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ミステリの祭典

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オーデュボンの祈り

作家 伊坂幸太郎
出版日2000年12月
平均点6.22点
書評数36人

No.36 3点 ボナンザ
(2024/08/08 20:28登録)
途中の描写が長い一方、最後の方が駆け足なのにミステリではなくブンガクよりな作者の持ち味を感じる。

No.35 6点 ぷちレコード
(2023/11/29 22:50登録)
コンビニ強盗をしてその逃走中に気を失った伊藤は、外界の交流を絶った孤島・荻島で意識を取り戻す。島には予知能力を持った喋るカカシ・優午が住んでおり、人々はその言葉を守って生活していたが、ある朝、優午は無残な姿になって発見された。未来を予知できるはずのカカシがなぜ殺されたのか。
孤島という外界から隔絶された空間の中で、殺人ならぬ「殺カカシ事件」が発生するという異色のファンタジーミステリ。荻島はゆっくりと時間が流れる優しい世界であると同時に、人間の悪意がむき出しのかたちで現れる場所でもある。カカシ殺しの真相を追う主人公は、思わぬ形で人間の罪を指摘されるというわけだ。
異世界もののミステリ性とテーマ性を高いレベルで融合させた作品。

No.34 6点 ミステリ初心者
(2022/01/08 00:39登録)
ネタバレをしています。

 これは私が読んだことのないジャンルの本です。ミステリ的ではないので、評価が難しいです。
 ファンタジーのような、SFのような、童話のような…。ただ、物語全体的に、なんとなく寂しいような雰囲気があり、好みを言えば、もうすこし物語の起伏が欲しかったかもしれません。
 読後感は爽やかで、非常に良いものでした。また、文章に癖がなく、すいすい読むことができました。

 不満点はあまりないのですが、静香のサックスを聴いた島民の様子が見たかった!

No.33 6点 斎藤警部
(2021/04/19 15:37登録)
"島全体の責任、と言ってしまいたかった。そうすれば、すべてがうやむやに終るのではないか。"

どこかしらムーミン谷を彷彿とさせる、ブラウン神父の魂も宿っているらしい或る「特殊離島」と本土(宮城県仙台市)を二つの舞台とした、白い寂しさ漂うファンタジー。  猫と◯の謎解き(?)のあたりから急に、諦めかけていた合理的解決のへの予感が虹のように煌めき出した、 の だが 、、、 ええっおおっ、そこで終わるの?! 『アレ』はどうしたの?!?(◯◯が島にやって来る直接原因になって終わり?!) コンビニ強盗の扱いも軽すぎるんじゃないの!? 云々云々。。  中心的事件に纏わるハウ/フー/ホワット/ホワイダニットの伏線回収は見事。だが大いに気を持たせた物語全体の諸々は最後まで綺麗な一点に収束しきれてない~ せいぜいボコボコした小さな五角形くらいでないの。。 島サイド、本土サイドを並べてみせたトコにもビックリの落とし穴を期待してましたよ。お門違いでしょうけど。。 まぁ結末でカックン来たけど、エピローグでしみじみさせられちゃって。。。結局悪くないです。  含みが多くていい感じに割り切れない登場人物群の中で、一人際立った非道人間役だけは純然たる欠陥産廃として描いている所に、作者の人の悪い魅力が匂い立っています。  全体通して、言葉のおしゃべりはいい感じ。

No.32 6点 人並由真
(2020/11/02 13:43登録)
(ネタバレなし)
 伊坂作品とはあまり縁がなく、まだ数冊しか読んでいない。
 ただこの作品に関しては、異世界? 設定で被害者がカカシという変化球のフーダニットらしいということで以前から気にはなっていた。今回は文庫改訂版という、新潮文庫版で読了。

 一読して、実に雑駁な感慨が残る作品で、これが作者の狙いのひとつなら、その意味では成功していると思う。

 まずサイコ悪役の反吐が出そうなイカれた描写は、作中でのポジションを考えれば当を得るものなのだろうが、個人的にはとにかく読んでいて不快。先述のようにまだ伊坂作品の読破数は多くないので、ここでこういう感じのものが出てくるとは思わなかった(現役作家なら前川裕か宇佐美まことあたりなら、心の構えもできていたと思うが)。ほかの旧作の伊坂作品もどんなものなのであろう。

