home

ミステリの祭典

login
E-BANKERさんの登録情報
平均点:6.00点 書評数:1896件

プロフィール| 書評

No.256 6点 亡命者 ザ・ジョーカー
大沢在昌
(2010/06/19 00:53登録)
前作「ザ・ジョーカー」に続く連作短編集。
六本木のバーで依頼人を待つ”仕事人”ジョーカーが主人公です。
①「ジョーカーの鉄則」: ジョーカー最初の依頼についての思い出。
②「ジョーカーの感謝」: 途中で敵に捕まり大ピンチに! 
③「ジョーカーと戦士」: ドラクエを想起させるRPG「クエストエンブレム」が依頼の背景に・・・
④「ジョーカーの節介」: ちょっと趣の違う一作。協力者である沢木の娘のために、ジョーカーが一肌脱ぎます。
他2編。
全体的には前作より劣るかなぁという印象。
ストレートな作品というよりは、やや変化球的な作品が多いような気がします。


No.255 7点 第三の時効
横山秀夫
(2010/06/19 00:42登録)
F県警強行班シリーズの連作短編集。
さすがの安定感で、どれも安定して高いレベルの作品と言えます。
①「沈黙のアリバイ」: この中では若干落ちる印象。オチも普通レベル。
②「第三の時効」: 面白い。公安崩れの2班班長「楠見」のキャラはなかなか強烈です。ラストのまとめ方も鮮やか。
③「囚人のジレンマ」: 中間管理職ともいえる田畑捜一課長に同情。でもラストはなかなかいい話に・・・
④「密室の抜け穴」: 2人のライバル、朽木と村瀬がガチンコ対決。警察って厳しい競争社会ですねぇ・・・
⑤「ペルソナの微笑」: 若手刑事、矢代が活躍。
他1編。
どの登場人物もキャラが明快に書き分けられており、作者の筆力に脱帽です。


No.254 5点 サテンのマーメイド
島田荘司
(2010/06/19 00:25登録)
初期のノンシリーズ作品。
作者唯一のハードボイルド作品という触れ込みで、実際はハードボイルドと本格の融合を狙った作品のようです。
内容については「うーん」・・・
ハードボイルドとしてはかなりベタな感じですし、本格物としては謎もトリックも陳腐なレベルとしか言えませんねぇ・・・
この頃は、吉敷物や御手洗物以外にも多種多様な作品を世に出していた時期で、「火刑都市」のようなレベルの高い作品もあれば、本書のように「やっつけ感」のある作品もあるというイメージです。
作品の中にも出てきますけど、人間の生首ってそんなに簡単に取り扱えるものなんですかねぇ?


No.253 8点 七人の証人
西村京太郎
(2010/06/13 23:00登録)
初期作品ですが、十津川警部が探偵役として登場。
本作品はプロットが秀逸だと思いますねぇ・・・
最近の作品からは想像もつかないですが、この頃の氏の作品のプロットは奇抜かつ斬新なものが多いです。(本作品の他にも、「華麗なる誘拐」や「盗まれた都市」など)
本作は過去の事件と現在の事件が、孤島というクローズドサークルで同時進行し、ラストでは十津川警部が見事に真相を看破するわけですが、真相究明まで十分に納得できるロジックになっていると思います。
「七人の証人」についてもそれぞれ個性十分に描かれており、フーダニットの醍醐味を存分に味わわせてくれる良作といっていいでしょう。


No.252 7点 黒い白鳥
鮎川哲也
(2010/06/13 22:45登録)
鬼貫警部シリーズ。
巻末の解説で有栖川氏が語っているとおり、鮎川の鬼貫物ミステリーの完成形といえる作品でしょう。
ストーリーの肝は、やはり「時刻表」を基にしたお得意のアリバイトリックが2つ。
メイントリックの方は、アリバイトリックの定番ともいえる「場所の錯誤」を使ったものですが、そこに「替え玉」というブラフを重ねて読者を煙に巻くところが憎いですね・・・
サブトリックの方は、まさに「時刻表」トリックですが、「時刻表」好きの私にとっては、割と分かりやすい種類のものでした。
本筋とは関係ないですが、有栖川氏の解説でも触れていた、鮎川氏と松本清張氏の作品との相似性という考え方は「なるほど」と思わされましたねぇ・・・


