい。弱者への作者の温かい眼差しが随所に表れている、好短編集と言えると思います。


No.1086 6点 教室が、ひとりになるまで
浅倉秋成
(2023/06/26 21:26登録)
 高校で立て続けに発生した生徒の自殺。遺書には同じ文章が書かれていたらしい…。
 一般的な学園ミステリかと思っていた矢先、突然ぶち込まれるSF要素。何の事前知識なく読み始めた者としては「そっち系だったかぁ」といった軽い驚きがございました。で、心も新たに?特殊設定ミステリとして読み進めますと、隠された能力の謎を含めてなかなかに興味深く、グイグイ読まされました。達者な作家さんだなぁ、と思います。
 一方でモヤモヤする点も。学園青春ミステリ的な要素も十分に備えていて、その時期特有の悩みも分からないではないのだけれども、だからといって何人も殺していいわけではないし、有耶無耶にしていいわけでもないような…。どうしても、犠牲となった生徒の家族に思いを巡らせてしまう自分がいたりします。


No.1085 6点 百万のマルコ
柳広司
(2023/06/18 22:18登録)
 舞台は13世紀末のイタリア・ジェノヴァの牢中。マルコ・ポーロと名乗る新人が囚人として加わるが、彼は大ハーン・フビライの命で遙か東方の国々を巡り、多くの体験をしてきたという。「神に感謝。アーメン、アーメン。」で終わる彼の体験談に「肝心な点が抜けてやがる!」とその真相を探ろうとする囚人たち。このパターンの謎解き14話(文庫版の場合)を収録する連作短編集。
 難解な謎解きではなく、「とんち話」といった趣であることが特長。気軽に楽しめる内容なので、合間合間に少しずつ読み進めるのもいいと思います。


No.1084 6点 11文字の檻
青崎有吾
(2023/06/16 20:18登録)
 短編・掌編集。デビュー10周年記念作品集ということで、各編の趣向は様々。個人的な評価は作品によって大きく異なります。
①加速してゆく:アンソロジー「平成ストライク」にて既読。JR福知山線脱線事故を題材としていることは承知していたが、そうか、そういった結論だったか。
②噤ケ森の硝子屋敷:新本格30周年記念アンソロジー「謎の館へようこそ 白」にて既読。この結末なら記憶に残っていてもいいはずなのに…。
③前髪は空を向いている:漫画作品を読んでいないので、何が何やらよく分からない。
④your name:「超短編!大どんでん返し」にて読んだはずであることを、著者による各話解説で知ったくらい、記憶になかった。
⑤飽くまで:これは好きなタイプの掌編。
⑥クレープまでは終わらせない:イラストレーターとのコラボ作品だそうで、巨大ロボの清掃バイトをする女の子のお話。うーむ。
⑦恋澤姉妹:非ミステリ。作者の作品で、こういった乾いた雰囲気の作品を読むのは初めてかも。
⑧11文字の檻:本短編集中のベスト。

1283中の書評を表示しています 181 - 200