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ミステリの祭典

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ラッシュライフ

作家 伊坂幸太郎
出版日2002年07月
平均点6.58点
書評数38人

No.38 7点 zuso
(2022/12/22 22:51登録)
発端と結末を繋ぐのは、傲慢な拝金主義者に、どん底の人間が意地を示し一矢報いるまでの経過。それだけならありがちな「ちょっといい話」。ところが発端と結末の中間に、皮肉な偶然に彩られたストーリーのパズルが挿入されているために、ニュアンスが複雑になっている。
作中では、仙台駅の近くの展望塔に関する言及が何回も出てくる。しかし、登場人物が塔に上り下界を見渡す場面自体は、最後まで描かれない。このことは、各自のストーリーを生きる彼らが、五つのストーリー全部を展開する能力を持たないのを象徴している。
個々のストーリーに閉じ込められた人生。パズル的構成で浮かび上がる苦みがここにある。

No.37 6点 バード
(2019/12/07 19:22登録)
時系列を無視した順番で話を提示することで、中盤まで物語の構造を隠匿している。最後の方で時系列が明確になるため、読者は最後まで読んでようやく、物語の全容を把握できる小説。
んで、この時系列シャッフルだが、私はそんなに良いと思えない。シャッフル自体に何か意味があれば別だが、そうでないなら+の効果がなく、単に途中をわざと-に書いて、最後で-から0に戻して、後半が面白かったと錯覚させるだけの小細工のように感じる。
物語間のつながりが分かりにくく、ややフラストレーションを感じながら読んでいた。(『ゴールデンスランバー』も最後に全容がわかるタイプだったかもしれないが、昔の記憶を引きずりだすと、そちらはストレス感じずに読めた気がする。違いは何だろう?)

と、ここまで結構辛く書いたが、実際にはそこそこ楽しめた(笑)。各物語の続きが気になった上、伊坂さん流の軽快な掛け合いに乗って、各話単位ではスラスラと読めた。

最後におまけですが、過去に6点をつけた伊坂作品、『重力ピエロ』、『オーデュボンの祈り』と本作の好みを比べると、
 『重力ピエロ』<『ラッシュライフ』
 『ラッシュライフ』<『オーデュボンの祈り』
 『オーデュボンの祈り』<『重力ピエロ』
です。どの作品が好きかと聞かれたら騙し絵のごとく1周します。

No.36 8点 itokin
(2015/03/12 19:42登録)
伊坂氏の2作目の作品らしいがあまり期待してなかった(1作目のオーデュボンの祈りが好きでなかったので)、いや面白かったです。軽妙な語り口、先の読めない展開、短編集のような5つの物語がどのようにからむのかなど興味深く一気に読まされました。大好きなゴールデンスランバーに繋がる氏の才能を感じました。

No.35 4点 ia
(2015/02/19 23:21登録)
読後に何も残らなかった。
何がしたかったんだろうこの小説は。
オーデュポンからミステリー要素を抜き取っただけという印象。
泥棒哲学は楽しめた。

No.34 5点 ayulifeman
(2015/01/26 23:27登録)
2回目読み。大まかな仕掛けは覚えていて細部は全く忘れてました。
時間の流れとお話がの進行が入り組んでいて、結局インターネットで”時系列”で検索かけちゃいました。それで納得。黒澤のトイレは瞬間移動っていう処理でいいのかな。
まあ楽しめた。

No.33 5点 ムラ
(2012/04/11 22:24登録)
それぞれ個別のストーリーだけでもキャラがいいから十分楽しめた。
ただ、それだけではなくて、全部変化球的に繋げてるのがさらにいい。
個人的に好きなのは、リストラされた男の話と、泥棒の話。
ただ、綺麗にまとまりすぎて逆にオチがわかりやすすぎるのがちと残念だった。話のオチとしては満足なのだが。
それと、ところどころ気になる所が書かれてないのも残念であった。特に高橋の話は続編があるなら見てみたい。

No.32 9点 NAP
(2012/02/13 17:11登録)
登場人物が魅力的で、それぞれが気持ちよくつながっていきます。最後までキッチリ。楽しいです。

No.31 3点 蟷螂の斧
(2012/01/08 13:29登録)
ミステリー度はほとんどなく、結局何の小説なのだろう?作者の意図(ラッシュライフ=豊潤な人生)がよく解りませんでした。

