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ミステリの祭典

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ヴォスパー号の遭難
フレンチシリーズ/旧題『ヴォスパー号の喪失』

作家 F・W・クロフツ
出版日1957年01月
平均点3.50点
書評数2人

No.2 3点 レッドキング
(2022/12/30 16:12登録)
クロフツ第十八作。沈没した貨物船の保険金詐欺疑惑を調査する私立探偵。探偵の行方不明事件が殺人事件へ展開し、信じられないまでにストレートな・・十八番アリバイトリックさえない・・船舶爆破陰謀が判明する。船荷「密売」ネタはちょびっとだけ面白かった。

No.1 4点 nukkam
(2017/10/22 13:55登録)
(ネタバレなしです) ジュリアン・シモンズが評論集「ブラッディ・マーダー」(1992年)で「フレンチ警部物のうちでは秀作に属する」と評価した、1936年発表のフレンチシリーズ第14作の本格派推理小説です。序盤は好調です。大西洋を航行中の貨物船ジェイン・ヴォスパー号の船倉で爆発が起き、船員たちの奮闘むなしく沈没してしまう第1章はなかなか劇的です。その後海事審問が開かれ、事故ではなく何者かによる犯罪の可能性が濃厚になり保険会社が探偵を使って調査を開始しますが、その探偵が行方不明になってフレンチの登場になるまでの展開にもよどみがありません。しかしフレンチが失踪者の足どりを追跡する、文字通り「足の探偵」らしさを発揮すると物語の流れは一気にスピードダウンします。捜査が順風満帆でないところがリアリティ重視派の読者にはたまらないのでしょうけど個人的には結構辛かったです。第14章でフレンチが「つぎの三日間はこの事件にかかわって以来もっともつまらない、もっともみのりの薄い日々だった」と述懐してますが、いやいやそこに至るまでも十分じりじりさせられましたよ(笑)。フレンチが最初から「悪党ども」と呼んでいるように複数犯による事件の可能性が高いことも本格派の謎解きとしては好き嫌いが分かれそうです。

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