No.251 7点 防壁
真保裕一
(2010/06/06 14:50登録)
命を賭けて職を遂行する4人の男を主人公とした短編集。
①「防壁」:主人公は警視庁のSP。要人警護の最中に一人のSPが狙撃される事件が発生・・・その事件の真相は?
②「相棒」:主人公は海上保安庁の海難救助隊員。杉下右京ではありません。まさに「海猿」の世界です。
③「昔日」:主人公は自衛隊の爆破物処理班に所属。川崎で見つかった不発弾をめぐって過去の疑惑が浮上します。
④「余炎」:主人公は消防士。規則的に発生する放火事件には意外な真相が・・・
やはり命を張った仕事ってすごいですねぇ・・・
男として父親として頭が下がります。


No.250 8点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2010/06/06 14:41登録)
ほぼ全編にわたってブラウン神父とフラウボウが絡む超有名短編集。(宿敵だったはずが、途中から唯一無二の友人になるのが面白い)
①「青い十字架」: なんのことはない話なのですが・・・
②「秘密の庭」: 2作目で超意外な真犯人が登場
③「奇妙な足音」: 謎自体が面白い
④「見えない男」: 有名作。ブラウン神父の示すロジックがいい。(今読むと真相はすぐ分かりますけど・・・)
⑤「サラディン公の罪」: 意外なラスト。そうきたか!
⑥「折れた剣」: 有名作。「木は森に隠すが、森がないときはどうする?」「○○は××に隠すが、××がないときは」・・・
他6編。
非常に読みにくく理解するのに時間を要する表現もありますが、短編とはこう書くのだ・・・というまさにお手本のような作品でしょう。


No.249 7点 闇に潜みしは誰ぞ
西村寿行
(2010/06/06 14:27登録)
巨匠得意のバイオレンス&アクションですが、本作品は全体的に軽いタッチで、あまり重厚さはありません。
核兵器を製造する際に必要な幻の液体「重水」をめぐって、3つのグループが死闘を繰り広げます。
氏の作品には、”ものすごい特殊能力や訳の分からない××拳法の達人”という現実離れした人物がよく登場してきますが、本作品は普通の能力の登場人物ばかりで、そういう意味では安心?して読み進められます。
キャラとしては、大学の地質学講師「土田明子」の造形が見事・・・荒くれの山男たちの間にさらされ、まさに体を張った活躍をしてくれます(?)
男のロマンを感じたいときにお勧めの一作。


No.248 7点 正月十一日、鏡殺し
歌野晶午
(2010/06/01 23:03登録)
ノンシリーズの短編集。
他の方の書評どおり、ブラックな7つの短編で構成されています。
①「盗聴」: ノーマルな短編。世田谷線は私も好きです。
②「猫部屋の亡者」: 正常だった主人公が徐々におかしくなっていく様子がなかなかの迫力。
③「記憶の囚人」: よく意味が分からないんですけど・・・
④「美神崩壊」: 個人的にはこれが一番ブラック。
⑤「プラットホームのカオス」: ブラック感はそんなにないと思うが・・・
⑥表題作: 救いのない話。女って怖いね・・・
他1編。読後にザワザワした余韻を残す作品になっています。
作者は短編がうまいですね。


No.247 5点 螺旋館の殺人
折原一
(2010/06/01 22:51登録)
「倒錯のロンド」「倒錯の死角」と共通の作品世界で書かれた一作。
「田宮」ってあの「田宮」でしたかぁ・・・読んでいる最中には不覚にも気付きませんでした。
他の作品中では相当不愛想な人物として書かれているせいでしょうねぇ・・・ラストで同一人物だと分かって、まさに「あっ!」と思いました。
プロットは初期の折原作品によくあるパターンです。
けど、ちょっとやりすぎかもしれませんねぇ・・・こういう手のミステリーが嫌いな人にとっては、ラストのどんでん返しは納得できないかもしれません。


