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ミステリの祭典

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シベリア超特急連続殺人事件

作家 水野晴郎
出版日1996年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2016/03/05 23:57登録)
(ネタバレなしです) 「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」がトレードマークだった映画評論家の水野晴郎(1931-2008)がミステリーを書いていたのは驚きでした。シベリア超特急シリーズとして5作もの映画が作られることになりますが、1996年に出版された唯一の小説である本書が映画脚本より先に書かれたようです。映画化を意識したのかテンポよい筋立てですらすらと読める作品です。作中時代は1941年、実在の軍人である山下奉文(ともゆき)日本陸軍中将を主人公にした本格派推理小説と国際陰謀小説のミックス型になっています。謎解き伏線はそれなりに張ってあり、一応の解決を見せた後のエピローグで新たな謎解きが用意されているのはとてもユニークで新鮮でした。ところで本書は大きな問題を抱えているように思います。それは山下を主人公にし、彼に献呈されていることです。水野は山下を平和主義の人格者(日本の参戦にも反対していた)として尊敬しており作中でもそういう扱いをしているのですが、軍事裁判で戦犯として処刑された人物を主役にしているのはどうでしょう?水野の主張を頭ごなしに否定するつもりもありませんけど、戦犯の名誉回復はまだ時期尚早のような気もします。もっとも本書のプロットは山下を登場させる理由がちゃんとあって代役を使うのは難しそうですが。

No.1 7点 江守森江
(2010/12/16 03:25登録)
作者が「金曜ロードショー」の解説者だった関係なのか?日テレの深夜映画番組で一時期シリーズ作品が何度か放送された。
その時に観て、名作映画のパロディB級作品に見せかけた本格ミステリだったのに驚いた(ドンデン返しをシリーズの売りにしている←ネタバレにはあたらない、何故なら作品の冒頭で注記している)
ノベライズでもミステリらしい驚きは損なっていないし、薄くて(登場人物表記がスムーズに頭に入ってこない致命的欠点もあるが)サラッと読めるので悪くないが、B級な作りのパロディ部分をあら探し的に楽しむなら映画の方がいい。
映画は何作かシリーズ化されていて、それぞれ奇天烈で面白いのでレンタルDVD(されてるのか?不明)の方が楽しみは大きい。
作者が存命の頃はBSのケータイ刑事にまで山下大将(小説では中将)役で悪ノリ出演していたのも懐かしい。
ノベライズ自体は図書館にでもあれば読んでも損はない程度(←私はコレ)
※但し書き
書評サイトでマニアックなB級映画の面白さを記す為にノベライズを利用しましたm(_ _)m
よって採点は映画シリーズ込み。

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