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ミステリの祭典

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nukkamさんの登録情報
平均点:5.44点 書評数:2812件

プロフィール| 書評

No.1792 6点 氷のなかの処女
エリス・ピーターズ
(2016/10/03 01:18登録)
(ネタバレなしです) 1982年発表の修道士カドフェルシリーズ第6作で、「死体が多すぎる」(1979年)と同じく冒険小説としての要素が強い作品です。作中時代は1139年11月、内乱軍が勢力を盛り返してウスターの町が襲撃されます。姉アーミーナ、弟イーヴ、そして修道女ヒラリアの3人は共に脱出し、カドフェルのいるシュルーズベリへ向かいますがその後の行方がわからなくなります。単純な話、この姉と弟を捜すというのが目的の物語なんですがこの2人がそれぞれ勝手に動き回るのだからカドフェルたちも右往左往です(笑)。書き方によってはどたばた劇にもなったでしょう。ミステリー要素はやや少なめですが前の2作で探偵としての精彩を欠いていたカドフェルが久しぶりに名探偵らしい存在感を示しています。


No.1791 5点 海のオベリスト
C・デイリー・キング
(2016/10/02 07:41登録)
(ネタバレなしです) 1932年に発表された米国のC・デイリー・キング(1895-1963)のデビュー作でもありオベリスト三部作の第1作です。オベリスト(作者の造語です)という言葉の意味は本書の冒頭で解説されています。趣向に凝った犯人当て本格派推理小説で、巻末に手掛かり索引を挿入して何ページに手掛かりが隠してあったかを説明しています。この手掛かり索引を導入したミステリーが本書が最初なのかはわかりませんが本格派推理小説黄金時代ならではのアイデアですね。4人の心理学者が各々の心理分析手法を用いながら誰が犯人かを推理していくというのがプロットの特徴になってますが効果はいまひとつです。さらに不自然に感じたのがある人物が別の人物に命を狙われていると怯えて助けを求める場面があるのですが、その人物の名前を絶対に明かそうとしません。理由はあるけど弱いです(まあこれで犯人の正体がわかってしまうのでは本格派としては破綻ですが)。これでみんなに助けてくれというのはちょっとねー(笑)。キングは自身も心理学者だそうですけど心理学者だからって心理描写が上手いわけではないようです。


No.1790 6点 結末のない事件
レオ・ブルース
(2016/10/02 07:31登録)
(ネタバレなしです) 1939年に発表された本書は全部で11作書かれたビーフ巡査部長シリーズの第3作なんですがビーフは本書では警察を退職して私立探偵になっています。つまり巡査部長として活躍したのは実質2作品のみだったわけです。相変わらずやる気があるのかないのかわからないようなビーフの探偵ぶりが面白いです。意味深なタイトルについてはネタバラシできませんがなかなか凝ったプロットになっており、過去の2作品を読んでから本書を読むことを勧めます。


No.1789 5点 クッキング・ママの名推理
ダイアン・デヴィッドソン
(2016/10/02 07:29登録)
(ネタバレなしです) 1993年発表のゴルディ・ベアシリーズ第3作は生徒がいて親がいて校長や教師がいて彼らが容疑者という典型的な学園ミステリーです(被害者は学年成績No.1の生徒です)。結構早い段階で殺人が起き、その後もゴルディの周辺で次々に事件が発生します。ただそれらの出来事が意図的な企みなのか偶然の事故なのかはっきりしないまま物語が進むし、最初の殺人の捜査状況もプロの探偵でないゴルディにはあまり情報が伝わらず中盤の展開がややかったるいです。犯人の計画も短絡的な部分とやたら回りくどい部分がごっちゃになっていてぴんと来ませんでした。私にも理解できたのは子供の将来を巡っての親どもの狂乱ぶりは洋の東西を問わないということ(笑)。


