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ミステリの祭典

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流星の絆

作家 東野圭吾
出版日2008年03月
平均点6.50点
書評数18人

No.18 8点 バード
(2023/06/04 21:31登録)
量産型東野作品の一つと予想していたが、予想よりはるかに好きな内容だった。某立ち位置のキャラが犯人というやり方は手垢のついた方法で、はっきり言って特に良さを感じなかったが、ドラマパートは全体的に楽しめた。

東野さんの人物描写は淡泊という意見もあり、自分もその傾向はあると思っているが、本書のキャラ描写には説得力があった。個人的には政行、行成の描写が上手いと感じた。読後感も悪くなく、作中のキャラ達はそれぞれの贖罪後に幸せになって欲しいですな。

No.17 7点 斎藤警部
(2021/05/28 20:01登録)
“そのタイトルを見て、◯◯は胸が熱くなった。”

主舞台は横須賀/横浜。 クライム、サスペンス、ダメ押しに◯◯ダニット! 一気呵成、豪速球がホップする味わい! 出だしの悲劇性もあっという間に吸収されて。。ちょっと見よりずっとサイケな話かも。。との予感に震える。 幼少の頃、ペルセウス座流星群が流れた雨の夜に両親を惨殺された3兄妹が、養護施設を出所後、司令塔と2トップで役割分担し殺害犯人断罪と復讐のゴールへと向かう物語。 バイタルエリアでは時効成立と言う悪魔との競争があり、証拠●●と、恋愛抑圧と、いくつものすれ違いに、隠し玉。。 そこへ絶妙のタイミングで多方向からの違和感がボディバランスを崩しに掛かる。 儚いチャンス、一発で仕留めるんだ。。

「有明さん、もう一度やってみる気はありませんか」 「えっ?」

○○系叙述トリックの逆を張ったような”重要ポイント(アレの違いの事)”がドラマチックな転換場面でもどかしく(??… いやその逆だ!!)活きてきたシーンでは眼を見開いた!! タイトルのナニが情緒や精神的なものだけじゃなかった(ちょっとした決め手にもなる)、ってのが渋いね。 テクニカルな小技も本当にそこかしこ。「傘の指紋」のロジックは小技ながら、、行き着く先がドラマチック! 犯人そのものへの驚愕は(「あ、そうつながったんだ~~」って感慨はあったが)薄かったけど、「告白書」(新しく書いたほう)には泣けました。。犯人に気付いたアレの伏線の小説的なセコさも(その大胆な置き場所には感心!)、笑い泣きでした.. 残りページもわずかなゴール前のごたつきもありながら、最後は見事なオーバーヘッドを決めてくれました。

「それ以上、こっちへ来るな。誤解を招く」

真相を知って振り返ると、真犯人のさり気ない行動がすごく沁みるシーンがあったんですね。。 やっぱ、洋食屋におけるハヤシライスの存在ってのは格別なものです。(あ、だけどよく考えたらこの「ハヤシライス」こそ最強の●●●●●になってたんだよなあ。。!) しかし、クサナギと加賀って..w 最後にアレのカタを付ける所、トンチが効いてて最高です。終わりのほうで意外といい味出した再登場チョイ役もいたな(隠れファンいそう)。 ちょっと、唐突に道尾秀介みたいな真っ白エンディング感もありましたが(&ラストセンテンスの洒落た落とし!)、最後に気持ちの整理ってやつがどうなってんだか見えない重要人物(複数人!)もいるのですが、偶然力が発揮され過ぎな所も目に付くのですが、、この際まあ良がっぺっよ! 惜しいな、あと一歩で8点だった。

「大丈夫、まだ若いからさ」

No.16 8点 Tetchy
(2015/01/12 00:27登録)
ストーリーは単純ではあるが、プロットは実に用意周到だ。特に唸らされたのは功一たちの生業が詐欺師であることだ。これが実に効果的に物語に働きかけている。主人公の3人は容易に警察に協力を求められないのだ。この辺の必然性は実に上手い。

