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ミステリの祭典

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密室の如き籠るもの
刀城言耶シリーズ

作家 三津田信三
出版日2009年04月
平均点6.47点
書評数17人

No.17 6点 斎藤警部
(2023/08/29 22:59登録)
首切の如き裂くもの  2点
つまんねー 締まりの緩い絵空事。 雰囲気という名のペルシャ絨毯も織れていない。

迷家(まよいが)の如き動くもの  5点
つまんねー とサックリ打ち捨ての体勢になりかけたが、おっと、この会話継続からのロジックはちょいと旨いよ! 現実をいちばん押さえてるのは誰だ? の追っかけっこが良い。最後の一文でその決着が、着いたような、有耶無耶にされたような。

隙魔(すきま)の如き覗くもの  7点
この結末進行はセクシーだね。。。。。 "ダマ" が残留しまくりの伏線撫で回しも何故だか視野を拡げて許せてしまう。奇矯な心理的物理トリックに唖然としたり、昭和レトロなアリバイトリックに和んだり、色々。だけど、過去を積み重ねた割になんだか話が安いんだよなあ。「こころ」のアレのシブいんとこは何処にすっ飛んじゃったんよー、ダメじゃんそこんとこ。とは言えやはり、この結末の畳み掛けは、良い。

密室(ひめむろ)の如き籠るもの  6点
詰まらなくはない。長篇並みに長いが貫禄は無い。密室講義は退屈(折角の "アレの第四パターン" も見せ方でシケっちまった)。強烈因縁ドラマをぶつけて来た割に、一連のトリック連関も推理披瀝もなんだか締まらない、弱さダダ漏れ物語だなあと思っていたら、、土壇場台詞の違和感炸裂がきっちり落とし前けてくれて、、なかなかの結末に化けた! 2点入って逆転サヨナラヒット、ってくらいかな。これでもう少しばかり、本気で、人間ってやつが描けていたらなあ、、真相暴露の衝撃もどれだけの打ち上がりっぷりだったろう。惜しまれる。

やっぱ長篇がいいですわ、この方。

No.16 7点 ALFA
(2023/06/20 10:07登録)
短編三作はホラー風味に合理的な解決をつけるお馴染みのパターンだが、なかでは「迷家」が楽しめる。行商の風俗描写も時代感が味わえて面白い。

長編ともいえる表題作は重厚。精緻な伏線とその回収がダミー解決のために使われるとは何とも贅沢というべきかもったいないというべきか。
先妻の変死や開かずの箱などのおどろおどろしいトピックが回収されないままというのが何とも残尿感に・・・

No.15 9点 密室とアリバイ
(2023/05/10 18:44登録)
表題作が突出してよく出来ている

No.14 6点 じきる
(2021/07/24 23:17登録)
長編に比べると流石に迫力に欠ける部分は否めないですが、どの篇も中々読ませる水準にのものではあると思います。

No.13 7点 mediocrity
(2021/06/30 05:54登録)
<少しネタバレあり>


1作目がイマイチだったので、短編はこのシリーズ向きではないのかと危惧しましたが、2、3作目は普段とは変わった趣向で良かったですね。
ただ、やはり一番良かったのは実質長編に近いページ数の表題作でした。色々こねくり回して、わかってみれば意外なほどシンプルな真実で驚きました。

No.12 7点 ボナンザ
(2020/10/03 19:34登録)
厚さ的にも表題作が半分を占めるが、内容的にもこれが素晴らしい。ほかの短編も印象的ではあるが。

No.11 4点 雪の日
(2020/04/13 15:06登録)
表題作は面白いが、ほかがイマイチだった。

No.10 6点 名探偵ジャパン
(2014/09/07 20:31登録)
この作者の作風から、短編というのは想像し難かったが、一作一トリックをうまく怪異現象と取り合わせて完成させていた。シリーズ探偵刀城言耶の魅力も増してきて、読み応えのある短編集となった。

