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ミステリの祭典

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空さんの登録情報
平均点:6.12点 書評数:1515件

プロフィール| 書評

No.615 6点 メグレの退職旅行
ジョルジュ・シムノン
(2013/05/15 22:44登録)
『メグレ夫人の恋人』に続き『メグレの新捜査録』からの6編を収録した短編集です。その上巻とは逆に、かなり長い作品が4編あり、その前に短い2編が置かれています。
短い『月曜日の男』と『ピガール通り』は、たいしたことはないかな、といったところ。次の『バイユーの老婦人』はメグレものには珍しいハウダニットの佳作になっています。後の3編は本のタイトルにもあるメグレの退職がらみで、まず『ホテル”北極星”』は退職2日前の事件です。ホテルで起こった殺人事件で、司法警察に連行された若い女セリーヌがなかなか印象的。『マドモワゼル・ベルトとその恋人』は退職後田舎で暮らしているメグレに宛てられた手紙から始まります。なんとこの作品では、常連リュカ部長刑事が殉職したという設定になっています。最後が『メグレの退職旅行』で、英仏海峡に臨む港町で嵐の夜という、シムノンお得意の雰囲気がたっぷり楽しめる作品でした。


No.614 8点 グリーン・サークル事件
エリック・アンブラー
(2013/05/12 14:30登録)
スパイ小説の巨匠の手になる1972年英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作ですが、翻訳が創元社から出たのはなぜか2008年になってからです。
スパイというより中東を舞台にした国際謀略小説という感じです。ある意味、主人公の同族企業社長がスパイ的な役割を担うことにはなるのですが。複数の登場人物の一人称形式を章ごとに組み合わせた形式をとっていて、全8章のうち4章がこの社長の視点です。
現在まで続くパレスチナ紛争を扱っているわけですが、パレスチナ過激派ゲリラが自社で密かに爆弾を作っていることに気づいた社長と過激派リーダーの心理的かけひきが興味の中心で、過激派がどんなテロ行為を目論んでいるのかを少しずつ明らかにしていく知的興味もじわじわとサスペンスを盛り上げていきます。決して派手な展開に持ち込まず、リアリティがあるからこその緊迫感に徹しているのは、さすがでした。


No.613 7点 石の下の記録
大下宇陀児
(2013/05/08 23:09登録)
昭和23~25年に雑誌に連載され、昭和26年の探偵作家クラブ賞を受賞した作品です。戦後の時代状況を捉えた風俗小説として評価が高く、木々髙太郎が絶賛したというのも納得できます。高木彬光『白昼の死角』のモデルにもなった光クラブ事件もいち早く取り入れられています。しかし今回久しぶりに読み直してみて、ただ当時の風俗というよりむしろ社会派の先駆的作品であるとの印象を強く持ちました。
謎解き的な興味から言えば、確かに弱いでしょう。トリックのための言い訳はやはり苦しく、誰でも怪しいと気づいてしまいます。またトリックと今書きましたが、実はそう呼べるほどのものでもありません。動機にもなった犯人のある誤解については、そのことが語られる場面での人物出入りを工夫すれば誤解に説得力が増したのに、とも思いました。そういった不満もありますが、全体的には楽しめました。


No.612 7点 探偵になりたい
パーネル・ホール
(2013/05/05 16:26登録)
民事専門弁護士の下で働いている気弱で平和主義者の私立探偵が主人公のお話第1作です。邦題では「なりたい」ですが、原題はシンプルにただ “Detective”。実際のところ、「わたし」ことスタンリー・ヘイスティングズは探偵になりたいわけではありません。むしろ「探偵」ってなんだろう、というところが、ある意味本作のテーマですから、やはり原題の方が意味が通ります。ここで言う探偵とは、ポアロみたいなのではなく、作中にも名前が出てくるサム・スペードやマイク・ハマーで、内容的にも実際ハードボイルドに近いところがあります。
この主人公のキャラクターがなんとも微笑ましいのが魅力で、1ページ目の初めての依頼人とのやり取りからして、すっとぼけていて笑わせてくれます。謎解きミステリ度はハメットやスピレインと比べるとずいぶん低いのですが、悪役をやっつける手立ては、なかなか工夫されています。


