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ミステリの祭典

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焰と雪 京都探偵物語

作家 伊吹亜門
出版日2023年08月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 7点 小原庄助
(2026/06/07 08:21登録)
主人公は元刑事で探偵事務所を営んでいる鯉城武史。彼には幼馴染みの共同経営者である露木可留良がいる。
「うわん」化け物が出ると噂の山荘で怪異の正体を見極める。「火中の蓮華」つきまというに悩まされている女性に頼まれ恋人のふりをしたのがきっかけで、放火事件が起きる。「西陣の暗い夜」浮気調査が殺人へと発展する。
いずれも鯉城が一度は解決するものの、露木に話すと別の真相が出てきてというバディものであるが、本書の真骨頂は第四話からだ。
第四話と第五話で語られるのは、鯉城と露木の過去だ。どのように出会い、その後二人がどんな付き合いを続けてきたのか。それが何を生み出したのか。本書が語られる事件はいずれも愛情とエゴ、嫉妬と憧憬のように表裏一体ものの対比が根底にあるが、頑強な鯉城と病弱な露木にもその対比は当てはまる。
なぜ露木は鯉城が一度は決着させた事件に意外な真相を提示するのかというのがポイント。華やかにして猥雑な大正モダンの描写も効果的である。

No.2 6点 びーじぇー
(2025/11/08 21:58登録)
舞台は大正時代の京都。元刑事の経験を生かした調査担当の鯉城武史と蒲柳の質ゆえ安楽椅子探偵的に推理を巡らす露木可留良が共同経営する鯉城探偵事務所には、さまざまな依頼が持ち込まれる。
鹿ケ谷の山荘に響く妖怪「うわん」の叫び声、惨殺された金貸しの老婆ミヨ松の幽霊の出現、背景にある哀しい情念が見えてくると、景色が一変。鯉城と露木、それぞれが背負った過去に胸が塞がる。ホワイダニットにこだわり続ける収録された五編は真実が人を救うとは限らないからこそ余韻が残る。

No.1 7点 まさむね
(2024/01/06 12:26登録)
 大正時代の京都を舞台とした連作短編集。警察を辞めて私立探偵となった鯉城武史と、伯爵の落とし子である露木可留良が事件の真相に迫ります。
 第一話「うわん」は、結構あっさりとした結末で多少肩透かし。でも読み続けるべし。第二話「火中の蓮華」、第三話「西陣の暗い夜」で人間の情念を示しつつ、読みどころは第四話の「いとしい人へ」。その流れでの最終話「青空の行方」もハードボイルドタッチで好印象。
 一般的なバディものとは一味違った味わいでした。6.5点を切り上げてこの採点。

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