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ミステリの祭典

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nukkamさんの登録情報
平均点:5.44点 書評数:2929件

プロフィール| 書評

No.1089 5点 シベリア超特急連続殺人事件
水野晴郎
(2016/03/05 23:57登録)
(ネタバレなしです) 「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」がトレードマークだった映画評論家の水野晴郎(1931-2008)がミステリーを書いていたのは驚きでした。シベリア超特急シリーズとして5作もの映画が作られることになりますが、1996年に出版された唯一の小説である本書が映画脚本より先に書かれたようです。映画化を意識したのかテンポよい筋立てですらすらと読める作品です。作中時代は1941年、実在の軍人である山下奉文(ともゆき)日本陸軍中将を主人公にした本格派推理小説と国際陰謀小説のミックス型になっています。謎解き伏線はそれなりに張ってあり、一応の解決を見せた後のエピローグで新たな謎解きが用意されているのはとてもユニークで新鮮でした。ところで本書は大きな問題を抱えているように思います。それは山下を主人公にし、彼に献呈されていることです。水野は山下を平和主義の人格者(日本の参戦にも反対していた)として尊敬しており作中でもそういう扱いをしているのですが、軍事裁判で戦犯として処刑された人物を主役にしているのはどうでしょう?水野の主張を頭ごなしに否定するつもりもありませんけど、戦犯の名誉回復はまだ時期尚早のような気もします。もっとも本書のプロットは山下を登場させる理由がちゃんとあって代役を使うのは難しそうですが。


No.1088 4点 掘り出し物には理由がある
シャロン・フィファー
(2016/03/05 23:19登録)
(ネタバレなしです) アンティーク雑貨のコレクター、ジェーン・ウィールを主人公にした本書で2001年に作家デビューした米国のシャロン・ハイファーは自身もアンティーク収集家だそうです。エミル・ジェンキンスのアンティーク鑑定士スターリング・グラスシリーズと比較してみるのも一興かもしれません。コージー派としては軽妙で明るい場面が少なく、といって重苦しい作品でもなくかなり地味な作風です。連続殺人事件を扱っているのがコージー派としては珍しいのですが、その割には盛り上がりません。どんでん返しの謎解きはありますが推理による解決ではなく、本格派推理小説として楽しめる要素は希薄です。


No.1087 6点 掏替えられた顔
E・S・ガードナー
(2016/03/05 23:04登録)
(ネタバレなしです) ペリー・メイスンシリーズ前作の「カナリヤの爪」(1937年)はメイスンとデラが休暇旅行に出発するところで終わっていますが、1938年発表のシリーズ第12作の本書はその休暇を終えてハワイから戻る帰途で始まります(前作を読んでなくても本書の鑑賞には差し支えありません)。死体なき殺人の上に被害者(と思われる男)も何かの秘密を抱えているらしいという複雑なプロットです。法廷場面の駆け引きも十分にサスペンス豊かですが、それ以上に印象的だったのがメイスン、デラ、ポール・ドレイクのチームワークに思わぬ乱れが生じていることで、これがサスペンスを更に高めています。シリーズ作品としてはイレギュラーな出来事なのでできれば他のシリーズ作品を数冊は読んでから本書を読むことを勧めます。


No.1086 5点 怪しいスライス
アーロン&シャーロット・エルキンズ
(2016/03/03 19:08登録)
(ネタバレなしです) アーロン・エルキンズ(1935年生まれ)と妻でロマンス作家のシャーロット・エルキンズ(1948年生まれ)が合作で書いたミステリーが1989年発表の本書に始まる、女子プロゴルファーのリー・オフステッドシリーズ第1作です。集英社文庫版の巻末解説で指摘されている通り、プロゴルファーが自分のゴルフクラブがすり替わったことに気づかないのはあまりに不自然すぎると思います(ネタバレになっていますがかなり早い段階で明らかにされますので紹介をご容赦下さい)。気軽に読める本格派推理小説ですが、探偵役としては心もとないリーの捜査は謎解きのスリルを盛り上げるには力不足に感じます。控え目ながらロマンス描写の方が印象に残る作品でした。