No.1788 5点 レーン最後の事件
エラリイ・クイーン
(2016/10/02 07:21登録)
(ネタバレなしです) 1933年に発表されたドルリー・レーン四部作の最後を飾る作品です。これまでの3作品が全ての謎が殺人につながり殺人犯がわかれば全てが解決するという、伝統的な本格派推理小説のスタイルなのに対して本書は伝統破りを意識したような異色のプロットになっています。そもそも何が起きているのかさえよくわかないまま物語が進み、その謎解きは27章で一つのクライマックスを迎えます。本来ならメインの謎となる殺人事件はかなり後半になってようやく発生、そして最終作らしい決着、しかしそこに至るまでに物凄く回り道しているような読後感が残りました。過去のシリーズ作品はビギナー読者にもお勧めできますが本書は通の読者向けの作品になってしまいました。まあ四部作の最初に本書を読む人はそういないとは思いますが。


No.1787 4点 いい女の殺し方
ドロシー・キャネル
(2016/10/02 02:29登録)
(ネタバレなしです) ドロシー・キャネル(1943年生まれ)は英国生まれで米国在住の女性作家です。1984年のデビュー作である本書(舞台は英国です)の英語原題はあのダシール・ハメットの「影なき女」(The Thin Man」(1934年)のパロディーみたいな「The Thin Woman」です。しかしハードボイルドでもないし、それどころかミステリー要素も少ないのでハメットのファン読者から苦情は出なかったのでしょうか?プロットは主人公のエリ-とベンが遺産の相続人になって数々の奇妙な相続条件に挑戦するというのもので、その条件の一つがエリーが体重を30キロ減らすことというのがタイトルの由来でしょう。ロマンスとコメディー、それに宝探し(これも遺産相続の宿題です)がプロットの骨子です。エリーは頭の回転が早いということになっていますがダイエットを妨害しようとする者から贈られた(と思われる)チョコレート(毒は入ってません)を用心もせずに全部たいらげてしまうなど結構心もとなく、勘違いもしばしばで謎解きにはあまり役立っていません。


No.1786 9点 サイモンは誰か?
パトリシア・モイーズ
(2016/10/01 06:51登録)
(ネタバレなしです) 1978年発表のヘンリ・ティベットシリーズ第14作はどちらが本物の遺産相続人かという謎を扱ったミステリーとしてはジョン・ディクスン・カーの「曲った蝶番」(1938年)と双璧の傑作本格派推理小説だと思います。今回はヘンリの妻エミーの出番が非常に少ないなあと思って読み進めましたが12章の最後で彼女が見抜いた事実には完全に度肝を抜かれました。ヘンリが「気でも狂ったのか」と言うのも無理もありません。もっともヘンリも13章の冒頭で早くも状況を正確に把握しているところはさすがは名探偵です。終盤の謎解きも圧巻の出来栄えです。


No.1785 5点 悪意の家
モリー・ハードウィック
(2016/10/01 06:35登録)
(ネタバレなしです) テレビ脚本家でもある英国のモリー・ハードウィック(1916-2003)にはドラマ脚本を小説化した作品や、放送作家でもある夫のマイケル・ハードウィック(1924-1991)との共著などもありますが1986年発表の本書はオリジナル小説として単独執筆された骨董商のドーラン・フェアウエザーシリーズの第1作です。序文に「セイヤーズの思い出に」と書かれていますがドーランが随所で古典文学からの引用をするのはセイヤーズの影響でしょう。前半はサスペンス小説、後半は本格派推理小説の構成を取っていますが、緻密な推理による犯人指摘でなく体当たり的はったりをかませて犯人の自白を引き出したという印象が強かったです。文章は読みやすいです。


