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ミステリの祭典

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悪意
加賀恭一郎シリーズ

作家 東野圭吾
出版日1996年09月
平均点7.79点
書評数110人

No.90 7点 ボナンザ
(2015/08/02 21:23登録)
初期の頃の切れ味と近年の文学よりの作風を絶妙にマッチさせた傑作。

No.89 8点 CHABI
(2015/06/04 22:52登録)
『悪意』ねえ。
読了後、タイトルの秀逸さに気づきます。
初心者の私は、すっかり騙されていました。

No.88 8点 斎藤警部
(2015/05/15 19:43登録)
叙述の鬼でした。。。。 

再読するにはちょっと、物語の風圧が強すぎて気が引けるけど、やはり傑作でしょう。

実人生への教訓にしたくなるエンディング、というかお話ですよね。

No.87 10点 初老人
(2014/06/10 20:11登録)
ネタバレあり

いやぁ、これは素晴らしい。10点を付けざるを得ない出来。
冷静に考えれば自らが犯した過去の忌まわしい出来事の証拠が法廷に晒される事などあり得ないと分かりそうなものだが、加賀が語っているようにそれは単なるきっかけに過ぎなかったのだろう。
加賀が最後に犯人に引導を渡すように 「法廷が待っていますから」といい放つのも私にとっては好ましく感じられた。まさしく犯人にとって生き延びた先に本当の地獄が待っている、という図式が出来上がった訳だ。
これ以上なにも言う事はない。未読の方がいれば是非ともおさえておいてほしい作品である。

No.86 8点 sophia
(2014/05/19 22:39登録)
最終章が素晴らしい。
太宰治の名作「駆け込み訴え」を読んだときのようにゾクゾクした。
一人の人間の発言しか書かれていないが、そこにもう一人いることが鮮明に感じられた。
最終章のためだけに書かれた作品と言っても過言ではないほど。
トリックのひとつに法月綸太郎「頼子のために」と同じ物がありましたね。

No.85 8点 蟷螂の斧
(2012/10/29 19:11登録)
通常のミステリーにおいてはトリック重視なので、動機にはそれほど感心はありません。しかし、計画犯罪の場合は、絶対納得できる動機があって欲しいと思っていたので、本作はその点、非常にマッチした作品でした。同じ倒叙ものでは、「X」より本作の方が数段上のような気がします。                                                                              (ネタばれ)計画犯罪における動機そのものに対するトリックという点で高評価です。ただ、文鎮、古い大学ノートに関しては、違和感が残ります。                                                                                                                                                                                                    

No.84 7点 HORNET
(2012/10/14 22:05登録)
 人気作家の殺人で幕を開ける本編は,典型的なフーダニットミステリの導入でありながら,そこからハウダニット,ホワイダニットへと転じていくその展開そのものに驚きと奥深さがあり,非常に面白かった。相変わらず無駄な展開や描写がなく,といって味気ないわけでもなく,登場人物の手記によって視点人物が変わる構成でありながら非常に読みやすい。些細な違和感を掘り下げて真相へと迫っていく加賀恭一郎の推理も変わらず見応えがある。

※以下ネタバレ
 登場人物の手記で始まる本編は,クリスティの某有名作品を知る読者なら,はじめから疑いはもつだろう。気付いてからはその記述にもはや信憑性はなく,加賀が視点人物として語る部分のみが客観的な材料となる。だが些細な不審を端緒に真相に迫ろうとする加賀の推理も,実は犯人によるミスリードであることさえ,物語が後半に至るにつれなんとなく分かってくる。が,分かってくるとなおさら真相解明の欲求が高まり,全てが分かったときに「やられた」感が大きくなるという仕組みである。
 犯人にも同情の余地あり,という前半のミスリードが,真相が分かったときの脱帽感と,ある意味反省にも似たような感情をもたらしてくれる。

