第三の女 エルキュール・ポアロ |
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作家 | アガサ・クリスティー |
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出版日 | 1974年01月 |
平均点 | 4.43点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 4点 | 虫暮部 | |
(2023/11/24 14:13登録) どうしてもネタバレしちゃうなぁ。 犯行計画全体の構図としては良いんだけど、その真ん中に余計なトリックがドンと鎮座している、と思う。 金髪の鬘を使ってあんなことをする必要があるのだろうか? ポアロはアリバイ云々と言うが良く判らない。読後に振り返ると “犯人は多忙で疲労困憊したんじゃないかな” と言う印象ばかりが残っている。 |
No.6 | 4点 | レッドキング | |
(2021/07/10 21:47登録) 「誰かを殺してしまったかもしれない・・」病的な娘の奇妙な訴え。大富豪の父、継母、老親類とその秘書、若きハンサム、ルームメイトの二人の娘・・・殺された(る)の誰?フームダニットが、手品の様な人物入代りトリックで決着。60年代後半カウンターカルチャーに動じないポワロ・オリヴァコンビの老道化ぶりがなかなか。 てことで、アガサ・クリスティー60年代の長編ミステリ全7作の採点修了したので 私的「60年代アガサ・クリスティー」ベスト3 第一位:「終わりなき夜に生れつく」 第二位:「親指のうずき」 第三位:「カリブ海の秘密」 |
No.5 | 5点 | nukkam | |
(2021/05/03 08:29登録) (ネタバレなしです) 1966年発表のエルキュール・ポアロシリーズ第30作の本格派推理小説です。タイトルに使われている「サード・ガール」については当時の英国の生活スタイルと関わっていることが作中で紹介されていますが、大御所(悪く言えば過去の作家)のクリスティーなりに現代性を織り込んでいることをアピールしたかったのかもしれません。なかなか事件らしい事件が起きず、過去の(起こったかもしれない)殺人についてもはっきりしないという設定で引っ張る展開は了然和尚さんがご講評されているように退屈と感じる読者も多いのではと思います。大きな事件が起きるのがかなり後半で、起きたかと思うとあっという間に解決で長編作品としてはバランスが悪い印象を受けました。解くべき謎が定まらないままに謎解きを進めるプロットは斬新と言えば斬新なのですが、成功かというと微妙ですね。 |
No.4 | 4点 | 了然和尚 | |
(2015/06/06 09:12登録) 人物が入れ替わっていて、その正体を知る者が殺される。動機の解明が即、犯人につながるため、身元を不明にしたり不可解な状況をつくる。クリスティーでは(あるいは本格では)よくこのパターンが使われますが、本作では、事件そのものを隠蔽し、もう一段深くしてみることを試みたようです。が、ちょっと無理だったのでは。前半が退屈すぎて、後半が急展開過ぎました。前半に死体が出てこない退屈さの埋め合わせでオリヴァ夫人は襲われたんでしょうか? |
No.3 | 4点 | クリスティ再読 | |
(2015/01/04 23:27登録) クリスティはポアロという主人公を好んでいなかった...という話があるが、まあこれこの作品にも登場するクリスティの分身オリヴァ夫人が、その菜食主義者のフィンランド人探偵に手を焼くあたりから何となく推測つくことではある。 パズラーに登場しがちな名探偵、とくに私立探偵ともなると、そのリアリティは時の経過とともにどんどん低下し、現代社会での居場所を求めることは難しくなる...だから、この小説では、ポアロは自分が雇われるように一生懸命売込みをしなければならない。そこらへんキビしいのだ。 でこの作品だと無軌道な少女と、その家族問題...というちょいとロスマク調のネタで始まるけども、考えてみりゃロスマクだってこの「第三の女」みたいな大ネタが結構あるわけで、リアリティがないと怒るのはちょいと軽率な気もする(まあ、大ネタがあるとわかってれば、真相は大体推測できるし)。 とはいえ、若干点がカラいのは、ヒロインが麻薬を盛られてるのが見え見えだけど、一人二役&二人一役の毛ほども気付いている様子がないのが不思議。あと、もう一人当然コレに気付くべき人がいるんだけど、気がつかないのが不思議。さらにクリスティに当時の文化に対する理解がまったくない点が気に入らない。ロックンロール! |
No.2 | 4点 | あびびび | |
(2014/06/24 22:49登録) アガサ・クリスティーはこれで何作目になるのか?80%は犯人が当たらないのに、これは中盤に入る前にわかった。クリスティーのある法則であり、これを説明せよと言われると確たる文言は浮かばないが、それ以外に思い当たらなかった。多分、登場人物が少ないせいだと思うが、最初から依頼人がはっきりしなかったことが自然にその方向を示唆したのだと思う。 その中盤から終盤にかけてポアロが逡巡するのだが、ここが少し長くて退屈。何ページか、飛ばし読みしたのは初めてだった。 |
No.1 | 6点 | 空 | |
(2011/06/18 17:36登録) 自分が誰かを殺したらしい、ということでポアロに相談に来た娘は、しかしポアロが年寄りすぎると言って、詳しいことを話さず立ち去ってしまいます。このポアロが年寄りすぎるという理由には何か特別の意味があるのかと疑ったのですが、それは考えすぎで、単に「被害者を探せ」シチュエーション作りのためでした。 誰がどこでいつ殺されたのか不明な状況を持続させる展開は、ちょっとご都合主義なところもありますが、謎の提示段取はなかなか魅力的です。ビートルズ以降世代の若者ファッションも取り入れながら、ポアロとオリヴァー夫人が調査していくストーリーは、退屈という人もいるようですが、個人的には楽しめました。 最後には、作者晩年のポアロものの中では珍しくかなり鮮やかな大技を見せてくれます。ただ手がかりをはっきり示しすぎて、読者にもポアロと同じように推理できてしまうのが難点でしょうか。もっと読者に対して不親切でもよかったと思います。 |