No.1784 5点 図書館の死体
ジェフ・アボット
(2016/10/01 05:56登録)
(ネタバレなしです) 米国のジェフ・アボット(1963年生まれ)による1994年発表のデビュー作で、ジョーダン・ポティート(Jordan Poteet)4部作の第1作です。主人公の職業を図書館長に設定してあるのでいわゆるビブリオ・ミステリーかと思いましたが本書を読む限りではその雰囲気は少ないです。事件に巻き込まれた主人公が容疑者たちを調べながら真相にたどり着くという、よくある図式のプロットですが単にアマチュア探偵の活躍を軽い文体で描いただけの本格派推理小説ではありません。主人公が時には傷つきながらも成長していくという、英国のD・M・ディヴァインの作品風な要素もあります。残念ながらディヴァインほどの緻密な謎解きではありませんが被害者の残したメモに関わる謎解きは(聖書の知識がなくても)それなりに楽しめます。


No.1783 6点 料理長が多すぎる
レックス・スタウト
(2016/10/01 01:26登録)
(ネタバレなしです) ネロ・ウルフの最大の関心事が蘭と食事であることは有名ですが1938年発表のシリーズ第5作である本書はそんな彼にふさわしい事件が扱われています。15人の世界的に有名な料理長を集めた晩餐会に招待されたとあって外出嫌いのウルフが外出するのですから。ウルフがソースの味見テストの結果から犯人を割り出そうとする中盤の推理はとても印象的で、そこからのどんでん返しも見事です。あびびびさんやあいさんがご講評で述べられているように犯人当てとして読者に対してフェアに謎解き伏線が与えられているかは微妙な気がしますけど真相は細部に至るまでよく考えられており本格派推理小説らしさは十分あると思います。ところで原書では料理レシピが付いていたらしいですが、謎解きと直接関係はないとはいえ残念なことにハヤカワ文庫版ではそのレシピが削除されてしまっています。


No.1782 6点 ハネムーンの死体
リチャード・シャタック
(2016/10/01 01:03登録)
(ネタバレなしです) リチャード・シャタック(1905-1986)は本名をドラ・シャタックという米国の女性作家です。当時は作家の世界も女性というだけで不利であることが多かったので男性名のペンネームを使っていたようです。こういう例はミステリーの世界ではアントニイ・ギルバートやロジャー・スカーレットがいますね。1940年に発表されたミステリー第1作である本書の創元推理文庫版でクレイグ・ライスを彷彿させるユーモア・ミステリーの書き手として紹介されていますが、ライスの作品が笑いの場面だけでなく涙を誘う場面やシリアスな場面も取り入れているのに対してシャタックの作風は徹底して笑いを誘っている点が違います。そのため能天気な雰囲気が作品全体を覆っています。一応は本格派推理小説に分類できる作品で謎を解く伏線も張ってありますが謎解きよりもどたばた劇を楽しむべき作品だと思います。内容が軽すぎて読み終わった後に何も残りませんが(私の記憶力の問題でもあります)、こういう作風ならそれも一概に弱点とは言えないような気がします。


No.1781 8点 消された子供
エリザベス・ジョージ
(2016/09/29 23:44登録)
(ネタバレなしです) 誘拐事件を扱った1996年発表のリンリーシリーズ第8作はまたまたハヤカワ文庫版が上下巻で出版されるほどの分厚い作品で合計900ページを超す本格派推理小説の大作です。大分量でありながら全く退屈させることなく読ませるストーリーテリングが見事で、毎度の事ながらこの人の文章力と演出力には感心させられます。しかも今回はサイドストーリーが誘拐された子供の家族(同時に容疑者でもあります)を中心に展開しているので謎解きプロットと有機的に絡み合っています。犯人が〇〇のことを知った方法にはややご都合主義的な面もありますが、謎解きとしてもよく出来ていると思います。ハヴァーズ部長刑事の後半の活躍も見ものです。


