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ミステリの祭典

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掏替えられた顔
ぺリイ・メイスン

作家 E・S・ガードナー
出版日1955年08月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 弾十六
(2018/11/14 20:11登録)
ペリー ファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第12話。1938年4月出版。HPBと電子本(グーテンベルク21)で読了。訳はいずれも砧 一郎。
事務所に変わった依頼人が来る…というパターンの第1シーズン(1〜11話)が終わり、第2シーズン(私見ですが27話まで)はいろいろ趣向を変えているのが特徴です。本作は豪華客船、次作はデパートの食堂から話が始まります。第16話では依頼人が誰かわからず、第17話以降は冒頭にメイスンが登場しないことが多くなるのです。
本作はハワイから出航する船上のメイスンとデラから始まります。二人は中国と日本を訪れ法律制度を調査していた(バリ島にも足を伸ばしてた?)らしいのですが、休暇に飽きたメイスンに魅力的な謎が迫ります。
留守を守るジャクスンは鼈甲ぶち眼鏡の真面目タイプ。デラは「せいいっぱいやってる」とやさしいのですが、メイスンは「闘士としては腰抜け」(a rotten fighter)と散々な評価。
今回はメイスンが珍しく焦りまくります。事件自体はパズルが上手く完成するのですが、ちょっとごたついている印象を受けました。
さてトリヴィアです。
銃はメーカー不明の38口径リヴォルヴァが登場。メイスンの拳銃も初登場。ショルダーホルスターを使い、リヴォルヴァであることしか書かれていません。
遂に本作でメイスン事務所がL.A.にあると明言されました。(今まではthe cityなどとボカしていました。内容からはバレバレでしたが… ) p184「君のロスアンジェルスの事務所に、電話をかけてみたらどうだい、ペリイ」とドレイクが言います。原文でもHow about calling your Los Angeles office, Perry?となっているので確定です。この本でロスアンジェルスと訳されている部分は全て原文でもLos Angelesです。結構しつこく出て来るので、どーしたのかな?と思うくらいです。(上の文も無理にL.A.って入れなくても充分通じますよね)
p26 「メイスンの小型カメラで、天然色のスナップを…」アマチュア向けカラーカメラの発売は1936年から。
p222「マーケット ストリートを左に折れ、湾をまたぐ橋に…」(the bridge which crossed the bay) この橋は1936年11月に開通したサンフランシスコのBay Bridge。
(最後のネタ2つはメイスンのトリヴィア本から。ガードナーは新しもの好きです)

No.3 6点 nukkam
(2016/03/05 23:04登録)
(ネタバレなしです) ペリー・メイスンシリーズ前作の「カナリヤの爪」(1937年)はメイスンとデラが休暇旅行に出発するところで終わっていますが、1938年発表のシリーズ第12作の本書はその休暇を終えてハワイから戻る帰途で始まります(前作を読んでなくても本書の鑑賞には差し支えありません)。死体なき殺人の上に被害者(と思われる男)も何かの秘密を抱えているらしいという複雑なプロットです。法廷場面の駆け引きも十分にサスペンス豊かですが、それ以上に印象的だったのがメイスン、デラ、ポール・ドレイクのチームワークに思わぬ乱れが生じていることで、これがサスペンスを更に高めています。シリーズ作品としてはイレギュラーな出来事なのでできれば他のシリーズ作品を数冊は読んでから本書を読むことを勧めます。

No.2 7点 了然和尚
(2015/12/10 12:28登録)
ペリーメイソン12作目。ここまで続けて読んできましたが、よく言われるようにどれも平均点な感じで、外れがないです。(当たりもないと言われるけど)その中でも本作はベストに近いのではないでしょうか。
事件が見事に最後に一つにまとまっています。本格志向なので、伏線もうまくひらっています。鮮やかすぎて、引っかかりがなく印象に残らないことが欠点といえるぐらいの出来です。法廷ものとしても目撃者の視力(今では平凡だが)とか、デラの謎の失踪とか、検察側をはめて弁護側に有利な証人を探させるとか、あくまで論理で読ませてくれます。
ポケミス版ですが、入手に苦労しただけのことはありました。
(次作もポケミスですがなかなか見つからないですね)

No.1 6点 mini
(2013/01/22 09:57登録)
昨年に引き続いての私的読書テーマ、”船上ミステリーを漁る”の1冊
そう言えば前作「カナリヤの爪」のラストで、これから船旅に出発という場面が有ったなぁ

ペリー・メイスンのシリーズで船上ミステリーというのは珍しいが、ただちょっとこれは純然たる船上ミステリーとは言い難いな
たしかに前半では、メイスン一行がハワイ旅行からの帰途中に船上で事件は起こるのだが、後半ではカリフォルニア州に着いちゃうんだよね
つまり前半は船上、後半は本拠地に帰っていつものシリーズらしい展開になる
後半では秘書デラに関したサスペンスも盛り込まれているんだけど、総合すればいつものガードナー節で特に異色作と言う感じはしなかったなぁ
数多いシリーズ作の中でこの作品を読んだのは、例の森事典でシリーズ中でも秀逸だと書かれていたからだ
題名の由来は、別に首無し死体の首がすり替えられたわけじゃなくて、写真の中の顔が替えられてただけなんだけどね
別に変装トリックとかじゃないから安心してください(笑)、昨今は変装トリックをやたらと忌み嫌い読者も居るようだからね
森事典ではすごい傑作みたいに解説されてたけど、う~ん、いつも通りの水準なんじゃないかなぁ、まぁ一部しかシリーズ作品読んでないんで水準のばらつき度が分からないんだけどね(微笑)

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