No.30 4点 okutetsu
(2011/08/22 02:34登録)
前作はかなりの傑作だと思ったのですが、今作は正直よくわかりませんでした。
プロットは秀逸だと思いましたが、全体像は途中からなんとなく見えてしまった上に若干無理がある展開があり、後味もあまりよくありませんでした。

No.29 7点 simo10
(2011/05/15 21:06登録)
騙し絵の世界を見事に描写していると思います。
語り手が変わるにつれ時間軸が絡まっていく感覚と、最後の章でその時間軸が一本に紐解かれた時の爽快感が素晴らしかったです。
物語も爽快。
登場人物の描き方が(特に京子が)島田荘司っぽい感じがしました。

No.28 7点 haruka
(2011/04/25 00:16登録)
巧妙なプロットが光る、まさに精巧なだまし絵のような作品。

No.27 7点 3880403
(2011/04/06 20:02登録)
ミステリーという感じではないし、とくに感動もないのだが、
読み易いのと感情移入したのでそこそこ楽しめた。
意外性や衝撃は無かった。

No.26 4点 ZAto
(2011/01/09 13:33登録)
時系列と語り手を変えて同じ場面が描写されると少しうんざりする。人物Aと人物Bが同じ事象を別視点で見ることの面白さはあっても、時系列をめまぐるしく変えられるとややこしくなって、頭の中を整理する徒労そのものが面倒にもなる。なによりも見逃した伏線が無数にあるのではないかという不安感が募ってしまうのだ。
結局、100%面白がっていない自分というのも見えてきた気がする。逆にいえば、それは一体何なのだろうという興味がないわけでもなく、そのあたりを考えることで、この後の読書を楽しくする術があるような気もするが、さてどうなるものだろうか。

No.25 5点 STAR
(2010/12/13 10:16登録)
初めて読んだ伊坂氏の作品。
それぞれの個性豊かな人物の行動が最後につながってくる・・・というのはおもしろいのですが、ミステリーとしてはそこまでにおもしろくはないかもしれないと思ってしまいました。

No.24 8点 Q-1
(2010/10/17 02:24登録)
伊坂作品では個人的に最高の出来だと思います。
各パートごとに謎があり、それが終盤に進むに連れ、
各パートごとの登場人物同士が交錯し、謎が明かされていゆく。
テンポもよく疾走感を覚える作品です。

No.23 5点 まさむね
(2010/08/29 11:06登録)
後半に向かっての繋がりの連鎖は,確かに面白かった。
各々の話に,ちょっとした意外性を差し込んでいるところもよい。とても綺麗にまとまっている。
しかし,「綺麗に」以上の爆破力と言うか,斬新な驚きは得られなかった。登場人物間の会話も,一般的には評価が高いようであるが,私はむしろ逆の印象を受けた。
総合的にこの点数。

No.22 7点 E-BANKER
(2010/08/01 15:03登録)
作者の遊び心と旨さが前面に出た佳作。
4人の登場人物、4つの物語が順番に語られ、それが少しづつ絡まっていき、ラストで見事に繋がった!
ジグゾーパズル的というよりは、線路のようなものを繋いでいく感じと言えばいいのでしょうか、読了後気付いてみれば、壮大な鉄道路線図が出来上がっていたというようなイメージ・・・(うまく表現できてませんけど)
まぁ旨いですよねぇー。1人1人の登場人物が生き生きしてます。
泥棒の黒澤は哲学的ですし、リストラ社員の豊田はせつなさ満載ですし、示唆に富んだセリフが次々と出てきます。
本作、「小説」としての評価なら十分10点満点に値しますけど、「ミステリー」としての評価ならこれくらいでしょうか。

No.21 9点 メルカトル
(2010/06/03 00:09登録)
伊坂氏の作品の中では、ミステリ度の高さは随一。
一見バラバラに見える4つのストーリーが最終的に繋がりを持ってくる展開は、見事の一語に尽きる。
それと最も評価したいのは、後味の良さである。
素晴らしい読後感、清々しさすら覚えるラストシーンは、今でも忘れられない。

No.20 9点 E
(2010/02/28 22:13登録)
バラバラだった人生が最後ひとつに繋がった!!
その構成力に清涼感を感じるほどでした。面白いです!

No.19 7点
(2009/10/11 21:25登録)
「死体がいつのまにかバラバラになって、また歩き出すミステリー!」
というよりも、4次元パズルですね。

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