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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.389 6点 ひらいたトランプ
アガサ・クリスティー
(2014/06/30 00:47登録)
自分が読んだのは早川書房で、1976年発行、1998年58刷とあった。こんな地味な作品でもそれだけ読まれていることに、さすがクリスティーと、唸ってしました。

個性の強いシャイタナ氏はほとんどの人に嫌われていたが、おもしろいパーティーを開くので人が集まる。ある時ポアロに会った時に、「世の中には殺人を犯しながら何食わぬ顔をして生活している人間がいる。今度のパーティーではそんな人間を集める」というのでポアロも参加したが、別々の部屋でブリッジをしたところ、そのシャイタナ氏がナイフで刺されて殺された。

そのシャイタナ氏はとなりの部屋にいて、当然その部屋でブリッジをしていた4人に嫌疑がかかる。その4人は以前に殺人を犯していて、シャイタナ氏に悟られ、その口封じに殺されたと推理されるが、さて…。

一応、どんでん返し的な結末ではあるが、その場で思いついたような指摘で、満足感は得られなかった。ただ、いつもながらアイデアは抜群で、飽きが来ない。


No.388 4点 第三の女
アガサ・クリスティー
(2014/06/24 22:49登録)
アガサ・クリスティーはこれで何作目になるのか?80%は犯人が当たらないのに、これは中盤に入る前にわかった。クリスティーのある法則であり、これを説明せよと言われると確たる文言は浮かばないが、それ以外に思い当たらなかった。多分、登場人物が少ないせいだと思うが、最初から依頼人がはっきりしなかったことが自然にその方向を示唆したのだと思う。

その中盤から終盤にかけてポアロが逡巡するのだが、ここが少し長くて退屈。何ページか、飛ばし読みしたのは初めてだった。


No.387 8点 極大射程
スティーヴン・ハンター
(2014/06/19 16:59登録)
途中、饒舌でやたらページを使っているところがあるが、それが最後にはすっきり。イライラした分、爽快さは半端ではなかった。

この手の冒険小説は、ロバート・ラドラムが傑出していると思っていたが、終始緊張感を持続させる物語の流れで、まるで映像を見ているような感覚に陥った。それと、ゴルゴ13を思い出したのは、当然と言えば当然か。


No.386 6点 略奪
アーロン・エルキンズ
(2014/06/12 01:24登録)
美術鑑定の権威であるリヴィアは馴染みの質屋に頼まれ、謎の男が持ち込んだ絵を鑑定したら大戦中、ナチに奪われ行方知らずになっていたベラスケスの絵だった。ところが、その夜に質屋は何者かが雇った殺し屋に殺されてしまう。

ちょうどこの絵の本当の持ち主という人物から協力要請もあってウィーンに飛ぶが、行く先々で殺人事件が起こる。ロシア、ウィーン、ハンガリーのマフィアが絡んで謎が謎を呼ぶというストーリー。

骨シリーズ同様、細部に渡る取材でしっかり読ませてくれた。


No.385 8点 ねじれた家
アガサ・クリスティー
(2014/06/08 00:56登録)
読後感は皆さんと同じ、某作家の代表作に似ていると言うことで調べてみると、あちらが1932年、そしてこちらが1947年の作と言うことで、後発の疑惑感ありあり。

でも、そんな作品をクリスティーほどの大作家が自分のベスト10に選ぶだろうか?自分はあちらの作品を知らずに書き、そのアイデアに自画自賛の方に一票入れる。あるゆるトリックを考えたクリスティーがそんな妙案を思い付いたという可能性の方が高いと思う。


No.384 6点 緋色の記憶
トマス・H・クック
(2014/06/05 15:59登録)
事件は簡単である。新しく赴任した美術の女教師と、家庭を持った英語教師が不倫の関係になる。そして、その妻が精神的苦痛に耐えきれず、暴走して殺人を犯す…。