No.246 6点 名探偵なんか怖くない
西村京太郎
(2010/06/01 22:41登録)
クイーン、ポワロ、メグレ、明智・・・古今東西4人の名探偵が登場する「名探偵シリーズ」4部作の第1作目。
新装版で再読。
70年代前半に書かれた作品らしく、架空の「3億円事件」を4人の名探偵が推理していくという趣向。
ただし、そこはまだ切れ味鋭い頃の作品ですから、ラストでは2度のヒネリが見事に決まっています。
「読者への挑戦」はちょっとサービスしすぎかなぁという気もしますが、トラベルミステリーでは見られない「洒落っ気」を存分に感じることが出来ますね。
今回、新装版には綾辻行人氏との対談も掲載されていて、そちらも面白く読ませていただきました。
ただし、作中でネタバレしている作品が複数あるので(「アクロイド殺し」や「化人幻戯」など)、未読の方はご注意ください。


No.245 8点 月の扉
石持浅海
(2010/05/28 23:52登録)
作者の第2長編作品。
発刊当時「このミス」でも上位にランクインした作品。久しぶりに再読。
「ハイジャックに遭った航空機の中という特殊な閉鎖空間」で起こる不可思議な事件・・・作者得意のプロットです。
個人的には、座間味くんが展開するロジックたっぷりの推理に一番感心しました。
特に、最後のドンデン返しに関する「動機」については賛否両論あるでしょうねぇ・・・石嶺某に心酔しているからこその動機なのですが、その辺読者にはあまり共感できるように書かれていないため、ちょっと唐突感はありました。
評価はちょっと甘めかもしれませんが、作者の長所がよく出た良作じゃないかと思います。


No.244 4点 十字架クロスワードの殺人
柄刀一
(2010/05/28 23:38登録)
天地龍之介シリーズ。
氏の作品は、とにかく「読みづらい」という風評を真に受け、いわば「食わず嫌い」という感じでしたが・・・
うーん。やっぱり、なんか合わないですねぇ・・・
本作品もプロットとしてはなかなか魅力的だと思います。
離れた2つのクローズドサークルで起こる殺人事件・・・当然2つの事件の間には関連性があるのですが、どういう仕掛けになっているのか?
「見せ方」が下手なのかもしれませんし、真犯人にあまりにも意外性がなさすぎるのも致命的です。
「片腕を切断した理由」もイマイチ納得できません。
なんか批判的なことばかり書いてますが、「誉めるところ」がないのも悲しいかな事実です。


No.243 7点 MIST
池井戸潤
(2010/05/28 23:25登録)
作者としては珍しく、割と普通のミステリー作品。
予想外に面白い作品でした。
山奥の村で、「切り裂きジャック」を思わせる猟奇的連続殺人事件が発生、村で唯一の警察官である駐在が意外な真犯人に挑みます。
主人公を筆頭に、話の視点が次々と変わっていくので、普通はちょっと落ち着かない感じになりがちですが、本作品ではその辺りあまり気にならず、逆にスピード感を付け、緊張感を高める効果を生んでいます。
ラストの急展開もきれいに嵌まっていて、もっと高評価でもいいのですが、途中、榊氏(登場人物の1人)に関するサブストーリー等が結局中途半端になってしまったことなどを差し引いて、この評点となりました。


No.242 6点 誰彼
法月綸太郎
(2010/05/23 19:00登録)
法月綸太郎シリーズ。
久しぶりに再読してみましたが、初読時は他の書評と同じく、仮説の連続で訳が分からないまま終わったような印象でしたねぇ・・・
ただ、今回再読してみると、その辺はそんなに気になりませんでした。(2回目だからでしょうか)
要は、「なぜ首を切ったのか」という理由付けの問題について、新事実が発覚するたびに「あーでもない、こーでもない」と推理し、結局は落ち着くべく所に落ち着いたという感じですね。
ただ、いくら兄弟だからといって、誰も見間違えないほど似てますかねぇ・・・いわゆる「入れ替わり」トリックについて、本作品はかなり乱暴な扱いじゃないかと思います。
現代なら「DNA鑑定」なんていう問題もありますし・・・