No.1085 7点 訪問者
恩田陸
(2016/03/03 18:45登録)
(ネタバレなしです) 2002年から2004年の長きに渡って発表され、2009年にようやく単行本として出版された本格派推理小説です。「嵐の山荘」、「クローズド・サークル」、「記憶の中の殺人」、「各章の出だしは同じだが毎回先の読めない展開」に取り組んだ結果、とてもユニークな作品になりました。結末だけを評価すれば不満を覚える読者もいるでしょう。しかし本書は展開の妙を楽しむべき作品だと思います。不思議な謎が散りばめられているだけでなく、探偵役と容疑者役が何度も役割交代したりと全く先の読めない展開で、雰囲気は静かなのにじわじわとサスペンスが盛り上がります。作者は本格派推理小説のことを「読んでいる時は最高に楽しいのに書いていると最高につらい」とこぼしていますが、懲りずにまた書いてほしいです(笑)。


No.1084 5点 閃光の遺産
三好徹
(2016/03/03 18:38登録)
(ネタバレなしです) 1967年発表の本書は、松本清張が責任監修した「新本格推理小説全集」に収められた10冊の中の1冊です。失踪した夫、大竹光夫への妻からのメッセージが山陽日報の広告欄に掲載されたが、山陽日報を訪れた妻の早苗は自分は広告を依頼したことはなく、しかも新聞に広告が載った朝は夫はまだ自宅にいたと主張する風変わりな謎で始まり、終盤近くまで犯人の正体を伏せ、最後は(時代の古さを感じさせるものの)トリック説明で締め括っており、この作者としては本格派を意識した作品だと思います。とはいえ犯人探しよりも行方不明の人物探しを重視したプロットはこの作者の本質は本格派ではないことを再認識させられます。犯人の名前を最初に指摘したのが探偵役でないところも本格派としては異色です。そこが三好なりの「新本格」なのかもしれませんが。


No.1083 3点 ペルシャ猫の謎
有栖川有栖
(2016/03/03 12:24登録)
(ネタバレなしです) 1999年出版の火村英夫シリーズ第4短編集で国名シリーズ第5作です。中編1作(例外的に非シリーズ作品の警察小説)、短編5作、ショート・ショート1作で構成されていますが、非ミステリー作品が2作もあるし、残りの作品も謎解きとしてぱっとしません。講談社文庫版の裏表紙紹介の「買いなさい。損はさせないから」「粒よりの傑作集」「火村・有栖川の名コンビはパワー全開」の宣伝文句が空虚に感じられます。表題作の「ペルシャ猫の謎」は一般的な読者が受け入れ難いであろう真相を用意してあり、個人的に気に入らない真相というだけでなく、受け入れざるを得ない状況がきちんと構築されていないので不満倍増です。ミステリービギナーの読者が本書を最初に手にとらないことを望みます。


No.1082 6点 リーヴェンワース事件
A・K・グリーン
(2016/02/28 01:53登録)
(ネタバレなしです) ミステリーの母とも評価される米国の女性作家アンナ・キャサリン・グリーン(1846-1935)の1878年発表の長編第1作で、当時のベストセラー作品だったそうです(映画化もされました)。時代の古さを感じさせるのが登場人物の芝居がかったような話し方で、大げさで回りくどい表現が鼻につき現代読者の鑑賞に堪えられるかは微妙です。しかし謎解きプロットは意外としっかりしていてミスリーディング手法もそれなりに効果的ですし、手掛かりは十分ではありませんがグライス刑事の推理に(強引ではありますが)心理分析が含まれていたのには驚きです。驚きといえば事件が起きてすぐに検死官や陪審員が現場に集まって審理が始まる展開にもびっくりです。当時の犯罪捜査の常道だったのでしょうか。


