nukkamさんの登録情報 | |
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平均点:5.44点 | 書評数:2865件 |
No.1225 | 5点 | 蒼ざめた馬 アガサ・クリスティー |
(2016/05/26 14:37登録) (ネタバレなしです) 殺された神父が死の直前に書き記したメモには9人の名前が残されており、警察がその身元を調べていくと既に亡くなった人物が次々と浮かび上がって来るがいずれも病死としか思えなかったいうプロットの1961年発表の本格派推理小説です。シリーズ探偵は登場しませんがポアロシリーズ後期作に登場するアリアドニ・オリヴァ夫人が顔を見せているのが読者サービスになっています(但し本書では探偵活動はしません)。また「ひらいたトランプ」(1936年)や「動く指」(1943年)の登場人物も再登場しています。オカルト本格派のように紹介されることもあり、確かにそういう一面もあるのですがそれほど不気味な雰囲気はなく、案外淡々と物語は進みます。謎解きプロットはクリスティーとしては粗い出来で、かなりご都合主義的に解決へと進んでいくような感もあります。もっとも第7章で主人公のマークが「どうしてリストと蒼ざめた馬を結びつけたのだろう」と述懐しているように作者自身もそれは先刻ご承知のようですが。余談ですが冒頭に登場するバナナ・ベーコン・サンドイッチって食べてみたいような、みたくないような...。さすがサンドイッチの発祥地イギリスですね(笑)。 |
No.1224 | 6点 | 死をもちて赦されん ピーター・トレメイン |
(2016/05/25 17:45登録) (ネタバレなしです) 英国のピーター・トレメイン(1943年生まれ)はアイルランド文化、ケルト文化の研究者としても名高く、7世紀アイルランドを舞台にして修道女フィデルマを探偵役にした歴史本格派推理小説シリーズの時代描写には非常に説得力があります。1994年発表の本書はシリーズ第1作で、歴史上実在した人物が何人か作中に登場していますが誰もなじみがなかったです(笑)。もっともマニアックな歴史知識の披露を目的とした作品ではなく、物語としてしっかりしているので歴史や宗教が苦手な読者でも十分読める内容です。エリス・ピーターズの修道士カドフェルシリーズ作品ほどには人間ドラマとしての面白さに力を入れていませんが、謎解きは本書の方が充実しています。 |
No.1223 | 7点 | QED 竹取伝説 高田崇史 |
(2016/05/25 17:37登録) (ネタバレなしです) 「QED 式の密室」(2002年)の幕切れから物語が始まる、2003年発表の桑原崇シリーズ第6作の本格派推理小説です(前作のネタバレはありませんし、読んでいなくても問題はありません)。このシリーズは歴史や文学の謎解きと現代に起こった犯罪の謎解きの両方を楽しめるのが特長ですが、本書では前者に関しては「竹取物語」という童話などでなじみ深い文学を取り上げています。後者も魔のカーブと呼ばれる場所で連続する交通事故で死んだ2人が2人とも竹が光ったと言い残したという大変魅力的な謎が用意されていて、これまでに読んだ作品の中では1番ページをめくる手がもどかしく感じられた作品でした。それだけに謎が盛り上ったところで、話が切り替わってしまう展開が何とも歯がゆく感じる時もありましたが。専門的知識を求めているので読者が解決前に真相を当てるのは難しいと思いますが、なかなかユニークなトリックが使われています。 |
No.1222 | 6点 | ミドル・テンプルの殺人 J・S・フレッチャー |