No.611 7点 海の秘密
F・W・クロフツ
(2013/05/01 22:19登録)
クロフツというとアリバイ崩しかと思われるかもしれませんが、それはこの作者から影響を受けた鮎川哲也の鬼貫警部シリーズがそうだからということからの思い込みにすぎないのではないでしょうか。意外に様々な事件のパターンを試みている作家だと思います。それでも変わらないのはフレンチ警部(とは限りませんが)の地道な捜査ぶりです。
本作では海中から発見された木箱に死体が入っていたということで、フレンチ警部は似た状況として、友人のバーンリー警部が扱った『樽』詰め死体事件のことを語っていますが、その後の展開は全く異なります。木箱がどこで海に捨てられたのかをフレンチ警部が検討していく初期捜査の段階からして、クロフツらしい緻密さですが、タイトルにもかかわらず、海に関係あるのはこの最初部分だけ。被害者の見当がついてからも二転三転する仮説を克明に検証していく構成は、充分楽しめました。


No.610 5点 空洞星雲
森村誠一
(2013/04/29 23:57登録)
長編3部作の第2作だそうで、第1作の『太陽黒点』は読んでいないのですが、本作の巻頭には、その前作と共通する登場人物の簡単な紹介が置かれています。ただし独立して読める作品にはなっています
角川文庫版の解説には、第1作が社会派でこの第2作はトリックを駆使した本格ものとしながらも、「単なる本格ものの推理作品という以上の文学的価値がある」と書かれていますが、実際のところ、本格ものとしては「単なる」と言いたい内容です。事件全体の流れの中に密室とアリバイがはめ込まれているのですが、そのはめ込み方がまず不満なのです。森村誠一は同じ偶然パターンを以前に少なくとも2度使っていますが、今回は特に不自然に思えます。また電話のアリバイ・トリックも同じことができるもっと単純な方法があるのです。暴走族リーダーの人物造形と活躍で、かろうじてこの点数といったところでしょうか。


No.609 7点 メグレ夫人の恋人
ジョルジュ・シムノン
(2013/04/23 23:24登録)
原書では『メグレの新捜査録』として出版された短編集の中から半分ぐらい選んで翻訳されたものです。なお、残り半分は『メグレの退職旅行』に収録されています。
全体としては、どちらも60ページ近くある表題作と『殺し屋スタン』の間に、短い作品7編をはさんだ構成になっています。読みごたえのあるのはやはり長い2編で、特に翻訳者長島良三氏のお気に入り『殺し屋スタン』は評判に違わずおもしろくできています。この2編もそうなのですが、メグレものの長編よりも結末の意外性に気を配った作品が多いというのが、妙なところかもしれません。徹底的な尾行サスペンスの『死刑』でも、容疑者の法律を盾にとった行動とその裏をかくメグレの策略が意外性を出しています。考えてみると、シムノンにはメグレものでないパズラー系の短編集がいくつもありますが、短編向きの謎解きアイディアが得意なのかもしれません。


No.608 7点 本番台本
ギャビン・ライアル
(2013/04/15 22:35登録)
民間のパイロットが政治的な事件に巻き込まれるという点では、以前に読んだ『もっとも危険なゲーム』と同一ですが、プロットは本作の方がはるかに単純です。実在の中米各国の中に架空の国がひとつ出てくるるのですから、大筋がどうなるかは最初から明らかで、いかにも冒険・アクション小説といった感じです。アクション自体、主人公の設定にふさわしく飛行機利用がメインなのですが、そのシンプルな構造の中に、主人公が巻き込まれることになった原因とか、途中で起こる殺人事件の真相とかいった謎解き的要素も盛り込まれています。この殺人の動機はいくらなんでもという気がしますが、意外性は確かにあります。また、最終的な攻撃方法のアイディアもなかなかのもので、細かい点への工夫が感じられます。
タイトルどおり映画がらみであるところもおもしろいですし、二人の俳優もいいキャラクターを発揮しています。