No.1780 6点 死を招く航海
パトリック・クェンティン
(2016/09/29 23:33登録)
(ネタバレなしです) 1930年代から1960年代前半まで活躍した米国のパトリック・クェンティンは作家プロフィールが大変複雑です。1931年から1935年まではリチャード・ウェッブ(1901-1970)による単独執筆か、ウェッブとメアリー・アズウェル(1902-1984)による共同執筆か、ウェッブとマーサ・ケリー(生没年不詳)による共同執筆でパズル色濃厚な本格派を発表しています。ここまでが初期と位置づけられています。1936年から1952年までがウェッブとヒュー・ホイーラー(1912-1987)による充実の合作時代である中期で、本格派の謎解きにサスペンス色を加味した作品が多くなります。それ以降が後期ですがウェッブが健康上の問題でコンビを脱退してホイーラー単独の作品になり、本格派の謎解き要素は大きく後退してこの時期のクェンティンはサスペンス小説作家として評価されています。本書は1933年発表のウェッブとアズウェルによる本格派推理小説で、全ての手掛かりを読者に提示して犯人当てに挑戦しています。新樹社版の29ページの前に「ここには重要な手掛かりが隠されています」というメッセージを挿入して読者をあおっています。この手掛かりはあまりにもさりげなく記述されていて用心深い読者でもなかなか気がつかないでしょう。個性のない登場人物たち、メリハリの少ない展開でダレ気味なのが惜しいです。


No.1779 5点 原罪
P・D・ジェイムズ
(2016/09/29 23:17登録)
(ネタバレなしです) 1994年発表のダルグリッシュシリーズ第10作で、ハヤカワ文庫版で上下巻合わせて700ページ超えの大作です(本書で3作連続上下巻出版です)。フーダニットよりもホワイダニットとしての印象が強く残った作品です。被害者の嫌らしさは殺される前から丹念に描かれているので殺される理由には事欠かないと思って読みましたが、真相を知って動機の奥深さに印象づけられました。謎解きに関しては前の2作よりも推理要素があり、伝統的な本格派ミステりー路線へ回帰しつつあるのかなと個人的な期待を抱かせました。それでもこのボリュームにはてこずりましたが。


No.1778 6点 ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
(2016/09/29 23:10登録)
(ネタバレなしです) 1944年発表の本書での探偵役はクリスティーのいくつかの作品に登場しているバトル警視です(エルキュール・ポアロは登場しませんが、バトル警視がポアロのことを回想する場面があります)。殺人事件は中盤まで発生しません。犯人が殺人を企画している場面が序盤で紹介され、殺人の瞬間(ゼロ時間)へ向かって物語が進むという特殊なプロットの作品で、クリスティー自身は会心の出来と思っていたようです。評価が分かれそうなのは被害者が誰になるかを土壇場までわからないようにしているところでしょう。殺されてもおかしくないような人物描写にしていないので事件に至るまでの緊迫感には乏しく退屈する読者もいるかもしれません。犯人の計画も特異といえば特異ですが、ジョン・ディクスン・カーの作品に前例がありましたね。


No.1777 5点 十六歳の闇
アン・ペリー
(2016/09/29 23:03登録)
(ネタバレなしです) 英国のアン・ペリー(1938年生まれ)はピット警部シリーズとモンク警部シリーズという2つの歴史ミステリーのシリーズが人気の女性作家です。若い頃に重大犯罪に加担して投獄されたという過去があり、しかもその経歴が暴露されて映画ネタにされたというエピソードまであります。ちなみに本書が1984年に出版された時はその経歴はまだ一般に知られていません。本書は19世紀末の英国を舞台にしたピット警部シリーズの第6作で、倒錯した性行為がテーマとして扱われていますが幸いにして生々しい表現とかはありません。にもかかわらず読んでて不快感を覚えるのは人間の心の卑しさがたっぷり描かれているからでしょう。自分の周囲だけ秩序が保たれれば他人がどうあろうと全く構わないというエゴがむき出しにされています。現代読者が読んでも十分に通用する内容です。論理的推理の要素が少なくしかも駆け足気味な解決なので本格派の謎解きとしてはあまり面白くありませんが、風俗小説としてはとてもよくできていると思います。


