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ミステリの祭典

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衣裳戸棚の女
名探偵ヴェリティ

作家 ピーター・アントニイ
出版日1996年12月
平均点6.93点
書評数14人

No.14 7点 ◇・・
(2024/03/12 19:49登録)
純然たる密室ものだが、完全に施錠されたホテルの一室で男が射殺体で発見され、同じ部屋の衣装棚の中にはウェイトレスが閉じ込められている、という奇妙な状況が提示される。
かなり短い小説で、そのシンプルさが魅力の一つだが、トリックが突飛すぎて万人におすすめすることは出来ない。それほど独創的で、二度と使えない類のトリック。

No.13 7点 メルカトル
(2024/02/27 22:40登録)
七月のある朝少し前、長身巨漢の名探偵ヴェリティはけしからぬ光景に遭遇した。町のホテルの二階の一室の窓から男が現われ、隣室の窓へ忍びこんで行ったのだ。支配人にご注進に及んでいると、当の不審人物がおりてきて、人が殺されているとへたりこむ。さらに外では、同じ窓から地上に降りた人物が。問題の部屋に駆けつけてみると、ドアも窓もしっかり鍵がおりていて、中には射殺死体が――戦後最高の密室ミステリと激賞される名編。
Amazon内容紹介より。

本作を読んだのは、ふと『みんな教えて』を見たら、なんとお二方から投稿がありまして、その中で以前購入していたものを選んだといった理由からです。この場をお借りして書かせていただきます、切っ掛けを下さったレッドキングさん、ありがとうございます。『シャム双児の秘密』もどこかにある筈なのでいずれ読みますよ。あとはやはり本命の『くたばれ健康法!』ですね、必ず読みます。そして臣さん、私のささやかな質問にお答えくださり、本当にありがとうございます。参考にさせていただきます。順番は前後しますが、蟷螂の斧さん、『レーン最後の事件』忘れてませんから。いつか読ませていただきます。みりんさんの『双月城の惨劇』もHORNETさん推薦の『鍵の掛かった男』も読まねば。みなさん貴重なご意見誠にありがとうございます。

で、本作ですが、こういう海外の本格ミステリを求めていたんだと声を大にして言いたいです。若干のユーモアを含みつつ、優雅に進行していくストーリーに酔いました。個人的にはバカミスではないと思います。立派な密室ものじゃないですか。そして最後の一撃に打ちのめされた私なのでした。探偵のヴェリティや警部のランブラーも良い味出していますし、各容疑者も個性的でその意味でも楽しめました。

No.12 7点 あびびび
(2018/06/04 15:27登録)
読んでいて楽しかった。特に登場人物の挿絵が効果的でよりユーモラスになった。結末はバカミス的なものだったが、それがこの話に一番ふさわしかったのではないかと、同調する自分がいた。

なんか、ほのぼの、爽やかな気分になった。

No.11 7点 レッドキング
(2018/05/24 21:33登録)
不可能犯罪トリックの見事なる種明かし。感動した!

No.10 8点 ロマン
(2015/10/20 11:09登録)
ユーモアがありほのぼのしていて凄惨な感じはしない。挿絵も良い感じ。解決編で笑ったミステリは久しぶり。バカミスと呼ばれてるものかもしれないけど、この強引な真相は、このほのぼのとした雰囲気に合ってて良いと思う。

No.9 7点 ボナンザ
(2014/10/04 16:03登録)
ユーモラスな展開、二転三転する推理、最後の意外で皮肉なオチまで文句のなしの傑作。

No.8 7点 nukkam
(2014/09/10 13:12登録)
(ネタバレなしです) 英国のシェーファー兄弟はどちらも劇作家で、兄のアントニイ・シェーファー(1926-2001)は「スルース」(1970年)で、弟のピーター・シェーファー(1926-2016)は「アマデウス」(1979年)で世界的成功を収めています。その兄弟は無名時代に合作で本格派推理小説を数作書いており評論家からも高く評価されているのですが、なぜか兄弟は若気の過ちと恥じているらしいです。本書は1951年に発表した本格派推理小説です(合作でなくアントニイの単独執筆だったそうですが)。窓から入ってドアから出て行った男、ドアから入って窓から出て行った男、いつの間にかドアも窓も施錠され、室内の衣裳戸棚には閉じ込めれた女という何とも奇妙な密室を扱っています。ページ分量が多くなく軽妙な文書で描かれているのでお手軽な作品と思いきや、実に大胆なトリックと皮肉で型破りな真相にびっくりしました。