No.241 5点 佐渡伝説殺人事件
内田康夫
(2010/05/23 18:49登録)
浅見光彦シリーズの初期作品。
連続殺人事件の「動機」解明に主軸が置かれています。
ストーリーやプロットは実に内田作品らしい展開・・・
2つの殺人事件が全く別の場所(東京と佐渡島)で起こりますが、被害者同士につながりが見え、2人の周りを洗っているうちに、過去のある事件が浮かび上がる・・・よくある展開です。
「リアリティ」という意味では、これほどその言葉を具現化している作家もいないかもしれません。
いい意味でも、悪い意味でも・・・


No.240 7点 人形村の殺人
篠田秀幸
(2010/05/23 18:37登録)
弥生原公彦探偵譚の第3弾。
本シリーズは、「過去の実在の未解決事件+現在の事件」という体裁をとっていますが、本作品は、有名な「狭山事件」(作中では『笹山事件』)の解明に加え、現在の不可能状況に彩られた連続殺人事件の解決に挑んでいます。
「狭山事件」の解明は、これまでの研究者の受け売りに作者の考えを若干加えた・・・という感じですが、なかなかの迫力で、本筋であるはずの現代の事件よりもよっぽど面白く読めます。
一方、現代の連続殺人は、いわゆる「足跡のない殺人」トリックですが、不可能状況を煽った割には陳腐な解決だなぁーというレベルで残念です。
ということで、全体的にはこの程度の評価ですが、作品の雰囲気や重厚感という意味では、作者の中で1,2を争う作品かもしれません。


No.239 6点 死者のノック
ジョン・ディクスン・カー
(2010/05/16 17:19登録)
フェル博士の探偵譚。
実在の推理作家コリンズ幻の作品「死者のノック」を真似た犯人が密室殺人を企てるという内容。
「密室」という言葉に惹かれて本作品読んでしまうと、ガッカリすること請け合いです。
ごく単純な錯誤を利用したトリックですし、実はあまり殺人事件の本筋には関係ありません。
今回、フェル博士はあまり出番がなく、ラストで真犯人の指摘をするのが唯一の見せ場。
本作品は、むしろフーダニットとして割合よくできているので、フェル博士がきっちり伏線を回収して真犯人を指摘してくれるのがいいですね。
その点ではまあまあ評価できる作品かもしれません。
ただ、地味ですね・・・


No.238 5点 ガラス張りの誘拐
歌野晶午
(2010/05/16 17:05登録)
ノン・シリーズで作者初期の誘拐物。
うーん、あまり感心しませんでしたねぇ・・・
「なぜ、身代金の引渡しをあろうことか警官警備による衆人環視の中でやるのか?」というのが本作品のメインプロットとなるのですが、その理由が今ひとつ納得できません。
それと、人物描写がイマイチのせいか、ストーリー自体の緊張感にも欠けていて、誘拐物独特のサスペンス感も特に感じません。
プロットとして魅力的な気はするので、書きようによっては結構面白い話になったんじゃないかなぁと思うと、ちょっと残念な気が・・・


No.237 5点 そして扉が閉ざされた
岡嶋二人
(2010/05/09 17:31登録)
作者の代表作の1つと言っていいでしょう。
密閉空間に閉じ込められた事件関係者4名が、3か月前の事件の真相に迫ります。
プロット自体は特に捻りがなく、読者には解決のための材料が事前には与えられないため、とにかく読み進めていくしかありません。
正直、シェルターから何とかして脱出しようとする「くだり」は事件に何ら関係がないので、最小限にとどめてもいいのになぁ・・・と感じます。
ラストももうひと捻り欲しいですねぇ・・・(欲張り?)

1896中の書評を表示しています 1641 - 1660