 それで肝心の本作の大きな謎「なぜ未来を予見できるカカシが殺害されたか」に関しては、大枠で語ってしまえば(中略)のようなものなので、あまり衝撃も驚きもなかった。もちろんそこにいくまでの状況を支える当該キャラの内面とかはよく練り込まれているのだろうが、一方でそういった思考が基本的には作中人物サイドのものであり、読む側としてはいまひとつ共有できなかった。これは最後の<島に本当に必要とされたもの>の説明も同じ。なんというか、それはこちらと関係のない、あなたたちの希求であり願望だよね、という思いが先立つ。
 もしかしたら当方は、この作品の悪い読者かもしれない(汗)。

 世界観の独特な雰囲気は、現実世界と近いような遠いような絶妙な距離感という意味でかなり魅力的。
 その一方でキャラクターたちは主人公や相棒格の日比野ををふくめて、ほぼ全域にわたり「どういう感じで、毒のある裏側がいつ暴き出されるのか」という緊張感が最後までつきまとい、あまりなじめなかった。結局(中略)だったと言われても、そんなにサプライズも心のときめきもない。
 ただし、某・重要キャラの仕掛け……というより、その文芸の向こうにあった真相は、いかにも20世紀~21世紀の時代の変わり目のころの新本格という感じで面白かった。

 一読して、この作品の魅力の真価とは、たぶん縁がなかった感じ。
 嫌味や皮肉ではなく、もっとずっと深く楽しめた方がいたのなら、ちょっと羨ましい気もしないでもない。
 評点はとにかく攻めの姿勢は評価して、このくらいで。

No.31 6点 バード
(2019/06/27 20:10登録)
及第点の作品。すごく好きというわけでもないが、特別イマイチという感じでもない。本作はデビュー作なので少し甘めに点数付けています。

かかしが喋る設定だの、風変わりな島の設定だのこの辺の舞台設定はまさに伊坂さんの良い所が前面に出ていると思う。(この辺のリアリティ無い設定を受け付けない人もいそうな気もするけど。)
私が一番惜しいと思ったのはストーリーである。ちょくちょく挟まる本土パートはとって付けた感があるし、島の話も人殺しが起きているわりには起伏が無く、無駄に長いと感じた。
ただしこれは話自体に問題があるというより、作者が若くてまだ表現力が足りなかっただけかと。経験をつんだ伊坂さんが書き直したら、同じ話でももっと引き締められるだろう。

No.30 10点 Tetchy
(2014/02/21 22:43登録)
私にとって初伊坂作品である本書は奇想天外でありながらこの上なく爽やかで、そしてヤバい。

数あるミステリを読んできたが、人語を話し、未来を予測する能力を持つ案山子が殺される事件を扱ったミステリはまさに前代未聞だ。
それを筆頭に嘘しか云わない画家、園山や島の秩序を守るために殺人が許されている桜と云う男。天気を当てる猫に、300キロを超える大女など不思議の国に迷い込んだかの如き世界が繰り広げられる。
こういう風に書くとディキンソンのような過剰に異様な世界ではなく、牧歌的で寓話的なところが特徴的だ。案山子が優午と名付けられ、少し先の未来を予見できることが普通の日常として受け入れられるような普通に満ちた世界が荻島にはある。

物語の終盤、それまで主人公伊藤の目を通して我々読者に島民たちの奇妙な振る舞いや行為がパズルのパーツが収まるかのようにカチカチとある一点に収束していく様はまさに壮観。

それは驚愕と云うのではなく、ピタゴラスイッチを見ているような美しさと感動さえ感じる殺人。こんな優しくも美しい殺人事件がかつてあっただろうか。
そしてここに至って不思議な響きを放つ本書のタイトルが俄然意味を放ってくる。

まだ私の胸に残る伊坂氏が残した歓喜を挙げたくなる嬉しさにも似た何かが心くすぐって堪らない。なんと優しさに満ちた物語か。なんと喜びに満ちた物語か。

No.29 6点 yoneppi
(2013/02/28 19:56登録)
ようやく読んだ伊坂のデビュー作。これまでそれほど評価していなかったけれど、これでこの作者が初めてわかった気がした。やっぱりデビュー作品は読むべきだわ。

No.28 9点 NAP
(2012/02/13 16:56登録)
ファンタジーっぽい。伊坂さんのファンになるきっかけとなったひとつ。設定やキャラクターが魅力的でわたしは好きです。

No.27 5点 ムラ
(2011/12/07 20:42登録)
ミステリというよりはSFっぽかった。
カカシが自分の死んだ未来をいわない理由はけっこうあっさりだったけど、不思議な島自体の話やそれに関わる人々の話しがなかなか面白かった。
特にそれぞれの登場人物の役割がハッキリしてるからゴチャゴチャにならないのがいい。
個人的にはカカシが死んだ理由よりも、もうちょっと島の世界観を見たかったのが心残り。

