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ミステリの祭典

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白椿はなぜ散った

作家 岸田るり子
出版日2011年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2013/07/07 20:28登録)
7章に分かれた作品ですが、全体の1/3ぐらいもある第1章は一人称形式による少々偏執的な片思い小説とも言えそうな感じで、全然ミステリではありません。まあこんな状態ではまともな結果になるはずがないとは想像できるのですが、第三者的な視点から見れば当然と思えることにも全く気づかない本人の偏った心理は、この作者らしくよく描けています。
ところが第2章からはその約10年後に飛び、小説の盗作問題から殺人へと話は発展していきます。奇数章は第1章と同一人物の一人称形式で、「私」はiPS細胞研究者になっているのですが、学生時代の妄執を抱えたままでマッド・サイエンティストぶりを見せてくれます。
殺人犯はよくあるパターンの手がかり(気づきませんでしたが)から論理的に指摘されます。ただ最終章におけるいい意味で後味の悪い結末と殺人事件との関連についてだけは、ちょっとがっかりしました。

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