makomakoさんの登録情報 | |
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平均点:6.17点 | 書評数:887件 |
No.467 | 7点 | 帝都探偵 謎解け乙女 伽古屋圭市 |
(2015/10/18 09:38登録) なかなか大変なお嬢様と車引のお話。お嬢様が突然の名探偵宣言して、お抱え車引が陰で謎を解くという構造は、読んですぐにわかってしまう。読みやすくてまずますの感じと思って読んでいると、次第にこの物語の複雑さが披露されてくる。 最後にどんでん返しがあり、おおなるほどと思っていたら、終章でさらにどんでん返し。ある面でうまく騙されていたことがわかる。 作者は才能がありそうです。 終章の話は悪くはない。確かに伏線も張ってあったのだが、こういった話にしなくてもよかったような気もします。このあたりは好みの問題でしょうが。 |
No.466 | 5点 | 奇岩城 モーリス・ルブラン |
(2015/10/15 21:57登録) ルパンシリーズは有名ですが、ちゃんと読んだことはありませんでした。今回代表作とされる本作品を読んだのですが。 まあはっきり言ってお子様向け大活劇といったところですかね。 子供のころ読めばもっと良かったかもしれません。 何となく怪人二十面相のような感じでした。暗号などもあるのですが、残念ながらフランス語の暗号のため私にとっては「ああそうなの」といった感じでした。 |
No.465 | 6点 | 化学探偵Mrキュリー3 喜多喜久 |
(2015/10/12 09:59登録) なんだかんだといって発売されているシリーズを全部読んでみましたが、「3」では舞衣が意外にもソフトボールの名ピッチャーであったことが判明する。さらにキュリー氏が全くの運動音痴であったことも分かり、ちょっとほほえましい。 3作の中では「3」が一番良いようです。 相変わらずすらすら読めるが、以外にも?キュリー氏が舞衣ちゃんを好ましく思っているようなこととなりました(大体わかっているけどね)。 まだこのシリーズは続くかもしれませんがどんどんのめり込んでいくというほどの力はないように思います。 |
No.464 | 5点 | 化学探偵Mrキュリー2 喜多喜久 |
(2015/10/12 09:52登録) Mrキュリーシリーズの1を読んでもう一つと思っていたら、娘が3を借りてくれた。2は読んでいなかったのに3を読んだが、全然違和感はなかったが、やっぱり2も読まねばと思って購入しました。 まあこんなもんですね。 舞衣の図々しさはだんだん慣れたが、やっぱりやりすぎでしょう。 慣れた分だけ安心して読めるというか、まあ暇つぶしに読むのならちょうどよさそうです。 |
No.463 | 5点 | 化学探偵Mr.キュリー 喜多喜久 |
(2015/10/12 09:46登録) 科学探偵ミスターキュリーと、彼に厄介な話を持ち込むとんでもなくおせっかいでやたら図々しい舞衣という女の子の連作推理。 キュリー氏も嫌がっているように見えるが、結局は舞衣の押しの強さに押し切られていやいや推理するが、これが見事に的中ばかりというある面でお定まりのお話ではあります。 新しいところは科学探偵らしく科学にのっとった解決方法なのでしょう。 登場人物がこんな図々しい娘というのはあまり好みではないのですが、読んでみると意外に嫌味な感じはなく、すらすら読めました。 まあ暇つぶし程度なら悪くはないかな。 |
No.462 | 6点 | 殺人は容易だ アガサ・クリスティー |
(2015/10/04 08:29登録) ポアロやミスマープルが出てこないが、マープル物に近いイギリスの田舎のお話。嫌味のない人物が多くゆったりと読めました。 解説にもあったが、名探偵マープルおばあさんが出てきてはこの話は成り立たない。読者をミスリードしていく手法はさすがであるが、この話だけだと物的証拠やありばいなどの証明がほとんどなく、ほかの人が犯人であるように書き換えても不都合はないように思えました。 最後のシーンも急に犯人がべらべらと犯行理由をしゃべらせて(相手は睡眠薬を飲まされて眠る寸前のふりをして聞いている。なかなか寝ないで聞いているのも不自然だよね。)つじつまを合わせようとしているのですが。そのあたりの詰めがもう一つの感じがしました。 |
No.461 | 5点 | 時の娘 ジョセフィン・テイ |