No.1776 5点 ミステリー・ウィーク
ヘザー・グレアム
(2016/09/28 00:04登録)
(ネタバレなしです) ロマンス小説を創作の中心にして1980年代から活躍している米国のヘザー・グレアム(1953年生まれ)は100冊を超す作品を発表しているベストセラー作家です(米国の女優ヘザー・グレアム(1970年生まれ)とは別人です)。英語原題が「Never Sleep with Strangers」の1998年発表の本書はロマンチック・サスペンスでありながら本格派推理小説好きにアピールする内容も持っています。舞台はスコットランドで、秘密の通路のある古城、13人の容疑者(大半がミステリー作家です)、蝋人形の群れ、地下墓地、そして吹雪の山荘状態と何という古典的な設定でしょう。誰もが犯人の可能性を残しつつ最後に殺人犯が明らかになるというプロットは本格派の資格を十分に満たしています。本格派好きの私にとって残念に思うのは犯人を示す手掛かりや伏線がきちんと提示されておらず、犯人がある人物を襲撃することによってその正体が割れるという典型的なサスペンス小説的結末になっていることです(サスペンス小説だとわかって読む分には何の問題もありません)。とはいえベストセラー作家ならではの語り口の上手さであっという間に読み終えることができました。意外にもユーモア豊かな場面もあります。


No.1775 7点 悪女パズル
パトリック・クェンティン
(2016/09/27 23:23登録)
(ネタバレなしです) 1945年発表の本書はダルース夫妻シリーズの第4作にあたる本格派推理小説です。関係が悪化している夫婦を何組も登場させる状況設定はパット・マガーの「七人のおば」(1947年)を連想させます。マガーが本書を参考にしたのかどうかはわかりませんが読み比べてみるのも面白いと思います。人物描写に関してはマガーの方が濃厚ですが謎解きに関しては本書の方が格段によく出来ていると思います。全体構成もすっきりしていて読みやすいです。連続怪死によるサスペンスがよく効いていますが最後はシュールでコミカルな一同退場場面を用意して悲惨一辺倒では終わらせないなど小粋な面も持ち合わせています。


No.1774 6点 ハイヒールの死
クリスチアナ・ブランド
(2016/09/26 02:52登録)
(ネタバレなしです) 英国の本格派作家クリスチアナ・ブランド(1907-1988)については評論家のアントニー・バウチャーがジョン・ディクスン・カーやアガサ・クリスティーに匹敵する実力者と最大級の賞賛を贈っていますが、私も全面的に賛成です。よく考え抜かれたプロット、巧妙な伏線や手掛かりの配置、どんでん返しの連続によるスリリングで鮮やかな謎解きと全ての面で超一流の作家で、作品数は多くないけど文句なしに巨匠と言える存在です。もっともデビュー作の本書(1941年出版)はそれほど個性的な作品ではありません。ユーモアミステリーと語られることも多いようですがクレイグ・ライスやカーの作品のような派手などたばた劇や陽気な笑いがあるわけではなく、エキセントリックな登場人物の妙ちきりんな言動にひねくれたユーモアを感じる程度です。また容疑者の8割が女性で舞台はファッション業界ですが服装とか容姿とか化粧の描写は意外と少なく、華やかな雰囲気はありません。謎解きも含めて良くも悪くも地味で平均点的な作品です。


No.1773 6点 アルファベット・ヒックス
レックス・スタウト
(2016/09/26 02:06登録)
(ネタバレなしです) 1941年発表の本書はスタウトの数少ない非ネロ・ウルフシリーズ作品の本格派推理小説で、かつて弁護士だったタクシー運転手アルファベット・ヒックスが活躍します。物語の中で重要な役割を担う小道具がソノシート(CD世代の読者は見たことないかも)というのが時代を感じさせますが全体の流れはスムーズで読みやすく、終盤にはどんでん返しが効果的な謎解きが用意されています。

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