No.1081 5点 馬鹿者は金曜日に死ぬ
A・A・フェア
(2016/02/27 23:05登録)
(ネタバレなしです) 1947年発表のバース・クール&ドナルド・ラムシリーズ第11作です。毒殺を未然に防ぐという、一介の私立探偵にはあまりにもハードルの高い依頼にラムのとった「心理的手錠」というアイデアがなかなかユニークで面白いです。謎解きは自白頼り気味でしかも微妙にすっきりしないところがありますが、意外とタイトルが意味深だったということがわかりました。


No.1080 5点 応家の人々
日影丈吉
(2016/02/26 09:01登録)
(ネタバレなしです) 「内部の真実」(1959年)と同じく台湾を舞台にした1961年発表の長編第5作で初期代表作と評価されている本格派推理小説ですが個人的にはいまひとつな感じでした。死亡事件や失踪事件が相次ぐのですが、主人公の久我に伝聞でもたらされる情報が多く、事件との間に微妙な距離感があって謎解きのサスペンスが盛り上がりません。「人々」というタイトルながら人物描写も十分でないように思います。幻想的作風で有名な作者ですが本書に関しては幻想風というよりも書き込み不足ではないでしょうか。しかも序章で起きた事件の終章での扱いといったら、これは中途半端レベルにさえ至ってないです(最後は作者の確信犯的コメントで締め括られます)。


No.1079 5点 ウィルソン警視の休日
G・D・H&M・I・コール
(2016/02/22 09:55登録)
(ネタバレなしです) ヘンリー・ウィルソンシリーズ短編を8作収めた1928年発表の第一短編集です(警視時代の作品と私立探偵時代の作品が混在しています)。論創社版の巻末解説でこの作者は作品の出来不出来のバラツキが指摘されていますが、この短編集でもそれを感じます。「電話室にて」、「ウィルソン警視の休日」、「キャムデン・タウンの火事」、「消えた准男爵」などは地味ながら緻密なプロットだと思いますが、中には終盤に突然登場した人物(論創社版の冒頭に置かれた登場人物リストにも載っていません)が犯人だったのに唖然とさせられるような作品もあります。珍しくもトリッキーな「電話室にて」(「窓のふくろう」という別タイトルの方が有名かも)は現代ミステリーならトリックの実現可能性について大いに問題とされるでしょうが書かれた時代を考慮すると笑って許すべきでしょう。


No.1078 5点 トスカの接吻
深水黎一郎
(2016/02/20 11:55登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表の神泉寺瞬一郎シリーズ第2作の本格派推理小説です。「オペラ・ミステリオーザ」という副題を持ち、オペラの上演中に舞台上で歌手が殺されるという事件を扱っています。オペラに関する知識が沢山披露され、謎解きとも少なからず関連があるところが芸術探偵らしいのですが、私のように芸術と縁のない読者だと作中での瞬一郎の芸術解説や芸術論にどこまで馴染めるか微妙だと思います(それがこのシリーズの特徴だとは理解していても)。私の読んだ講談社文庫版では初版にはなかった「読者への挑戦状」代わりの「作者贅言」が挿入されていますがこれは正解でしょう。「作者贅言」で事前に与えられるヒントなしで解決に突入すると不満を覚える読者もいると思います。それだけ当てにくい真相ではあります。この「作者贅言」ではダイイング・メッセージについて「100人が100人、その解釈しかあり得ない、と思うようなものでなければならない」と書いていますが本書のメッセージの謎解きは納得する以前に、複雑過ぎてそんなの当てられないよという声の方が多いのでは(笑)。


No.1077 6点 日曜日ラビは家にいた
ハリイ・ケメルマン
(2016/02/19 12:24登録)
(ネタバレなしです) 森英俊編著の「世界ミステリ作家辞典[本格派編]」(1998年)ではラビ・スモールシリーズのことを「初期の長編ではユダヤ社会をめぐる風俗的な興味と謎解きとがほどよくブレンドされているが、後の作品になるほど前者の比重が大きくなる」といった紹介をしていますが、1969年発表のシリーズ第3作の本書では早くもその傾向が見られます。殺人は中盤近くまで起こらず、そこに至るまでの前半部は平穏な物語ではないとはいえ教会内の派閥対立や若者たちの夜遊び(過激な描写はない)が中心のプロットなので本格派を期待する読者には少々物足りない展開ではないでしょうか。ただ後半は頑張って謎解きしていますし、収束のつけ方がきれいにまとまっているところは評価できます。


