home

ミステリの祭典

login
化石少女
化石少女・神舞まりあ

作家 麻耶雄嵩
出版日2014年11月
平均点5.36点
書評数14人

No.14 4点 測量ボ-イ
(2024/07/20 09:50登録)
う-ん、これは高評価はできないかな。
主な不満点
1)現場の見取り図的なものが一切なく、状況がつかめない。
2)登場人物が多い割に人物表がない。誰が誰だかわからな
くなる。
3)最後のオチのために長編を引っ張った?だとすれば何と
も貧弱。

最後の結末もあまり必然性がなく、書き手が変わればいく
らでも変わりそうですよね。
これを本格と言うのかは、正直微妙。
ライトノベルのような軽いタッチの筈なのに、読んでいて
正直苦痛でした 笑

No.13 5点 じきる
(2021/05/08 01:48登録)
探偵とワトソン役の斬新さはいかにもこの作者らしいが、小説のデキとしては平凡に感じた。

No.12 6点
(2021/04/05 19:33登録)
 「犯人から推理を逆算するなんて、もはや探偵ではありません。先輩が今まで見たドラマや小説でもそんな探偵いなかったでしょ」
 「前例のない新世代の探偵がいてもいいじゃない」
 良家の子女ばかりが通う京都北部の名門校・私立ペルム学園に続発する凄惨な殺人事件。対するは、マンジュウガニ以上といわれるすべすべ脳みそにして、化石オタクの変人女子高生。古生物部部長の赤点ガール・神舞まりあが、一人きりの男子部員にして幼馴染み・桑島彰をお供に繰り出す、奇天烈推理の数々!
 雑誌「読楽」2012年4月号~2014年1月号まで断続掲載したものを、加筆訂正して同年11月に刊行。エキセントリックな探偵役とワトソン役をカリカチュアライズされた舞台に配し、連続する事件に独自の解法(解決ではない)と処理を施す事で、ミステリの枠組みそのものを揺さぶろうと試みたもの。ただし筆致はライトノベル風でやや軽め。
 収録は 古生物部、推理する/真実の壁/移行殺人/自動車墓場/幽霊クラブ/赤と黒/エピローグ の全六章+α。最後の二つは問題篇と解決篇にあたるので、実質的には六短篇。偶然の連鎖や「自動車墓場」に代表されるとんでもない発想、「在校生まで逮捕されてんのにこの程度で済むわけねえよ」といった疑問、さらには第三・四・六章に見られる現場検証の不備などアレな点は多々あるが、そのような箇所には敢えて目を瞑って提出された連作であろうし、またその為のラノベ文でもあろう。
 作中で貶される程まりあの推理が酷いとは思わないが、全ての犯人をペルム学園生徒会メンバーから導くのは明らかに行き過ぎで、そこがまた冗談とも本気ともつかない目眩ましになっている。いつもながら酷いモノである(褒め言葉)。
 ついでに付け加えれば、あそこにあの車があったからといってそれだけでは証明にならない。〈過去に幾度かダイヴした車〉の中には、〈落ちたことすら知られず、沈んだままになっている〉ものも、可能性としてはあるからだ。その辺は蓋然性の遙か彼方。ただどちらにせよ「赤と黒」のコンビ継続は今後も確定しており、その意味で著者の目的は既に達成済みなのは間違いない。

No.11 5点 ボナンザ
(2019/12/29 16:34登録)
最後のオチが弱い(まあ、あれしかないのは予想つくし・・・)が、そもそもの解決が凄まじいのは評価する点だと思う。
ところで、読み始めた時は、彼女のほうが名探偵という今どきいないような化石かと思いましたが、読んでいくとそんな解決は王道ではないと否定し、テンプレートな推理でなければダメという彼の方が、化石少女の所有物である化石なのかな、と思ったり。

