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ミステリの祭典

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後鳥羽伝説殺人事件
浅見光彦

作家 内田康夫
出版日1982年02月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 TON2
(2012/11/23 00:15登録)
角川春樹事務所
作者の第3作目にして、名探偵浅見光彦の初登場作品。
承久の乱により壱岐に流された後鳥羽法皇が還幸したという伝説の残る広島県から島根県にかけてが舞台で、情景模写に旅情をそそられます。
話の切れ味がよく、警察組織の抱える問題も俎上にあげられ、奇抜なトリックなど使わないことで現実味をもたせ、登場人物の内面の動きもとらえている点が共感を呼びます。

No.3 6点
(2012/08/06 09:45登録)
事件の背景や、ヒラ刑事の地味な捜査など、なんとも古臭い感じのする旅情ミステリーです。
浅見光彦は被害者女性に比較的近い存在であり、どちらかというと巻き込まれ型探偵というゲスト的な位置づけでもあります。その素人探偵が最終的には一人で意外な犯人を追い詰めていくという、同シリーズではめったにない凄みも感じられます。まあシリーズ初作品はこんなものなのかもしれません。

このシリーズ初作品には、その後のシリーズ作品には欠かせないヒロインは登場せず、派手さはありませんが、派手さがない分、重みのあるドラマに仕上がっています。
社会派ミステリーがまだまだ主流だった当時としては、社会派の地味な匂いを感じさせるも、けっして典型的な社会派ではなく、もちろん本格派というほどでもなく、当時の流行りのスタイルの、きわめてニュートラルな推理小説らしい推理小説だったのではという気がします。

No.2 6点 E-BANKER
(2010/04/22 20:24登録)
作者の長編第3弾は、十津川警部と並ぶ2時間サスペンスドラマ御用達探偵、浅見光彦の初登場作品。
ただ、広島県北で起こった事件の当初は、地元警察の部長刑事が探偵役であり、頭の固い県警の上司とぶつかりながら、自分の推理を信じ捜査を進める・・・ということで、信濃のコロンボ(浅見と並ぶ内田作品の主人公)のような展開です。
ただ、最終的には浅見がほぼ独力であっさり解決してしまいますが、最近の作品にはない「ロジック」が多少は感じられます。(ミエミエですが意外な犯人と言えますし・・・)
後鳥羽上皇の伝説については、軽くさわる程度ですので、その辺りは期待しない方がいいでしょう。

No.1 5点 ZAto
(2009/10/21 01:02登録)
足どり捜査で得られた証言が何故か捜査に反映されていなかったり、本格推理ものというには要領の得ない部分があったり、伝説ものとしても『戸隠殺人事件』と比べると匂いが薄く、全国の浅見光彦ファンが推すほどには読後の充実感に乏しい印象が残ってしまった。

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