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ミステリの祭典

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死者はふたたび

作家 アメリア・レイノルズ・ロング
出版日2017年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2018/02/09 12:33登録)
 (正統ハードボイルドなどの一部をふくむ)私立探偵小説には思いのほかパズラーの興味を乗せやすいという一部ミステリ評論家の見識どおり、謎解きと行動派私立探偵ものの要素ががっぷり組んだ佳作~秀作であった。その意味でとても端正な一作。
 ちなみに、結局、この主人公はレギュラー探偵にならなかったみたいだけど、その辺は特に際立った個性がないから仕方がないか。なんかこのシンプルなキャラクターに独特の魅力は感じるんだけどね。
 ただし警察には協力しすぎ。ここまで警察側と友好的な(一応はハードボイルド風の)私立探偵キャラクターは初めて見た。まあその分、話はサクサク進んでいいんだけど。

No.1 6点 nukkam
(2017/10/05 10:01登録)
(ネタバレなしです) シリーズ探偵の登場しない、1949年発表の本格派推理小説です。論創社版の巻末解説で「ハードボイルド風の異色作」と紹介されていますが、周到に用意された謎解き伏線に推理に次ぐ推理と本格派推理小説としての基本はしっかりしています。確かに古典的ハードボイルド作品に登場しそうな私立探偵を主人公にしていて「探偵が何者かに後頭部を殴られて気絶」する常套的な場面までありますけど。死んだと思われた夫が生きていたらしいが果たして本物なのか、という謎で始まるプロットは地味過ぎの感もありますが妻が本物だと証言しても本物か偽者か容易には決着しません。本物なら今までどうしていたのか、偽者ならどんな目的があるのか、偽者なら妻は巧妙に騙されたのかそれとも偽者に脅されて偽証したのかそれとも偽者と知りつつ自ら嘘をついているのかと謎はどんどん膨れ上がり、殺人が中盤まで起きない展開であっても退屈しませんでした。

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