しかし、田舎町である。よそ者には厳しい。女教師が一方的に非難され、姦通罪を適用されて監獄に入れられる。そして獄死に至るのである。

そんな状況を当時校長の息子だった少年が数十年経った今、回想するのだが、なぜ彼が今も独身で通しているのか、山の霧が晴れるようにじわじわと明かされる。最初はあまりにスローテンポな展開にじらされるが、後半はページをめくる手が早くなった。


No.383 7点 悪魔はすぐそこに
D・M・ディヴァイン
(2014/06/03 17:44登録)
(ネタバレ含む)最初は一人称で進行するのかと思ったが、途中で様子が変わった。中盤から犯人は5人くらいに絞られたが、特別に誰かにスポットを当てることはなく、混沌とした展開。その時に、誰が犯人なのか閃いた。70%ぐらいの確率だと思ったが、婚約者なのに、最後の線まで行っていない、それでほぼ確定ラインに!

この作者は初めてだったが、アガサクリスティが、「夢中になって読んだ」らしい「兄の殺人者」をぜひ読んでみたい。


No.382 2点 雲なす証言
ドロシー・L・セイヤーズ
(2014/05/31 22:12登録)
いままで何冊か読み、この作家とはリズムが合わないと思っていた。中盤までは、「おお、今度こそ!」と、読み続けてたが、なんたる結末。これは喜劇ではないか…。

確かに人物描写は優れているし、色々な蘊蓄も作家の力量を示すにふさわしいものだとは思うが、本格推理小説で結末が〇〇とは!

(ネタばれ?)、探偵役で主人公のウイムジイ卿の実兄が被告人として裁判に掛けられるのだけれど、ずっと黙秘。それも隣の奥さんと浮気をしたため。確かに隣の主人はどうしようもない暴漢だが,不義密通の方が悪くないか?貴族だから許されるものではないだろう。


No.381 8点 鬼火島殺人事件
天樹征丸
(2014/05/30 01:30登録)
こんな意外な犯人は何度も見てきたが、うまく流れに乗せられてしまった。。トリックは実現可能かどうかは別にして、十分に理解できるもので、思わず唸ってしまった。

しかし、本格物は舞台設定が「孤島」が一番のような気がする。そう言えば、金田一少年の事件簿はほとんどがこのスタイルのような記憶がある。


No.380 4点 もっとも危険なゲーム
ギャビン・ライアル
(2014/05/28 00:02登録)
ブックオフ巡りをしたときに見つけた作品。最近、ロバート・ラドラムに魅かれ、もう一度冒険小説を…と読んでみたが、やはり嗜好に合わなかった。

ラドラムは壮大なスケールで、ワクワク感が募ったが、この作品はありがちなストーリーで、映画にはならず、テレビドラマ止まりって感じがした。


No.379 5点 儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
(2014/05/21 08:52登録)
独特な世界。一話目の「身内に不幸がありまして」のラストで身構えてしまった。それから続く、怪しくブラックな世界。

最後の「はかない羊たちの晩餐」では、さすがにそれはないだろうと、逆に現実に戻されたが、強烈なインパクトを感じた短編集ではある。


No.378 7点 エッジウェア卿の死
アガサ・クリスティー
(2014/05/18 14:10登録)
やっとポアロが真相を解明し、ある男女を自分のマンションに呼ぶ。もちろん、ジャップ警部も一緒だ。『やはりそうだったか。この二人しか考えられない…」と、思って読み続けていると、ポアロはニヤリと笑い、別の犯人を指摘するのだ。

いつもヘィスティングのとんちんかんな発言を笑っているが、自分も何ら変わりのない凡人だと言うことを思い知らされる。この作品は映像で見てみたい気がした。


No.377 3点 寡婦
エド・マクベイン
(2014/05/17 15:43登録)
いくつかの事件と同時進行するので登場人物が多い。30人ほど登場人物が記されているのに、それに載っていない人物が出た時に少々混乱し、物語の行方を見失ってしまう。

