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ミステリの祭典

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ginkさんの登録情報
平均点:6.24点 書評数:21件

プロフィール| 書評

No.21 10点 夜市
恒川光太郎
(2010/12/01 23:27登録)
もっと長くていい。これは不満点というよりも誉め言葉として受け取ってもらいたい。スタイリッシュかつスマートな文体から味わい深く奥行きのある世界が描かれており、著者の非凡な才能が伺える。幻想的かつ蠱惑的な世界と切ない物語は読みごたえ十分。こんな薄い本から得たとは思えないほど濃密な読書体験ができた。表題作『夜市』と『風の古道』は実は共通の世界観の中で語られているのだが、そのつながりをさらりと示すところが上手いなあと思う。ジャンルとしてはファンタジーであるが、ミステリ的な要素もあり、万人にお勧めの作品。なぜ角川ホラーから出ているのかは謎。


No.20 7点 首無の如き祟るもの
三津田信三
(2010/09/26 13:07登録)
評判に違わず、トリックは良い。トリックの真相が明かされた後も2転3転とどんでん返しが待っているのも面白い!そのために構成・伏線が非常によく練られているのは言わずもがな。ただトリックを知るために義務的に文章を読まされている感がしてしまったので、個人的にはもうちょっと文章で読ませてほしかったと思う。

本書は<事件に直接関与しなかった第三者による作中作>という体裁をとっており、それが最後に重要な意味を持つことになる。だからこそ無暗に登場人物の心理描写が緻密だったり、登場人物がやたらとキャラ立ちしたりしてしまうとおかしいというのは分かるが…やはり勿体ない。

追記。古里毬子、コリマリコ…って冗談みたいな名前だから、てっきり何かあるものと(笑)


No.19 4点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2009/12/13 19:55登録)
トリックがあるだろうと思ったところにトリックがあるので、衝撃性に欠ける。見抜けなかったのは認めるが、別に悔しくはない。十角館の殺人はかなり悔しかったので、この辺が「見抜けそうで見抜けないトリック」と単なる「見抜けないトリック」の差か。イマイチ。


No.18 4点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2008/03/22 12:15登録)
私も「白い風」さんと同じく先に時計館を読んでしまって、最後のオチだけ判っているという気持ち悪い読み方をしたクチです。未読の方はぜひ順番どおり読みましょう。
で、作品自体ですが、あまり面白いとは思いませんでした。2転3転するストーリーは「そんなん筆者の都合で何とでもなるだろう」と感じさせます。十角館のような一本勝負のスマッシュヒット的爽快感はありません。読者に「やられた!」と思わせるだけの充分な伏線が張ってあるとも思えない。
あと、最後にかなり脱線した話をすると、途中「光が青い色を吸う」っていう表現が理系の私にとっては逆に理解に苦しむ(光は赤や緑の波長を吸収されて青くなるんだと思う)ところで…人によって住む世界って違うんだな、と本筋とは関係ないところで変な感慨を抱きました。


No.17 5点 レベル7
宮部みゆき
(2008/03/17 22:59登録)
この作品が私にとっての初宮部。日常における繊細な心理描写が上手いと思った。でもストーリーはかなり印象薄。


No.16 3点 QED 百人一首の呪
高田崇史
(2008/03/16 10:02登録)
『宗像教授伝奇考』的なものを期待して読んだが、あまり関係の無い殺人事件が冗長さを感じさせて読みにくかった。ミステリ小説の体裁にすることで逆に損してないか?無理やり講談社ノベルスから出さずとも、よく学研で見るような体裁に仕上げて直球勝負すれば、高田説がもっと面白く読める気がしなくもない。直球勝負がイヤなら鯨統一郎『邪馬台国はどこですか?』のようにごくごく薄味の人間劇を織り交ぜるとか。もっと上手い見せ方がある気がする。


No.15 3点 ハーメルンに哭く笛
藤木稟
(2008/03/16 09:41登録)
設定がおもしろかったのに惹かれて読んでみたものの、風呂敷広げるだけ広げて結局グダグダで終わりました。残念。


No.14 3点 容疑者Xの献身
東野圭吾
(2008/03/12 14:44登録)
トリック、簡単じゃありませんか?まあ、私の思考パターンが東野氏と同じだったからすんなり分かっただけかもしれません。でもこの小説からトリック抜いたら何も残らない…文章もさして面白くないし、何より非人道的なトリックにもかかわらず、無理やり感動話にしようとしているのには違和感があります。このストーリーにはもっと目を向けるべき本当の被害者がいるはず。それに目をつぶって純愛って…私が靖子なら石神のことを気違いとしか思えません。