物語の約1/3の辺り、泰輔が幼き頃に見た犯人を視認した後の物語の疾走感は半端ではなかった。積年の恨みを晴らすために3人兄弟のブレイン功一が策を練り、カメレオン俳優の泰輔と静奈がそれを演じ、接近していくがなかなか上手く進まない展開に忸怩たる思いを抱きながらも、先の読めない展開にハラハラし通しだった。詰将棋のように容疑者を犯人に仕立てるために仕掛けを施していく3人兄弟のマジックが、521ページ辺りからはまさに怒涛の展開だ。読者はまさに東野氏の掌の上で踊らされるだけになってしまう。

それだけに事件の真相が悔やまれる。動機はありがちなメロドラマである。この単純さが実に残念だった。

しかし腑に落ちないのは防犯カメラの存在を全く作者が無視していること。両親殺害事件で刑事が訊き込みに行くコンビニで、全く防犯カメラの映像提供について触れないのはおかしい。『使命と魂のリミット』でも病院の受付用紙の中に犯人のメッセージが潜り込んでいたシーンでも当然大病院にあるであろう防犯カメラについては一切触れなかった。防犯カメラは東野ミステリ世界では存在しないかのようだ。一工夫理由を考えればクリアできると思うのだが、どうしてだろうか?

No.15 4点 STAR
(2012/04/02 11:37登録)
観ていなかったのですが、ドラマ化した作品ですね。
長文なのに、さくさく読めます。
無理やり真犯人を作っているかのような感じもしてしまいます。ミステリーという感じはしないです。
ラストはこんないい男いないのでは?というくらい甘めです。あまりに現実的でなさ過ぎ、ハッピーエンド!という簡単な感じで、そこも「どうだろう?」という感じでした。
重いテーマ(両親を何者かに殺害された)を扱っているのですが、他の作品みたいに心に響く感じがありませんでした。

No.14 6点 蟷螂の斧
(2011/08/18 21:32登録)
ミステリーとしては平凡であるが、兄弟愛や、犯人(?)の息子に惚れてしまう経緯は楽しく、また、せつなく読むことができた。

No.13 5点 mozart
(2011/05/29 10:08登録)
相変わらず読みやすいと思います。登場人物の中から意表を突く真犯人にするための話の展開が(伏線も含めて)やや強引かも。子供の病気もこじつけっぽいし。ただ、長男のキャラクターにはとても共感できました。ちなみにドラマは視ていません。

No.12 4点 ムラ
(2011/05/19 22:45登録)
長文をすらすら読ませる展開のスピードさと文章は相変わらず流石のもの。
話も良い。
ただちょっと予想通り過ぎたのと(予想通りでも面白い作品はいくらでもあるが)東野の作品ではあくまでも平均なのが残念。東野さんだったらもうちょっと上手く書けるんじゃ、って期待はやはりしちゃう。
手紙やさまよう刃みたいに読者の胸をつき刺すような被害者と加害者の微妙な心理関係が書かれている作品だと期待したが、そこまででもなかったのがなお残念。

No.11 7点 itokin
(2011/05/17 12:49登録)
終盤の展開は、ミステリーを意識したまとめ作業に思えてしまうが全編にわたって、読者を引きつける力は流石。読みやすく面白いとは思うが東野さんにはもう一段上を望んでしまう。

No.10 4点 HORNET
(2011/01/16 08:16登録)
 親の敵をとることを誓った兄妹,その敵を好きになってしまった妹,そのことに気付く兄たち。そういったドラマが主体で,ミステリとしての要素は薄い。
 いかにも大衆受けしそうな作品で,ハードカバーで買ってしまったが,おそらく読み返すことはないと思います。ただこういう新しい設定を考える作者のアイデアはすごいなと思います。