(2016/05/25 16:25登録) (ネタバレなしです) 19世紀から作品を発表していた英国のJ・S・フレッチャー(1863-1935)は長編作品を得意とし、100冊近い作品を発表するほどの人気作家でしたが死後急速に忘れ去られたという点でオーストラリアのファーガス・ヒューム(1859-1932)と共通しています。1919年発表の本書は米国大統領ウイルソンが賞賛した代表作として有名な作品です。世界推理小説大系版の巻末解説であの松本清張が的確に分析していますが、地道な捜査で少しずつ謎が明かされるタイプの作品です。証人が自発的に情報を提供しに来る展開に都合よすぎる部分もありますがおかげで話の進むのは早く、読みやすい娯楽作品に仕上がっています。しかし犯人当て本格派推理小説としては欠点も多く、犯人の正体は終盤ぎりぎりまで明かされません。しかも探偵役さえも土壇場にならないと真相に気づかないプロットなので、「唐突な解決」の究極型とも言えるでしょう。これで最後に提示された手掛かりに説得力があればまだ救いはあるのですが、疑う分には有力ではあるけど決定的証拠とは言い難いです。もちろん読者が推理に参加する要素など皆無に近く、1920年にデビューするアガサ・クリスティーの作品を「古典」と位置づけるなら本書は明らかに「前古典」の評価に留まります。私の評価点は書かれた時代を考慮して少しおまけしています。 |
No.1221 | 4点 | 殺人を一パイント アリサ・クレイグ |
(2016/05/25 15:09登録) (ネタバレなしです) シャーロット・マクラウド(1922-2005)はアリサ・クレイグという別のペンネームでマドック&ジェネットシリーズやディタニー・ヘンビットシリーズを書いています。マクラウド名義の作品とクレイグ名義の作品に大きな作風の違いはなさそうですが前者はアメリカを、後者はカナダを舞台にしています。本書は1980年発表のマドック&ジェネットシリーズ第1作です。シャンディ教授シリーズのバラクラヴァ農大の愉快な面々やセーラ・ケリングシリーズの風変わりなケリング一族といったお騒がせ役が醸し出すにぎやかさがなく、ジェネットが少々不幸がかっているところもあってそれほどユーモアは感じられません。ロマンスもマクラウド名義の「にぎやかな眠り」(1978年)でシャンディ教授が若返ったかのように積極的だったのに比べるとこちらはずっと控えめです。解決場面はやや唐突で、しかも主役のマドックよりも他の事件関係者の方が一杯喋って犯人を追い詰めているのが何とも不思議でした。もう1人の主役ジェネットに至っては何も発言していなかったように記憶しています。 |
No.1220 | 5点 | ガラス箱の蟻 ピーター・ディキンスン |
(2016/05/25 13:16登録) (ネタバレなしです) アフリカ生まれの英国作家ピーター・ディキンスン(1927年生まれ)はミステリー、SF小説、ジュヴナイル(児童書)など広範囲に多くの作品を発表しており、しかもどのジャンルでも高い評価を受けています。1968年発表のピブル警視シリーズ第1作である本書は小説第1号でもありますが、これがいきなりCWA(英国推理作家協会)のゴールド・ダガー賞(その年の最高ミステリー評価)を獲得するという大快挙を成し遂げています。作品舞台に奇抜な世界を用意することが多いのがディキンスンの特徴で、本書は舞台こそ英国ですがニューギニアから移住してクー族(被害者もその1人)の集団生活を描いた独特のものです。プロットの複雑さに加えて通常通りに進まない捜査のためか結構読みにくかったです。本格派推理小説として謎解き伏線はそれなりにしっかりと準備されていますが、動機はやや後出し気味の感があります。ともあれ謎解きよりも雰囲気を重視したような作品で、読者の好き嫌いは分かれそうです。 |
No.1219 | 5点 | 不安な産声 土屋隆夫 |
