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ミステリの祭典

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青き犠牲

作家 連城三紀彦
出版日1986年06月
平均点6.33点
書評数6人

No.6 7点 まさむね
(2023/11/28 19:10登録)
 ボリューム的にはコンパクトだけれど、中身は濃縮しています。ギリシャ悲劇に絡めながら二転三転させていく展開がお見事。伏線も含めて、そこかしこに「連城らしさ」が表れています。数ある連城作品の中では目立った位置づけではないのかもしれませんが、個人的には評価したい作品。

No.5 8点 みりん
(2023/06/11 23:22登録)
230ページでこの満足感。いまのところ連城三紀彦の長編で1番好きです。(まだ長編有名作が多数未読ですが)
ギリシャ神話に登場するオイディプス王がモチーフであり、産まれた時から"罪の血"を背負った1人の青年の倒叙物語。


ネタバレあり




と思っていたらこの反転は予想外だった。アリバイトリック、"罪の血"の意味、そして母親の18年かけた策謀(と愛情)は見事という他ない。
ただ、ラストの妊娠のくだりは唐突じゃないか?

No.4 7点 斎藤警部
(2018/08/30 20:19登録)
ツッパリ高校生の大出撫洲夫(おおいでぶすお)が、父の羅哀牡(らあいおす)を褒め殺し、母の飯岡ステ(いいおかすて)と刎頸の交わりになる渋谷系痛快アクション。

なワケがありません。

こんだけ露骨に『オイディプス王』と小説内で喧伝され、いかにもそれらしいエピソードが奔出すればこそ、いやしくも連城が律儀にその線をなぞっておしまいのわけがなかろうよ、、、とわざわざハードルを上げるだけの流石の担保がこの作者には在る。

ふつうなら普通に主役級のちょっと凄いアリバイトリックをまずまずの脇役にまで後退させた残酷過ぎる反転大真相。。。。これだけ複雑な経緯に呑み込まれた闇黒水域を泳ぎ渡りながら、どこか割り切ったコマの動きを見せる主要登場人物たちが不思議な魅力を放ちます。 ところで、ラストシーンは光明への一歩なのだろうか。。。。

安易に”叙述トリックのイヤミス”などとは絶対に呼ばせない、何とも詳述し難いハガネの様な強い意志の薫り来る一品。

夏のおそうめんのようにスルスル行けてしまう、あっという間の長篇でもありまする。

No.3 5点 E-BANKER
(2015/04/16 23:19登録)
1989年に発表された作者の第五長編。
昨今のプチブームに合わせて、光文社より復刊され読了。

~高名な彫刻家の杉原完三が、自宅兼アトリエから姿を消した。一ヶ月後、完三は武蔵野の森から遺体で発見された。犯人は誰なのか。高校三年生の息子・鉄男の出生の秘密、美貌の母と鉄男の異常な関係など、杉原家の抱える歪んだ家族関係が明らかになり、容疑は息子の鉄男に向けられるが、仰天の顛末とは・・・? ギリシャ悲劇を絡めた連城初期の傑作長編ミステリー~

まさにタイトルどおり。
本作で示されるのは「青き犠牲(いけにえ)」なのだ。
登場するのは連城作品らしい“歪んだ人々”たち。
歪んだ人々の発する言葉は、果たして本心なのか、それとも真っ赤な嘘なのか・・・?
読者は最後までケムに巻かれることになる。

本作のもうひとつのモチーフがギリシャ神話に描かれている「母子の異常な関係」。
息子と姦通してしまう母、父親を殺してしまう息子。
果たしてこの事件はギリシャ悲劇を正確に模しているのか・・・どうか?
そこはやはり連城。まともな終わり方ではない。
真相は“裏の裏”なのか、“裏の裏の裏”なのか、はたまたさらなる裏が待ち受けているのか・・・

ただ、切れが今ひとつなのは否めない。
他の佳作では、思わずのけぞるほどのサプライズや切れ味の妙を感じるのだが、本作はそこまでの印象はない。
悪い意味で何となくムズムズ感が残る・・・感じなのだ。
というわけで、評点はやや辛めになる。
(こういう女って・・・怖いねぇー)

No.2 5点 teddhiri
(2009/01/30 15:05登録)
この作者らしいどんでん返しを期待して読んだのだが、明らかにされる構図は期待はずれ。戻り川心中や人間動物園の反転が10点とするならこれは4点ぐらい。

No.1 6点 こう
(2008/06/18 00:43登録)
 連城三紀彦第4長編作品です。帯に書いてある通りで、高名な彫刻家とその美貌の妻、18歳の息子の三人がメインキャストでオイディプス(エディプス)王がモチーフとなっており、彫刻家が死に、息子が疑われて、というお話です。
 真相、トリック、犯人像はいかにも連城作品らしい仕上がりですが、あまり感情移入できる作品ではありませんでした。連城ミステリ好きには十分面白いとは思いますが個人的には連城作品の女性像はあまり好きではないのでその分評価は低めです。

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