アリアドネの声 |
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作家 | 井上真偽 |
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出版日 | 2023年06月 |
平均点 | 6.67点 |
書評数 | 9人 |
No.9 | 7点 | たかだい | |
(2024/11/16 07:32登録) 地震災害によって地下に取り残された女性(全盲かつ耳も聞こえない)を、災害用ドローンを駆使して地上まで安全に誘導するーという災害救助をテーマとしたサスペンス作品 発売当初から期待していた作品で、実際、その期待通りの作品でした 道中、ドローンの不調といった機材トラブルであったり、人間関係の不和も起こり、事故現場にも単純に危険箇所が連続し、一筋縄ではいかない誘導劇が楽しめる また、全盲の筈なのに部屋の明かりを付けたり、誘導困難な状況で的確な行動を取る女性ーーこの、話が進む毎に膨らむとある疑惑がストーリーに彩りを与えてくれる。最後の最後に明らかになる真相では、カタルシスが最高潮に達します 非常に面白い作品でした |
No.8 | 6点 | 鷹 | |
(2024/08/10 08:40登録) スリリングは危機の場面がありますがあっさり解決してしまうので拍子抜けしてしまいましたが、最後の真相にはなるほどと納得しました。 また、ドローンについての知識が深まりました。 |
No.7 | 8点 | sophia | |
(2024/05/03 21:53登録) ドローンってそんなことが出来るんだという驚きは随所にあるものの、ストーリーを見ると訪れる危機を順繰りに乗り越えていくだけで特に意外性はなし?残りページ数もわずかだしこのままあっさり終わるのかなと思いきや。久しぶりに感涙ものでしたが、ある人物の言った「頑張りすぎる人がいると困る」はそうだろうなと思いますし、一概に感動の押し付けにはなっていないところにもこの作品の価値を感じました。あとユーチューバーのやつはもっとしっかり懲らしめてほしかったです(笑) |
No.6 | 7点 | メルカトル | |
(2024/04/15 22:18登録) 救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 『BOOK』データベースより。 読んでいる最中、何故この作品がこれ程世評が高いのかと色々考えていました。何の変哲も捻りもないとは言い過ぎかも知れませんが、B級映画を観ている様な感覚を覚えます。文章はデビューした頃に比べて格段に上手くなっているとは思います。しかし、あまりサスペンスフルに感じられず、イマイチ緊迫感も深みもないし、どこが面白いんだろうなと。 しかし、読中と読後の評価がこれ程激変するとは思いも寄りませんでした。確かに感動しましたし、鳥肌が止まらない。これは読んだ人にしか分かりません、当然ですが。流石に『このミス』5位は伊達ではなかったって事ですね。ただ、もう少し全体的に盛り上がるシーンがあっても良かったんじゃないかなとは思います。そうすれば更に高得点が得られたでしょう。 サクッと読めますし、あの場面はそういう意味だったのかと色々腑に落ちる点があるのは間違いないですよ。後味も良いし、何だか希望と勇気が湧いてくる気がするのは私だけかも知れませんが、それもあながち褒め過ぎではないと思いますね。 |
No.5 | 7点 | まさむね | |
(2024/01/25 21:47登録) 大地震で壊滅的な被害を受けた地下構造体(地下都市)に取り残されてしまった方を、ドローンを駆使して救助する物語。しかも要救助者は、「見えない、聞こえない、話せない」という複数のハンディキャップを抱えていた…。 サスペンスとしての救出シーンも悪くないのですが、そのラストには素直に驚き、そして感動しました。色々な意味で「誘導」が巧みです。 能登半島の報道に接しながらの読書だったこともあり、個人的には様々考えさせられもしました。 ちなみに、設定的に「方舟」と近しいところがあるように見えるかもですが、方向性は全然違っています。どちらの作品も好きですね。 |
No.4 | 6点 | 虫暮部 | |
(2023/08/26 13:13登録) 感動してしまったのは認めざるを得ないが、こんな捻りの無い話で手も無く感動しちゃっていいの? と突っ込む天邪鬼も私の中にいるわけでどうしたものか。 ふと思ったのだが、もっとフィクション度の強い、宇宙時代だったり異世界だったりの話ならすんなり読めたような気もする。現実と地続きだとエンタテインメントとして受け止めづらい。 しかしハンディキャップを持つ名探偵の話なら普通に読めるしなぁ。やはりハンディキャップ自体をテーマにしたストレートさ、クッションの無さ、に何かひるんでしまうところが私にあり、こういうのをもう一冊、とは思わない。 |
No.3 | 7点 | 人並由真 | |
(2023/08/18 04:49登録) (ネタバレなし) 少年時代に兄を事故で失った「俺」こと高木春生(ハルオ)は、癒えない心の傷に向かい合うように、災害救助用ドローンの開発の技術者となっていた。そんなとき、障害者の支援を重視して設計整備されたモデル都市「WANOKUNI」周辺で大規模な地震が発生。地下層5階の地底空間が閉ざされるが、そこにただひとり残されたのは、視覚・聴覚・発声の三重障害者で、令和のヘレン・ケラーと称される女性、中川博美だった。ハルオと同僚たち、そして消防士たちは人間が侵入不可の地下階層に救助用ドローンを送り込み、音も光も知覚不能な博美の救助を試みるが。 よくできたヒューマンドラマ・サスペンス。 真面目で泣ける話でそれ自体はとてもお好みだし、波状攻撃風のクライシスの続出も文句はない。 ただし先のお二方のレビューの通り、大枠のストーリーがほぼ一本道なので、高い点をつけにくい(終盤に至るまで、中小のどんでん返しやサプライズは用意されているのだが)。 良い意味で二時間ちょっとで通読できる秀作。 心情的には、8点をあげたいと思いながら、それではなんかどこか自分にウソをついてしまうと思って、この評点。 一定以上の面白さは保証します。 |
No.2 | 6点 | mozart | |
(2023/07/06 12:51登録) ミステリー作品だと思い込んで読んでいたので「どんでん返し」自体はビックリするほどのものではなかったのですが感動モノとしては十分楽しむことはできました。緊張感のあるストーリーも一本道だったので読みやすかったですがちょっと物足りなかったかも。障がい者を姪に持つ政治家(知事)とか暴露系ユーチューバーとかの絡みはほとんどなかったし。 |
No.1 | 6点 | みりん | |
(2023/06/22 22:30登録) 帯から『方舟』のような話を期待して購入すると全然違った。いや帯をよく見ると確かに全然違うタイプであることは容易に予想できるんだけどちゃんと読んでなかった笑 本格ミステリではないのでそれをお求めの方は気をつけてください。 ここから微ネタバレ 『無理だと思ったらそこは限界なんだ』 だから諦めるのか、それとも挑戦するのか、はたまた別の道を模索するのか 一本道でわかりやすいテーマだったと思う。どんでん返しというには少し足りない気がするけど、露悪的な作品に惹かれる自分にはもったいないほどエモーショナルで良い真相だったなあ。しかし…私以外の方は気付くんじゃないでしょうか笑 他の方のレビューも楽しみです。 |