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ミステリの祭典

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血に飢えた悪鬼

作家 ジョン・ディクスン・カー
出版日1980年07月
平均点3.67点
書評数3人

No.3 5点 レッドキング
(2022/02/25 06:40登録)
「妻は俺を熱愛しており、俺も妻を愛している。が、一緒に暮らしてるあの女は・・妻ではないんだよ・・」カー最後の小説はハロウィンの密室殺人未遂事件。この作のネタ、現代ならばもっとずっと下世話な描写も可能かな、その方が説得力あるし。探偵役コリンズ(月長石作家)は語る「作者は謎解きに必要なデータを全て提示しておく必要がある。が、単純に全てを語ってはならない。読者の先手を打ち意外な展開に・・さらに高級読者の立場で・・」ヴァンダイン同様に言ってることは至極もっともで「ミステリ」を「サスペンス」「ハードボイルド」等その他ジャンルから厳密に分けて評価することもやぶさかではない。でも、なかなかそうもいかないんだよな、「ミステリ小説」はまた「小説」でもあるからねえ。

てことで、ディクスン・カー(カーター・ディクスン除く)全長編46作の採点修了したんで、私的カー長編ベスト10(12)
    第一位:「三つの棺」
    第二位:「囁く影」
    第三位:「曲った蝶番」
    第四位:「火刑法廷」
    第五位:「死者のノック」
    第六位:「引き潮の魔女」
    第七位:「死が二人をわかつまで」
    第八位:「疑惑の影」
    第九位:「仮面劇場の惨劇」
    第十位:「連続殺人事件」
    同十位:「皇帝のかぎ煙草入れ」
    同十位:「眠れるスフィンクス」

※結論、何と言ってもミステリは、カーとディクスンにとどめを刺す。

No.2 5点 nukkam
(2016/06/12 05:10登録)
(ネタバレなしです) カー(1906-1977)の最後の作品となった1972年発表の歴史本格派推理小説で、作中時代は1869年、探偵役を「月長石」(1868年)の作者ウィルキー・コリンズが務めています(作中で「月長石」のネタバレがありますので未読の読者は注意下さい)。もっともコリンズは出番が意外と少なくてそれほど印象的ではありません。史実としてこの時代のコリンズはリューマチと阿片中毒に苦しんでいたそうなので意図的に精彩に乏しい描写をしたのかもしれませんが。密室トリックは小手先のトリックで可もなく不可もなくといった感じですが、中盤で明かされたもう一つのトリックにはどちらかといえば悪い意味で驚かされました。ある人物が長々と説明しているのですが、これは絶対に無理だという思いが頭から離れないまま読みました。本書はユーモア本格派ではありませんが、こんなお馬鹿で強引なトリックは笑い飛ばすのが1番か(笑)?

No.1 1点 Tetchy
(2008/11/12 19:40登録)
あまりにも題名から想起される内容とはかけ離れていて呆気に取られてしまった。
時代ミステリであるがため、当時の世俗背景を甦らすのに腐心しているようだが、登場人物が全く活写されていない。

メイントリックはルブランでお馴染みの使い古された手法。
コレクターズ・アイテムですな。

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