No.10 6点 レッドキング
(2019/11/15 16:57登録)
刊行時の初読では「麻耶ももう終わりかな」てな詠嘆感あったが、再読して「やっぱすげえな麻耶雄嵩」となった。お話自体はコミック化を当て込んだような、あほらしいラノベ風で「麻耶の本領はメンヘラ主人公ととんでも探偵の跋扈するブラックなミステリだろ!」と文句言いたかったが最後の最後に「ブラック」とまでは行かずとも「半よごれ」に決めてくれている。「星を継ぐもの」や島荘を彷彿させる車殺人のバカミストリックがGood。
〈訂正〉
初読時の失望感の反動から、再読で7点評価に跳ね上げたが、「貴族探偵」「あぶない叔父さん」等と併せて再々読の結果この点数に変更。

No.9 5点 E-BANKER
(2018/03/25 22:02登録)
~京都の名門高校に続発する怪事件。挑むは化石オタクにして極め付きの劣等生・神舞まりあ。哀れ、お供にされた一年生男子と繰り広げる奇天烈推理の数々。いったい事件の解決はどうなってしまうのか?~
2014年発表の連作短篇集。

①「古生物部、推理する」=まずは主要登場人物の紹介がてら、という初っ端の作品。まりあの奇天烈なキャラ&推理。諌める“従僕”桑島彰・・・
②「真実の壁」=部室棟の横になぜか聳え立つ「真実の壁」。そこに映ったのは加害者と被害者の影・・・というわけで、謎そのものは魅力的なんだけど、なにせまともなミステリーじゃないからね。
③「移行殺人」=叡山電鉄と嵐山電鉄ですか・・・。いいですね、特にこれからのお花見シーズンは・・・っておいおい、そんなことじゃないだろ!ってツッコミを入れたくなる一編。
④「自動車墓場」=古生物部の合宿で訪れた石川県でもまたまた巻き起こる殺人事件。一見するとまともなアリバイトリックのように思えたけど、まりあが指摘する推理はまとも・・・ではない。
⑤「幽霊クラブ」=ここまできても、この連作の意図(オチ?)は見えず。今回も真相はうやむやに・・・
⑥「赤と黒」=一応、密室殺人が扱われるラスト。これもうやむやに終わらせるかに見えて・・・問題のエピローグに突入。

以上6編。
またまた実に斬新なミステリー、ということで・・・
プロットというか、作者の狙いについては他の方がすでに詳しく書かれてますので、そちらをご参照ください。

しかしなぁ・・・
いくらミステリーの真相なんて作者の匙加減ひとつって言ってもなぁー
ここまで遊ばれるとねぇ・・・なんか真面目に読むのが馬鹿らしくなってしまう。
そりゃ、つぎつぎにアイデアをひねり出すのは至難の業なんでしょうけど・・・

今回は作者の底意地の悪さが良くない方に出ちゃった感が強い。
まぁたまにはこんなこともあるだろうね。

No.8 6点 名探偵ジャパン
(2017/08/23 21:12登録)
派閥同士のいがみ合いやらが渦巻き、部活動の生殺与奪を握る仰々しい生徒会周辺は、同作者の長編「あいにくの雨で」を思い起こさせます。私が知らないだけで、こんな生徒会のある高校も実際に存在するのでしょうか?

他のレビュアーの方も書かれている通り、あまりに偶然や僥倖に頼ったトリックのオンパレードで、「それは出来るのか?」「そこまでやる必要があるのか?(もっと簡単に殺したほうがいいのではないか?)」といった疑問符が毎回頭の上に浮かびます。虚構めいた世界観やキャラクターが、その辺りをうまく薄めてはあるのですが。

連作短編集なので、本作も当然ラストに(いかにも麻耶雄嵩らしい)サプライズが用意されています。

No.7 5点 いいちこ
(2016/01/19 18:09登録)
推理の無謬性を保証するのは、推理そのものの合理性・論理性ではなく、探偵存在の絶対性であるとの認識に立ち、その探偵を「神様」→「赤点女子高生」→「あぶない叔父さん」と遷移させてきた昨今の試みの一環。
ミステリの本質的構造・脆弱性に斬り込む企みとしては面白い。
探偵が生徒会メンバーを犯人とする恣意的な前提に立ち、与えられた手掛かりからその前提を満たす解決を構築する手順は、受容性こそ全く相違しているものの、基本的には「さよなら神様」と同工異曲。
したがって、同作と同様に、蓋然性を無視した推理が乱発されるものの、推理の反証は存在しない。
この点は連作短編集としての仕掛けには不可欠であるものの、それ故に真相が予測しやすく、衝撃を大幅に減じている点は否めない。
著者ならではの先鋭的な問題認識が読物としての面白さにダイレクトにつながっておらず、昨今の軽量コンパクト路線は脱していない