No.26 5点 蟷螂の斧
(2011/08/23 11:45登録)
ほのぼの感、後味感で+2、ミステリーとしては―1
著者の作品は「重力ピエロ」「ラッシュライフ」と読みましたが、いづれも読後感は悪くないのですが、ミステリーとして評価すると?マークがついてしまいます。

No.25 8点 okutetsu
(2011/08/22 02:32登録)
ミステリというより物語として満足いったのでこの点数。
ラストが爽やかで読んで良かったと純粋に思える作品でした。しゃべるカカシ優午はホントに魅力的なキャラクターだったと思います。

No.24 6点 makomako
(2011/05/31 21:06登録)
好みが分かれる話だと思います。現実離れしたシュールな作品で好みからいえば余り好きではない。しかし受け付けないこともない。作者の力は十分に感じる。ミステリーとしては完全に解決していないしもやもや感が残るけど、こういった話なら仕方がないのでしょう。もっと若い頃に読んだらもうちょっと共感したかも。伊坂氏の作品は読みにくそうだったので今まで敬遠していたのですが、これぐらいならなんとかなりそう。他も読んでみようかな。

No.23 5点 simo10
(2011/05/13 23:40登録)
初めて伊坂氏の作品を読んでみました。
詩を読んでるかのような独特のタッチで描かれる奇妙な世界は魅力でした。
ただしタイトルから予測した通り、特にミステリと言う訳ではなかったので謎が解けてスッキリという感覚がなく、物足りなくはありました。(勧善懲悪的な結末にはスッキリ感がありましたが)
本人的には島田荘司氏の影響を受けているそうですが、私には全くピンときませんでした。

No.22 5点 haruka
(2011/04/25 00:19登録)
独自の世界観には惹かれるものの、謎解きという観点では強引な感が否めない。

No.21 4点 3880403
(2011/04/06 20:02登録)
テンポはいいけどファンタジーなところが合わなかった。

No.20 5点 kenvsraou7
(2011/03/07 12:28登録)
伊坂ワールドは独特の世界観がある。
そのファンタジーなシュールな世界に
ミステリーや濃密なストーリーが組み込んである。
一見、ほのぼのしていたかと思うと
残虐非道なシーンが随所に現れるし
なんとも掴み所のない作品である。
最後まで読んでみて結果面白い。
しかし、シュールなので納得できるようなできないような。
これが伊坂ワールドなのかな。

No.19 7点 ZAto
(2011/01/09 13:42登録)
伊坂作品の通奏低音である“神様のレシピ”というテーマの中で、バラバラになっているピースをはめ込んでパズルを完成させる作業は「ミステリー的作為」ではあるのかと思う。実際、この物語はどのような決着を辿るのか、先行きの予測がまったくつかないまま読み進めていくことにミステリー読みの醍醐味はあった。もっともカカシの優午が予見した結末になるように伏線を散りばめていく手法は、本来、作家が小説のプロットを編んでいく過程の作業であるはずで、それを物語そのもののに投げてしまうのは面白いといえば面白いし、新しいといえば新しい。でもズルイといえばズルイことかもしれない。

No.18 5点 E-BANKER
(2010/12/22 23:25登録)
作者の処女長編作品。
第5回新潮ミステリークラブ賞受賞作。
~コンビに強盗に失敗して逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸時代以来外界から遮断されている「荻島」には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、島の法律として殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無惨にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか。卓抜したイメージ力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる・・・~

とにかく変な作品。
文庫版では、解説担当の評論家吉野氏が「たいへんシュールな作品」と述べていますが、つまりは読み手によって評価が大きく分かれる作品でしょう。
鎖国状態の島や未来が見えてしゃべれる「カカシ」など、およそ現実感のない独特の世界観・・・まさに「シュール」と言うべき感覚--
個人的にいえば、この「シュール感」が今ひとつしっくりこなかったというのが正直な感想・・・
結局、伊坂は何が言いたかったのか?(別にそんな難しい話ではないかもしれませんけど・・・) その辺りが汲み取れませんでした。
ただ、「伊坂幸太郎」という作家を知るには、本作はやはり「はずせない」作品なのは間違いなし。
”合う””合わない”に関わらず、読むべきなのだろうとは思います。

No.17 8点 E
(2010/02/21 22:25登録)
設定に無理があるのに、わりとすんなり入り込めた作品。
登場人物が興味深い人々で面白かったです。
でも、島の犯罪発生率高いなー・・それとも、こんなものなのでしょうか?(汗)

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