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ミステリの祭典

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首切り坂
鳥部林太郎&大島耿之介

作家 相原大輔
出版日2003年05月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 人並由真
(2018/06/11 17:27登録)
(ネタバレなし)
 ジャケットカバー周りや巻末の解説で語られる通り、デビュー作品らしからぬこなれた文章はとても良かった。
 しかし若竹七海のいう「お茶目なトリック」とは、むしろ「このネタを元に、何か新本格ミステリを書いてやりたいという欲求を刺激するワンアイデア」ではないだろうか。 個人的には、nukkamさんのおっしゃる「典型的な『トリックのためのトリック』」にすらなっていないのでは……という感じである。
 誰かあと二十年くらいしてから、本書のそのくだんのネタと同じものをもっと不可思議な謎の提出や解決の意外性に組み込んだ、新作の謎解きミステリを書いてください。そのときはネタの盗用なんて言わない。上首尾にいったなら「これは「あの」『首○○坂』に対する輝かしきリベンジである、よくやってくれた!」と率先して賞賛しますw
 まあ全体的には、悪口ばかりじゃなく良い意味も含めて、これからもっともっと伸びるかもしれない(しれなかった)新鋭作家の習作という印象の一編だったなー。嫌いじゃないけれど。

No.3 5点 nukkam
(2014/08/15 09:25登録)
(ネタバレなしです) 相原大輔(1975年生まれ)が2003年に発表したデビュー作で明治44年を時代背景にした本格派推理小説です。最後に明かされるトリック(若竹七海は「お茶目なトリック」と評価しています)はなかなか意表を突いたものですがプロットとの関連がなく、典型的な「トリックのためのトリック」になっています。動機が完全に後出し的説明になっているところも弱点と指摘されるかもしれません。おどろおどろしいタイトルながら直接的な描写がほとんどなく、すっきりした文体でむしろ洗練さを感じさせます。この題材なら島田荘司や二階堂黎人なら怖さや不気味さをもっと強調できたでしょうけどこれは好みの問題で、私は本書程度が読みやすくて丁度よかったです。

No.2 5点 メルカトル
(2013/09/01 22:27登録)
再読です。
明治時代の話なので耳慣れない言葉遣いなどを使ったり、当時の街並みや風景などに配慮して、雰囲気を出しているのはいいが、やや読みづらいのが難点。
犯人は何故首を切断したのか、という理由はいたって平凡で謎というほどのものではなく、首を地蔵の上に置いたわけもさしたる問題とはならない。結果、フーダニットもハウダニットもいかにも中途半端な印象を受ける。
また唐突に犯人が探偵役の口から切り出されるのも、なんだかなあといった感じ。読者が犯人を推理する余地があまりないのも、伏線がほとんど張られていないのもマイナス要素である。
メイントリックに関しれは、これはもう完全にバカミスとしか言いようがない。意外性を狙ったのは分かるが、そんな偶然が万に一つも起こるはずがないと思わざるを得ないのは、本作を読まれた方ならご理解いただけるであろう。
これら全ての現象を「呪い」の一言で片づけているが、果たしてそれで読者は納得するだろうか。

No.1 6点
(2013/06/25 22:12登録)
トリックがバカミス系だとか、若竹七海によればお茶目だとか言われていますが、首無し地蔵の呪いの正体にはかなりまともに感心しました。まあ現実にはそんな極端なのは存在し得ませんが。それよりも、その後に加えられたひねりの方に、犯人が事前に知っておかなければならないはずのことについてちょっと無理があるように思われます。少なくとも作中ではその点については、憶測すら書かれていません。
明治44年の事件のはずが、第1章が江戸時代の怪談話なので、少々驚かされました。この冒頭部分もうまく本筋にからめてくれています。明治末の雰囲気もなかなかよく出ていて、新橋あたりの情景など事件とは関係ない部分で楽しめました。現場の道が街中でもないのに珍しく「アスハルト」舗装されているとか、言葉にも気を使っています。
読み終えた後で見なおすと、このカバーイラスト、なかなかいいですね。

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