(2016/05/24 19:42登録) (ネタバレなしです) 1989年発表の千草検事シリーズ第5作でシリーズ最終作です(特別なサヨナラ演出は全くありません)。測量ボーイさんのご講評の通りで、本書を本格派推理小説ですと断言するのはためらわれます。確かに千草検事の活躍する場面では得意のアリバイ崩しがあるのですがそれは四部構成の中のわずか一部だけに過ぎず、残りはほとんど犯人のモノローグ(独白)で占められており、犯罪心理小説の部分の方が大きいように思えます。性描写或いはそれに近い表現があるのもシリーズ作品としては異色です。決して意味のない官能趣味に走ったわけではなく、プロットに必要不可欠な要素ではあるのですが好き嫌いは分かれるかもしれません。とはいえ物語としての完成度は非常に高い作品です。 |
No.1218 | 5点 | 地獄の奇術師 二階堂黎人 |
(2016/05/24 19:22登録) (ネタバレなしです) 二階堂黎人(1959年生まれ)の1992年発表のデビュー作である本書(二階堂蘭子シリーズ第1作)は、作中時代を1960年代後半に設定し、警察を翻弄する神出鬼没の怪人を登場させてまるで江戸川乱歩のスリラー小説を連想させるようなレトロ趣味が印象的です。似たようなプロットでは山村正夫の「湯殿山麓呪い村」(1980年)もありますが、あちらはもっと現代風の雰囲気です。グロテスクな場面もあり、描写力に秀でていますがこれは好き嫌いが分かれそうですね(個人的にはここまで乱歩を意識しなくてもと言いたいところです)。巻末に謎解き脚注を付けて読者に対するフェアプレーを意識しているところはいかにも「新本格派」の作家ならではです。謎解きがお粗末に感じられる部分もいくつかありますが、作者の意欲が非常によく伝わってきます。 |
No.1217 | 6点 | 古墳殺人事件 島田一男 |
(2016/05/24 18:01登録) (ネタバレなしです) 島田一男(1907-1996)は事件記者シリーズや鉄道公安官シリーズや捜査官シリーズなど膨大な作品を残した量産作家です。1948年に発表された本格派推理小説の本書が長編デビュー作ですが、量産作家も初期は重厚で緻密な力作を書いていたという典型です。坂口安吾が「ヴァン・ダインの劣化コピー」と批判したそうですけど、探偵役の津田が随所で披露する学識とそれに振り回される捜査陣(と読者)という展開は確かにヴァン・ダインの影響が濃いですね(でも津田の意外と義に厚い一面も描かれています)。真相は(読者によっては)不満を覚えそうなところもありますが、トリックの着想は(実現性はともかくとして)非常に面白いし、いかにも本格派ならではのどんでん返しの謎解きが堪能できます。 |
No.1216 | 4点 | かくして殺人へ カーター・ディクスン |
(2016/05/24 16:49登録) (ネタバレなしです) 1940年発表のヘンリー・メリヴェール卿シリーズ第10作となる本格派推理小説です。何度も未遂事件を起こしてじわじわとサスペンスを高めていくプロットを狙ったようですがあまり効果は上がっていないように感じます。映画業界という一見派手そうな舞台ですが全体的に地味ですし、トリックも小粒なものです。ミスディレクションをいくつも用意しているところはさすがに巨匠らしいと言えなくもありませんが、大方のファン読者は本書程度の謎解きでは特徴の少ない凡作にしか感じないのでは。 |
No.1215 | 5点 | ナイトクラブレディ アンソニー・アボット |
(2016/05/24 16:40登録) (ネタバレなしです) 1932年発表の本書はサッチャー・コルトシリーズ第3作の本格派推理小説で、身辺警護を頼まれたコルトが大勢の警官を投入して自宅を警備したにもかかわらず、ほんのわずかのタイミングで1人きりになった依頼者は変死してしまうという事件を扱っています。かなり強引な仕掛けのため、B級ミステリー臭さは相当なものですがこういう作品でもそれなりの人気があったそうですから書かれた時期がミステリー黄金時代であったことが納得できます。殺人トリックや死体隠しトリックの大胆さはマニア読者受けしそうです(一般受けはしにくいと思いますが)。 |
No.1214 | 5点 | 四十面相クリークの事件簿 トマス・W・ハンシュー |
