| メルカトルさんの登録情報 | |
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| 平均点:6.04点 | 書評数:1979件 |
| No.119 | 10点 | 隻眼の少女 麻耶雄嵩 |
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(2010/10/28 23:48登録) 久しぶりに本格ミステリと呼べる作品を読ませてもらった気がする。 若干の疵はあるものの、それを差し引いても文句のつけようのない完成度の高いミステリらしいミステリである。 因習深い寒村で起きた連続殺人事件という、横溝正史の世界観を丸ごと取り込んで、見事に反転させる手腕は賞賛に値する。 麻耶雄嵩ファンならずとも、ミステリ読者のすべてに薦めたい稀代の大傑作である。 |
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| No.118 | 6点 | 倒錯の死角−201号室の女− 折原一 |
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(2010/10/22 23:30登録) ダークな雰囲気、やや粘着質な文体、多重構造、叙述トリック、どれをとっても折原氏らしい作品である。 がしかし、期待通りの出来かと問われると、疑問視せざるを得ない。 また、最後の袋とじには全く必然性を感じない。 むしろ蛇足といってもよいかもしれない。 |
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| No.117 | 5点 | なみだ特捜班におまかせ! 鯨統一郎 |
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(2010/10/16 23:29登録) 相変わらず波田煌子のおとぼけぶりは笑えるし、前作より益々磨きがかかっている。 それに反して、特捜班での活躍は見事と言える。 迷宮入りの難事件を大した捜査もしないで、次々に犯人像を指摘していく。 しかし、そのプロファイリングは冗談半分にしか思えないし、真犯人の逮捕も偶然とし考えられないような状況である。 まあ、猟奇殺人事件を扱っている割には、ほのぼのとしていて好感は持てるが。 また、特捜班のメンバーはバラエティに富んでいて、それぞれのキャラが生き生きと描かれていて楽しめる。 |
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| No.116 | 5点 | 怪痾 雨宮淳司 |
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(2010/10/14 23:43登録) 病院の怪談シリーズ第三弾にして完結編。 前作『怪癒』に比べると幾分トーンダウンしている感もするが、医療に従事する者のみが知りうる、実話怪談の数々は相変わらず恐ろしいものがある。 最終話は人の生死に関わる真実なので、心臓の弱い読者は避けるべきだと思う。 怖いもの見たさで興味本位に読むと後悔すること請け合い。 |
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| No.115 | 7点 | 怪癒 雨宮淳司 |
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(2010/10/09 23:35登録) 病院及び、医療に関する怪談シリーズ第二弾。 現役の看護師である作者が蒐集した実話を基に、怪異な現象の数々を短編集に纏めた貴重な作品。 淡々とした語り口が摩訶不思議な怪談を紡ぎ出し、下手なホラーより余程怖い。 最終話の70ページに及ぶ大作『蛇の杙』は、読み応え十分で、このジャンルにおける名作と呼ぶに相応しい作品だと思う。 おそらくみなさん馴染みのない作家だと思うが、一読の価値はあると言わせてもらおう。 |
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| No.114 | 5点 | すべての美人は名探偵である 鯨統一郎 |
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(2010/10/06 23:53登録) 鯨氏が創作した、二人の美人探偵の共演ということで期待したのだが、桜川東子が早乙女静香の子分みたいになっているのは、ややがっかりした。 しかし、後半は東子の活躍で事件が解決されたのはファンにとっては嬉しい限りだろう。 トリックには前例があり、拍子抜けしたのは言うまでもない。 だが、ミステリとしての部分が意外としっかりと描かれていたのは流石と言ってよいのではないだろうか。 またこの作品は、映像化しても面白そうだ。 |
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| No.113 | 6点 | 赤々煉恋 朱川湊人 |
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(2010/10/01 23:45登録) 『水銀虫』と共に、朱川氏の作品の中では異端的な扱いを受けている短編集。ノスタルジック・ホラーを得意とする作者にしては、後味の悪い作品が並んでいる。 本作では愛に執着するが故に、悲惨でありながら耽美な倒錯の世界に身を投じる人間の悲しい性が、端正な筆致で描かれている。 お薦めは『死体写真師』と『私はフランセス』。 |
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| No.112 | 5点 | インシテミル 米澤穂信 |
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(2010/09/24 23:31登録) 確かに前半は、特異な設定に先を読む楽しみを味わえた。 しかし、主催者が大金を叩いてまで一体何がしたかったのか、どのように監視していたのか、など疑問点が最後まで明かされなかったのはミステリとしては致命的ではないか。 各キャラの描き分けはある程度出来ていたが、細かいアラや矛盾点も目立つ。 また、状況に応じた緊迫感が欠如している気がする。 読みやすさが逆に重厚さに欠ける結果になったのも残念な要因。 |
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| No.111 | 6点 | ブラウン神父の童心 G・K・チェスタトン |
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(2010/09/17 23:32登録) 第二話までは何とか読めたが、それ以降は・・・。 情景は浮かばないは、内容は頭に入ってこないはで、非常に苦戦を強いられる事に。 原文も原文だろうが、翻訳の仕方ももう少し何とかならなかったものかと、正直思う。 一文、一文が異常に長いのも難点である。 この作品は、脳を活性化してから読まれることをお勧めする。 でないと、文章が右から左へ素通りする可能性が高い。 |
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| No.110 | 5点 | 狐罠 北森鴻 |
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(2010/09/11 23:33登録) 正直『狐闇』よりは面白さ、スピード感において劣るのは否めない。 ただし、主人公の宇佐見陶子をはじめとして、一癖も二癖もある登場人物の描写力は流石だと言える。 見事に各キャラクターを描き分けられているのだ。 二人の刑事もいい味出してはいるのだが、陶子の目利き殺しと二つの殺人事件が有機的に繋がってこないのは、マイナス点。 骨董の世界を覗き見たい人には、もってこいの一冊かも。 |