No.6 5点 まさむね
(2015/12/27 09:15登録)
 最初の30ページくらいまで、「これは、本当に麻耶作品なのか?」と表紙(作者名)を見返した程、いつものテイストとは異なります。
 まぁ、探偵とワトソン役との新機軸(推理はともかく変人扱いされる探偵+外形的に探偵の下僕的役割ながら最終的には探偵を操縦しているワトソン役)を示したあたりは、いかにもこの関係性を追求し続けてきた作者らしいと言えますし、これらの点での新鮮味はあります。
 一方で、各々のトリック自体は微妙な印象。普通、何らかの痕跡があるはずだから、警察も気付くよね、少なくとも調査はするよね…的なネタも多いかな。全体的に、スカッとしたい人には向かないかもしれませんね。

No.5 5点 mozart
(2015/11/27 19:07登録)
各話ともまりあ先輩の独断と偏見に基づく「迷」推理が開陳され、それはそれで一応の説明はつくのだけど、すっきりしない形で話が進むので、最後にどうオチがつくのかと思っていたら、こういう形で来るとは……。著者が著者なので、一見ラノベ風でも何か仕掛けがあるに違いない、とは思っていましたが。

No.4 6点 HORNET
(2015/09/20 22:31登録)
 学内で次々と起こる殺人事件について、化石オタクの女子高生がそのお守り役の男子高生に自分の推理を開陳する。「あり得ない」とスルーされ、現実では別の解決がされていくのだか、どうやら主人公の推理の方があたりらしい…という、いかにも麻耶作品らしい短編集。
 そうした設定による面白さがむしろメインで、各章の事件でのトリックは小粒なカンジ。偶然要素により成り立ったトリックも多い。
 というわけで、麻耶作品としても小粒な出来という感じが強かった。

No.3 5点 yoshi
(2015/09/10 11:49登録)
個々のトリックはものすごい偶然に頼っているのが多く好みではない。
探偵の推理を否定するワトソン役というのが目新しいのでそこは評価できる。
それにしても麻耶氏がこんなラノベ風のキャラを描くようになるとは。

No.2 6点 虫暮部
(2015/05/20 10:42登録)
 私もこんな、生徒会役員がこぞって殺人を企てるような高校で青春を謳歌してみたかった。自分が被害者にならない限り。
 エピローグでの語り手のショックは上手く伝わってきたので、作者の意図は成功していると思う。
 難を言うなら、第六章で、隠滅されずに“痕が残っていた”のは恣意的なミスではないか。

No.1 6点 kanamori
(2014/11/30 18:55登録)
京都にある名門私立高校で不可解な殺人事件が次から次へと発生する。古生物部の部長・神舞まりあは、たったひとりの後輩部員・桑島彰に、どの事件も生徒会の幹部6人の仕業だと自信満々で推理を披露するのだが---------。

テストのたびに赤点をもらい成績は学年の最下層という化石オタクの女子高生・神舞まりあを”探偵役”に据えた連作ミステリ。
”全知全能の神様”鈴木太郎シリーズとは対照的に、各話とも”お守り役”の彰に推理を即座に却下されてしまうという構成がユニークです。そのため読者もはっきりした真相を知らされずに読み進めることになるのですが、連作のラストで作者らしい黒いオチが待っていました。(やや小粒感がありますが)
まりあの”赤点推理”を個別の作品で見ていくと、化石採掘のため出かけた地方で不可解な事件に遭遇する第4話「自動車墓場」のバカミス的トリックと、体育用具室の密室殺人を扱った最終話「赤と黒」が面白い。
たまたま今月は、森川智喜、円居挽、麻耶雄嵩と京大推理研出身のミステリ作家を3作読みましたが、示し合せたようにどれもラノベ風の連作短編集になっていてテイストも似てましたね。

14レコード表示中です 書評