No.9 6点 江守森江
(2009/09/15 07:40登録)
※察しの良い方にはネタバレになるかも
3兄弟の両親殺害事件だが、残されたビニール傘のロジックを名刑事(例えば作者の持ちキャラなら加賀恭一郎)が突き詰めていたら、時効寸前まで引っ張られる事件たりえない(精々ロジカルな短編か二時間ドラマの脚本にしかならない)
それを、名探偵(刑事)が介入しない為の意外な犯人を設定(此方は綾辻の某作品等、良く使われる)し、違った方向に話を膨らませ、これだけ読ませる作品にする辺りが東野圭吾の面目躍如だと思う。
ハヤシライスの食べ歩きをしたくなった読者も多い筈で、東野作品らしく洋食屋とタイアップも考えていたのかも?
ミステリとしての弱さをストーリーで消し去る=私の嗜好の対極にある作品。
小説としての面白さを評価基準の一番手にする方の採点なら高評価でも頷ける。

No.8 7点 いけお
(2009/04/22 09:03登録)
展開が予想と違ったが、あっさりしていて楽しめた。

No.7 7点 VOLKS
(2009/03/22 10:49登録)
まさか、このままスムーズにラストまではいくまい、という想像通りのどんでん返しは、さすが。
氏の作品にしては頁数も多いが、読みやすい文体なのでラストまで一気に読ませる手腕もさすが。
ドラマよりも小説の方が楽しめる、という点も、さすが。

No.6 7点 だい様
(2009/02/24 11:26登録)
中盤の盛り上げ方が上手い。
終盤までの展開と犯人のどんでん返しは良かったのだがラストがなぁ・・・

No.5 8点 白い風
(2008/10/08 20:39登録)
私の最初の感想は「これって、発売前にドラマ化決まっていたの?」というものでした。
東野さんらしいアクの強さはありませんが、ドラマ化しやすそうなキャラたちが豊富で、内容も比較的スマートで万人受けしそうです。
熱狂的な東野ファンにはちょっと物足りない気もしますが、いつものラストでのどんでん返しもあり、及第点だと思う。

No.4 9点 さとりん
(2008/08/13 20:04登録)
面白くて面白くて、どんどん先が気になってあっという間に読み終えてしまった本。
だけどラストが私的にイマイチ。こんな結末望んでなかったよ!って感じです。
でも、ラストにいたるまでのストーリーは完璧。

No.3 6点 こう
(2008/06/02 01:17登録)
 14年前起きた殺人事件で両親を失った三人兄弟が実質的な主人公で彼らが犯人と思しき人物を追い詰めようとするストーリーです。
 味覚が一つキーポイントになっており絶対味覚(?)みたいなものが存在するのか、とも思いますがそういう前提で話を進めているのでそれはそれでよいのかなとも思います。
 大掛かりなトリックはなく、真相は小振りですが話しは相変わらず面白いです。結末は少し甘ったるいですが。

No.2 9点 akkta2007
(2008/05/24 17:33登録)
久しぶりの東野作品、十分に楽しむことが出来た。
両親を虐殺された3兄弟が、時効寸前で出会ってしまう犯人・・・その犯人を落としいれようと仕掛けを張り巡らす兄弟達。
しかしその結末に待っていたのは、何と妹の恋心・・・
思わぬ展開へと、事件が物語が流れていく。
まさに、流星のように・・・
テンポのよさ、展開の速さ、何とも言えない東野作品の凄みだと思う。

「アリアケ」のハヤシライス一度、食べてみたいと感じた。

No.1 5点 殿一気
(2008/03/13 22:21登録)
ミステリとしても小説としてもなんか中途半端な作品でした。前半部分は非常に読ませるし、思わず期待してしまうんですが、結局不発のまま終わってしまう感じ。「容疑者-」以降こんなような感じが多くないですか?それにしたって講談社の帯は大げさすぎ。全く泣けませんでしたよ。

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