つくづくこの作品はテレビで見る方が正解だなと思うが、何作か見ていないとテレビでも同じ目に合う。主人公の二級刑事・キャレラは好きだが…。


No.376 2点 つなわたり
ピーター・ラヴゼイ
(2014/05/14 23:55登録)
戦争時代に空軍で苦労を共にした女性二人がロンドンのある場所で再会する。ひとりは空軍パイロットと結婚の主人公と、もうひとりは大金持ちの外国人をたらしこんで結婚した策士の女性。

その策士の女性が、愛人とアメリカに移住したいがために、羊のような主人公の女性をたらしこみ、お互いの主人を殺そうと持ちかける。それからはまるで火曜サスペンスのような、いや、それ以上に見え透いたストリーで、いつ本を閉じようかと、そればかり考えて、結局最後まで読んでしまった。

この作者、最初は好きだったが、だんだん印象が悪くなって行く?


No.375 7点 プリズム
貫井徳郎
(2014/05/12 16:49登録)
グイグイ引き込まれて、ページをめくる手が止まらなかったが、やっぱり真相は多面体だったのか~と苦笑した。

でもバークリーの毒チョコよりはこちらの方が好きだ。単に登場人物の心理状態が分かりやすかった、というのはあるが…。


No.374 5点 ビッグ4
アガサ・クリスティー
(2014/05/07 15:49登録)
クリスティーの作品としては評価が低いのでずっと本棚でほこりをかぶっていたが、読む本がなくなったので手に取った。クリスティーが好きなせいか、他の作者の駄作よりはずっとマシな気がした。

確かにアニメの中のような物語だが、見どころはヘィスティングの挙動だと思う。相変わらず読みが甘く、ポアロに舌打ちされるが、愛すべきキャラクターであり、話を大いに盛り上げてくれる。


No.373 6点 殿下と七つの死体
ピーター・ラヴゼイ
(2014/04/27 17:06登録)
直前に「キーストン警官」を読んだせいで、これもドタバタ中心の推理劇なのか…と思ったが、クリスティー張りの本格化で犯人にも意表を突かれた。ただ、最初からそういう目で見ていれば予想の範疇にある結末だったと思う。

この作家は多種多彩で油断できない。


No.372 2点 キーストン警官
ピーター・ラヴゼイ
(2014/04/20 15:35登録)
イギリスの新人俳優イーストンはキーストン撮影所にキーストン・コップとして雇われた。あだ名もキーストンとなり、新進女優ハニービーとも恋仲になった。ところがハニービーの母親が何者かに殺され、嫌疑が彼女にかかったことから、イーストンはいやでも事件の渦中に……ローラーコースターの事故、消えたフィルム、誘拐事件。

恋した女優の為に事件の真相を追究するキーストンだが、結末は作者の意のままで、読者が推理する要素はほとんどなく、ドタバタのの末に終わってしまった。


No.371 7点 影の告発
土屋隆夫
(2014/04/16 16:44登録)
遅まきながらこの作者は初めて。今の時代だと古臭いトリックばかり(特に写真でのアリバイ)だが、この作家の書き方は好みで、作品一覧を見てため息をついている。自分にとって非常に読みやすく、次々にページが進む。これはまた楽しみが増えたと素直に喜んでいます。

重厚な題名だが、まさかそのままの意味だとは思わなかった。


No.370 7点 邪悪の家
アガサ・クリスティー
(2014/04/14 17:46登録)
クリスティーの作品としては中間レベルと見ていたが、最低点の方もいて、「?」と混乱したが、自分的には十分楽しめる展開だった。だいたいにおいて、クリスティーの作品は犯人が当たらないが、これは以前に映像を見ていたにもかかわらず、終盤まで犯人が分からず、ずっとポアロのような心境だった(自分は創造性がない!)。

ある意味「検察側の証人」のような印象を持った。

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