・首切の如き裂くもの
陰惨な過去の殺人事件、首裂きという残忍な殺害方法から、一気にアクロバティックな凶器消失トリックへ。あまりにギャンブルが過ぎるような気はするが、怪異とトリックのギャップが面白い。

・迷家の如き動くもの
いまひとつビジュアルがイメージしづらかった。登場の仕方、犯人との対決場面など、刀城のヒーローっぷりがかっこいい。こんなの刀城じゃない! と思ってしまう(笑)

・隙魔の如き覗くもの
個人的に一番よかった。アリバイトリック、被害者と殺人者との因縁など、テーマ性、本格テイストが最もあふれていたからかも。

・密室の如き籠るもの
本の半分を占める中編。被害者が見せた「凍り付くような表情」の真相がミソ。長編でおなじみの多重推理も、刀城のやさしさという形で見せる。

No.9 6点 E-BANKER
(2012/06/16 15:44登録)
刀城言耶シリーズ初の作品集。
短編3編のほか、表題作は長編と言ってもおかしくないくらいの分量。

①「首切の如き裂くもの」=喉切り魔が何人もの女性を手にかけたといういわくつきの現場。そして、またしても若い女性が喉を切られる事件が発生する・・・。主題は「凶器消失」なのだが、確かにトリック自体は斬新。ただ、何となくビジュアル的には説明されてもちょっと想像つかない感じにはなる。結局、過去の事件の真相はそのままスルーされたのもやや残念。
②「迷家の如き動くもの」=山奥の村の境界にある一軒の古家。少しの時間差を置いて通りかかった人間が、その家を見たり見なかったりする・・・。これも①と同様、真相解明で「ふんふん」とは思ったが、ビジュアル的にはちょっと思い描きづらい。家屋消失トリックもそうだが、この手のトリックは見せ方が難しい。(その分、作家の手腕次第とも言えるが・・・)
③「隙魔の如き覗くもの」=ふすまなどのちょっとした隙間に潜んでいるとう怪物が「隙魔」・・・。昔からこの「隙魔」に魅入られてしまった女性が巻き込まれる殺人事件。要はアリバイトリックなのだが、トリックの「肝」となるある「仕掛け」については、ちょっと無理があるように思える。プロット的にはシンプルで①②より面白いが、トリック自体は小品。

④「密室の如き籠るもの」=表題作。旧家の猪丸家に現れた記憶のない謎の女・葦子は、開かずの間だった蔵座敷で狐狗狸さんを始める。だが、そこは当主・岩男の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶が訪れた日も狐狗狸さんが行われるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる・・・~

これはとにかく「密室講義」がうれしかった。こういう読者サービスっていうか、本格ファンの心をくすぐる仕掛けは単純に喜んでしまう。
(嫌いな方は、「何で」と思うだろうが・・・)
で、肝心の「密室トリック」なのだが、ちょっとスッキリしないというか、奇をてらい過ぎではないか?
「赤箱」やら「狐狗狸さん」やら、ここまで魅力的かつ禍々しい“道具立て”をしたにしては「深み」を感じないトリックに思えた。
1人1人の登場人物についても、分量の制約上といえばそれまでだが、ちょっと書き込み不足のような気が・・・

トータルでは、やっぱり本シリーズに対する「期待」には届かなかったという感想になった。
(そもそもハードルが高いのではあるけれど)
まぁ短編向きではないんだろうね。

No.8 7点 ミステリ初心者
(2012/05/28 16:00登録)
 ネタバレあります。


 短編と中篇で構成されていますが、中篇の密室の如き~は長編にも劣らないと思います。
 長編にはもっと大きなトリックやどんでん返しがあると思いますが、この密室は凶鳥を超えてます。

 派手さは無いですが、ミステリには派手さはいらないと思います。密室の如き~は犯人が特別すごいことをしていませんが、個人的には犯人はごく普通に殺人するほうが好みです。
 派手さが無くても、ルールの穴を着くミステリは大好物です。