No.607 6点 津和野殺人事件
内田康夫
(2013/04/02 23:43登録)
2時間ドラマ定番の内田康夫ですが、読んだのは今回が初めてです。特に食わず嫌いというわけでもなかったのですが(テレビ・ドラマは食わず嫌いと言えるかも)、作品数が多くてどの作品から手をつけたらいいか迷っていたということもあります。
さて、そんなわけで他の作品を全く知らないのですが、本作は横溝正史をも思わせるような中国地方の旧家をめぐる事件です。トラベル・ミステリーという言葉もこの作家に対してはよく使われますが、タイトルどおり津和野を主要舞台としているとは言え、「旅」の印象はあまりありません。地方色豊かな作品という感じで、それだったら金田一耕助の岡山ものもそうでしょう。
そして犯人の意外性もまた、横溝正史の某有名作を連想させるところがあります。ただし本作では偶然が多用されていますが。最初の殺人の動機が、なかなかうまく決まっていると思います。


No.606 8点 過去の傷口
スティーヴン・グリーンリーフ
(2013/03/23 14:07登録)
ハードボイルドに対しても謎解きを期待する人は、絶対に『偽りの契り』より前に本作を読んではいけません。完全に、前々作の衝撃的な(感動的なと言った方がいいでしょうか)結末のネタばらしをしているからです。しかもそのネタばらしが、最後になって胸にしみてくる構成になっているのです。
以前に読んだジョン・タナーのシリーズ作品は非常に渋めの感じだったのですが、今回のクライマックスはかなり派手になっています。いや、ただ銃撃戦などの表面的な派手さだけでなく、タナーの感情も大きく揺れ動き、ラスト・シーンにおける選択の苦痛は相当なものです。
タナーが感情的になるのも当然。最初に起こるのは、タナーの親友であり、シリーズ常連だった刑事チャーリー・スリートが裁判所の中で被告を突然射殺したという、衝撃的な事件なのですから。Who、Howの謎は一切なく、ただひたすらにWhyを追及する作品です。


No.605 5点 孤独な女相続人
E・S・ガードナー
(2013/03/20 11:59登録)
ペリー・メイスンものでは、本筋の事件以外にもちょっとした法律的な雑学などがおもしろいところがありますが、本作では若い警察官がメイスンの鼻をあかすところが楽しめます。メイスン自身、やられたとわかった時には笑い出しています。本筋の方では、デラが重要な手掛かりに気づくところが記憶に残ります。考えてみれば、常識的な物事の進め方からしても、確かにそうでなければならないはずです。
本作はかなり前に原書で読んだことがあったのですが、覚えていたのはその2点だけでした。今回邦訳で再読したのですが、やはり真相はあまり印象に残らないかなあと思えました。犯人の意外性はありませんし、その犯人の計画はいたずらに複雑なだけで、必要性が感じられないのです。冒頭の依頼は例によって興味深いものなのですが、その依頼人が途中でメイスンを困らせる妙な行動も、無意味にしか思えません。


No.604 6点 公園には誰もいない
結城昌治
(2013/03/16 08:48登録)
松本清張が監修した書き下ろし新本格推理小説全集の1冊として出版された作品です。後期ロス・マクを思わせる暗い叙情的な雰囲気の私立探偵真木シリーズは、伏線もちゃんと張ってあって、確かに「本格」と言ってしまってもいいような気はしますが、普通はハードボイルドの方に入れられるでしょうね。
失踪したシャンソン歌手を探す依頼を受けた真木が、とりあえず東京にいる関係者たちから聞き込みをした後、当然調査しなければならない軽井沢の別荘に翌日行ってみると、歌手は殺されていて、しかも真木は頭を殴られて気絶、というハードボイルド定石どおりの展開です。
本作は久々の再読なのですが、同じ作者の『暗い落日』や『幻の殺意』と比べると、犯人もトリックもさっぱり記憶に残っていませんでした。犯人の計画に必要性があまり感じられないという不満はあっても、真相はシンプルで覚えやすいと思うのですが…