(2015/09/23 09:18登録) 私は登場人物の名前を覚えるのが苦手なので、この物語を読むのに非常に苦労しました。ばら戦争に関しては世界史で昔習った程度で、リチャード3世なんて全く忘却のかなたの人物です。何度も系図を見ながら読んでいたのですが、系図に出てこない人物も多々あり、これがどんな関係なのかがわからなくなり、そのまま続けて読んでいくとまた苦難のことか不明の話となってしまう。仕方なく初めのほうを探し出しまた読み返すといった作業の連続なのです。たまたま国際線の飛行機の中で読んでいたので、ある意味良い暇つぶしとはなったのですが。 歴史推理そのものは決して嫌いではないので何とか読み通しましたが、面白く読むまでにはとても至りませんでした。 イギリス史に興味がある方や外国人の名前を覚えるのが得意な方にとっては非常に面白かったのかもしれませんが、私にとってはちょっと気を許すと全然話が分からなくなる、難敵の小説でした。 |
No.460 | 8点 | 予告殺人 アガサ・クリスティー |
(2015/09/05 17:55登録) 新聞に殺人の予告。そして集まった人たちの中で意外な殺人?と被害者が出る。実に奇抜な発想。こういった物語はだいたいかなりへんちくりんな人間が登場し、むちゃくちゃと思われる筋立てとなりがちなのだが、さすがクリスティーはきちんと話を作り上げていました。ちゃんと手がかりも示してくれているのだが、やっぱり全然犯人は分かりませんでした。 私はこの作品、好きです。このサイトでは評価がやや低いようですが、本作品はミスマープル物の最高傑作と評価する方も多いのです。私も本作品は傑作と思います。残念ながら全作品を読んだわけではないので最高かどうかは分かりませんが、今まで読んだマープル物の内では一番と思いました。 唯一欠点としては、外国人のメイドのミッチーがやたらうるさく、めちゃくちゃな人間として描かれているところぐらいでしょう。我々にとってはヨーロッパやアメリカは同じ感じがするのですが、イギリス人にとっては大陸の人やアメリカ人はおおいに異質な人種なんだということがよくわかる。 |
No.459 | 5点 | 猫とアリス 芦原すなお |
(2015/08/29 21:11登録) 「雪のマズルカ」が私には合わないと評価しましたが、芦原氏のファンなので続編もやっぱり読んでしまいました。多少の免疫ができたのか、作者も前作よりは本来の姿を見せているのかわかりませんが、「マズルカ」よりは良かった。でも芦原氏のほかの小説のほうがずっと好きです。ほんわかとした話ばかり書いているとこんな話を書きたくなる気持ちは分からなくもないのですが。話として現実性に無理があるところは、はんわか物なら許せるのですが、こういったシリアスなものとなると傷として目立ってしまいます。 |
No.458 | 5点 | 闇からの声 イーデン・フィルポッツ |
(2015/08/09 08:15登録) 小説だから許されるのでしょうが、現実にこれをやったら大変なことになるでしょう。完全な思い込み操作でもあり、冤罪が続出間違いなし。 古い小説ですが、当時は(今もか?)イギリスが階級社会であることを改めて認識させられました。 犯人も探偵も本質的には狂的要素が強くても、外見は極めて人当たりが良く紳士的です。 フィルポッツのほかの作品でもそうですが、平凡な描写が多く退屈してしまうところが多々ありました。感じの悪い話ではありませんが、大して面白くもなかったというのが感想です。 |
No.457 | 7点 | 鏡は横にひび割れて アガサ・クリスティー |
(2015/08/08 07:40登録) クリスティーが70過ぎて書いた小説だけあって、話の組み立てや展開についてはよくできた小説と思います。相変わらずの意外な犯人や、意外な動機。それらをきちんと散らばらせてくれているのですが、やっぱり犯人は分からなかった。だからといって無理な話では決してなく、ミスマープルが謎を解いてくれるとなるほどと納得できます。 私として多少評価が低めなのは、ミスマープルの話なので当然ではありますが、日常の平々凡々たる描写が結構多い(ここが魅力だという方も多いと思いますが)。私としてはちょっと退屈といった感がぬぐえません。探偵としてはポアロよりミスマープルのほうが好きなのですが、話としてはポアロ物のほうが好みかもしれません。 |
No.456 | 8点 | 葬儀を終えて アガサ・クリスティー |
(2015/07/26 08:10登録) 登場人物がやや多いが、表に系図と人物像が載せてあるので読むのに苦労はなかった。 意外な犯人、巧みな伏線など過不足なくくわえているのに(しかもこれが伏線ですよといわんばかりの書き方!)犯人は全然わからず、見事にやられました。 こういった内容であると途中で緩むと急に面白くなくなるのだが、本作品はそういったところもなく、登場人物もあまり極端な人間はおらず(最終的には変な人間だが、まあ変でなければこんなことはしないが)、読んでいていやな感じは全く受けなかった。 クリスティーの作品の中でも好きなもののひとつです。大変面白かった。 |
No.455 | 7点 | 高座の上の密室 愛川晶 |
