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ミステリの祭典

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獄門島
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1949年01月
平均点7.91点
書評数70人

No.30 7点
(2011/02/23 13:11登録)
国内では絶大な人気を誇る横溝ミステリの代表作です。
何十年かぶりなので内容の記憶はほとんどなし。唯一憶えていたのが吊り鐘のシーン。他の横溝作品も似たようなものですが、本作は読後の感動すら忘れていました。というよりも、読後にあまり残らなかったのかもしれません。
今回の再読でも、傑作中の傑作だとは思われませんでした。トリックは映像的だが面白みなし、見立てはさほどの意味なし、動機は理解できず、横溝ならではの雰囲気も他の作品ほどではなく、ケレン味もわずか(横溝作品の中では地味)。良かったのは和尚のひとことだけ。これだけはすばらしい。
金田一が現場にいながら殺人を全く防げなかったのも不満の一つです。最後の種明かしは立派ですが、この程度なら並の探偵です。独自調査もなく、皆といっしょの行動をとり、しかも助手もなく、三人称で書かれているから仕方ないのでしょうか。逆に言えば、三人称で書くことで、読者への手掛かりサービスを十分にしたということでしょうか。それでも容易には解けないようにした会心の自信作ということなのでしょうか。ということはやはり傑作?
東西ベストミステリ100の堂々たる1位。これもうなずけません。
都筑道夫がどうして本作を「今日の本格」と呼んで褒めちぎるのか、そして「悪魔の手毬唄」「蝶々殺人事件」をなぜ「昨日の本格」と呼ぶのか?答えは「黄色い部屋はいかに改装されたか?」にあるのですが、これを読んでも納得しがたいです。とりあえず内容を忘れているのは再読しないとダメですね。

No.29 5点 misty2
(2011/01/16 09:47登録)
犯行動機がども・・・。
過去の記憶を想い起こしながら拝読。

No.28 7点 E-BANKER
(2011/01/06 23:05登録)
金田一耕助シリーズの超有名作。
一応初読ですが、TVシリーズ(古谷一行の)や映画(石坂浩二の)で何度も見てるため、中味についてはほとんど知っている作品。
~ニューギニアで共に戦った鬼頭千万太の最後の言葉を胸に、鬼頭家が網元として君臨する獄門島へ降り立った金田一耕助。耕助がそこで見たものは、雪枝・月代・花子の3姉妹がいる本家と、志保・儀兵衛が取り仕切る分家とが反目しあう一族の姿だった。やがて、千万太の予言どおり血も凍る殺人事件が発生する!~

まぁ何というか、一種の「様式美」というような気がしましたね。
金田一はやはり金田一で、途中、何度も殺人事件を防ぐチャンスがあったのに、いずれも邪魔が入り、結局三姉妹は全員殺されてしまうという展開・・・
例の有名な「見立て」は、やっぱり映像で見るほうがいいですね。「見立て」というと、どうしてもその必然性が問題になるわけですが、本作ではトリック的な意味ではなく、いわば”強迫観念”とでもいうべき背景があり、あまり謎解きの面白みはないところが微妙です。
これも有名なフレーズ、「気○ちがい」(今では放送禁止用語?)については、作中に”これでもか”というくらい繰り返し出てきます。ただ、これも「与作松」が結局、事件に全く絡まないままフェードアウトしたところがちょっと物足りない気が・・・
何となく辛口の書評になってしまいましたが、時代性を考えれば十分に評価できる作品だと思いますし、やはり「様式美」溢れる作品という評価で良いと思います。

No.27 8点 kanamori
(2010/07/28 17:37登録)
「東西ミステリーベスト100」国内編のラインナップを現在眺めてみた印象は、海外編以上に保守的だということです。国内だと色々なしがらみに左右されるということもあるのでしょうか。おそらく、現在同様のアンケートを実施すれば、半数以上の作品がランク外になるように思います。
国内部門の第1位になった本書は、横溝作品の中で個人的フェイバリットではありませんが、俳句の見立て連続殺人というテーマと絶妙なミスディレクションで記憶に残る名作だと思います。
作者の”見立て殺人”は、もう歌舞伎などの古典芸能と同じ様式美の世界ですから、必然性の有無など関係ありません(笑)。