No.603 6点 メグレとワイン商
ジョルジュ・シムノン
(2013/03/12 21:11登録)
前作『メグレと録音マニア』との共通点と相違点を意識させられる作りになった小説です。簡単な粗筋だけで人間関係等を問題にしなければ、なんだ前作とそっくりな展開ではないかとも言えるでしょう。
しかし、これはひょっとしたら前作の問題点に対する修正版ではないか、とも思えてきます。前作は前半と後半が分断されたような印象を与えたのに対し、本作は、オーソドックスなミステリ的人間関係で全体がまとめられているのです。今回は原題の意味も邦題と全く同じで、殺されるのがワイン商です。この被害者のいやな性格が事件の中心にあって、動機を持つ人間を探していく、という話になります。普通に捜査を進めていくだけでも、犯人を特定して逮捕することはできたはずの事件なのですが、あえてこのような展開にしたというのが、前作を意識していたのではないかと推測する根拠です。それだけに最後の2章はなかなか読ませてくれます。


No.602 7点 灰色の栄光
ジョン・エヴァンズ
(2013/03/08 20:40登録)
この作家は初読ですが、本作の原書は本名のハワード・ブラウン名義で発表されたにもかかわらず、河出書房の翻訳はジョン・エヴァンス名義になっています。エヴァンス名義で出された私立探偵ポール・パインの「栄光」シリーズが3冊で中断した8年後に、この4冊目は本名で発表されたといういきさつだそうです。原題も直訳すれば「灰の味」というわけで、パターンをはずしています。まあ、最初は別名で出版されていたクイーンのあのシリーズだって、最終作タイトルはパターン外ですけれど。
少なくとも本作については、多少弱音も吐きながらも権力に立ち向かっていくパインの活躍を描いたまさにハードボイルドな感じで、チャンドラーやロス・マクに比べるとちょっと通俗的ではあるのですが、それだけエンタテインメントしているということでもあります。
事件全体の構成もロス・マクほど複雑ではないもののしっかりできた秀作でした。


No.601 7点 巣の絵
水上勉
(2013/03/04 21:23登録)
水上勉と言えば、『飢餓海峡』の津軽海峡や『海の牙』の不知火海岸など、地方の情景を迫力ある筆致で描き出す名手で、一方証拠固めや犯人の行方追跡などの捜査小説としての面白味はあっても謎解き的要素は少ないのが普通です
本作でも、貧しいながらも人情味ある生活感がよく出ているところはこの作者らしいのですが、舞台は東京とその近郊のみです。そして何よりも驚いたのが、幻燈画家が殺される原因の意外性でした。大きな偶然を2つ組み合わせていて、作中で登場人物にも偶然が過ぎるというようなことを言わせているのですが、それでもこの被害者の仕事に関連した方の偶然の鮮やかさにはうならされました。いわゆる本格派ではなく、組織犯罪がらみの事件であることは第2の殺人で明らかになるのですが、謎解き面では水上勉の作品の中ではベストでしょう。犯人たちがあまりに策略をめぐらせ過ぎているところはありますが。


No.600 9点 利腕
ディック・フランシス
(2013/02/28 21:03登録)
フランシス中期の代表作との前評判に違わぬ傑作でした。フランシスが一人称で男の生きざまを描く作家であることは先刻承知なのですが、いやあ、ここまでやられるとまいったと言わざるを得ません。最初のうちはまだ、普通同一主人公を使わない作家のくせになんで『大穴』のシッド・ハレー再登場なんだ、とケチもつけていたのですが、これは納得。
開幕早々、シッドは次から次へと3つの事件を引き受けてしまい、それぞれが裏でつながっているわけでもなさそうなのに、どうするつもりなのかと、心配していたのですが、それも杞憂に過ぎませんでした。こんなふうに全体としてまとめることもできるんですね。
また、フランシスの作品では悪役は不愉快な、残忍なというだけの人物が多いようですが、本作のラスト・シーンで示される悪役の思考、行動には驚かされました。この息詰まる対決シーン、まさに名場面です。