No.1076 5点 幻影城の殺人
篠田秀幸
(2016/02/19 11:32登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表の弥生原公彦シリーズ第2作の「読者への挑戦状」付きの本格派推理小説です。1970年代後半から1980年代前半にかけて大ブームを起こした角川商法(作中で文化革命と激賞しています)と、その中心的存在だった横溝正史や森村誠一への思い入れのようなものが感じられます。特に森村に至っては作中に登場させておいしい役割を与えているほどです。一方で密室トリックの一部に森村作品のそれをパクリに近い形で使っているのはどうなんでしょう?更には横溝正史の作品のほとんどそのままの状態でのパクリではないかと思えるトリックがあるだけでなく、「本陣殺人事件」(1946年)や「犬神家の一族」(1950年)については重大なネタバレまでやっており、先人作家に対する敬意に疑問符が付きます。複雑で重厚な作品ではありますが、シリーズ前作の「悪霊館の殺人」(1999年)ほどの詰め込み感はなく、ストーリーテリングが大幅に改善されている点はプラス評価したいと思いますが。


No.1075 6点 あつかいにくいモデル
E・S・ガードナー
(2016/02/19 11:07登録)
(ネタバレなしです) カーター・ディクスンの名作「ユダの窓」(1938年)(ハヤカワ文庫版)の巻末解説で、被告を証人として立たせることは非常に危険で、あのペリー・メイスンさえ生涯三度しかやっていないと紹介していますが1961年発表のペリー・メイスンシリーズ第66作の本書はそれが見れる一冊です。名誉毀損という、メイスン好みと思えない事件ながら結構細かくフォローしているメイスンがなかなか好印象です(笑)(後で殺人事件もちゃんと発生します)。最終章の謎解きもやや駆け足気味ながらどんでん返しがきまっています。


No.1074 6点 セントラル・パーク事件
クレイグ・ライス
(2016/02/19 10:17登録)
(ネタバレなしです) 街頭写真師のビンゴ・リグズとハンサム・クザックのコンビシリーズの第1作が1942年発表の本書で、2人がコンビとなる前の経歴も簡潔に紹介されています。頭の回転は早いが考えが粗くて結構窮地に陥るサムと、愚直ながら超人的な記憶力の持ち主のハンサム(本人は意識しないが女性へのアピール度もとても高い)という個性的なコンビの活躍が楽しめます。セントラル・パークで街頭写真の商売をしていた2人が売れ残った写真の中に7年前に同じ場所で謎の失踪をとげたピジョン・サンデーの姿を発見します。多額の保険がかけられていたことを知ったビンゴが首尾よくピジョンの身柄を押さえることに成功して支払い保険金の分け前を頂くことをもくろむという、誘拐及び保険金詐欺という犯罪に手を染めようとしており、おまけに結構人が死ぬ展開ですがライスが書くとこんなプロットでもどこかほのぼのしていますね。本格派推理小説としてのどんでん返しの謎解きもしっかりしています。ある女性を巡る2人の競争(むしろ譲り合い?)もサイドストーリーとして楽しめますがこちらの結末はうーん...(謎)。


