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ミステリの祭典

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バースへの帰還
ピーター・ダイヤモンドシリーズ

作家 ピーター・ラヴゼイ
出版日1996年07月
平均点6.00点
書評数5人

No.5 6点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2023/04/07 13:00登録)
退職刑事ピーター・ダイヤモンド・シリーズの第三弾。
冒頭のマウントジョイの刑務所脱獄シーンから力が入り、早くも面白くなりそうだとの期待を抱かせる。ミステリとしての謎解きの興味にも事欠かない。もしマウントジョイが無実なら真犯人はだれなのか。美人ジャーナリストを滅多切りにして、口に薔薇の花を挿した意味は。被害者の大家、ボーイフレンドの音楽プロデューサーや馬術家など次々と怪しい人物が登場する。そんな中でも脱獄囚と人質の女性とのやり取り、ダイヤモンドと助手の女性警部ジュリーとの友情の芽生え、夫婦間の会話に絶妙の冴えを見せる。
ダイヤモンドは、果たして警察に復帰できるのか。暗闇の中での大捕物のおまけまであり、最後の一行まで楽しめる。

No.4 6点 nukkam
(2016/06/08 18:28登録)
(ネタバレなしです) 警察をやめて2年が経過しているピーター・ダイヤモンドがかつて自分が殺人犯として逮捕したマウントジョイの脱獄の件で警察から協力要請される、1995年発表のシリーズ第3作です。過去の2作品に比べて本格派推理小説要素が増え、CWA(英国推理作家協会)のシルヴァー・ダガー賞を獲得しています。ただキャラクター描写はやや表面的になり、特にマウントジョイの無実を訴える声や誘拐犯としての危険な雰囲気がそれほど伝わってこないところは評価の分かれそうなところです。良くも悪くも淡々とした筋運びの作品で分厚い割りには読みやすいです。謎解きは動機についてはかなり細かく追求していますが、逮捕するだけの具体的な証拠探しについてはやや不十分の印象を受けました。

No.3 5点 E-BANKER
(2016/03/05 20:46登録)
1995年発表の長編。
ピーター・ダイヤモンド元警視を主人公とするシリーズでは三作目となる作品。

~深夜、元警視のダイヤモンドはかつての職場の警察署に呼び出された。四年前、ダイヤモンドが女性ジャーナリスト殺人事件で逮捕した男マウントジョイが脱獄し、副本部長の娘を誘拐したうえ、交渉相手にダイヤモンドを指名してきたという。マウントジョイとの会見に赴いた彼は、そこで四年前の事件の再捜査を要求される。やがて埋もれていた事実がつぎつぎと・・・。英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞したシリーズ会心作!~

どうも何というか・・・しっくりこなかった。
というのが率直な感想
解説者の二階堂黎人氏は本格ミステリー度の高さを本作の特徴として上げているが、どうもその辺が??なのだ。
早川文庫版で400頁を超える当たりでようやくダイヤモンドの推理が開陳されるわけだけど、真犯人については唐突感たっぷり。正直、「こんな奴いたっけ?」としか思えなかった。
伏線らしきことの指摘もあるのだけど、そこに気付くのは相当ハイレベルというか無理だろう。

では本格ミステリー以外の部分はどうかというと、それも中途半端。
警察小説的な丁寧な捜査行としての一面も備えてはいるにしてもそれがウリとまではいかない。
なによりムダな描写や箇所がどうしても目についてしまった。
これしきのプロットならこれほどの分量は必要なかったのではないか?

どうも感覚的な評価ばかりで、ミステリー的側面にふれてない気はするけど、如何せん冗長さを感じた次第。
他の方の評価が割と高いので気は引けるけど、これは「合うor合わない」の問題だろう。
もちろん著名な賞の受賞作だけあって、達者な筆致&表現力だし、ダイヤモンドとジュリー警部(女性)のかけあいの面白さもある。
でもまあ評点はこんなもんかな。
(これに懲りず他作品も読むつもり・・・)

No.2 6点 りゅう
(2011/11/13 10:08登録)
 ダイヤモンド警視シリーズの作品を初めて読みました。本作品では、ダイヤモンドは警察を辞めているのですが、過去の殺人事件で逮捕した男が刑務所を脱獄して誘拐事件を起こし、ダイヤモンドに冤罪であることを訴えて事件の再捜査を要求することで、再度事件に巻き込まれていきます。ダイヤモンドと助手役のジュリーらとの会話の掛け合いが面白く、楽しめました。文庫本の解説で、二階堂黎人氏が本作品を謎解き小説度6割、警察小説度4割と書いています。再捜査の過程で新たな事実が次々と判明する展開で、真相を推理する上での決定的な証拠が後出しなので、謎解きと言っても読者が行うものではなく、ダイヤモンドが行う謎解きであり、あまり本格色は感じられず、警察小説よりの作品だと感じました。死体に飾られていた薔薇の意味など、真相はよくまとまっていると思います。

No.1 7点 kanamori
(2010/04/14 21:47登録)
主にビクトリア朝を時代背景に歴史ミステリを書いてきたラヴゼイが、本格的に現代ミステリに取り組んだダイヤモンド警視シリーズの第3作。
現代の英国本格を代表するシリーズの一つですが、当シリーズの書評が全くないのはちょっと寂しい。
時代遅れで頑固者のダイヤモンドは、今作ではまだ「元警視」で、ある事情から過去の冤罪事件と現在の誘拐事件に奮闘する。
いかにも田舎町というのんびりしたバースの雰囲気もいいし、本格ミステリのツボを押さえた結末もお見事。個人的にはシリーズの代表作だと思っています。

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