No.83 8点 Q-1
(2012/05/27 23:44登録)
正に騙された、やられた!というに相応しい作品。
私は悪意を見抜けませんでした。

No.82 10点 Tetchy
(2012/02/28 23:10登録)
これはすごい傑作ではないか!なぜ当時ほとんど巷間で話題にならなかったのかが不思議でならないくらい、ミステリとしても読み物としてもすごいレベルに達した作品である。

東野氏が本当に書きたかった悪意は最後の最後に示される。悪意が恐ろしいのはそれが当事者にはそれが悪意だと気づかずに行動の原動力となってしまうことだ。いやもしくは悪意、それと気付いていながらもその悪意の持つ悦楽のような物に酔わされ、止められない蠱惑的な魅力を備えていることだ。しかしここに書かれた悪意はもうどうしようもない。読後私はなんともやるせない気持ちになった。

このようにストーリーは読み応え抜群でしかも深い余韻を残す結末でありながらさらに本書がすごいのはミステリの技巧として優れていることだ。いや文学の技巧としても優れているといった方が正しいかもしれない。
小説の技法をトリックに使用して読者に直接的に叙述トリックを仕掛けているのだ。数ある叙述トリックを読んできたがこんな手法は初めてだ。数々の本格ミステリ作家が痛罵されてきた「人間が描けていない」こととはどういうことなのかを指南しながらその実それがトリックだったという高度な技術。さらに読後すごく考えさせられるテーマ。一つの到達点ともいうべき作品と云っても過言ではないだろう。

No.81 8点 いいちこ
(2012/02/05 16:13登録)
世評の高い作品だが冒頭が手記である時点でこちらも身構えている。
真犯人は容易に想像がつくので後はミスディレクションを探すだけ。
案の定、犯人はすぐに逮捕され悲しい背景と恐るべき悪意が見えてくると思ったら一転・・・
殺人自体が真の目的ではないという斬新なプロットを評価。
救いがなさすぎる真相だが共感を感じる部分もある。
まとまりが良すぎてややパンチ力不足の感もあるが、類稀なテクニックと完成度の高さを評価

No.80 7点 大泉耕作
(2012/01/11 21:40登録)
こういうトリックの小説、一度でも読んでみたいと思っていました。
一転二転するプロットにやられっぱなしで真相にも”あっ”と驚かされましたが、最後の動機に関しては、ちょっと期待し過ぎたために拍子抜けした・・・。
(ネタバレに触れます)
僕は現在在学中のためこういう人間の説得力は幾分備わっているつくりになっているに違いありませんが、あくまでも現在の学校の状況と(校内暴力に関しての記述があったためあくまでもいつの時代かを考察した場合)金八に登場するような校内暴力の時代とは完全に相違していることを踏まえ、大人になってもそういう心理を持つ人間が、少年時代のイジメを看過した、言わばイジメッ子と同じ立場にいる”学校そのもの”に勤める、ましてや誘われても教師を勤めようとしたとは思えないため、ということは自主的に進んだ道ということになる。彼が積極的でなかった描写はありましたが、ザクッとした解説が欲しいです。

それらが、ロジックになんら影響がないことを踏まえても、この点数が妥当かと思います。

No.79 6点 nukkam
(2011/08/23 22:31登録)
(ネタバレなしです) 1996年発表の加賀恭一郎シリーズ第4作です。犯人当て本格派推理小説としては物語の3分の1ぐらいで完了しています。本書の真価が発揮されるのはむしろここからで、犯人がかたくなに明かそうとしない秘密に加賀刑事がじわじわと迫っていきます。単なる犯行動機だけでなく犯人の人間性までもが明かされるプロットは、地味ながらぐいぐいと読者を引きつけます。なお講談社文庫版の巻末解説では犯人の正体を明かしているので事前には読まないよう注意下さい。

No.78 6点 mozart
(2011/05/29 13:16登録)
加賀刑事の「粘着ぶり」が遺憾なく発揮された作品だと思います。かなり初期の段階で真相に迫っているところは、彼に、伝統的な名探偵としての特質も十分に備わっているという証なのでしょうね。

