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ミステリの祭典

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クローズドサスペンスヘブン

作家 五条紀夫
出版日2023年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 まさむね
(2023/11/07 20:28登録)
 現世で惨殺された6人が、ほぼ記憶をなくした状態で天国に返り咲く。自分は間違いなく誰かに殺された。自分は誰で誰に殺されたのか?「全員もう死んでる系ミステリー」との触れ込み。
 軽快な語り口の中で、あまり深く考えずにスイスイと読み進めてしまいましたが、読後に振り返ってみると、構成はしっかりと考えられていると思います。
 一方で、個人的に乗り切れなかった部分があったのも事実。特殊設定の必然性があまり感じられず、ご都合主義的に見えたからかな。勿論、楽しく読ませていただいたのですが。

No.1 7点 人並由真
(2023/06/06 07:02登録)
(ネタバレなし)
 首を切られた男は、気が付くとリゾートビーチと西洋館がある場所にいた。そして男の前には、すでに先にここに来ていた5人の男女がいた。彼らは全員、現実の世界で首を斬られて殺され、記憶を失くした状態でこの「天国屋敷」に来ているらしかった。誰が誰なのか? 事件の真相は? そして犯人はなぜ、一同を殺したのか? 

 殺人事件に関わって死亡した人間たちの残留思念が、いわゆる成仏できずに天国めいた場を形成。そこではその世界の条理に則したことは可能だが、そうでないことは許されない。
 そんな特殊設定のなかで語られるフーダニットパズラー。
 300ページない紙幅で、リーダビリティも高い内容なのでスラスラ読めるが、中味は相応に練られてはいる。
 
 で、ネットでは一部、部分的にインチキとかズルではとかの声もあるが、評者的にはさほど気にならない。ただし真相が割れたのち、何人かの登場人物の言動に、そうなっちゃうのかな? 的な摩擦感を覚える箇所はあった。もちろん詳しくは言えないが。
 器用に話を転がし、妙な抒情性の雰囲気の特殊設定パズラーとしてまとめてあるとは思うが、なんであそこで? 不自然やろ? 的にツッコム人は出そうだ。まあ、その辺は。
 あと、世界観の設定が、話の都合に合わせ過ぎるとか感じる人もいるかもね。

 ただし、それらの辺を考えても、得点的には十分以上に面白くはあった。
 青臭い感じもあるが、それはこの作品の場合、魅力に思える。

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