No.13 7点 すべてがFになる
森博嗣
(2008/03/12 14:31登録)
個人的には犀川&萌絵シリーズにはこれ以上に好きな作品がたくさんあるので評価は控えめです。トリックも納得できるようなできないような。でも今や普通となった「トロイの木馬」などのコンピュータ用語は執筆当時としてはかなり先進的だったはずなので、リアルタイムで読むと評価は違ったはずです。舞台装置が派手なので、映画化すると面白そう。


No.12 6点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2008/03/12 14:23登録)
今となってはトリックにこれといった新鮮さは無いですが、本の薄さには脱帽。必要最小限の文章で舞台設定もキャラ立ても完了してしまっている。展開も一切だれることなくスリリング。さすがです。


No.11 9点 占星術殺人事件
島田荘司
(2008/03/12 14:18登録)
トリックは例によって知ってしまっていたので残念ですが、それでもそのトリックを可能にする舞台設定は上手いし、雰囲気もあるし、最後泣かせる展開も良い。大満足でした。


No.10 4点 斜め屋敷の犯罪
島田荘司
(2008/03/12 14:14登録)
私が読んだ文庫版では屋敷の図が見開き2ページで非常に見づらかったことが最大の減点要因。思いっきり伸ばして平面にしようとしたら軽く破れました(笑)一応文中に説明があるけれど、私の理解力だといまひとつ館の構造が把握できず。最近売ってる豪華装丁版はちゃんと1ページに図が収まってるみたいでうらやましいです。


No.9 6点 生ける屍の死
山口雅也
(2008/03/12 10:54登録)
恐ろしいほど手間暇かけて作ったであろう作品。超重量級。毎回毎回引用文が挿入され、ペダントリーもたっぷり。しかも日本人が日本語で書いているのに、なぜか全文英文を翻訳した風の文体。炸裂するアメリカンジョーク。本当にものすごいんだけど、正直読んでいて疲れてしまいました。濃密すぎて。トリックも犯人もあまり頭に入って来なかったな~


No.8 9点 ハサミ男
殊能将之
(2008/03/12 10:46登録)
トリックがすごいと聞いて読んだけれども、何より文章が面白い。そして展開が面白い。最高。
(以下ネタバレ気味)このトリックのすごいところは●●は見抜いた時点で犯人は自明だろうという読者心理の裏をついているところだと思う。あえて分かりやすいトリックを配置して目くらましに使い、それを看破した読者を逆に犯人から遠ざけている。犯人は普通にに推理可能ななんだから悔しい。恐れ入りました。


No.7 8点 邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎
(2008/03/12 10:35登録)
短編集なんだけど、意外に玉石混交だったりして。邪馬台国はどこですか?だけなら10点。完全に鯨説を信じてしまったんですけど、本当ですよね?(笑)


No.6 6点 霧越邸殺人事件
綾辻行人
(2008/03/12 10:17登録)
雰囲気勝負。読者が真犯人を推理するにはあのゲームをするしかないので、それが納得いかないけれど、まあ「そういう館である」という条件は提示しているので、一応フェアなのか。


No.5 6点 水車館の殺人
綾辻行人
(2008/03/12 10:12登録)
雰囲気は良かった。犯人は途中まで確証がつかないけど、事件そのものの全貌がかなり読み進めるまで語られないので、推理のしようが無いのも事実。時間稼ぎととれなくもない(汗


No.4 5点 時計館の殺人
綾辻行人
(2008/03/12 10:09登録)
ネタバレ気味になりますが、この作品、綾辻氏の初期の某作品と犯人の立ち位置が全く同じなので、その作品に続けて読むと犯人バレバレです。もうちょっと工夫がほしかったか。トリックも細部こそわかりませんでしたが、大枠はわかりました。


No.3 10点 十角館の殺人
綾辻行人
(2008/03/12 10:02登録)
これが処女作という事実自体が読者を油断させる罠。プロットなんか、明らかに『そして誰もいなくなった』だし、登場人物が突如としてミステリ談義をしだす。しかもその名前は明らかにコナン・ドイル、モーリス・ルブラン、御手洗潔、クリスティ…それってどんな『名探偵コナン』?新本格の大御所綾辻といえども、第一段はまだまだ青いな…。なんて余裕で読んでると、ラストにあの台詞。全て作者の手の内だったことに気づいて驚愕。ミステリファンほど楽しめる、傑作です。でも、ものすごく際どいミスリードが張ってあるので、万人にはお勧めできないかも。


No.2 7点 イニシエーションラブ
乾くるみ
(2008/03/10 21:56登録)
うげーー怖えぇぇ。だってアレはコイツのせいじゃなくて…だったんでしょ。あとアレに関する不自然なくだりはハナからアイツが計算してたってことで。他にも他にも、思い当たる場面はいくらでも。見事にラスト2行で背筋が寒くなった。ミステリとしてのインパクトは薄いかも知れないが、恋愛小説としてはインパクト抜群。鈴木夕樹くんのその後が思いやられますな(でも意外と現実社会はこんなこと日常茶飯事だったりして)。

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