No.77 7点 haruka
(2011/05/07 00:43登録)
フーとハウをダミーにしてホワイダニットで勝負という作りが新鮮だった。

No.76 5点 3880403
(2011/05/05 22:23登録)
読み易かった。
ハードルをあげて読んでしまったために、フーもホワイも驚きが無かった。
悪意とは恐ろしいものだ。

No.75 9点 kenvsraou7
(2011/03/06 23:33登録)
悪意というタイトルから
何やらギタギタとしたものを想像したのだが
物語はレポート形式で淡々と進んでいく。
びっくりしたのは半分くらいで急に事件は終息を迎えること。
これからがおもしろい。
加賀刑事の独特の推理力、洞察力が本領発揮されだす。
それもレポート形式で進んでいく。
この斬新な文章表現が読者をどんどん引き込んでいく。
犯人の動機捜しに全てをかけたというこの東野圭吾の
意気込みがすごい。
小説って改めておもしろいって思った。

No.74 7点 E-BANKER
(2011/02/27 17:47登録)
加賀恭一郎シリーズの4作目。
シリーズ最高傑作との呼び声も高い作品。
~人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、被害者の妻と幼馴染の男。犯行現場に赴いた刑事、加賀恭一郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは? 人はなぜ人を殺すのか~

一言で言い表すなら、「究極のホワイダニット作品」というところでしょうか。
犯人は早い段階で確定し、事件の構図もはっきりしたかと思いきや、さらなる「二番底」のような真相が判明する・・・
それこそがまさに「悪意」なわけです。
いやぁ・・・何かやりきれないようなストーリーですねぇ。人間の弱さというか醜さというのも、ここまで示されると目をそらしたくなってしまいます。
加賀恭一郎という男が何とも恐ろしく感じてしまいました。
作者のストーリーテリングのうまさを十二分に味わえる佳作という評価で間違いなしです。
(加賀刑事が教師をやめた理由も分かってすっきりした。でも、こんなこと現実の事件でもありそうな感じ)

No.73 9点 ムラ
(2010/12/15 22:13登録)
東野さんの中でもかなり好きな作品です。
人間性を書くというのがどんな事かと言うのが面白かったでした。
まさに究極のホワイダニット作品。動機の部分をかなり描きこんでいてのめり込めます。
タイトルに似合った内容ですね。
どうでもいいけど東野さん倒叙形式のが面白い気がする。

No.72 8点 あやりんこ
(2010/08/30 21:31登録)
ネタばれあり!!

主人公の被害者に対する劣等感や妬み=悪意のすさまじさに恐怖を感じました。
これは少年の頃に登校拒否を立ち直らせてもらった時からどんどん蓄積されていったのではないでしょうか。
けっしていじめに負けない正しい被害者、それに対していじめの仲間に入り犯罪の手助けまでしてしまった主人公・・・なのに優しく手を差し伸べる被害者・・・もし被害者が主人公を軽蔑していたなら、逆に主人公はここまでしなかったのかもしれないなどと思ってしまいました。
(決して被害者が悪いとは思わないのですが)
しかし主人公の叔父さんえげつないですね。
利益の返還請求って・・・。
あと主人公の手記とキャラがどうしてもかみあわないと思っていた加賀刑事は、教師時代やっぱり主人公のダークな部分を見抜いていたんですかね。
加賀刑事が中学の社会の先生だったという過去は初めて知り、ちょっと驚きました。
包丁投げにはもっと驚きました。(そんな訓練があるんですね)

No.71 7点 kanamori
(2010/08/23 17:39登録)
序盤はフーダニットの興味もあるが、殺人動機の謎を中心に据えた良質のホワイダニット・ミステリでした。

手記を書いた人物が小説家である点がポイントではないかと思います。
かつての、コード型の本格ミステリを「人間が描けていない」と批判する論調に切り返すような、「人間が描けている」手記そのものをトリックにしているところに一番感心しました。
ただ、隠された動機は、タイトルによるヒントもあり、ある程度予測がつくものでしたが。

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