(2015/07/19 11:25登録) 前作はミステリーとしてはちょっと弱かったのですが、本作ではだいぶんミステリーっぽくなっています。古典落語などほとんど知らない私にとって、なかなか興味深い落語のさわりなどもさりげなく触れてあるのも、話のスパイスとして効いていました。 面白かったです。 多分次作も出てくるのでしょう。ちょっと楽しみです。 |
No.454 | 7点 | 動く指 アガサ・クリスティー |
(2015/07/19 10:34登録) スマープルものではあるが、彼女が出てくるのは本当に最後に近くなって「これってミスマープルシリースのはずだよなあ?」と心配になったころでした。 それまでは田舎でのめったに起きないような出来事のお話が続きます。やや平凡な感じはしますが、読み進むのに苦痛なことはなくすらすらと読めました。 クリスティーの作品にはこんな人本当にいるのと思わせるような変な人物はあまり登場しないので、安心して読めるのもよいのでしょう。かなりしつこくうっとうしい人物は出てくるけどまあ許せる範囲です。 乙女チックな感じ出てくるので若い女性が読むともっと面白いかもしれません。 最後はめでたしめでたしに近いので読後感は良いです。 |
No.453 | 6点 | 神楽坂謎ばなし 愛川晶 |
(2015/07/07 21:39登録) 作者独特の落語ミステリー。落語なんかミステリーになるのかと思って読んでいたのだが、結局はあまりミステリーっぽくないお話でした。昔落語ブームがあってその際にちょっとだけ落語に興味を抱いたこともあったが、最近は全くのごぶさた。でも粋の世界に生きる人たちのお話にはそれなりに興味が持てました。 次作ではもっとミステリーっぽくなるらしいので期待しましょう。 |
No.452 | 5点 | 魅入られた瞳 五十嵐貴久 |
(2015/07/05 20:37登録) 前作がいまいちだったがamazonの書評がよかったので買ってみました。 全体として軽いのりで読みやすいのだが、まあ大したことはないですね。暇つぶしぐらいならよさそうです。 この次が出ても今のところ読むつもりが起きないといった感じでした。 |
No.451 | 5点 | 雨の匂い 樋口有介 |
(2015/07/03 19:07登録) これは純粋な推理小説ではないが、読んでいくと最終的には相当に怖い話でした。樋口氏の洒落た会話(解説によるとこういうのをワイズラックというのだそうです)に満ちているのですが、これはちょっとやりすぎの感がありました。 氏の小説では、段落の初めに花鳥風月の描写が巧みに入れ込んであるのですが、この作品ではちょっと過剰に感じました。ここまでやると読むのが多少面倒になってしまうのです。 登場人物に温かみが少なく、冷たい話を巧みな表現で語るといったところなのでしょうが、私の好みからはやや外れていました。 |
No.450 | 7点 | だれがコマドリを殺したのか? イーデン・フィルポッツ |
(2015/06/27 19:23登録) 物語の半分以上たっても事件は発生せず、恋愛小説風なのでどうなることかと思っていましたが、最後まで読めばまごう事なき推理小説でした。 登場人物は外国の推理小説にありがちな(最近は日本の推理小説でもしばしばだが)変な人ばかり出てくるといったことはない。むしろ我慢強く他人をおもんばかる人物のお話なので、読んでいて嫌な感じはしない。ただしその話が長く、人物が必ずしも魅力的に描かれているわけではないので、凡長な感じとなるのは否めないと思います。こんな人物ばかりで推理小説となるのか心配となるぐらいに思っていると、途中からは推理小説へ変身して、トリックも立派にあり見事に騙されてしまいました。 |
No.449 | 5点 | 南青山骨董通り探偵社 五十嵐貴久 |
(2015/06/23 18:49登録) さらりと読めてまあ楽しめるのだが、そこまでといった感じです。お話はなんだかむちゃくちゃ風ではあるが、まあこれぐらいならありかな。 嫌みなく読みやすいのですが、あんまり多くを求めてはいけない雰囲気ですので、暇つぶしにはちょうど良いかも。 シリーズものとなるようなので、次もまあ読んでみよう。 |
No.448 | 7点 | レーン最後の事件 エラリイ・クイーン |
(2015/06/22 20:43登録) レーン4部作の最終章。確かに4つの作品はそれぞれ独立して読んでもよいが、やはり初めから読み通していくのがよいのでしょう。 ただ作品としてはZからあとはちょっと落ちるような気もします。 本作品では興味深い謎が提示されはしますが、なかなか殺人事件は起きてこない。 だいぶん読み進むにつれようやく事件発生。なるほどレーン最後の事件でしたね。 しばらくの間レーンのお話に満たされて推理小説の読者としては満足でした。 |