home

ミステリの祭典

login
密偵ファルコ/水路の連続殺人
密偵ファルコ

作家 リンゼイ・デイヴィス
出版日2004年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2016/06/09 16:53登録)
(ネタバレなしです) 1996年発表のファルコシリーズ第9作は無差別連続殺人の犯人探しを扱っていますが、王道的本格派推理小説とは異なるプロットになっています。犯行パターンから犯人の特長を分析するプロファイリング手法を歴史ミステリーに織り込んだ本格派推理小説というべきでしょうか。被害者の素性は大半が最後まで不明のままだし、犯行動機に至っては完全に無視されています。停職中の警備隊長のペトロをファルコが助手代わりに使っていますがほとんど役にたっていません(笑)。ヘレンの方が断然有能そうですが、家族を危険に巻き込まないよう必死でファルコが押し止めています。ローマ帝国自慢の水道網を謎解きに絡めているのはナイスアイデアですが、読者に馴染みのない知識なのでちゃんと地図が添付しているとはいえ推理が難解に感じられました。このシリーズとしては盛り上る場面が少ない方ですがそれでも終盤はサスペンス豊かな場面が続き、解決後に笑えるネタまで用意しているところが巧妙です。しかも次作を待ち遠しくさせるようなエンディングに至っては何と商売上手なこと(笑)。

1レコード表示中です 書評