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| No.109 | 5点 | なみだ研究所へようこそ! 鯨統一郎 |
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(2010/09/05 07:48登録) 波田煌子の推理は、ほとんどがこじつけで感心しない。 だが、そのキャラは天然ボケで憎めないものがあるし、逆に名探偵らしい鋭さが全く感じられないので、作品全体がほのぼのした雰囲気に包まれている。 最終話は、切ないような、胸に迫るような展開となっているのは少々意外で、嬉しい誤算とも言える。 優しく暖かい余韻を残す幕切れとなっている。 |
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| No.108 | 6点 | 天使の囀り 貴志祐介 |
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(2010/09/01 23:52登録) 平均点が高いので期待していたのだが、やや冗長で盛り上がりに欠ける気がするのは私だけだろうか。 ホラーとしてはさして怖くない、ちょっぴり気持ち悪い描写があるのみで、これといった謎もないのでミステリとしても成立しないと思う。 ただ、リーダビリティに優れているため、最後まで飽きずに読めたが、捻りもなく文句なく面白いとは言いがたい。 |
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| No.107 | 8点 | 時計館の殺人 綾辻行人 |
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(2010/08/29 23:44登録) ある意味、この作品こそが『十角館の殺人』以上に「館シリーズ」の代表作かもしれない。 よく考えてみれば、至る所に伏線が張られているのに、このトリックに気が付かなかった自分が愚かしい。 島田潔が一日一本と決めていた煙草を、徹夜で推理する際に灰皿が吸殻でいっぱいになるほど、禁を破って煙草を吸ってしまうシーンが何故か印象に残っている。 とにかく本格ミステリとして立派な作品だと思う。 蛇足だが、『暗黒館の殺人』もこれくらいのボリュームなら良かったのにと強く思う。 |
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| No.106 | 9点 | 人形はなぜ殺される 高木彬光 |
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(2010/08/27 23:41登録) 『刺青殺人事件』と並び称される高木彬光氏の代表作のひとつ。 「人形はなぜ殺される?」の命題のもと、披露される数々の殺人は芸術作品といっても過言ではない。 天才神津恭介が苦戦し過ぎのきらいはあるものの、事件が解明されると納得が驚愕に変わる。 特にアリバイトリックは前代未聞。 |
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| No.105 | 4点 | ドグラ・マグラ 夢野久作 |
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(2010/08/26 23:52登録) 確かに理解不能ではある。 だから評価の仕様がない、これを正当に評価できる人はある意味凄いと思う。 だが私の超低い読解力では持て余す他はなく・・・。 だから申し訳ないがこの点数で。 |
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| No.104 | 6点 | MISSING 本多孝好 |
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(2010/08/25 23:52登録) ミステリに近い作品、ホラーっぽい作品、一種の恋愛小説、文芸的作品など、非常にバラエティに富んだラインナップの短編集。 どの作品にも共通するのは、人間の心の奥には愛や優しさばかりでなく、憎しみや醜くさも同時に存在しているのだという事実を、時に儚く、時にリアルに表現した異色作であること。 特に第16回小説推理新人賞を受賞した『眠りの海』は印象深い。 |
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| No.103 | 6点 | ミステリアス学園 鯨統一郎 |
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(2010/08/20 23:38登録) 最終話までのメタミステリぶりは、『匣の中の失楽』ばりでなかなか面白かった。 国内外のミステリ作家や、作品が多数紹介されているのは初心者でなくても嬉しい構成だと思う。 密室やアリバイ、ダイイングメッセージの講義なども盛り込まれており、ある意味親切なミステリ入門書ともなっていて、その点は好感が持てる。 だが、あの結末だけはどうにも納得がいかずスッキリしない。 |
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| No.102 | 5点 | 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 歌野晶午 |
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(2010/08/17 23:35登録) このタイトルはどうなの、と思ってしまう。 おそらく中身を知らずに買った人は、ひとみちゃんがダンスに探偵にと、大活躍する安楽椅子少女探偵物語みたいなのを期待していたのではないだろうか。 しかし、ひとみちゃんは、ダンスも探偵もしません。 ただ、刑事である叔父の歳三にヒントとなる言動をするのみ。 警察小説としてはまずまずだと思うが、感情移入できるほど登場人物に魅力が感じられなかったのは残念である。 |
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| No.101 | 5点 | 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 連作推理小説 鯨統一郎 |
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(2010/08/12 23:49登録) 前作『九つの殺人メルヘン』以上に、ノリノリの昭和の懐かし話が逆に多少ウザく感じられてしまう。 また、御伽話の新説は「そうとも考えられる」程度なので、あまり真剣に受け止めるとバカバカしくなる。 肝心の殺人事件の真相も、前作に比べると今ひとつ納得できない、もやもや感が残る。 総評として前作より劣るが、まずまず楽しめる、と言ったところか。 |
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| No.100 | 6点 | 闇に用いる力学 竹本健治 |
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(2010/08/11 23:35登録) まあ、なんと言うか竹本氏らしく、謎のベールに包まれたような筆致は本作には似合っていたとは思う。 ミステリともSFともつかない作品だか、オカルティックな雰囲気は悪くないし、先の展開はどうなるのだろうという興味は持たせてくれる。 だが、果たして続編は書かれるのだろうか。 |
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