No.7 5点 蟷螂の斧
(2013/04/03 14:01登録)
(タイトル・女21)期待した分、肩透かしを食らったような感じです。バカミス?に分類されるのかな?。衣装戸棚の女が犯人であるか否か、また密室構築関与の有無についての、推理(状況証拠のみ?)がいまひとつ明確でないような気がします。

No.6 7点 E-BANKER
(2012/05/27 21:44登録)
1951年発表、「戦後最高の密室長編」という惹句は大げさかもしれないが、アイデアが光る佳作。
作者のP.アントニーは劇作家として著名な兄弟2人のペンネーム。

~早朝、名探偵ヴェリティは奇妙な光景に遭遇した。町のホテルの2階の1室から男が現れ、隣室の窓へ忍び込んでいく。支配人に注進に及ぶと、当の不審人物が下りてきて、人が殺されているとへたり込む。外では、同じ窓から地上に降りんと試みたらしい人物がつかまり・・・。されど駆けつけてみれが、問題の部屋はドアも窓もいつのまにやらしっかりと鍵がおりていた(!)。射殺体と衣装戸棚に押し込まれた女が中に閉じ込めて・・・~

「密室」のアイデアは確かに面白い。
この密室には、紹介文のとおり3人の人物が関係している。「窓から入ってドアから出た男」と「ドアから入って窓から出た男」、そしてなぜか「衣装戸棚に閉じ込められた女」。
2人の男は双方とも、女の協力なしにはドアと窓の両方の施錠はできない状況。だが、共犯については否定される。では女の単独犯なのか? だがそれも考えにくい・・・

最終的にヴェリティが辿り着く解決が実に見事。
多分にパズル的なのだが、被害者の体に残った2つの銃弾と、2つの45口径ピストルの取り扱いが見事な伏線になっていて、これがラストできれいに収束させられる。
読者は「まさか、あのシーンが(!?)」と驚かざるを得ないだろう。
「偶然」にそうなってしまったトリックというところが若干引っ掛かるが、他の密室トリックよりは十分納得性のあるものに思えた。
そういう意味では、「戦後最高の密室長編」というのも、あながち不正解とは言えないかもね。
(やっぱり言い過ぎか?)

No.5 6点 シーマスター
(2011/11/25 23:55登録)
今までチラホラ目にしてきた本書に関する巷の断片的なコメントからは激しくぶっ飛んだトリックを期待していたが・・・・・いや、そうした前評判は決して誇張でもフカシでもないんだけど本作が世に出た時代より遥かに後の世において似た印象のカラクリが使われている作品が我が国でもいくつか書かれているので、後者を先に読んでしまっている読者にとってはインパクトの点では若干肩透かしの感は否めないだろうし、個人的には時の残酷さを感じる読後感でもあった。 

しかし、ここは60年前にこのトリックを創出したことに対し素直に敬意を表しておきたい。

No.4 7点 isurrender
(2011/11/05 23:14登録)
あのトリックには結構やられました
確かにバカミス
「戦後最高」は言い過ぎですけど、確かに密室のトリックとしては秀作だと思います

No.3 6点 kanamori
(2010/08/08 12:49登録)
素人探偵ヴェリティものの本格ミステリ第1作。
さすがに、”戦後最高の密室ミステリ”という惹句は大袈裟ですが、誰もが考えつかなかったバカミス的解決法がユニークではあります。軽妙なユーモアと味のある人物造形でサラッと読めます。

No.2 7点 ロビン
(2008/11/20 19:47登録)
こんな密室トリック、確かにバカミスかもしれませんね。もちろん良い意味で。そんな場面は全く気にしてなかった!と苦笑。
分量もほどほどで、文章も読みやすいためサクサクとページがめくれる。トリック自体は小粒なんだけど、それが作品として丁度良い感じに仕上がっている。

No.1 9点 あい
(2008/04/23 10:48登録)
密室殺人のアイディアが面白かった。ユーモアを交えているだけに非常に読みやすい。しかし、これをバカミスととらえる人の気持ちも分からなくはない

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