No.26 7点 itokin
(2010/03/10 21:47登録)
何十年ぶりの再読。少しご都合主義も見られるがやはり古典の名作でしょう、しかし、今の評判の作品と比較するとこの点数か・・・。

No.25 8点 STAR
(2010/02/06 22:48登録)
細かい部分で「あれ?」と思うところはあるものの、見立て殺人の代表作としておもしろい。
映像化にもよい作品だと思う。

No.24 6点 ミステリー三昧
(2009/08/08 12:27登録)
(ネタばれ気味です。)
<横溝正史自選集2>金田一耕助シリーズの代表作(長編/1947)です。
見立て殺人の必然性に納得できません。結局お偉い様の信念と美意識を貫いただけですよね。見立て殺人の意味よりも死の風景に読者が魅了されれば、それには意味があったと言えますが、色彩の美が感じられない原作では意味を成さないです。「気違いじゃが仕方がない」の本当の意味に関しても特に何も感じなかったし、フーダニットも納得できません。いつでも誰でも殺せたことになるだろうし、金田一耕助には止める術はなかったのでは。というか探偵らしくないし、頼りないです。なんだか今回は物語の惹きたて役に徹していました。第一印象としては自己主張がなく、受け身な探偵です。
私的には推理小説ではなく「悲惨な物語」でしかなかったです。三つの条件の一致が惨劇を起こしたという真実と吊鐘を使ったアリバイ偽装工作トリックには多少魅力を感じましたが。序盤から中盤にかけては推理小説を読んでる心地がなかったのも評価を下げた要因です。点数が低いのは、推理小説として評価した結果です。期待しながら読んだだけに残念でした。私的には『本陣殺人事件』に遠く及びません。

No.23 8点 isurrender
(2009/07/22 02:02登録)
歴史を感じる作品ですね
歴史的意義を考慮しなくても読む価値はあると思います

No.22 10点 okutetsu
(2009/07/01 06:13登録)
傑作だと思います。
舞台設定と雰囲気だけでも読む価値あり。
現代でも充分通用するおもしろさに現代ではあまりないあのおどろおどろしさ。
読んでるだけでゾクゾクします。
あの一言を聞くためだけでも読んだほうがいいですねw
間違いなく日本ミステリー史の金字塔でしょう

No.21 10点 kai
(2009/06/05 16:10登録)
凄い。なかなか。

No.20 7点 江守森江
(2009/05/22 14:57登録)
「見立て殺人」のお手本で、そこから派生する「あの有名なセリフ」を読むだけでも価値がある。
更に、映像化作品では省かれるがあのセリフを金田一が考察する章も読み応えがある。
しかし、極論するなら島民の誰が犯人でも良い設定(映像作品は犯人を変えてあったりする)から金田一シリーズ最高傑作と断言できないのが残念。

No.19 7点 E
(2009/05/03 22:27登録)
生粋(?)の見立て殺人。
犯人には何となく見当はついていたものの、見立て内容もトリックも難しくて見当さえ無理っす。

No.18 7点 測量ボ-イ
(2009/05/03 16:44登録)
世間の評価通り、なるほど完成度の高い作品です。僕自身
が横溝氏のファンという訳ではないのでこの点数ですが、
氏のファンならもう1~2点プラスでしょう。

No.17 10点 だい様
(2009/03/05 10:23登録)
金田一耕助シリーズ

俳句に則った見立て殺人が印象的でもはやそれは美しささえ感じた。
『むざんやな冑の下のきりぎりす』

和尚の一言は日本ミステリ史上一番の名言だと思います。

No.16 6点 spam-musubi
(2009/02/04 10:56登録)
横溝正史の王道をいく、因習に囚われた瀬戸内の小島で起こる
連続殺人事件。ぐいぐい引き込まれる展開はさすがだが、
途中からうっすらと犯人を読者に暗示し始め、その疑いが
だんだんと濃くなっていき、最後は「やっぱり」という展開自体は
興奮度が今ひとつ(どんでん返しがあればいいというものではないが…)。

