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ミステリの祭典

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高座の上の密室
神楽坂倶楽部シリーズ

作家 愛川晶
出版日2015年06月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 makomako
(2015/07/19 11:25登録)
 前作はミステリーとしてはちょっと弱かったのですが、本作ではだいぶんミステリーっぽくなっています。古典落語などほとんど知らない私にとって、なかなか興味深い落語のさわりなどもさりげなく触れてあるのも、話のスパイスとして効いていました。
 面白かったです。
 多分次作も出てくるのでしょう。ちょっと楽しみです。

No.1 6点 kanamori
(2015/07/16 18:40登録)
”神楽坂謎ばなし”シリーズの2作目。教科書出版会社に勤めているアラサーのヒロイン・希美子が、ひょんなことから寄席「神楽坂倶楽部」へ席亭(支配人)代理として出向することに。慣れない役職に戸惑い、様ざまなトラブルにも見舞われながら、周囲の手助けもあって成長していく--------というのがシリーズのあらすじ。

やや薄味の落語ミステリという感じだった前作ですが、今回は噺家(落語)ではなく、手妻(奇術)と太神楽(曲芸)という、いわゆる”色物”芸人を扱った演芸ミステリになっています。中篇2編ともに人情ドラマと謎解きの趣向が巧く融合しており、面白かったです。
「高座の上の密室」では、衆人環視の舞台上の葛籠の中から幼女が消失するという二重密室の謎を扱っている。葛籠抜けのトリックの図解や演芸場の見取り図がほしいところですが、そのハウダニットよりも、前半部に張られた伏線とその回収の妙が読みどころかもしれない。
「鈴虫と朝顔」は、なぜ太神楽芸人は昇進試験で決められた芸を演じなかったのか?というホワイダニットが主軸。演芸場のしきたりと色物芸という伏線を活かした真相はなかなかのもの。落語だとこの設定を活かせられないからね。

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