 嫌いな点は、犯人に協力者がいること、偶然が味方していることです。この辺は長編で無いので甘く見てます。

No.7 7点 好兵衛
(2011/06/14 01:24登録)
言耶シリーズ短編集。

四話入っているのでその順に。

首切の如き~
解決をみて、やはり短編だからこういう感じか。
読むのやめようかなと思いました。
解答が滑稽で、ホラー要素だけが目立ちます。

迷家の如き~
隙魔の如き~
この二話は、短編ながらもロジック要素なども
もりこんであり。
オーソドックスに楽しめる短編というかんじ。

密室の如き~
表題作。中篇。やはり三津田氏完成度が高いです。
題のごとく、密室に挑戦した作品。
密室の解き方が綺麗でおもしろいです。

密室一本で長々と長編にする作品も多い中
斬新で、きれのいい中編だと思います。

***ここからネタバレ****
ただし、被害者が加害者をかばっての
というところは、好きではありません。

No.6 6点 HORNET
(2011/04/03 19:54登録)
 短編3本と,表題作の中編1本の,刀城言耶シリーズ作品集。緻密に練られたロジックと舞台設定で重厚に読ませるこれまでの長編もよいが,このくらいの作品では,登場人物の数が限られているがゆえに推理を楽しみやすく,気軽に楽しめるというよさがある。「首切の如き裂くもの」の袋小路のトリックや,「隙魔の如き覗くもの」の学校を舞台にしトリックは面白かった。また,こうした短編や中編でも,因習や伝承などを必ず絡め,作者らしさを決して失っていないのもさすが。

No.5 6点 まさむね
(2010/08/01 23:30登録)
3短編+1中編から成る中短編集。
刀城言耶シリーズお決まり(?)の「どんでん連発」が,特に3短編では薄いが,それはそれで悪くはない。さらっとしていて逆に読みやすく感じた面も。それでいて,いつもの「雰囲気」はきっちりと守ってくれている。
刀城言耶ファンにはお買い得の中短編集では。

No.4 6点 マニア
(2010/01/13 23:34登録)
刀城言耶シリーズ初の中短編集。密室あり、アリバイ崩しあり、凶器消失ありとバラエティに富んでおり、もちろんその全てに怪異な現象が絡むという、シリーズファンならそれだけでも納得の一作!

「首切の如き裂くもの」・・・凶器消失がテーマ、伏線張りは面白いと思ったが真相はイマイチ・・・。
「迷家の如き動くもの」・・・山の中で現れたり消えたりする不可解な家のなぞを解く。ストーリーは面白いがインパクトはそれ程でも。
「隙魔の如き覗くもの」・・・これが一番好きかな!!特殊な怪異体験を前提とした鮮やかなアリバイ崩しに満足!
「密室の如き籠もるもの」・・・密室がテーマ。途中の密室講義には辟易したが、二転三転するラストでのひっくり返り度では長編作に匹敵する。

No.3 7点 touko
(2009/07/09 23:24登録)
短編集だからあまり期待してなかったんですが、どれもそれなりに怖く、ホラーミステリ好きな私は楽しめました。
表題作は真相がわかると印象が変わってしまう話ですね。

No.2 6点 おしょわ
(2009/07/04 15:22登録)
短編より長編の方がいいですかね。
表題作はいつもの感じで良かった。

No.1 7点 江守森江
(2009/06/23 13:48登録)
シリーズ物の中短編集。
単独で読んでも問題ないが、シリーズ執筆順に読めばより楽しめる。
短編3作はこのシリーズらしさを損なわずに上手く短編に仕上げ、長編以上に刀城言耶のとぼけた魅力を引き出している。
表題作の中編は、長編同様に論理をこねくり回し、ダミー解決(ダミー用伏線も)をバッサリ捨てて真相に至るシリーズのお決まりパターンが楽しめる。
このシリーズが好きならお得感満載。

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