誰が狙われているのか分かりきってるんだから最後の一人くらい
常時見張りを付けたほうがよかったのではないか、
犯人のフェアプレイ精神は偉いとは思うが、普通そんなことしないだろ、とも思うなど、
細部に疑問も残ってしまった。

No.15 7点 kowai
(2008/11/24 18:41登録)
小さい頃から映画やTVで見ているので、横溝シリーズを小説で読むのはお初です。(ネタは覚えていないから何の問題も無かったですが)時代ものは読まないのでこれもその分類に入れてました。正直、小説としてはよくできているんでしょうが、どうして「連続」事件となってしまったのかが。。?です。殺される対象がわかっていて。。金田一さん、あんた何しに行ったの?(ラストで口説いてるし。。)

No.14 8点 いけお
(2008/10/25 10:38登録)
一部のトリックを除いて、さすがに無駄もなく完成度が高い。

No.13 8点 シュウ
(2008/09/24 18:46登録)
見立て殺人の傑作です。前作の本陣殺人事件は中篇と言っていい分量なので、この作品が日本最初の本格長編推理小説になるんだと思います。
見立て殺人の鮮やかさ、個性的すぎる登場人物、有名なあのセリフ、衝撃のラスト、牢屋に閉じ込められる金田一など、見所満載です。
あと金田一さん狙われてるのが誰なのか分かってるんだからもっと必死になって守ってあげてください。

No.12 8点 こう
(2008/09/21 23:14登録)
 数ある古典作家のなかで横溝正史だけ偏見がありこれまで読んでなかったのですが今回初めて手に取ってみました。
 作品そのものは現代でも通用する傑作だと思いますが不満点がいくつかありました。まず見立て殺人の必然性がどうしても納得できません。そもそも見立ては日本特有のものだと思いますが読者ではなく作品人物に対してわざわざ見せる必然性がないと思います。普通に殺しっぱなしのほうがはるかに手間もかからず安全に思えてしまいます。恐怖心を与えるとしてもこれは三人目の段階では少なくとも被害者候補は明らかですし見立てるまでもないでしょう。
 そして三人目が誰かわかっていての警備があまりにも杜撰に感じます。
 また殺人決行の条件がありある情報、あるものが島に入ったことから決行される所は上手いと思いますが、結末を見る限り情報を自分の目で確認してから決行する時間の余裕がなかったようには見えませんでした。しかも「本陣」を解決した「名探
偵金田一」がいるとわかってるのに滞在中にあえて決行するのもどうかと思います。例え金田一でなくても不審者が一人でもいない方が犯行は確実になりそうですがわざわざ金田一がいる時にあえて殺人をおかす犯人のキャラクターも前時代的です。
 またやはりあの名セリフは「〇〇〇〇」と聞こえた、というような書き方もしくはひらがな、傍点などがやはりフェアかと思い現代ではアンフェアだと思いました。
 作品そのものは傑作だと思いますがそういった点は不満でした。

No.11 7点 ロビン
(2008/09/20 16:36登録)
確かに素晴らしい。だけど、それをやられちゃうとなぁ、というのが正直な感想です。せっかくの連続殺人も、それ自体がトリックならば肩透かしを食らった気分。
見立てが醸し出す怖さはそれぞれ際立っていて、特に一つ目の事件のアリバイトリックは秀逸。

三人称小説ならば、あの台詞はアンフェアなのでは?せめてひらがな表記にするべきかと。それとも、前の文章から考えると、あれは和尚が直接言った台詞ではなく、あくまで金田一の解釈による台詞っぽく書かれていたから、それ自体が叙述トリックの一つなのかな……?

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