No.599 7点 凶手
アンドリュー・ヴァクス
(2013/02/24 17:08登録)
バーク・シリーズでアンダーグラウンドなハードボイルド世界を描き出してくれたヴァクスですが、シリーズ外本作の主役=語り手は殺し屋です。それも道具を使うのではなく、素手での殺し専門ということで、人間性はバーク的な感じですが能力としてはバークの仲間音無しマックスをも連想してしまいます。邦題はもちろんその主役の殺し方を指しているのでしょうが、原題は初期バークものと同じく登場する女性の名前で"Shella"。
話は大きく2つの事件(仕事)に完全に分かれていて、それに20ページほどのエピローグとも言える第3部が付いた構成です。暗いアウトローな世界であることはバーク以上に当然で、文体も特に簡潔なハードボイルドです。ハッピー・エンドになるはずがない書き方で、実際第3部は乾いた叙情性の感じられる哀しみの結末になりますが、それまでの内容はノワールよりも冒険スリラーに近いように思いました。


No.598 5点 白の恐怖
鮎川哲也
(2013/02/20 23:21登録)
江守さんが書かれている通り、改稿予定のため再版されないままで入手困難な作品として知られていますが、確かにこれは改稿されていれば、傑作になり得ていたかもしれないと惜しまれます。全体的なストーリー構成と結末の意外性には、雪の山荘テーマにあまり興味のない自分でも、感心しました。しかしこれも江守さんご指摘の通り、なんと言っても伏線が弱いのです。最終章で星影竜三と田所警部は、ほとんど事件の経緯を説明しているに過ぎず、「推理」とまで呼べそうにありません。また小説としてのふくらみに欠けるのも、プロローグで言い訳はしているのですが、だからと言って物足らなさが解消されるわけではありません。
作者が作者だけに、そのプロローグを付けたこと自体に何か意味があるのではないかと疑念を持ったのでしたが、事件が解決されてみると、なるほど、この1文を書きたかったためだったのかと納得できました。


No.597 5点 メグレと録音マニア
ジョルジュ・シムノン
(2013/02/16 09:16登録)
訳者あとがきにも書かれていますが、携帯テープレコーダーといった当時の最新機器が出てくる作品です。それだけでなく、メグレが新聞社編集長と話し合うところがあるのも、シムノンにしては新しい感覚ではないかと思えます。
邦題の「録音マニア」は被害者を指していますが、原題を直訳すれば「メグレと殺人者」となります。この点については、メグレが「犯人だよ…殺人犯というと、計画的でなくては…」と言うところがあります。たぶん「殺人犯」はassassin、「犯人」が原題で使われているtueur(英語ならkiller)ではないでしょうか。本作は内容的には被害者よりもむしろ犯人の方に力点が置かれているのですが、河出書房はすでに邦題を『メグレと殺人者たち』とした作品も出版してましたから、まあしかたがないでしょうね。殺人者が最後にとる行動は、この犯人だからよかったようなものの、という気にもさせられました。


No.596 7点 勝手に来やがれ
ジャネット・イヴァノヴィッチ
(2013/02/12 20:40登録)
内容を知らずに図書館から借りてきたのですが、なんと季節にぴったり、バレンタイン・デーにちなんだ話でした。嘘っぽい偶然はバカミスだけでなく、現実にもあるものなんです。アメリカのバレンタイン・デーですから、もちろん日本みたいなチョコレート会社主催日ではなく、愛の告白の日。
本作は、保釈逃亡者を捕まえるバウンティハンター、ステファニー・プラム・シリーズ中でも番外編で、ほとんどミステリという感じはしません。捕まえるべき行方不明保釈人は恋愛相談アドバイザーで、その保釈人の仕事を引き受けなければならなくなったステファニーと、話を持ち込んだ超能力者(なんでしょうね)ディーゼルのコンビの奮闘ぶりが、ユーモラスに描かれて、楽しく仕上がっています。恋愛悩み相談というと、クリスティーのパーカー・パインもの短編にも通じるところがあります。まあ途中で殺し屋が出てきたりもするんですがね。

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