No.1073 5点 積木の塔
鮎川哲也
(2016/02/19 09:56登録)
(ネタバレなしです) 1950年代後半からの社会派推理小説の台頭は国内推理小説の大ブームを巻き起こして新作が矢継ぎ早に発表されました(本格派推理小説は対照的に人気低迷してしまうのですが)。しかしおよそミステリーらしくない作品までがミステリーとして発売されるなど粗製乱造気味になってしまい、1960年代半ば頃には読者離れが進んだそうです。これに危機感を覚えた松本清張の責任監修で「新本格推理小説全集」が企画され、10人の作家(清張自身は含まれません)による10の新作が出版されました。その第1号にあたるのが1967年発表の鬼貫警部シリーズ第11作の本書です。もっとも特に「新本格」を感じさせるようなところはなく、これまでのシリーズ作品同様地道なアリバイ崩しの本格派で、犯人の正体は早い段階でわかります。本書で印象的だったのは動機をめぐる推理が転々としていくところで、特に第6章で登場する動機(の候補)はなかなか衝撃的でした。


No.1072 3点 キーライム・パイはため息をつく
ジョアン・フルーク
(2016/02/19 09:43登録)
(ネタバレなしです) 2007年発表のハンナ・スウェンセンシリーズ第9作のコ-ジー派ミステリーです。事件がなかなか起きないし、起きそうな雰囲気もないので物語の1/3ぐらいまでミステリーらしさがありません。焼き菓子審査の要領についてのハンナの説明は面白いですが。では事件が起きてから盛り上がるかというとこちらもいまひとつで、登場人物リストに載っていない容疑者の調査がだらだらと続き、核心に迫っているという緊迫感がまるでありません(リストにない容疑者が犯人だったらそれはそれでアンフェア感が強くて不満ですけど)。解決も推理の要素のほとんどない、唐突な解決でした。記憶に残ったのはキーライムは希少で入手困難なことぐらいです。


No.1071 6点 退職刑事2
都筑道夫
(2016/02/17 20:18登録)
(ネタバレなしです) 現職刑事の息子と退職刑事の父が謎解きに挑戦する、1975年から1976年に発表された7つの短編を収めた1976年発表の退職刑事シリーズ第2短編集です。最初に出版された時はその中の「四十分間の女」をそのまま短編集のタイトルにしていました。1週間続けて同じ下り列車でやって来て40分後の上り列車でどこかへ帰っていく女性が1週間目に死体となって発見される「四十分間の女」は評価が高いですがそれも納得です。退職刑事は安楽椅子探偵役ですが、ここでは息子も安楽椅子探偵状態になっています。謎の魅力も十分ですが、ハリイ・ケメルマンの有名短編「九マイルは遠すぎる」(1947年)をちょっと連想させるような結末が印象的でした。退職刑事自身がある作品の中で「推理だけで証拠はない」と述べているように、十分な手掛かりを用意せずに好き勝手な解釈でつじつまを合わせているように感じてしまう作品もいくつかあります。とはいえ短い中にそれなりの容疑者を揃え、推理を(時に強引でも)丁寧に積み重ねていくプロットは短編本格派推理小説として十分に魅力的で、作品ごとの水準のばらつきも少ないです(ずば抜けた傑作というのもありませんけど)。


No.1070 6点 殺人方程式
綾辻行人
(2016/02/17 20:08登録)
(ネタバレなしです) 「緋色の囁き」(1988年)や「人形館の殺人」(1989年)といったホラー色の濃い作品を相次いで発表して本格派推理小説から作風変更か、と思わせましたが1989年発表の明日香井兄弟シリーズ第1作の本書は切断された死体が登場するもののそれほど過激な描写はなく、謎解きに集中した本格派推理小説でした。光文社文庫版では由良三郎が巻末解説を書いているのが興味深いです。作家デビューが1984年で、綾辻のデビュー1987年とそれほど大差ないのですが年齢では40歳近い差のある由良がどう評価したかというと、「これこそ新本格派の真骨頂」と大絶賛です。フェアプレーを意識した謎解き、こだわりのトリック、(方程式は私はよくわからなかったけど)丁寧な推理説明と本格派推理小説としてよく考えられた作品です。名探偵役の明日香井響のキャラクターがいまひとつ共感できなかったとか、終わり方にすっきり感がないとか、いくつかの点ではちょっと引っ掛かりますが謎解きの面白さを十分に堪能できる作品でした。

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