(2016/05/24 16:26登録) (ネタバレなしです) 米国生まれで英国で没したトマス・W・ハンシュー(1857-1914)はニック・カーター(複数作家による共同ペンネーム)の1人としても知られてますが、最も有名な作品は江戸川乱歩の怪人二十面相に影響を与えたとされる本書でしょう。二十面相の方が明智小五郎の敵役として怪盗役を全うしているのに対してクリークは(怪盗出身でありますが)探偵として活躍しており、本書を怪盗物語と紹介するのは正確ではないでしょう。私が読んだのは短編集「四十の顔を持つ男」(1910年)の連作長編版(1913年)で、「四十の顔を持つ男」の12の短編の内9編と新たに書かれた1編の謎解きが楽しめる内容になっています。書かれた時代が時代なので読者が推理できる余地はほとんどありませんがトリッキーな作品が多く、「ライオンの微笑」事件はトリック紹介本に載るぐらい有名です。 |
No.1213 | 5点 | 魔女の呪い島殺人 山村正夫 |
(2016/05/23 10:22登録) (ネタバレなしです) 1997年発表の滝連太郎シリーズ第12作でシリーズ最終作です。もっとも山村正夫(1931-1999)が最終作を意識して書いたのなら、作中で大曽根警部にやきもきさせたりせずに滝と武見香代子の仲をもっと進展させていたとは思いますけど。このシリーズの特色である伝奇本格派ではありますが謎解きはかなりお粗末で、犯人があるトリックに手間ひまかけている理由がよくわからない上にプロットの中で不自然さの描写が目立っています。滝の推理も当てずっぽうが当たっただけにしか感じません。 |
No.1212 | 6点 | 殿下と騎手 ピーター・ラヴゼイ |
(2016/05/21 23:59登録) (ネタバレなしです) 1987年に発表された皇太子時代の英国国王エドワード7世(バーティ)を探偵役にしたシリーズ第1作です。1886年11月、「きたか、あいつら」という謎の言葉を残して名騎手フレッド・アーチャーが拳銃自殺し、彼と親交のあった英国皇太子アルバート・エドワードはその死に疑問を抱いて何が彼を死に追い込んだのかを調べていく、というのが粗筋です。このフレッド・アーチャー自殺事件は実際にあった事件で、実在の人物が結構容疑者として登場しています。探偵役バーティの1人称形式の物語というのがユニークで、冒険スリラー風に展開しますが第20章は実質的に「読者への挑戦状」の役割を果たしており、本格派推理小説ファンも十分に楽しめます。バーティの語りには愛嬌があってユーモアを漂わせていますが、一方でお忍び探偵としての未熟さが悲劇的事件につながって苦悩するなどシリアスでダークな場面も見られます。 |
No.1211 | 4点 | 二巻の殺人 エリザベス・デイリー |
(2016/05/21 23:53登録) (ネタバレなしです) 1941年発表のヘンリー・ガーメッジシリーズ第3作です。本書をビブリオ・ミステリーの代表作と紹介している資料もありますが、それほど文学知識を羅列している印象は受けませんでした。もっともプロットの妨げになってしまうよりはいいと思います。事件のサスペンスよりも複雑な人間関係描写に力を入れたようなところがあり、テンポは総じてゆったりしています。謎解きははっきり推理を説明せず、唐突に解決されたような感があって本格派推理小説としてはちょっと物足りなく感じました。ハヤカワポケットブック版は半世紀上前の翻訳で読みにくくなってきたのでそろそろ新訳版が望まれます。 |
No.1210 | 8点 | 幸運の脚 E・S・ガードナー |
(2016/05/21 23:42登録) (ネタバレなしです) 1934年発表のペリイ・メイスンシリーズ第3作です。法廷シーンがないのはちょっと残念ですが、絶頂期の作品だけあってスピーディーでスリリングな展開と緻密な謎解きが高度なレベルで両立しています。今回は脇役の使い方が実に絶妙です。でもあそこまで謎解き上重要な役割を与えるなら登場人物リストに載せてもいいのでは(創元推理文庫版のリストには載っていませんでした)。あと犯人が意外とつまらない失策をしていたのも(まあ逮捕の決め手はほしかったんでしょうけど)ちょっと安易な気がしました。 |
No.1209 | 5点 | 死は囁く フランセス&リチャード・ロックリッジ |
(2016/05/21 23:23登録) (ネタバレなしです) 1953年発表のノース夫妻シリーズシリーズ第17作で、本格派推理小説と巻き込まれ型サスペンス小説のジャンルミックスミステリーです。プロットはかなり粗くてご都合主義的な展開が目立つし、一応犯人の正体は最後まで伏せられているとはいえウェイガンド警部の推理はしっかりした謎解きを期待する読者には物足りないレベルですが、巧みなストーリーテリングとテンポのよさでぐいぐい読ませます。それでも現代推理小説全集版の半世紀以上前の古い翻訳はさすがに読んでて違和感を覚える時があります。「南京町」とはチャイナタウンのことでしょうか? |
No.1208 | 5点 | 屍衣の流行 マージェリー・アリンガム |
(2016/05/21 23:02登録) (ネタバレなしです) 1938年発表のアルバート・キャンピオンシリーズ第10作は、「判事への花束」(1936年)、「クロエへの挽歌」(1937年)と共に業界を舞台にして「ミステリーと風俗小説の融合」を具現化した作品とされています。本書の場合はファッション業界ですが外面的な描写はそれほどなく、女優ジョージア・ウェルズを中心にした複雑な人間模様がたっぷりと描かれています。キャンピオン兄妹に加えて「甘美なる危険」(1933年)に登場したアマンダも活躍してなかなか賑やかです。ただミステリーのプロットとしては最初の事件は自殺ということで扱いがあっさりだし、第2の事件も一見事故死のため本腰を入れた探偵活動がなかなか始まらず回りくどく感じるかもしれません。それでも伏線は結構きっちりと張られていますし、巻末解説でベタ誉めしている「唯一無二」のトリック(某有名英国作家の有名作品に似た例があるのを解説者は失念しているようですが本書の方が先んじていることは確かです)も印象的で、本格派推理小説としてきちんと着地しています。 |
No.1207 | 6点 | マリンゼー島連続殺人事件 デニス・ホイートリー |
(2016/05/21 22:50登録) (ネタバレなしです) ジョー・リンクス原案、デニス・ホイートリー著による1938年発表の捜査フィル・ミステリーシリーズ第3作は密室あり、連続殺人ありと結構派手な筋立てです。過去2作に登場したシュワッブ警部補がまたまた登場ですが今回は19世紀末に起こった事件の記録提供者という立場で、直接捜査には関わりません(彼ならではという役割は与えられていますが)。無論事件当時の警察担当者はいるのですが、あまり捜査は細かく描写されていません。細かすぎる感のあった過去2作とやや粗っぽい感のある本書、どちらを上位に置くかは読者間で分かれそうですが3作の中では本書が展開がスピーディーで読みやすく、どんでん返しが鮮やかであることは間違いありません。 |
No.1206 | 5点 | 優雅な町の犯罪 キャロリン・G・ハート |
(2016/05/21 22:02登録) (ネタバレなしです) 1994年発表のヘンリー・Oシリーズ第2作です。生身の人間としては登場しない被害者の人物像が少しずつ形を成していく展開がなかなか面白く、最初は協力的だった関係者がヘンリー・Oの捜査が進むにつれ段々と様子が変わっていくところも読みどころです。ヘンリー・Oの探偵活動も最初はある容疑者の冤罪を晴らすためだったのがやがて被害者の無念を晴らすことが1番の目的になり、生きている人々の思惑と対立しようとも手心を加えない姿勢にはハードボイルド小説の探偵を彷彿させるものがあります。随所で推理もしていますが肝心の結末が論理的解決でないので本格派好きの私としてはちょっと物足りなかったです。 |